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【インタビュー】Biz Stone – Twitter, Co-founder
今月よりサンフランシスコやシリコンバレーを中心に、地元で話題になっている起業家や投資家、スタートアップ関係者とのインタビューや対談内容をポストする事にした。
今までにも友人や知人を中心にカジュアルな感覚で仕事に関しての話を幾度と無くして来たが、日本の方々にも興味を持ってもらえそうな内容も多々あるので是非ご紹介したい。
今回のインタビューは、今から約2年前に当時従業員が50人だった頃のTwitter社(もちろん今とは別のオフィス)。 同社Co-founderのBiz Stone氏に対して行われたもので、元々は普段より大変お世話になっている技術評論社の馮 富久さんのリクエストに応じる形でセットアップした。2年後の現在でTwitter社は従業員500人に届く勢いで実に10倍の成長を成し遂げた事になる。
インタビュー内容の節々からBizの経営に対する哲学やTwitter成長を予感させる内容が垣間見える。なお、このインタビュー記事は、こちらのgihyo.jpにも2009年の6月18日に掲載されている。
概要:
インタビュー相手: Biz Stone (Twitter Co-founder)
インタビュー日: 2009年6月4日
場所: Twitter, Inc. 本社 (サンフランシスコSoMA地区)
Twitterが大ブレイクした2009年
Q:個人的にTwitterを使っているのですが,今年の初めから春ごろにかけて急にユーザが増え,Twitter上での動きが活発になっているように見受けられます。これには何か理由はあるのでしょうか?また,体感的に多くの人が頻繁に使い始めたようですが,事実でしょうか?
A:はい,その通りです。Twitterはここ最近でかなり急速に成長している。ただ,それは,1つだけの要因では無い。むしろ,複数のさまざまな要因が絡み合って,この爆発的な成長につながっていると言えるだろう。
そういった要素の1つとして,たとえばニュースで取り上げられたという出来事があった。具体的には,2009年1月にニューヨークで飛行機がハドソン川に不時着した際に,救助ボートの乗組員の1人が偶然Twitterユーザで,写真を撮り,Twitter経由でアップしBreaking News をした。それを見た人々の間でTwitterが話題になった。
その他の例として,最近では,多くの有名人や政治家がTwitterを使っていて,それをさらにマスコミが取り上げ,Twitterの認知度が高まっているといった現象が見られる。
また,そういったマスコミ,ジャーナリストの人々もTwitterを使い始め,新たなコミニュケーションメディアとしてのTwitterの可能性を書き始めているようだ。このように,Twitterの成長には複数の要因が関わっていると思う。
したがって,(多くの人が使い始めたという事実に関して)答えはイエス。Twitterはここ最近で急成長をしている。
また,最近のサーチ機能の追加も,この成長に一役買っているように思う。Twitterを初めて使うユーザは,自分のアカウントを作る前に,まず,自分の興味のあること,会社情報や商品のリサーチ目的でTwitterを使う。それとともに,個人アカウントを取得しようと,興味が湧いている。
Q:近日の成長に対しての具体的な数字はありますか?
A:かなり急な成長だから……。簡単には思い出せないですね。まあ,1つの例としては,これは必ずしも成長に関してのデータではないんだけど,あまり知られてない事実として,50%のTwitterユーザが10人をフォローし,10 人からフォローされているというデータがある(そのぐらいつながり,すなわちユーザ数が増えているということ)。
その他の例としては,これは少し古いのですが,2008年1月から2009年1月の1年間での成長率はおおよそ900%でした。最近はそれよりも急激に成長しているはずだ。
その他の詳しい統計に関しては,正確かどうかは不明ですが,日本のニールセン社からも発表されているはず。
欧米とアジアのTwitterユーザの比較
Q:欧米とアジア地域でのユーザにおける,Twitterの利用方法に違いはありますか?ユーザのタイプや利用目的に違いはあるのでしょうか?
A:おもしろいポイントですね。多くの違いがあり,同時に多くの共通点がある。むしろ違いより,共通点のほうが多いでしょう。世界中のユーザがこの新しいコミニュケーションのかたちを試し始めている。1つ確実に言えることは,私たちが当初考えていた「今何をしていますか(What are you doing?)」的な利用方法に対して彼らは皆,Twitterを使ったコミニュケーションをし,リンクの交換も行っている。想定していなかったユーザ独自の利用方法も見つけ出しているようだ。
日本のユーザに関して言うと,かなり早い段階でMovaTwitterのようなツールを開発し,利用し始めている。 TwitterのAPIのドキュメントがすべて英語であるにもかかわらず,そのような日本人の適用能力の高さには驚いている。
また,それにはスマートフォンが多く普及しているという,日本の携帯電話事情があるかもしれないね。
したがって,Twitterのアーリーアダプターの中には多くの日本のユーザがいるようで,他の国のユーザはそれに追随する形でAPIなどのツールを利用している。そのAPIの普及も先ほどの質問にあった,急成長に関連していると言えるだろう。2倍から3倍のトラフィックが,Twitter.com以外の他のサイトやアプリからの生み出されている。質問の趣旨に戻ると,全般的にみると,相違点よりも共通点のほうが多いと言える。
技術視点から見たTwitter
RoRを選んだ理由
Q:それでは,すこしテクニカルな質問をさせてください。まずはTwitterが利用しているプラットフォームに関しての質問です。Twitterは以前よりRuby on Railsを利用していると理解していますが,それは今でも同じでしょうか?
A:はい。今でもRuby on Rails(RoR)を使っている。RoRの良さは,短い時間で開発やテストが行える点。元々RoRを使い始めた理由は,開発スピードを上げられることだった。しかしながら,私たちのシステムはRoRのパワーをまだ最大限利用しているとは思っていない。今でもこのプラットフォームを活用し,どこまでのことができるかを探っている最中である。
それと同時にオープンソースを使った開発を行い,その結果をコミュニティに対して提供し,貢献することにも情熱を注いでいる。Twitter社内でもまだまだプラットフォームの可能性に対してチャレンジをしている。
現在でもRoRを使っていますが,他にも良いシステムがあれば適応する可能性もある。人材に関して言うと,RoRの開発チームが社内にあり,現在でもRoRのエンジニアは募集している状況である。
RoR以外の選択肢は?
Q:たとえばPHPなどの他のプラットフォームと比べ,RoRを使うことに対してのデメリットはありますか?
A:僕は必ずしも技術者ではないので……。ただ,どんなプラットフォームや言語を使ったとしても,そこには長所と短所が存在するはず。その時々に適したシステムを使うのが重要ではないかなと思う。
私達のモットーも,常に 新しいアイデアやテクノロジに対してオープンでフレキシブルであること。同時に使えるシステムは使い続けようとも考えている。
Q:現在Twitter社内のスタッフは何人でしょうか?そのうち開発チームの人数は?
A:スタッフの人数は最近50人に達したところ。そのうち最低でも半数はエンジニアやシステム運営などの開発チームのメンバー。サイトに対するトラフィックの量やTwitterに注がれる世界的な注目度を考えると非常に小さなチームと言える。
最近2,3人増やしたと言っても,運営陣は5人程度。したがって,開発チームにとってはかなりチャレンジングな環境になっている。現在でもサイトの開発/運営に対しては常に人を探している。
Twitterエラーページを見かけたら?
Q:ここ1週間ほど,最近よくTwitterクジラ(システムがダウンしてる状態)を見かけました。ご存知でしたでしょうか? またそれに対しての対策は?
A:そのクジラ,どこで見ました?日本サイト,それともメインのサイト?
Q:おそらく日本サイトです。
A:ステータスブログがありますので、まずはそちらをご確認ください。 http://status.twitter.jp/
それでもエラーページが出ましたら,お問い合わせで時間をご連絡ください。
日本サイトに対しては,まだまだやることはいっぱいある。Twitter自体は非常にうまく行ってるし,開発チームも常に細かな点に気を配って,管理/運営を行っている。今でも小さなチームで「職人的」な感覚を忘れないようにしている。
Twitterの人気も上がり,いくつか問題点も出てきているが,さまざまなAPIの開発も完了した今,そろそろ日本サイトに対しても注力し始めているところ。メインのサイトで追加した機能を日本サイトに追加をし始めている。
日本サイトに対して,早くスムーズに動くこと以外に,独立したサイトとして新たな命を吹き込むように,さまざまなポイントに対して細かなサービスやケアを注ぐように努力している。
日本独自機能の実装は?
Q:日本サイトに対して独自の機能を追加する予定はありますか?
A:日本のサイトに追加する機能やAPIは最終的にはメインのサイトにも反映される予定。とくにAPIに関しては,日本のデベロッパコミュニティによって開発されたドキュメントを英語に翻訳することによって,Twitterに対して膨大な数の,そしてとてもユニークな方法でTwitterを利用できるよAPIが公開されることになるだろう。
また,メインのTwitterサイトに追加される機能も,追って日本サイトにも活かされることになる。まずはサーチ機能の改良を行ってる。現在のサーチ機能は思うようにうまく機能していないので,そこを数ヵ月以内に改良する予定。
ソーシャルアプリケーションとの対比
Q:APIにも関連するのですが,FaceBookをはじめとした他のソーシャルネットワーキングサイトとの関係はどのように考えていますでしょうか?他のサイトのステータス表示など,Twitter機能とかぶる点が多々あるようですが,脅威と考えていますか?
A:他のSNSサイトの存在はTwitterに対し,大きな可能性だと考えている。
まず言えることは,Twitterのモットーはシンプルであること,そしてシンプルであり続けること。 Twitterが非常にうまく行っている要素の1つとして,APIによる他のサイトとのコラボレイティブなイノベーションがある。Twitter自体はシンプルではあるが,APIを使い,他のSNSとパートナーシップを結ぶことにより,大きな可能性が広がっている。
日本で展開する際もデジタルガレージ社を通し,他のサイトとのコラボレーションを考えている。従って,他のソーシャルネットワーキングサイトの存在は,とてもポジティブにとらえている。
日本のユーザに向けて
Q:日本のTwitterユーザに対して何かメッセージはありますでしょうか?
A:僕のメッセージは日本のユーザに限らないが,ここ10年ほどで見られるオープンなコミニュケーションに対するトレンドに可能性を感じている。多くのユーザがメールやIMといった 既存の限られたコミュニケーションツールから,ブログ,フォトシェアリング,ビデオシェアリング,そしてソーシャルネットワークといったオープンなツールを使い始めている。
そして,今,Twitterがある。
このようなオープンなコミニュケーション手段,そしてオープンソースに対しては大きな可能性があると信じている。したがって,どんどんTwitterを使い続け,どんどん感想を僕たちに届けてください。日本サイトに対してどのような機能を期待してるか,どうしたらより良いサービスになるか,なども,ぜひ知らせてほしい。
Twitterの未来
Q:Twitterは今後どのような存在になっていくのでしょうか?
A:Twitterの将来?もっと多くの人が,“今”何をしているか,何が起こっているかを伝えるツールとなるだろうね。元々の友達や家族とつながる,といった使い方にとどまることなく,もっと大きなスケールで利用してもらえるのではないか。友達や家族だけではなく企業やマスコミなど,他のタイプのユーザにとっても魅力的なサービスであるはずである。
同時に,Twitter社としては,あえて使い方を設定しないように心がけている。“Twitterが何か?”っていう部分に関しては,極力謎のままにしておきたいんだ。僕たちがたの人々よりも賢いなんて思ってないから。今後Twitterがどのような存在になるかを見届けたい。
モバイルユーザにとってのTwitter
Q:日本ではMovaTwitterをはじめとして,モバイルからTwitterを利用しているケースが多いのですが,アメリカではどうでしょうか?
A:そうだね。アメリカでも同じだ。Twitterのトラフィックはさまざまなデバイスから来ている。iPhoneやBlackBerry経由のユーザや,SMSもアメリカやイギリスのユーザを中心に盛んです。全般的に言って,モバイル経由のユーザは多い。モバイルデバイスは,PCに向かっていなくても情報が配信できるという点でTwitterにおけるインスピレーションの 1つなんだ。
(取材者が持っていた携帯電話に表示させたMovaTwitterの画面を見て)おー,MovaTwitterじゃないか!シンプルで格好良いね。
PCとモバイルの違い
Q:モバイルからとPCからで,Twitterの使い方に違いはありますでしょうか?
A:これは感覚的な感想で,これといった根拠があるわけではないが,PCだとコピペができる分,リンクを貼付けやすいと思う。でもモバイルやSMSだと,なかなかそのようにはいかない。
一方で,(モバイルは)そのときに自分の周辺で起こっている事柄をポストすることが多くある。個人的にもモバイルから更新されたポストには興味がある。なぜなら,その人がその時に自分の周りで起こっているタイムリーな事柄を書いているから。
なので,1ユーザとしても,モバイルから配信される情報にはとても興味がある。暗い部屋で1人きりでPCに向かって書いている内容とは明らかに違うからね。もちろん,PCユーザからも良い情報は配信されるけど。
デザインから見たTwitter
Q:Twitterのサイトやアイコンデザインに関しては,どのように決められているのでしょうか?何かプロセス的な基準はありますでしょうか?
A:当初は僕がすべてデザインをしていたんだ。会社が大きくなるにつれて,実際の(組織的な)企業になっていることに気づき始めた。そうなると,僕は経営とか他の事柄に携わらなければならなくなったから,クリエイティブディレクター+数人のデザインチームを雇った。そもそも,最近までは技術的な問題を解消することで,手一杯だっんだけどね。
現在はチームも充実し,システムもずいぶんと落ち着いてきたから,そろそろデザインやユーザビリティに注力しようと考えている。大まかなガイドラインはある,でも決して大それたものではないよ。
俳句にインスパイアされたTwitter
Twitterは楽しくてシンプル,そして使いやすいサービスであるのがモットーなので,デザインをする際も常に制限を意識し,それに刺激を受けている。
たとえば,140文字の制限があるよね。それも“制限された中でどこまでのことができるか”ってと考えている。制限があったほうが,クリエイティブ性は高まると思うしね。俳句みたいなものだよね。語数に制限があると,人はクリエイティブになるんじゃないかな?それが僕らのプロセスみたいな感じだね。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
photo by Tim Wagner
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■開催日時:
日本時間:2024年12月6日(金)9:00
米国時間:12月5日(木)16:00 PST / 19:00 EST
*このイベントはサンフランシスコで開催します。
■参加方法
- オンライン参加(こちらよりご登録いただけます。)
- 会場参加(限定席数) *サンフランシスコでの会場参加をご希望の方は下記までお申し込みまたはご連絡ください。(会場収容の関係上、ご希望に添えない場合がございます。予めご了承ください。)
- 対面申し込み:luma
- Email(英語):sf@btrax.com
世界有数の市場規模を誇る日本でのビジネス展開に向けて、貴重な学びの機会となりましたら幸いです。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。