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投資家の前でやってはいけないピッチ 5つの特徴と解決策
投資家から自身の事業へ資金をつぎこんでもらうプロセスはスタートアップにとって一番といっても過言でないほど、重要なプロセスの一つ。
投資家はピッチの最初の5分間でその企業に投資するかどうかの決断をほぼ決めていると言われます。言い換えるとその5分間で彼らの心を掴むことが出来れば資金調達へ一歩近づくことができる。
スタートアップ企業が成功するためには、チーム、プロダクト、そして市場の3 つの要素が揃っている必要があり、投資家の方々もその要素を重点的に審査している。
そして、起業家にとってはその要素がしっかりと揃っているかどうかを短時間のピッチで表現し、投資家を納得させることが不可欠。
しかしながら、それらが揃っているにも関わらずピッチの練習不足・表現不足が原因で、せっかくのダイヤモンドの原石を無駄にしてしまっていることもあるかもしれない。
今回は投資家たちがプレゼンの中で一体何を具体的に望んでいるのかを知るため、5つのよくあるミスやその回避方法をご紹介する。
1. 「事業内容をさっと教えて、1分程度で。」と言われて答えられないピッチ
VCにとって一番気になることは、自分たちがあなたの企業に投資することがどれほどのメリットになるかどうか。あなたがこの答えにて、VCに一目置かれるような、魅力的な答えを用意することが重要だ。
1日に何十件ものピッチを聞いている投資家の前では、まずは90秒以内のスマートな答えを用意しておくと良いだろう。出だしで投資家の心を掴むことが、後日改めてミーティングを設定する上で重要だ。
エレベーターピッチ用の内容としては
・あなたが解決しようとしている問題は何か
・なぜ人々はお金を払ってでもその問題を解決したいと思うのか
・何があなたの提示するビジネスがその問題解決が上手くいくという根拠なのか
などが挙げられる。
かつて、ホテルの前で世界最大の投資会社バークシャー・ハサウェイのCEOであるウォーレン・バフェット氏に、30秒で自社の魅力をPRし、氏に好条件で買収された経営者がいる。
彼の例を見ても分かるように、何気ない毎日でも、どこでどんなタイミングでチャンスが降ってくるかわからない。
日頃からこれらの答えを流暢に堂々と話せるよう、準備練習するのもよいかもしれない。
2. 競合他社の存在を隠そうとするピッチ
たまに、競合他社の存在を投資家に伝えない起業家がいる。
しかし、投資家は多くのプレゼンを目にしたり、多くの事業内容のリサーチ、起業家へのインタビューをこなっているため、起業家よりもたくさんの知識を持っているもの。
ピッチの際に競合他社の存在を伝えないということは、投資家に「この会社は競合に関する調査を怠っている」という印象や「自社のユニークさを強調したいがためにあえて語っていない」という印象を持たせてしまう可能性がある。
起業家がすべきことは、すべての競合他社をしっかりとリサーチした上で、それらのプロダクトも投資家に説明すること。その上で自社製品の強み、どのように競合他社からシェアを獲得していくのかというプランを説明するということだ。
同じ業界に属するからといって、同じ市場に属しているとは限らない。
例えばソーシャルネットワークサービスで大手のFacebook, Twitter, LinkedInでも、Facebookは友人とのつながりを重視したサービス、Twitterは知らない人とのつながり、Linkedinはビジネスのつながりを重視している。
競合を分析するにあたり
・既存のマーケットには同類のサービスが存在しているか
・誰が競合となるのか
・競合と比較して自社サービスはどのような違い及び長所があるのか
・潜在的パートナーとなりうるのは誰か・・・など
を主に分析していくと良いだろう。
3. ビジネスモデルが自分が作りたいプロダクト目線のピッチ
優れたプロダクトは明確な問題意識を持っているもの。
しかし残念ながら多くの起業家は、自分の作りたいものを作るという「生産者志向」のプロダクト開発を進めがち。多くの時間やコストを投じて完成したプロダクトがマーケットのニーズに合わなければ、そのビジネスは成功とは言えない。
シリコンバレーにあるFENOX Venture CapitalのCEOであるアニス・ウッザマン氏は、氏の著作「スタートアップバイブル」の中で、
ベンチャーキャピタリストとしてスタートアップを調査する際には、問題意識が明確かをまず確認し、問題意識が明確だった場合、次に「どのようにそれらを解決しようとしているのか」を確認すると述べた後、
『この逆はありえません。後者の解決策がいかに優れていようと、前者の問題意識が明確でなければ、マーケットや顧客の存在を想定するのは難しいのです』と述べている。
問題意識さえ明確であれば、たとえ当初提案していた解決策が誤っていたとしても、その問題が存在する限り、新たな解決策に方向転換すればよいのです。それほどに問題意識を明確に持つことは大切なのだ。
4. マーケットやユーザー調査をせずに挑むピッチ
問題点、解決策がまとまったあとは、マーケットを見極める段階。
マーケットを見極める際には、マーケットサイズを想定しなければいけない。一番重要なのは、すでにできている「顕在市場」とこれから新規開拓していく「潜在市場」の規模を分けて算定していくこと。
例えば、世界中のネットユーザーに大学水準の教育を提供するUdacity、好きな曲をいつでもどこでも手軽に楽しめるサービスのSpotifyなど、大きな成功を収めているプロダクトの背景には必ずマーケット調査とユーザー調査が存在する。
チャートやグラフも利用し、できる限り多くのユーザー情報と市場規模、そして市場価値に関するデータを具体的な数字と共に提示することが大切です。その際はソースを引用することも忘れないでほしい。
また、マーケットとユーザーの規模が分かれば、その規模に応じて必要となってくる資金の額も具体的になってくるだろう。
市場規模の大きさとリターンの大きさもあらかじめ数字として算出しておき、ピッチの後、いざ必要資金の話題となった際、具体的かつ投資家に納得してもらえるような額を用意するのがベストだ。
5. 自信を持ってメンバーを紹介できないピッチ
「スタートアップを見るうえで重要なことが三つある。『チーム、チーム、そしてチームだ。』」
これは投資家たちの間で有名な格言だ。
もしあなたの会社の中でたいして取り柄のないチームメンバーが働いていたら、VCは一瞬で彼を雇ったというあなたの判断にがっかりし、信用をなくしてしまうことも考えられる。
ピッチをする際に自信をもってチームを紹介できるよう、素晴らしいチームメンバーを雇い、彼らにより良いパフォーマンスをさせる必要があります。人材採用とマネジメントに全力を割こう。
例えば、シリコンバレーで最も著名なエンジェル投資家のロン・コンウェイ、スカイプに投資したクリス・ディクソン、俳優とエンジェル投資家の二足のわらじを履くアシュトン・カッチャーなど、多くの投資家も「スタートアップへ投資する際にチームを重視している」と語っているほど、チームは大切だ。
まとめ
投資家へのピッチの際にやってはいけないこと5つとは、これらを避けて改善すると、他のスタートアップと差をつけられるという意味の裏返しでもある。
逆に言うと、スタートアップピッチの際にするべきこと5つは、
1. 様々な時間制限に応じてピッチを用意しておく
2. 競合他社についてリサーチし、それを投資家にもシェアする
3. 明確な問題意識をもってプロダクト開発に取り組んでいることをアピールする
4. マーケットとユーザー規模をしっかり把握しておく
5. 強いチームメンバーを持つ
とも言えるのではないないだろうか。
VCや投資家から投資を受けることは簡単なことではない。しかし、決して不可能なことでもない。
上記では、よく見られるピッチでの改善点を記述しましたが、これらを一つ一つブラッシュアップしていくことにより、さらに素晴らしいピッチがうまれ、投資獲得に近づいていくのではないだろうか。
参考記事・参考文献
- Common Mistakes in Investor Pitches
- 5 Ways to Lose an Investor in 5 Minutes Flat
- アニス・ウッザマン(2013)「スタートアップ・バイブル」講談社
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