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  • Kazumasa Ikoma

    Kazumasa Ikoma

    Marketing Associate

    Through his experience of organizing events and conducting market researches, he touches on multiple topics from new technology trend including IoT, chatbot, AI to office design and culture development.

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  • Jul 20, 2018

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意外と知られていない会社での飲酒のメリット・デメリット

夕方に入り、ある程度の疲れを感じてきたところで飲むビール。サンフランシスコ・ベイエリアを中心とした多くのスタートアップでは、以前より社内でのアルコール無料提供が社員に支持されている。大企業とは違った自由な働き方を象徴する要素の1つだ。

日本にも昔から「飲みニケーション」という言葉があるように、お酒は人の交流や会話を促してくれるもの。社員同士や社内外のコラボレーション促進に特に取り組む近年の企業トレンドを考慮すると、ひょっとしたらこれからのオフィスの必需品になるのかもしれない。

しかし「飲まないとコミュニケーションできないのか」という議論もまた挙がるように、ここは賛否分かれるポイントでもある。結局のところ、オフィスでのアルコール提供はアリなのだろうか?近年のスタートアップの動きも入れながら考察すべき点を見ていきたい。

海外で広く飲まれる社内でのアルコール

仕事後の一杯はどこの国でも大昔から行われてきただろうが、「オフィス × アルコール」のイメージを強くしたのは、近年話題のWeWorkではないだろうか。コワーキング業界を牽引する同社の世界各地域のスペースにもビールサーバーが設置されており、これがWeWorkのトレードマークの1つとなっている。

コラボレーションを促進する次世代のワークスペースにビールサーバーが平然と置かれている光景は、多くの人にとって衝撃的なものだっただろう。

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実はこのビールサーバー、カリフォルニア州にあるオフィススペースには現在設置されていない。

スタートアップや企業がオフィス内で社員に対しアルコールを提供する分には問題ないが、WeWorkの場合は入居者に対して形式上「大家、不動産賃貸会社」という立場になり、カリフォルニア州でのアルコール提供には酒類販売のためのライセンスが必要になるのである。

今年2月にサンフランシスコのダウンタウンにあるスペースへの入居を決めたTable Public Relationsの創業者、Anna Roubosも「あのビールサーバーはどこにあるの?」と驚きを隠せない様子だった。彼女のように入居理由にビールサーバーを挙げる人もいるほど、ワークスペースでのアルコールは現在人気なのである。

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ボストンにあるWeWorkでは、フロアごとにどの生ビールが飲めるかウェブサイトで確認できるようになっている。

実は法的にグレーゾーンだったコワーキングスペースでのアルコール提供だが、ここに挙げたWeWork以外にもサンフランシスコにある様々なコワーキングスペースでは、州からの指摘があるまで必ずと言っていいほどビールやワインの提供が行われていた。

そしてその中でも、以前からライセンスを取得した上でお酒の販売を行っているCovoはそれを武器にして、現在もアメリカ各地への展開を進めている。アルコール提供のカウンターをしっかりと設け、夕方からビールやワインのラインナップを充実させたサービスを提供。

「数々のミートアップやビジネスイベントを開催する上でもアルコール販売は貴重な収入源となっている」と創業者の1人であるJason Panは語ってくれた。

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サンフランシスコにあるCovoのバーカウンター

関連記事:【2017年最新版】コワーキングスペース 世界の8トレンド

同様にスタートアップにおいても、社内でのアルコール提供は社員にとって人気の福利厚生の一部になっている。TwitterやGlassdoorといった企業を筆頭に多くの企業が豊富な種類のビールやアルコール飲料を提供。

コミュニケーションツールの開発を行うAsanaでは、スコッチとチョコレートという少し洒落た方法で提供している。GithubやYelpでは仕事後に限られたスペースでのみ飲酒が許可され、FacebookやGoogleでもマナーに沿った上での飲酒が認められている。

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筆者が訪れたAirbnbのオフィスでも豊富な種類のビールが用意されており、午後4時以降に飲むことができる。

関連記事:Google、Facebook、Airbnbはどのようにしてチームビルディングを行っているのか?

またこのような「軽く飲む」企業文化に乗じて、企業向けにアルコールの提供・配達を行うサービスも生まれている。スタートアップのHopsyは、新鮮なローカルビールを企業オフィスに販売・提供。

ビールサーバーの無料提供も行い、社員の通常のハッピーアワー用にサブスクリプションモデルで一定量の供給を行い、またオフィスで開催されるイベント用にも必要なだけデリバリーを行うサービスを提供している。

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btraxオフィスにもあるHopsyのビールサーバー。どこにでも設置しやすいように軽量化されており、中身はHopsyから送られてくるビールの入ったペットボトル”Torps”を入れ替えるだけ。

なぜわざわざオフィスでアルコール提供を行うのか

このようにコワーキングスペースやスタートアップ企業がワークスペースでアルコールの提供を行うのには、主に次の2つの理由がある。

1. オフィススペースで社員やユーザーのコラボレーションを促したい

すべての人ではないにしろ、やはり多くの人にとって、お酒は他人との会話や交流時の潤滑油的役割を果たしている。そしてそれは国境を超えた共通認識であり、多種多様なバックグラウンドを持つベイエリアの社員同士の交流にも非常に便利なものである。

また、社員同士のコラボレーションの成果は、他のどこでもなく、オフィスで表れてほしいという企業の願いもここに込もっている。在宅勤務も増える現代の働き方の中で、社員を意識的に集めた「オフィス」という場所のコラボレーション機能を向上させるために、アルコールは利用されている。

2. 優秀な人材獲得に向けて自由な企業文化をアピールしたい

アメリカのミレニアル世代の社員は大企業的な組織よりも自分の活躍の機会を得やすく、自由な企業文化を持つスタートアップのような企業で働くことを好む傾向が強い。

企業や人材にもよるが、ワーク・ライフ・インテグレーションといった言葉もある中で、仕事とプライベートを分けずに自由に飲酒できるような環境を通じて自由な社風を表現する企業が増えている。

このように企業のアルコール提供の背景には、人事的な理由が存在している。しかし、そんな文化が強いスタートアップ業界でもアルコールを明確に禁止する企業が現れ始めている。

一方、SalesforceやUber、Jet.com買収のWalmartで進む禁酒政策

サンフランシスコを代表するテック企業の1つであるSalesforceは、社内でのアルコールを取り締まろうとしている。昨年10月に社内の冷蔵庫にあったビールや生ビール用の小さい樽を見た同社CEOのMarc Benioffは、25,000人いる社員全員に対し、社内での飲酒を認めない旨を伝えるメールを一斉送信。

”Ohana”(ハワイで「家族」を意味する)という言葉を用いて社員のつながりを大事にしているSalesforceだが、アルコールにその価値を求めていないようだ。同氏はアルコール提供が進むテック業界のパイオニア的CEOの1人として、多くの意味で注目を集めている。

同様に、Eコマース系スタートアップのJet.comでも飲酒が禁止に。その背景には、2016年8月に同社の買収を行った大手小売のWalmartがある。WalmartはJet.comの社内飲酒のみならず、週に1度行っていたハッピーアワーイベントも廃止したとのこと。社内からは不満の声が上がる中で、スタートアップカルチャーの”調整”が行われた。

人事管理ソフトウェア開発を行うZenefitsでも、2017年に新CEOのDavid Sacks体制の下で社内飲酒が禁止された。同社は、創業者兼前CEOのParker Conrad氏が関与した不正を始めに様々な問題が2016年に発覚。

正式な州政府のライセンスを持たない保険外交員を雇用していた問題や、その認可を受けるために必要なオンライントレーニングにおいて不正行為を可能にするソフトウェアの使用、また社内での性行為等、映画『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』並みのカルチャーを一掃する動きにでた。

また、様々な社内問題で騒がれることの多いUberも、前アメリカ司法長官のEric Holder氏の法律事務所推薦の下、会社が定めるコア・ワーキング・アワー内での飲酒を昨年7月に禁止。さらにアフターアワーイベントでのアルコール予算も減らす等の施策が取られている。

なぜ禁酒に戻そうとしているのか

スタートアップ業界を中心に社員から根強い支持のある社内アルコール。提供を続ける企業も多い中で、ここに挙げた企業のトップ達が感じていた懸念点は以下の4つである。

  • アルコール提供分の出費がかさむ
  • 社内でのセクハラ等、悪酔いする人の悪行が増える
  • お酒が苦手な社員にとって、ほろ酔い社員は迷惑な存在
  • 酔った社員がオフィス外で問題を起こした場合、企業の責任が問われる可能性がある

ここに上がったポイントは、社内でのアルコール提供を検討する際に企業が知っておくべき、また気をつけるべき点である。企業はこれらのリスクを踏まえた上で計画的な導入が必要になるだろう。

これらを踏まえた上で

社内でのアルコール提供のポイントや事例を見てみて、読者の方はどのような感想を持っただろうか。これだけのリスクを背負いながら、アルコール提供を進める企業が多くあることに驚きを感じた方もいるだろう。

しかし、このようなスタートアップ的で大胆なワークカルチャーを参考に導入を進める企業は実際に今も増加傾向にある。

自由な働き方を提供するためにアルコール提供を検討する企業は、会社やオフィスの規模にかかわらず今後も増えてくるだろう。そのような時には、本記事で触れたポイントを考慮した上で、自社のワークカルチャーに沿った判断が必要になる。

この記事が読者の働き方変革の一部分に役立てられれば幸いである。

*本記事はフロンティアコンサルティング様のブログ、Worker’s Resortより転載いたしました。

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