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    Tatsunori Ito

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  • Apr 17, 2018

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営業しない営業?デザイン思考を営業に活用する海外トレンド

昨年末、Salesforceよりある興味深い統計レポートが発表された。このレポートではグローバル企業3100社に対するリサーチから、最新のセールストレンドや営業の役割の変化について深い考察を示している。その中でも特に目を引いた報告が、セールスにおいて今カスタマーエクスペリエンス(CX)が非常に重要視されているという内容だ。

CXとは弊社btraxが強みとするUXやデザイン思考と同様、プロダクトやサービス開発における必要不可欠な考え方である。つまりこのレポートでは、セールスにおいて最も重要なKPI指標は売上やプロセスの改善ではなく、顧客満足度やネット・プロモーター・スコアなどのCXであるということを提唱しているのだ。

関連記事:デザイン思考を組織イノベーションに活用する10の方法

その理由のひとつに『ニーズの変化』がある。モノづくり大国の日本もそうだが、いいモノを作れば売れるという価値観の時代から今やモノが売れずサービスに価値が移り変わった現代となり、クライアントやユーザーのニーズそのものがより表面化しにくくかつ複雑化しているのだ。

まさに企業が解くべき問題が分からなくなった今、クライアントやユーザー体験の根本的な理解が必要不可欠で、クライアントさえも気づかない本質的な課題や価値を把握することが、顧客に最前線で接するセールスにも重要とされてきているのである。

そこで今回は、CX/UX・デザイン思考の観点でクライアントに新たな価値を届けるために抑えておくべきセールスの海外トレンドを3つお伝えしたい。

1. 課題の発見はお客様と一緒に

Sales 2.0から3.0の時代へ

日本の場合、例えば東京の会社が大阪から問い合わせを受けた際、日帰りで出張営業に行けてしまうが、アメリカではそのような営業をする企業は少ない。なぜならアメリカでは国土が広く営業の為の移動が非効率であるからだ。

また加えてSNS、Skype・Google HangoutのようなミーティングツールやCRMツールも普及した為、アメリカではインサイドセールスが今や当たり前となっている。つまり、直接クライアントに会い営業をすることに注力した時代から、ITを駆使し潜在顧客からのリードをどう集めるかといったSales 2.0の時代に移行したのだ。

そこに今、新たにデザイン思考の考え方を活用しMicrosoftやOracle, IBM等の競合他社を大きくしのぐ成長率を誇る、まさに新世代(Sales 3.0)のセールス手法を行う企業がアメリカで存在感を示している。欧州最大の企業向けソフトウェア会社のSAPだ。

ドイツに本社を置くSAPは1988年に米国へ進出し、現在は世界第4位の売上を誇るソフトウェア会社である。つまりSAPはアメリカで成功を遂げた数少ない外国企業とも言える。2005年にはデザイン思考を体系的に普及させる為、米国スタンフォード大学にd.schoolを設立したことでも有名な企業だが、同社はデザイン思考の考え方をクライアントへの提案力向上に活かしている。

グローバルで成功する企業は営業しない!?

私も以前、シリコンバレーでSAPの社員の方とミーティングをする機会を頂いたのだが、約8万人いるSAP社員のほとんどがデザイン思考を学び、顧客の本質的な課題やニーズはなにかという思考プロセスを各業務に活用しているという。

もちろんセールスを担当する社員も同様で、クライアントと接する際はサービス/プロダクト提案やソリューション方法を単に提示するのではなく、まずは顧客理解を徹底している。セールスが財務や経営企画など複数の部署をひとつひとつ回り、部門や部門間の課題、現場と管理職の見解の違い、個人単位の悩みまでもをヒアリングする。

また、時には課題を導き出すファシリテーターとしてクライアントの経営層と共にデザイン思考ワークショップを行い、クライアント企業と一緒になって経営課題の発見と明確化を行っている。

つまり課題解決そのものではなく、課題発見に焦点を当てたセールス活動、いわゆる課題のリフレーミングを行っているのだ。このアプローチにより、クライアントとはプレゼンを受ける側↔︎する側、決済側↔︎ソリューション提供側という関係性ではなく、課題を共に見出して解決を目指すひとつのチームという関係性を構築できている。この関係性を築く為のマインドセットが今後より求められるのである。

2. セールスは言わばCxO

時にはサービス責任者に

前述のSAPはERPソフトが主軸の事業の為、セールス社員に必要とされるスキルや知識は当然IT関連のものであった。しかし、クライアントに新たな価値を提供する為には顧客の人事やマーケティング・経営企画に対する横断的な理解が必要である。

その意識改革までもをデザイン思考を用いて行っているのだ。この変革に供ない、セールスの評価基準も大きく変わった。ERPソフトの販売実績や売上をKPIとしていた過去から、人事・経営・マーケティング・IT部門までバリューチェーン全体との関係性構築がセールスの新たな評価基準に変わった。営業部門はまさに上流から下流までのプロセスを理解し新たなサービスを開発するサービス責任者(CSO)のようなポジションになりつつある。

そして時には経営者に

なお、弊社btraxでもセールス部門のスタッフは私も含めBusiness Producerという役職名で業務をしており、デザイン思考やユーザー中心設計の考え方をセールス活動にフル活用し常にクライアントと接している。クライアント自身、まだ表面化できていない課題をデザイン的プロセスを通して明確化することに努めているのだ。

そしてBusiness Producerは売上や受注件数を追いかけるのではなく、どれだけ深くクライアントの課題を把握・理解できるかに注力し、プロジェクトを推し進めている。例えば、課題を引き出す為にクライアントとは対等な目線でディスカッションを行う。

その際、重要な事は我々が課題に対する答えやアイデアを提示をするのではなく、クライアント自身が課題認識と解決方法を見出せるようコミュニケーションを取ることである。デザイン思考でいうエンパシーマップ等のフレームワークを用いてクライアントの顧客理解などを共に行うのだ。

またクライアントとの対等な議論の為には、有価証券報告書などのIR資料の読み込みやミッションやビジョンといった経営理念・価値観の理解が必要不可欠なので、もし自分自身がクライアント企業の経営者(CEO)だとしたら何をすべきかという考えを常に持って活動をしているのである。

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クライアントとのディスカッションの様子

3. 最新テクノロジーを駆使したセールスツール

ここまで、アメリカのセールスにおけるマインドセットの特徴について述べたが、最後にセールス活動を支援するイノベーティブなセールスツールを紹介したいと思う。

冒頭で紹介したSalesforceのレポートによると、企業3100社に対する「セールス・営業業務の中でどのようなタスクにどの程度の時間を使っているか」という調査で、なんと業務時間のうち64%もの時間が直接のセールスの時間として使われていない、ということだ。セールスをミッションとした立場であるはずなのに、実質的なセールスを実施できていないという現状なのだ。

だからこそ、昨今MAやCRMツールを用いて営業や業務の効率化を図る動きが積極的なのもうなずける。今後ITやテクノロジーをセールスの業務にも活用する事がより当たり前になってくるであろう。

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画像転載元:15 Sales Statistics That Prove Sales Is Changing

ここで、セールス活動をバックアップするサンフランシスコのスタートアップ、Chorusを事例として紹介したい。同社は会議の音声データを記録、文字起こし、要約を自動かつリアルタイムで行うAI議事録ツールを提供。昨年シリーズAで1600万ドルを調達、ガートナーによる『Cool Vendors in AI Core Technologies, 2017』にも選ばれている注目のスタートアップだ。彼らの顧客の中にはMarketo等の有名企業も名を連ねている。

既にミーティングの動画データを記録するオンライン会議システム等のサービスは存在するが、ミーティング内容をまとめ、『次回アクション』や『課題』といった重要コメントを自動把握・分類し、議事録にまとめあげてくれるサービスは革新的である。

また、分析機能としてミーティング参加者の誰がどれだけ発言をしていたか、または聞き手側だったかというようなパフォーマンスに関する分析データまでを得ることができる。

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Chorusのダッシュボード

以前、全米では毎日11億時間が会議の時間として使われているという記事を書いたが、このサービスでは会議つまり営業業務の効率化を図れ、ミーティングで議論した内容をクライアントと共有し認識を合わせることができる優れたツールだと感じる。私自身、セールス活動においてぜひ活用をしたいサービスだ。

そんなセールスにイノベーションを起こす、または起こそうとしている企業がアメリカ・サンフランシスコにはまだまだ存在しており、そしてなにより、デザイン思考を根底とした先進的なマインドセットとITツールを駆使したイノベーティブなセールスがアメリカでは実施されているのである。

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画像転載元:CB Insights

まとめ

最新テクノロジーや革新的なスタートアップの情報が注目されがちなサンフランシスコだが、サービス/プロダクトをユーザーにどう本質的な価値として届けるか、というセールスのマインドセット自体も先進的でイノベーティブなことがわかる。まさにクライアントのニーズの変化に順応したセールス手法を取っていると言えるであろう。

新規ビジネス開発の目的だけにとどまらない、CX/UX・デザイン思考を用いたセールスの手法やマインドセットのイノベーションという点において、サンフランシスコ・アメリカは最適な環境と言えるのではないだろうか。

本記事が、グローバル展開に課題を抱えていらっしゃる企業にとって少しでも営業・セールスのマインドセットの重要性のご理解に繋がり、課題解決の糸口としてなり得えたら幸いである。

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