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    Aki Tada

    btrax Japan, General Maneger

    General manager at btrax Japan - Worked for architectural publisher in Tokyo. Received MAs in both history and urban design from universities in London.

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  • Apr 5, 2018

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【農業 × テクノロジー】食の未来を変革する最新アグリテックサービスまとめ5選

2050年に我々は何を食べているだろうか?世界人口は現在の1.3倍となる96億人を超えると予想され、国連はカロリーベースで少なくとも70%以上の食料増産が必要であると発表した。農地や水、化石エネルギーなど食料生産に必要な資源には限界があり、アメリカをはじめ各国で農業スタートアップがたくさん生まれている。

インドア・ファーミングは次世代のオーガニック農法とも言われ、ソフトウェアやLED、ロボティクス技術やAIを活用した室内農場である。葉物野菜の生産量は、今後10年ほどでインドア・ファーミングが露地栽培のものと同じ生産量になると言われており、その規模は420億ドル(約4.5兆円)にもなると言われている。

また、インドア・ファーミングは都市近郊にもつくることができるため、物流コストや都市部への供給によってこれまでかかっていた環境負荷も下げられると期待されており、ビル自体を農場にするバーティカル・ファーミングともよばれている。日本では植物工場とも呼ばれ、京都に本社を置くSpreadが開発する全自動植物工場Techno Farmも世界的に注目されている。

過去5年ほどアメリカでは倒産するインドア・ファーミング企業が相次ぎ、なかなかビジネス化が難しいとされてきたが、2017年にはインドア・ファーミングのスタートアップPlentyが過去最大規模の資金調達に成功し転換点を迎えたのではないかと注目されている。

本記事では食の未来を担う可能性に満ちたスタートアップをいくつかご紹介したい。

関連記事:

1. Plenty 農業スタートアップとして過去最高の資金調達を実施

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主要投資家:SoftBank Vision Fund, Innovation Endeavors, Bezos Expeditions, Chinese VC DCM, Data Collective, and Finistere Ventures

調達額:$226M

サービス概要:
生産性の高い水耕栽培を実現させたバーティカル・ファーミングのスタートアップ。多くのバーティカル・ファーミングの取り組みでは、水平に設置されたトレーを使用して栽培を行うが、Plentyでは独自に設計されたポール状のタワーで栽培を行う。

各タワーは約10cm間隔で設置され、植物はそこから水平に成長し、さながら植物の壁のようになる。こうすることでこれまでの農法と比較して同じ面積で350倍の生産を可能にした。現在は葉物野菜の他、イチゴが栽培されており、将来的には根菜や木になるフルーツを除く多種多様な野菜・果物が栽培可能になる計画である。

都市近郊に工場を設置し、オーガニックのみならずローカルでつくられた野菜であるという価値を前面に押し出しながら事業展開を行っている。現在はサンフランシスコ市南部につくられた工場が稼働しており、2018年にはシアトルで新工場が予定されている。

注目の理由:
これまで収量不足・流通量不足やテクノロジーコストが高いことから多くのバーティカルファーミングのスタートアップが倒産してきた。そんな中、2017年に農業関連スタートアップとしては過去最高となる200億円を調達し、この新しい食料生産方法を一般化する可能性がある企業として注目されている。

また、調達した資金を活用して今後数年間で世界展開を実施することが計画されており、最終的には100万人以上の人口を持つ500の都市に展開する目標が発表されている。

2. Freshbox Farms 短期間に黒字化したインドア・ファーミング

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主要投資家:Band of Angels, SQN Venture Partners, Chalsys LLP

調達額:$12.7M

サービス概要:
ボストン郊外のmillesという街で創業された、コンテナで展開するバーティカル・ファーミングのスタートアップ。使われている栽培技術はコンテナの中に水平に設置されたトレーによる水耕栽培。

現在はコンテナ12台と1台の”Mod”(9台のコンテナで構成されるFreshbox Farmsが独自開発したモデュラーシステム)で12種の野菜を育て、ボストン市内の37のスーパーマーケットに商品を提供している。通常の農法で7.7ヘクタール必要になる生産量をわずか約30m2のスペースで生産している。

今後5年間でアメリカ国内25カ所に展開し、それぞれ1〜3トンの生産量を目指す。

注目の理由:
野菜を育てるための独自テクノロジー開発に集中するスタートアップが多い中、Freshbox Farmではコンテナを活用したモデュラーシステムの改善に経営資源を振り向けている。

コンテナを利用するため大型工場による集中生産よりも短期間に事業開始が可能であるほか、他の同業スタートアップに比べ投資回収サイクルが非常に早い。2015年の創業から23ヶ月で黒字化を達成し、ビジネスの持続性の高さが注目されている。

3. Iron Ox ロボットで生産コストの50%を削減

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主要投資家:Y Combinator, Eniac Ventures, Amplify Partners
調達額:$5M

サービス概要:
ロボットアームを活用して完全自動化を目指すインハウス・ファーミングのスタートアップ。野菜の生育段階にあわせて用意された各トレイに対して、ロボットアームが播種、散水の他、野菜の大きさに合わせた植え替え、収穫まで行う。

また、ロボットアームに組み込まれた高精度のカメラで野菜の状態を確認し、病気にかかったものがあれば間引く作業を行い、マシンラーニングで野菜の理想的な生育状態を学習していく。2018年にはサンフランシスコ・ベイエリアに約750m2の工場が完成予定されている。

注目の理由:
バーティカル・ファーミングやインドア・ファーミングで最大の事業リスクとされるのが生産にかかるコストがある。多くのスタートアップが、主にLEDのコスト削減等に取り組む中、同社は野菜生産コストの50%にあたると言われる人件費の削減にロボットを活用して取り組み、他社とは一線を画すアプローチを取っている。

アメリカの農業界では労働力の高齢化と人手不足が予測されており、それにかかるコスト増が見込まれるが、同社の技術で農作業をロボットが代行することでその課題解決に取り組みより持続可能な農業の実現を目指している。

ちなみに共同創業者の1人、Brandon Alexanderは過去にGoogle Xでドローン・デリバリー・プログラムに携わっており、もう1人のJon Binneyはホテルで使われるルームサービスロボットの開発に携わっていた経験を持つ。

4. Row 7 Seed Company 有名シェフと種苗家がつくる未来の野菜

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主要投資家:Walter Robb, Richard Schnieders

調達額:不明

サービス概要:
ニューヨークの著名なレストレランBlue HillのシェフであるDan Barberと種苗家であるMichael Mazourekによって設立された種苗スタートアップ。モンサントのような種苗企業が遺伝子組み換え種子などで高収量、鮮度保持性能を目指すのに対して、同社は美味しさを重視して品種交配を行う。

Mazourekが開発したハニーナッツ・スカッシュという新しい野菜は、一般的なバターナッツ・スカッシュよりも小さいが栄養価が高く、砂糖などを加えなくても十分に甘い。Barberと出会いさらに工夫を重ねてBlue Hillでメニュー化したところ、多くのレストランでも取り入れられた。現在はWhole FoodsやCostcoなどでも買うことができる。

なお2017年秋には食材宅配サービスのBlue Apronが950トンも購入し、ユーザーへの提供を開始。Row 7では多くのシェフ、種苗学者が協働してさらに多様な野菜の開発に挑戦しており、それぞれの自然環境にあった食物生産と食文化が結びつく地域主義的な食環境の実現を目指している。

将来的にはウォールマートでの販売でも視野に入れており、ホールフーズ前共同CEOであるWalter Robb、食料サービス企業であるSysco Foodsの前CEO、Richard Schniedersからの出資を得て、事業の拡大を計画している。

注目の理由:
近現代の農業が目指した野菜の均一化に一石を投じる新しい試み。アメリカのレストラン業界では、生産の現場から食卓までを近づけることで、より健康で正しく美味しい食事を実現しようとするFarm to Tableが大きな流れになっている。

Row 7の取り組みは、これまで市場性を得られなかった商品作物が、有名レストランのシェフというインフルエンサーを介して商品開発とマーケティングを実施し顧客獲得した事例であり、新しい食料生産の可能性を感じさせるものである。

5. Square Roots 未来の食をつくるスタートアップ・インキュベーター

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主要投資家:Powerplant Ventures, GroundUp, Lightbank, FoodTech Angels

調達額:不明

サービス概要:
2016年にニューヨーク、ブルックリンで始まった都市農業と起業家育成のためのプラットフォーム。未来の食に関連する起業家を育成する場となることを目的としている。

同社はファイザーの工場跡地の駐車場に設置された10台のインドア・ファーミング用コンテナで構成するアーバン・ファーミング・キャンパス、各コンテナを起業家に提供するレジデント・アントレプレナー・プログラム、近隣レストランとの連携やファーマーズマーケットとのコネクションを提供するコミュニティ・ネットワークで構成されている。

起業家たちはこのキャンパスにおいて13ヶ月間のレジデント・アントレプレナー・プログラムを通して農法、ビジネス、コミュニティ、リーダーシップに関して学習。さらに農業関連の企業やレストランオーナー、エネルギー専門家など多様なメンターたちとのネットワークや、主催するファーマーズマーケットやニューヨーク市内のレストランとのパートナーシップなど広く深いネットワークを得ることができる。

注目の理由:
共同創業者の1人であるKimbal Musk(Eron Muskの弟)はFarm to TableをテーマにしたレストランチェーンThe KitchenやNext Door、学校に「食べられる校庭」をつくるNPO・Big Greenなどを手がけており、フード業界で成功した起業家として影響力をもっている。

バーティカル・ファーミングという新しい食料生産方法が利用者に受け入れられるためには、それをいちはやく取り入れ、トレンドを作っていくアーリアダプターが重要になるが、創業者やメンターなど、Squarerootsの創業に関わる多くの人々自身がそういったアーリーアダプターであることが、その他の多くの取り組みと比較してSqaure Rootsをユニークなものにしている。

まとめ

今回紹介したインドア・ファーミングの企業は都市内あるいは都市近郊での野菜生産を目指しており、地元でつくられた食材を食べることを推奨するFarm to Tableと世界観を多分に共有している。

近現代の大規模農業では食料生産とその消費の場所は遠く離れていることが多く、保存方法や流通、卸や小売などもその遠距離輸送に適応してつくられているが、今後は今回紹介したようなスタートアップによって食料生産に変革が起き、結果的に食・農業をとりまくより広い領域のビジネスがディスラプトしていく可能性がある。

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