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カスタマーエンゲージメントとは?ブランドと顧客をつなげる5つのポイント
皆さんは自社の顧客を商品・サービスの購入者あるいは消費者としてだけ見てはいないだろうか。そして、売り上げやアンケートによる評価など数字だけで顧客獲得度を測っていないだろうか。
ビジネスにとって大事なのは顧客の存在であるが、そのビジネスに継続的な影響をもたらすのが、カスタマーエンゲージメントである。
カスタマーエンゲージメントとは
カスタマーエンゲージメントは顧客との関係を深めることであり、高い付加価値性のある顧客関係を築いていくことである。
例えば顧客が商品、サービスに関する疑問をソーシャルメディアで投稿したとしよう。この場合、ブランドがそれに答えるだけではカスタマーエンゲージメントを高めることにはつながらない。
顧客の疑問を解消するだけでなく、顧客にあった新しい提案をすることで、その顧客が商品やサービスをリピートし、彼らのブランドへのロイヤリティが高まればカスタマーエンゲージメントの構築に貢献したと言えるのだ。
この場合重要なのは、商品やサービスを提供するのが「会社という組織」という立場ではなく「顧客と価値ある関係を築こうとしているパートナー」というスタンスでいることである。
このような立場から顧客とコミュニケーションをとることで顧客にもブランドと関係を持っていたいと思わせることがカスタマーエンゲージメントの特徴なのだ。
今日、顧客はデジタルへとどんどん流れ、デジタル領域でのカスタマーエンゲージメント構築が不可欠となった。
デジタルを用いたカスタマーエンゲージメントの構築は一見複雑そうに見えるが、うまく活用できればブランド自身が全てのアクションを取らなくでも顧客によってブランドが広まって行ったり、効率的かつ効果的な手段となりうる。
継続的なビジネスに必要不可欠なカスタマーエンゲージメント
ブランドは自己評価の為に顧客満足度を指標に用いることがあるが、それ以上にカスタマーエンゲージメントがビジネスにおいて重要である。なぜならカスタマーエンゲージメントをしっかり構築できていれば、その顧客はビジネスの活力となるからである。
彼らはブランドに共感する人であり、商品を購入し、ファンになり、リピートさらには他の顧客へとブランドを広めてくれるということだ。故に顧客を獲得し、ファンでいてもらう、ファンをふやしていかなければ継続的なビジネスは難しいとも言える。
商品・サービスへの満足度が高いだけでは、ブランドとの関係の深さは測れないし、良い関係がなければ代替の商品に顧客を奪われてしまうというリスクもある。実際、大手調査会社のガートナーは企業の未来の収入の80%は現在の既存顧客の20%からくるだろうと予測もしている。
1. ライブチャットやSNS上でのスピーディーな顧客対応
オンラインで商品やサービスの販売をしているブランドがライブチャットでカスタマーサポートを提供することは今や主流になりつつある。例えばユーザーがウェブサイトを訪問し、しばらく滞留するとライブチャットを通して”質問はありませんか?”とメッセージが送るなど、ブランド側からの能動的なサポートが可能だ。
さらにコールセンターを海外に設置することで営業時間に関係なくライブチャットで顧客対応ができる。このように、デジタルプラットフォームを活用することで、顧客やブランドの担当者が場所を問わずにリアルタイムのエンゲージメント構築をすることが可能になる。
また、既存のソーシャルメディアをコミュニティーや意見交換の場として設けることでカスタマーエンゲージメントを高めているブランドも多い。例えば、アメリカの主要航空会社に対する不満ツイートは毎月約10万件にも上ると言われている。
その内容は複雑なチケット購入ルートや飛行機の遅れ、ダブルブッキング等に対する不満なのだがが、それらのツイートに対して迅速な返信をすることで、顧客はその航空会社に対して9ドルならより多く払っても良いと感じるということがあるリサーチでわかった。
さらに6分以内の返信は顧客からの約$20の価値をあげることになるという。素早い対応に満足した顧客はそのこともツイートするので、その効果は一人の顧客に留まらない。
2. 最顧客ごとにパーソナライズドされたメッセージを配信する
大手玩具小売のトイザらスはEメールマーケティングにおいてオートメーションシステムを使うことで、カスタマーエンゲージメント構築にかかる効率を上げ、効果を出している。
このシステムを使うと各顧客のステイタスによって異なるコンテンツを自動的に配信することが可能で、それにより顧客とのエンゲージメント構築強化に成功したのである。
例えばオンラインショッピングサイトでカートに商品を入れっぱなしでサイトを離れている顧客に対して時間限定の割引情報をメールやアプリで配信するなどして、パーソナライズドかつリアルタイムでのアクションを行った。
このシステムを有効活用した結果、Eメールの開封率は3倍近く、クリック率は5.5倍に上がり、再購入における平均注文価値は40%増えたのである。さらに社員の作業効率も4倍上がったというのだからROIは非常に高い手段と言えるだろう。
3. ブランドコミュニティーを作り、広げる
例えばアメリカのアパレルブランドFree PeopleはFP Me siteというコミュニティーサイトを運営している。このサイトでは顧客が Free Peopleの服をきた自分のスタイルの写真を投稿して共有したり、顧客同士がコメントつけあってコンタクトをとったりすることが可能。
このサイト専用ハッシュタグ(#FPME)を活用して他のソーシャルメディアでのポストも促すことで、そのソーシャルメディアユーザーからの「いいね!」を獲得し、顧客を広げている。もちろんそのポストからショッピングサイトへ流入を促し、購入まで繋げる流れができている。
このサイトは2013年の開設から2年の間に7万6千の写真がアップされ、#FPMEのハッシュタグがついたインスタグラム上のポストは11万3千以上になった。顧客がブランドを通して活発にコミニュケーションしている様子がわかる。
FP Me siteはブランドの売り上げに貢献し、ターゲット層である大学生の間ではTopShop、ZARAを差し置いて1番人気のブランドに選ばれた。
ブランドコミュニティーサイトで顧客が自分のスタイルを自慢したり同士が交流したりすることでカスタマーエンゲージメントが活発になり、ファンがファンを呼ぶ結果となったのである。
4. デジタルだからこそ感情に訴えることを意識する
前にも述べたように、顧客に、今あなたがコミュニケーションしているのは顔が見えない組織ではなく、ちゃんと顔がある、生身の人間であるということを感じさせることでより強いエンゲージメントが生まれる。
簡単な方法でいうと、よくウェブサイトのライブチャットオペレーションは担当者の名前、写真を出している。これか本物かはさておき、名無し・顔なしさんによるサポートよりも親しみや関わりをより感じるのではないだろうか。
またブランドの話をするときに、説明をするのではなく共感を呼ぶようなストーリーテリングを展開するなど、顧客から「いいね!」というリアクションが返ってくるようなコンテンツを意識したい。
5. デジタルだけどオフラインをどう活用するかが肝
オンラインオーダーのUX改善にも盛んに行っているスターバックスは2014年、シアトルにRoasteryという実店舗をオープンした。コーヒーの試飲や新鮮な焙煎豆ができる瞬間をみることができたり、バリスタやコーヒーの専門家と話したり、飲食も楽しめる場所となっている。
ここにはコーヒーに関するドラマやロマンスを五感で体験してほしいという願いが込められている。スターバックスが本当にコーヒーが好きな人との関わりを深めることで、今度は彼らが自身のコミュニティー内にいる他の「コーヒー好き」達にRoasteryでの体験を話すだろう。
これはスターバックスが伝えたいコーヒーへのこだわりや文化といったメッセージを顧客の声を通して広めていけるので、より信頼される力強いプロモーションとなるのである。
カスタマーエンゲージメントは人同士の関係を深めていくこと
例えば友人と長く良い関係でいたいと思ったら、一方的にメッセージを送りつけるなど、相手のことを理解せず、また自分のことを理解してもらわずにコミュニケーションすることはないだろう。
カスタマーエンゲージメントも同じで顧客は人でありブランドも人であるという意識して、関係を構築していく必要がある。
相手のことを理解し、ブランドについて理屈よりもパッションに共感してもらえることが顧客と長く、強い絆を作る。それが結果としてあなたのブランド価値を上げ、継続的なビジネスを可能にすることにつながるだろう。
参考:
8 Ways To Engage Better With Your Customers
Sephora word of mouth marketing
Study twitter customer care increase willingness to pay across industries
Increasing customer engagement: case study
Success story: Toys “R” us
3 examples of successful customer engagement strategy
【イベント開催!】Beyond Borders: Japan Market Success for Global Companies
日本市場特有のビジネス慣習や顧客ニーズ、効果的なローカライゼーション戦略について、実際に日本進出を成功に導いたリーダーたちが、具体的な事例とノウハウを交えながら解説いたします。市場参入の準備から事業拡大まで、実践的なアドバイスと成功の鍵をお届けします。
■開催日時:
日本時間:2024年12月6日(金)9:00
米国時間:12月5日(木)16:00 PST / 19:00 EST
*このイベントはサンフランシスコで開催します。
■参加方法
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