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ディーター・ラムスに学ぶ、優れたデザインを構成する10原則
※この記事は2022年1月に最新の情報に更新されています。
デザインがブロダクトやビジネスの成功においても重要な要素であると唱えられるようになって久しい。しかし、そもそも「優れたデザイン」とは一体どんなものなのか。
見た目が綺麗だったり、斬新だったりすることだろうか?それとも、誰でも使いやすいことだろうか?この問いに対してドイツ出身の世界的デザイナー、ディーター・ラムスが明確な答えを出している。
彼のデザインはApple社のiPodのデザインにヒントを与えたと言われており「Less, but better (より少なく、しかしより良く)」がモットーのミニマリズムの巨匠である。
ここでは、彼の唱える『優れたデザインを構成する10原則』を紹介したい。
優れたデザインを構成する10の原則
1. 優れたデザインは革新的である
常にイノベーションの可能性は存在している。技術的な進展は革新的なデザインにいつも機会を提供してくれるものだ。しかし、革新的なデザインというのは進んだ技術と常に協力関係にあって、デザインそれ自体で革新的であることはできない。
2. 優れたデザインは製品を便利にする
製品とは誰かに使用されるために存在する。つまり、そのためには、一定の基準を満たす必要があり、機能性だけではなく、見た目が一定以上に魅力的であることや、ユーザーの心理面にも働きかけることが大切である。
さらに、優れたデザインとは、その利便性を強調しているものだ。そしてそれは、その製品の魅力を損ねかねるいかなる因子も気にならなくなるような強さがある。
3. 優れたデザインは製品を美しくする
製品の美しさは便利であるために不可欠な要素である。なぜなら製品は毎日使用され、ユーザーとその生活に影響を与えるものだからだ。慎重に設計されているものだけが美しくなれるのである。
4. 優れたデザインは製品を分かりやすくする
優れたデザインは一目瞭然である。製品の機能をユーザーに対して明らかに提示し、直感的に使えるように誘導する。つまり、優れたデザインは説明を要さないのだ。
5. 優れたデザインは慎み深い
優れたデザインは決して飾り気があるわけではないのに、それによる仕事をまるでアートのようにしてしまう。つまるところ、中立的で控えめなのである。それは、ユーザーが自己表現できる余裕を残すためだ。
6. 優れたデザインは正直だ
優れたデザインはその製品をそれ以上に見せかけるようなことはしない。事実よりも革新的だったり、パワフルだったり、価値があったりするかのように、小細工することがないのである。ありのままを表現するのが優れたデザインなのだ。
7. 優れたデザインはタイムレス
優れたデザインはトレンドに流されない。それゆえ、時代遅れになることもない。トレンディではない代わりに、何年も何年も使われるのだ。たとえ、今日の使い捨て社会であったとしても。
8. 優れたデザインは首尾一貫している
優れたデザインは決して適当でも、成り行き任せでもない。ユーザーに対しての心配りがあり、いつも的確なのである。
9. 優れたデザインは環境に優しい
優れたデザインは環境保護に重要な貢献をする。製品の生涯を通して、物質的にも、視覚的にも、環境汚染は最小限であり、資源の保護を実現する。
10. 優れたデザインは可能な限りデザインをしない
「より少なく、しかしより良く」ー なぜなら、そのようなデザインは重要な点だけが凝縮されていて、重要でないものに余計なエネルギーを消費せずに済むからである。純粋で簡素に。原点に立ち返れ。
Less, but betterなサービスが必要とされる世の中に
現代のサービスにおいては、機能が少なければ少ないほどユーザーから長く愛される傾向がある。まさにディーター・ラムスが上記で唱えるように、Less, but betterなサービスが必要とされる世の中になっているのだ。
複雑な問題をできるだけシンプルな手法で解決できるソリューションを生み出し、使いやすい体験を提案することが、これからのデザイナーの宿命となってくるだろう。
Dieter Rams(ディーター・ラムス)
1932年にドイツのヴィースバーデンに生まれたインダストリアルデザイナー。機能主義的なデザイナーで、現在もデザイン業界で伝説的な存在として活躍している。彼は老舗家電メーカーであるブラウン社で30年以上にわたり、コーヒーメーカー、計算機、オフィス機器、家電といった優れた製品を数多く生み出してきた。
とくに彼の手がけた製品として著明なものには、Control TS45, Reel to Reel Tape Recorder TG60, Slim Speakers L450といったオーディオ機器やET55という電卓がある。
彼のデザインした製品は、ニューヨーク近代美術館などの世界の美術館に展示されており、幅広く人々に影響を与え続けている。
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