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シリコンバレーで話題のマイクロVC – Manu Kumarが投資したくなるスタートアップとは?
以前に超使いやすい名刺スキャンアプリ、カードマンチに関しての記事を書いたが、そのCo-founderであり投資家でもあるManu Kumarにインタビューを行った。現在多くのスタートアップに投資をしている彼は、シリコンバレー界隈ではDave McClure並みに著名で、多忙である。また、こちらの記事にある通り、海外からの起業家に対して起業家ビザが出やすくなる様に政府に働きかけたりもしている。
丁度Founders Denへの訪問も重なったので、同じ建物内のビートラックスのオフィスに来てもらう事にした。普段では聞けないような投資や企業家に対するヴィジョンを彼から聞き出す事が出来たので、その内容を下記にまとめてみた。
概要:
インタビュー相手: Manu Kumar (Founder and Chief Firestarter at K9 Ventures)
インタビュアー: Brandon K. Hill (CEO, btrax, Inc.)
インタビュー日: 2011年6月8日
場所: btrax, Inc. 本社 (サンフランシスコSoMA地区)
Brandon: まずは投資家としての話を伺う前に、カードマンチ (Card Munch)に関してのストーリーを教えて下さい。僕もユーザーの1人として使っているだけではなく、今年の始めにLinkedInにバイアウトされた経緯等にも興味があります。
Manu: カードマンチは非常に優れたサービスであると同時に、かなりうまく行った投資案件でもあるね。実は会社の設立からバイアウトまで1年掛かっていないんだよ。
Brandon: 具体的な時系列は?
Manu: そうだな、チームを作ったのが2009年の末頃、サービスのリリースは2010年中盤だ。その直後からメディアや企業からの注目が高まり、2010年末頃には既にディールの話がまとまっていて、2011年の年明け早々にLinkedInにバイアウトした。
Brandon: チームと投資家についてはどんな感じでしょうか?
Manu: インド人系の優れたエンジニア1人プラス2人のCo-founder, そして僕になるね。僕以外のファウンダーはかなりエンジニア色が強いので、もっぱら僕がビジネス方面を担当した。資金に関しても僕のVCファームであるK9 Venturesが独占で出資をしたよ。
Brandon: かなり短いスパンでのエクジットだと思いますが?
Manu: それがシリコンバレーの醍醐味だよね。この辺では全てが世の中の何十倍も速いスピードで動いているよ。
Brandon: そもそもLinkedInとのディールはどのような形で進んだのでしょうか?
Manu: 元々LinkedInの何人かの重役とは知り合いで、彼らの内部事情もある程度知っていた。故に彼らに足りないもの、何が欲しいかが分かってたのさ。だからそれに合わせてプロダクトを作ったというわけ。リリース前から彼らにはβ版を見せて反応を見ていたよ。まあ、決め撃ちっていうところかな?
Brandon: ではそろそろ投資家としてのお話を聞かせて下さい。現在はどのような所に投資しているのでしょうか?
Manu: CrowdFlowerやCard.ioなどを始め12社に投資しているよ。ほとんどがシードかシリーズAで$1M以下になるね。
Brandon: ご自身のバックグラウンドは?
Manu: 恐らく一言で言うと”エンジニア出身のシリアルアントレプレナー”になるだろうね。元々エンジニアリングを勉強して、90年代にソフトウェア会社を二社立ち上げバイアウトした。また、他の幾つかのスタートアップにも取締役として参加したりもしたよ。現在はK9 Venturesの代表を務めている。
Brandon: K9 VenturesはVCでしょうか?それともスーパーエンジェルになるのでしょか?
Manu: マイクロVCと呼ぶのが一番適切だろうね。自分の資金以外にも他のファンドの運営も行っているので、エンジェルではない。しかし既存のVCよりも投資規模が小さく、起業家との結びつきが強いので、自分ではマイクロVCと呼ぶ事にしている。
Brandon: 他のVCとの差別化要素は?
Manu: 簡単に言うとフォーカスが決まっているという事。まず投資額がコンセプト段階の企業向けの$100K以下から、シード向けの$1M程度に限定している。また投資先も主にバイアウトを念頭に置いた、サンフランシスコベイエリアにあるテック系が対象になる。
Brandon: サンフランシスコやシリコンバレーの企業である事が重要なのでしょうか?
Manu: もちろんそうだよ。
Brandon: やはりそれはコントロールをしやすいから?
Manu: いや、そういうわけではない。単純にこの辺にいる事でディールの話も進みやすいし、優秀な人材を獲得しやすい事があるね。実は君の所で行った去年のSF Japan Nightに出場したmyGengoもピッチに来たよ。とても良いサービスだし、可能性も感じたんだけど、会社がシリコンバレーに無いといことで投資をしなかった。”こっちに来たらすぐに投資するよ”と伝えたんだけどね…。
Brandon: その旨をファウンダーのMatthewとRobertに伝えておきますよ。
Brandon: そもそも投資家から見て、プロダクト、チーム、ユーザーベースのうちどれを一番重要視しますか?
Manu: まあ、全てだろうね。それぞれがバランス良く高いレベルである必要がある。
Brandon: 先ほどこちらのローカル企業でないと投資しないと事でしたが、投資対象としてその他に重要視する事はありますか?
Manu: 先のこの辺の企業であるという事を含めると5つあるよ:
- ファウンダーがエンジニアバックグラウンドであるという事 – その道のエキスパートである必要がある。Web系サービスの場合はエンジニア系
- サービスコンセプトがユニークであるという事 – 新規のテクノロジーを開発している、もしくは新しいテクノロジーを使ったサービスであり、コンセプト自体が非常にユニークでユーザーに利益をもたらし、なおかつマネタイズプランがしっかり出来ているという事
- アーリーステージであるという事 – K9 Venturesは主にシードステージでのファンディングを行うので、アーリーステージのスタートアップを主に投資の対象としている。
- 大きな資本金を必要としない企業であるという事 – 投資した資金を最大活用してもらう為に、巨大な資本が必要なセクター、例えば製造や小売店、エネルギー系のビジネスは投資の対象外になる。
- サンフランシスコ/シリコンバレーエリアの企業であるという事 – 先ほども説明した通り、会社がこの辺にあるアドバンテージは計り知れない。どんなに良いプロダクトやサービスがあっても、エクジットに繋がるディールが無い地域では投資対象としての魅力が半減する
Brandon: なるほど。ところで最近のGroupon, LinkedIn, Yelp, ZipCar等のIPOラッシュを見るとスタートアップバブルの様に思えますが?
Manu: そんな事は無いと思うね。決してバブルではない。 投資されない所はされないし、魅力の無い会社やサービスはエクジットは出来ない。マーケット全体を見渡してみても、猫も杓子も投資を受けられた90年代の第一次ドットコムバブルとは状況が違うね。
Brandon: 次はどこがIPOしますかね?
Manu: Zyngaはそろそろだろうね。Facebookは恐らく2012年になるだろう。
Brandon: Twitterはどうでしょうか?
Manu: あそこは微妙だな。個人的にも投資しようとは感じないな。マネタイズの可能性が低いような気がするよ。
Brandon: 最後に日本の起業家へ一言
Manu: とりあえずこっちに来てみて、裸一貫で始めて見る事だね。僕は海外からの起業家を応援しているので、提供サービスに興味がある場合は、是非話を聞きたいね。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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