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チャットボット導入前に知っておくべき3つの海外メッセージングアプリ
近年企業によるチャットボットの活用事例が海外のみならず日本でも多く見られるようになり、市場の成長が身近に感じられるようになってきました。
今回はそんなチャットボット導入のために世界の企業が使う主流3つのメッセージングアプリを紹介したいと思います。
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成長を続けるチャットボット市場
サンフランシスコに拠点を置くリサーチ・コンサルティング企業のGrand View Researchのレポートによると、チャットボット市場は2025年には12.5億ドルに達すると予測されています。
その成長の背景には「重要な市場の需要を把握できる」「低コストでリアルタイムにサービスを提供できる」といった企業の期待にマッチしているところがあるようです。ユーザビリティの高い方法で顧客とのコミュニケーションを行えるその利便性も以前から注目されているポイントです。
(画像転載元:Grand View Research)
また、LINEやFacebookのMessengerなどのモバイルメッセージングアプリの普及と人工知能の進歩という現代の2つのトレンドが同時に発生していることも、チャットボットの人気を支えている要因の1つと見られています。
同レポートによると、現時点では企業ごとに開発されたスタンドアローン型チャットボットが主流となっていますが、一方でモバイルメッセージングアプリとの連動型であるチャットボットはユーザーに対するボット利用の敷居を下げ、市場の急成長を支えています。さらに人工知能を使うことでユーザーごとに細かな個別対応が可能になったことがチャットボットのエコシステム全体を加速させているのです。
このような理由から、企業がチャットボット活用の舞台としてメッセージングアプリを活用する例が増えているのです。それでは世界でチャットボット導入に使われているメッセージングアプリは何なのでしょうか。世界で使われている3つの主要アプリを見ていきましょう。
WeChatは3年前に中国のTencentによって開発された中国市場向けのメッセンジャーアプリです。短期間で急速に普及し、 月額約7億人の月間アクティブユーザ(MAU)を持つ中国の主要モバイルメッセージングプラットフォームとなっています。
WeChatでは、以下の機能をチャットで行うことができます。
- タクシーを呼ぶ
- フードデリバリーの注文
- 映画のチケットを購入
- 最寄のStartbucksのコーヒーを注文をする
- 健康管理
- BurberryやNike等での商品注文
- 病院の予約
- 水道代を支払う 等
(画像転載元:walkthechat)
2013年頃からチャットボットを導入し、この分野を牽引してきただけあり、多くの機能が導入されています。当初は正確に回答するためにチャットボットの裏で人が対応していましたが、現在は蓄積されたデータを活用し、ボット自体に正確に対応させるように開発を進めています。
また、BurberryやNikeのブランドのようにWeChatのアカウントを持つ企業が増えています。中国国内の中小企業では、自社のウェブサイトなどは持たず、WeChatのアカウントだけを所持するといったケースも増えています。
Allo from Google
Googleが提供しているメッセージアプリの「Allo」は一見LINEのような普通のメッセージアプリに見えるのですが、Googleアシスタントというボットと会話することが可能です。
Googleアシスタントは、スマートスピーカーのGoogle Homeと同様に、「今日の天気」とテキストを打つと、検索結果を表示してくれたり、必要な検索結果を表示してくれたりします。しかし、同じ検索ワードでも会話の流れによって結果が変わるので、チャットの特徴も生かされています。
(画像転載元:techrepublic、Apple store)
創立者のラリー・ペイジ氏が「検索機能改善に長年取り組んできたが、全く完成に近づいていない。欲しいと思った時に必要な情報がすぐ出てくる必要がある」と以前語っていましたが、Googleの検索は既に文脈と言葉の意味を理解する自然言語処理の精度の面で大幅な改良が見られます。「Allo」のGoogleアシスタントは理想形に着々と近づいていると言えます。
Facebook Messenger
Facebookが提供するメッセージングアプリのMessengerですが、2016年4月にAPIが公開されたことで、各企業がサービスとMessengerを連携させ、Messenger Botを開発することが容易になりました。ボットを導入することで、ユーザーからの貴重な問い合わせや意見に対して素早く返答することができ、ユーザーとの交流も継続できます。
メッセンジャーチャットの中から、ボットを導入した企業のサービスを利用でき、Uberでの配車や花の注文、最新のファッション動向をチェックすることが可能です。
(画像転載元:facebook messenger)
日本では特にこのMessengerを使ったボットが多く活用されているようです。「東洋経済オンライン」ではメッセンジャーボットとして記事を提供し、新着記事や入力したキーワードに関連した記事を配信するなどしています。ユーザー個人に合わせた記事の配信も可能です。
ビジネス特化型のSNSである「Wantedly」では、キーワードに対応した求人情報を配信するほか、ユーザーのキーワードの内容を分析し、どういった求人情報がユーザーに求められているかという情報収集の面でも利用されています。さらに一流旅館・ホテルの予約サイト「relux」では、エリアや日程、利用人数などの条件に合わせた旅館・ホテル情報を返答してくれます。
Facebook Messengerには既に30,000以上のボットが存在しており、それぞれが特徴を活かしたサービスをユーザーに提供しています。
まとめ
チャットボットのプラットフォームが公開されたり、新たなAPIが公開されたりするなど急速に普及が進んでいますが、チャットボットは消費者と企業の両方が恩恵を受けることは間違いありません。
これらの事例を見てきたように、チャットボットは単なるFAQに利用されるだけでなく、リードの獲得や、ユーザーとの交流を円滑するのに役立ちます。今後はチャットUIといった機能にも注目し、それぞれの企業がユーザーとどのように関係を構築し、サービスを提供していくのか見ていくことも必要でしょう。チャットボットの今後のさらなる成長に期待です。