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海外クラウドファンディングから生まれた人気製品TOP5
前回の記事(知っておくべき米国2大プラットフォームINDIEGOGOとKICKSTARTER比較編〜これからクラウドファンディングの時代が来るPart2〜)でINDIEGOGOとKICKSTARTERの比較をしたが、海外クラウドファンディングを使って生まれた製品は具体的にどのようなものがあるのだろうか。今回は、最も多くの資金を集めた5つのキャンペーンをランキング形式で紹介したい。
海外クラウドファンディング調達額TOP5
■5位 The World’s Best TRAVEL JACKET BAUBAX
15個の機能を備えた旅行用ジャケット
調達額: 9,192,055ドル(約11億円)
達成率: 45,960%
支援者数: 44,949 人
期間:2 015年7月7日~9月3日(58日間)
5位にランクインしたBAUBAXはKICKSTARTERで約900万ドル(約11億円)の調達に成功した旅行用の服だ。注目すべきは服に付いている15個の機能である。15個の機能は2種類に分けることができる。1種類目は専用のポケットが服のあらゆる箇所に備え付けられていることである。iPad、スマートフォン、充電器、イヤフォン、サングラスとメガネ拭き、パスポート、小型ブランケット、ドリンク、小型ペンを入れるポケットがそれぞれの箇所に付いている。
2種類目は服の一部が変形してそれぞれの役割を果たすことだ。フードがネックピローやアイマスクになったり、袖が手袋になったりする。キャンペーンの動画から分かるように、航空機内で利用されることが想定されて作られている。特に長時間搭乗する人にとっては便利な製品である。服の種類は、ウィンドパーカー、ブレザー、スエットシャツ、ボンバージャケットの4タイプでそれぞれメンズ用とウィメンズ用が存在する。
■ 4位 Pebble
eペーパーを使ったスマートウォッチ
調達額:10,266,845ドル(約12億3千万円)
達成率:10,266%
支援者数:68,929人
期間:2012年4月10日~5月18日(38日間)
4位のPebbleはキャンペーン開始後の28時間で100万ドルを集めたスマートウォッチである。Android WearやApple Watchが発売される前の2012年4月にKICKSTARTERでキャンペーンを開始したため、注目度が非常に高かった。特徴としては、eペーパーの画面を使用しているので重量が軽く、持続可能時間が7日間もある。さらにiOSとAndroidの両方に対応しているため、多くのユーザーが利用できる点も魅力的である。
機能としては、搭載されているGPSを利用してランニングやサイクリングの距離や時間を測ったり、ブルートゥースで音楽プレイヤーと連携して曲を止めたりスキップしたりできる。他にも、アラームやメールの通知を振動で知らせてくれる。
■ 3位 Flow Hive
養蜂者向けのハツミツ採取箱
調達額:12,487,320ドル(約14億9千万円)*2016年2月時点(キャンペーンがInDemandで続行しているため、調達額に変更あり)
達成率:17,385%
支援者数:37,122人
期間:2015年2月~4月19日
トップ5の中でINDIEGOGOから唯一ランクインしたのが、手軽に、そして安全にハチミツを採取できるFlow Hiveだ。通常ハチミツを採取するには、防護服を着て煙で蜂を眠らせて巣箱を開けなければいけない。しかし、Flow Hiveを利用すればノズルをひねるだけでハチミツを採取できる。蜂に刺される心配もなく、初心者でも手軽に採取できるため人気の製品となった。
最終的には150ヶ国の3万7千人以上からINDIEGOGO内の最大額である1200万ドル(約14億円)以上を調達することに成功した。さらに、Flow Hiveの成功は養蜂者の養蜂方法の向上に貢献するだけではなかった。Flow Hiveのような養蜂者向けのマニアックなアイテムでも、海外クラウドファンディングを使用すれば巨額な資金を集めることができることを証明することができた。
参考記事:【達成金額15億円以上も】海外クラウドファンディング Indiegogoの1年を振り返る
■ 2位 Coolest Cooler
多機能クーラーボックス
調達額:13,285,226ドル(約15億9千万円)
達成率:26,570%
支援者数:62,642人
期間:2014年7月8日~8月29日(52日間)
KICKSTARTERで約1300万ドル(約15億9千万円)の資金調達に成功したCoolest Coolerが2位にランクインした。Coolest Coolerは、9つの機能が付いたクーラーボックスである。主な機能としては、調理ができるようにブレンダーや包丁、まな板が付いていたり、屋外で音楽を聴けるように取り外し可能な防水スピーカーを備えていたりする。また、USB充電器やLEDライトも搭載している。
実はCoolest CoolerがKICKSTARTERに出展されるのは2回目である。2013年に12万5千ドルの調達目標で出展したが半分ほどの資金しか集めることができずに失敗している。その後、キャンペーンのプロモーションに力を入れて2014年に再チャレンジすると大きな成功を収めることができた。しかし、いざ販売となると問題が生じた。
製品の生産が予定より遅れた上に、KICKSTARTERの出資者に提供する前にAmazonでの販売を開始してしまったのだ。激怒した出資者達がAmazonで低評価のレビューを投稿し大炎上した。結局、出展者であるRyan GrepperがYouTubeに事態を説明する動画を投稿し、出資者に製品を届けることを約束し事態を収束させた。
■ 1位 Pebble Time
調達額2千万ドル越えのスマートウォッチ
調達額:20,338,986ドル(約24億4千万円)
達成率:4,067%
支援者数:78,471人
期間:2015年2月24日~3月27日(31日間)
2位と700万ドル(約8億円)の圧倒的な差をつけてKICKSTARTERで約2000万ドルの調達に成功したのがPebble Timeだ。名前から分かるように4位にランクインしたPebbleの改良版である。2015年の2月にKICKSTARTERでキャンペーンを開始して、約1ヶ月でこの額を達成した。
Pebbleとの主な違いはスクリーンがカラーになり、マイクロフォンが搭載されてボイスメモを取ることができるようになったことである。また、199ドルという手頃な価格や一週間以上電池が持続するというPebbleの良さを踏襲している。
■ 番外編 ZANO
実現されなかった幻の小型ドローン
調達額:2,335,119ポンド(約4億円)
達成率:1,868%
支援者数:12,075人
番外編として紹介したいのが、約4億円の資金調達に成功したにも関わらずプロジェクトが実行されず炎上したZANOだ。ヨーロッパ最大のKICKSTARTERプロジェクトと言われていたZANOは空撮用の小型ドローンで、撮影対象との距離を認識することで追尾できたり自動で所有者の元に戻ってきたりする機能が注目された。
2015年1月の締め切り後に製造を開始すると説明していたZANOだが、製造の延期を繰り返し7ヶ月経った時点でも飛行安定性が低く、撮影時の画質も低かった。
出展者のReedmanはソフトウェアのアップデートによってそれらの問題は解消されると説明したが、飛行安定性や画質の問題は解決されなかった。そればかりかZANOのセールスポイントである自動追尾機能なども全く実現されなかった。怒った出資者達によってFacebookやTwitterが炎上し、change.orgで返金運動まで起こっている。