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Path CEOが断言-Mobileアプリの初期バージョンは必ず失敗する その理由
“恐らくモバイルアプリの初期バージョンのほとんどはユーザーが集まらずうまくいかないだろう。僕のチームが作ったアプリの1st. バージョンもかなりの大失敗だと認識している。” PathのCEO, Dave Morinはそう語る。
モバイルアプリに於いてリリース直後よりいきなりのヒットを生み出すのは至難の業である。彼によると、ユーザーが心地よく使えるレベルまでにUI/UXをシンプルにデザインするのがとても難しいからである。
“モバイルアプリをシンプルにデザインするには非常に時間がかかる。恐らく多くのデベロッパーが最初は素晴らしいと思ったコンセプトを形にしてリリースをする。そして最初のプランとはほど遠い結果を見て絶望するだろう。その時に考えなければ行けないのは、そこで止めてしまうべきかどうか。
理解してほしいのは、初期バージョンはほぼ確実に失敗するという事。重要なのはその結果を踏まえ、数字だけの結果に捕われずに、ユーザーの反応を観察し何を欲しているかを感知する事。そしてそれをどのように次に繋げて行くかである。”とMorin氏は言う。
実のところ、Pathも初期バージョンでは鳴かず飛ばずであったが、ユーザーのニーズを分析し、UI/UXや機能面で大きな改善を施した2ndバージョンで急激な成長を遂げた。
その後Pathはバージョンアップの頻度を下げるかわりに、各バージョンアップに於いて大きな改善を行うアプローチを取っている。それはより多くのリリースをより頻繁にリリースするのが良いとされるWebサービスとは逆のコンセプトである。
アプリを成功に導く為にPathが取っているその他のアプローチとしては:
- 人間工学及び行動学を研究し、ユーザーの脳がどのように機能し、人間がどのような行動をするかを理解することで、それに合わせた機能やUI/UXを施す。
- 常にユーザーに対して、”心地よい”エクスペリエンスを提供する事をモットーとしている。
- 例えば古き良きゲームやツールはシンプルで心地よかったが、機能が増え複雑になるにつれその心地よさが失われた事実を教訓に、シンプルさ、簡単さ、使い易さを重視している。
- アプリがユーザーに与える”感覚”を全体のコンセプトとして投影する事を重要視している。Facebookはネット上にて”街”を、Twitterは”リアルタイムニュースネットワーク”をコンセプトとしている様に、Pathは”家”をコンセプトとしている。家の中ではプライバシーが守られ、誰もが安心して心地よく過ごす事ができる。Path内でのコンテンツの扱いもそのコンセプトそったものでなければならない。
- Pathはプロジェクト開始時よりモバイルのみにフォーカスした。2009年に読んだMary Meeker’sのレポートで今後インターネットの主役はPCではなくモバイルになる事が明らかだったからだ。そしてモバイル専用アプリをリリースし、見事に失敗した。恐らく初期バージョンは30点であろう。小さな画面に対して制限ばかりが多く、導線が少なく、使いにくいUI/UXであった事が原因である。
- Pathの2ndバージョンでは、ユーザーの行動パターンに注目した。多くのユーザーがどのようにこのサービスを利用するかのリサーチを行ったところ、iPod上で聞いている曲やNike+アプリでのマップ画面、そして自分の書いているメモのスクリーンショットを取り込んでいる事に気づいた。それを元に音楽やコメント、そしてNike+連動のフィットネス機能を追加した。
- より豊かな生活をするために、テレビを部屋に設置する様に”家”に必要なものを持ち込める様にした。もしNike+がユーザーの生活を豊かにしているのであれば、アプリを連動出来る様にした。また、”家族”と写真をシェアするエクスペリエンスを導入し、”家”のコンセプトを強化した。
- 現在のアプリ画面にたどり着くまでにおおよそ20回のデザインラウンドを必要とした。常に極限までシンプルにするために、どれだけ削れるかを重要視している。
- Pathでは”デザイン”を非常に大切にし、”職人的”なレベルで細部にこだわっている。もし家具を造る職人であれば、素材の特徴や種類を熟知し、適材適所で最適なエクスペリエンスを消費者に提供するべきである。見た目が良いだけではダメである。同様に我々はサーバーのロードスピードやフィードのスクロール具合に至るまで非常に多くの時間を費やし、とことんこだわっている。
- Webサービスとは違い、モバイルアプリに於いては細かいリリースを頻繁に行うのは危険である。しっかりと内容を吟味し、大きな改善を施したバージョンを低い頻度でリリースする方が良い。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
Photo credit: Michael O’Donnell
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