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    Aki Tada

    btrax Japan, General Maneger

    General manager at btrax Japan - Worked for architectural publisher in Tokyo. Received MAs in both history and urban design from universities in London.

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  • Sep 21, 2017

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大企業によるイノベーションとは?Amazonなど3社の成功事例

日本の大企業にイノベーションは無理なのか?

「既存事業の収益は今はまだ安定しているが、5年後10年後、ビジネス環境が変化する中で生き残っていけるかはわからない」「劇的な構造変化に備えられるように今のうちから次の新しいビジネスについて考えたいのだが、何をするべきか…」btraxにはこんな相談に来られるお客様が増えてきている。

上場企業の場合、既存事業を維持成長させるための会社構造が、新規事業への挑戦のハードルになっていると感じる人も多い。あるいは、そもそもスタートアップと大企業では役割が異なり、イノベーションを起こすのはスタートアップの役割で、大企業はそのイノベーションの芽を大きくすることに注力するべきだと説く人もいる。大企業から内なるイノベーションを起こすことは果たして無理なのだろうか?

一方でアメリカではグローバルに事業を展開するような大企業においても様々なイノベーションへの挑戦が行われている。本記事ではそれらの事例を紹介しながら、その特徴について考えてみたい。今回ご紹介するのは、Creative Artist Agency 、The Coca Cola CompanyそしてAmazonの3社である。

関連記事:大企業が知っておくべきイノベーション創出に必要な5つの起業家

1. Creative Artist Agency – 大企業エグセクティブでも起業家になれる

日本では一般の人はあまり知らないかもしれないが、クリイティブ・アーティスト・エージェンシー(CAA)はハリウッドの4大エージェンシーのひとつで、吉本興業も戦略的事業提携をしている会社だ。俳優、女優、歌手、脚本家、監督、プロデューサー等、2000人を抱えている。

CAAはCAA Venturesというコーポレートベンチャーキャピタルを持ち、これまでいくつものスタートアップを生み出している。そのなかで代表的なのはコメディ・ストリーミング・チャンネルのFunny or Die、そしてインフルエンサー・マーケティングのWHOSAYである。

Funny or Die

WHOSAY

両社は、CAAが資本だけでなくエンターテイメントとスポーツ分野のタレント、そしてそのネットワークを惜しげもなく提供し、会社の外にスタートアップを作った事例である。昨今Youtubeやソーシャルメディア上のインフルエンサーというアマチュアによるコンテンツ制作・配信が影響力を増す中で、どちらのサービスもこのような環境変化への対応策として生まれたものだろう。

これらのスタートアップの設立の際に大きな役割を果たした、CAAのHead of Business Development であるMichael Yanoverは、「大企業のエグセクティブでも起業家になれる」ポイントとして以下3点を挙げている。

1. 新しい事業を独立した会社とすること
新しい事業は会社として登記され、自前のオフィス、自前のインフラを持ち、一刻も早く自走できるようにしなければならない。イニシャルコストはより高くなるが、投資回収にかかる期間が短くなるからだ。

WHOSAYは当初CAA内部でスタートしたが、すぐにSteve Ellise(元PumpAudioファウンダー、2007年Getty Imagesに売却)をファウンダー兼CEOとし独立したスタートアップとしたことで、大企業の一部署では描けないようなより大きなビジョンを持つことが可能になり、結果としてそれが成功の要因となっている。

2. 最終的に自社の傘下に収めることを考えないこと
マネジメントチームのメンバーに対しては新旧にかかわらず、株式のクラスや希薄化について同じ条件を提供し、新しいビジネスに対するオーナーシップを持たせること。また、イグジットについても同様で、最終的に自社の傘下に回収することを念頭に置くべきではなく、イグジットの仕方やその条件についても口をださないことが重要である。

3. 第三者の投資家から評価を得ること
母体となる企業以外から投資を引き出せないような事業だったら、そのアイデアは捨ててしまった方がいい。WHOSAYの際はGreylock Partnersが重要なパートナーだったし、Funny or Dieの際にはSeqoia Capitaが出資者として名を連ねていたことが重要だった。

Funny or Dieの始まりはUS版のWIREDに詳しく紹介されている。Funny or Dieの創業者はコメディアンのWill Ferrellと脚本家のAdam McKayだが(ちなみにオーナーは両名が設立した映像プロダクション会社Gary Sanchez Productionsである)、そもそものアイデアはSequoia Capitalの当時のパートナーだったMark KvammeとMichael Yanoverが彼らに対して、シリコンバレーとハリウッドの才能を掛け合わせて当時拡大しつつあったYoutubeに対抗するような事業を作れないかと持ちかけたところから始まっている。

大企業側のMichael Yanoverが根幹となる事業アイデアやヴィジョンについて積極的に提案している点が通常のコーポレートVCとは一線を画しており(Michael YanoverはFunny or DieとWHOSAYの共同創業者となっている)、そのためにもより起業家に寄り添う上記の3つのポイントが重要視されているのだろう。

2. The Coca Cola Company – 「まず自社課題からはじめよ」起業家とco-creationするアクセレレーター

Coca Cola Foundersは、The Coca Cola Company が2013年に設立したユニークなスタートアップ・アクセレレーター・プログラムで、世界で選抜された起業家たちが企業とともにビジネスをco-creationするというものだ。もっとも特殊なのはビジネスプランやテクノロジーを基にすることなく起業家たちを選抜する点だろう。

起業家たちは選ばれた時点では事業アイデアなど何も持たない。The Coca Cola Companyが持つ人脈やリソースなどすべてへのアクセスを与えられ、事業部長クラスから小売や流通など最前線で働く人々とのコミュニケーション通して、企業が直面する課題や可能性について深く理解し、ビジネスアイデアを構想することを求められる。

2年の間に10ヵ国に12社のスタートアップを立ち上げたこのプログラムで、最も成功しているのがWonoloである。Work Now Locallyから名付けられたWonoloは、アルバイトのUberと言えるサービスで、小売店の棚からコカ・コーラがなくなったときに棚入れするスタッフの手配が困難であるという課題へのソリューションとして生まれた。商品納入のスケジュールは一週間先まで決まっている場合もあり、急な作業が必要な時に必要な人員の手配が難しかったのだ。

2013年に設立された同社は2016年には$570万ドル、アメリカ国内3都市に展開、現在では30,000人以上のWonoloerと呼ばれるユーザーがいる。

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残念なことにCoca Cola Foundersは2016年末で活動を停止しており、いくつかのメディアでは、大企業のイノベーションへの泡沫的な挑戦と捉える向きもある。

しかし、現在も事業継続するWonolo 共同設立者兼CEO Yong KimのCoca Cola Foundersへの評価は非常に高く、その閉鎖に寄せた彼のブログポストには、参加した起業家たちとコカコーラのco-creationがいかによく機能していたかが詳述されており、Coca Cola Foundersがなくなったからといって、巨大企業のこうした取り組みがなくなってしまわないことを望むと発言している。

このプログラムをつくった同社の元VP of Innovation Daivid Butlerは、このco-creationモデルこそ次のイノベーションをリードすると語っている。さらにco-creationで重要な点として、下記の5点を挙げている。

  • 大企業の仕組みに合わせるのではなく、スタートアップが必要とする仕組みに合わせること
  • アイデアからではなく課題から始めること
  • 計画するのではなくまずローンチすること
  • MVPを活用して素早く学ぶこと
  • フェーズに合わせて本当に重要なメトリックを見定めただひとつのKPIに集中すること

3. Amazon – イノベーションの文化を維持する巨大企業

2016年に年間売上100億ドルを達成したAmazon Web Service(AWS)は、Amazon社内スタートアップとして始まった。その詳しい経緯がAWSのCEO、Andy Jessyのインタビューに詳しく書かれている。

2000年代前半、当時のAmazonはオンライン書店の範疇を超え、小売り大手のTargetなど他社へのECプラットフォームの提供などを手がけていたが、実は困難に直面していた。巨大なECプラットフォームを運用していくためのインフラの構築に時間がかかり過ぎていたのだ。

スケーラブルで安心なインフラ構築はどの会社にも共通する課題で、AmazonはTarget以外のクライアントからもデータウェアハウスについて多数の相談を受けていた。

Jeff BezosとAndy Jessy(当時はJeff Bezosの主席補佐官のような役割)は、Amazonの優位性はそのインフラにあると考えていたが、当時のものはそれまで急ピッチで構築・拡大されてきたこともあって色々と問題が多く、外部クライアントやパートナーに満足に提供できるレベルではなかった。

Andy Jessy
↑上記写真はこちらのウェブサイトより引用

そこでまず自社のインフラの再整備が行われたのだが、これを契機に、Amazonは自分たちが構築するクラウドコンピューティングシステム上に、デベロッパーによる独自のインフラ構築を可能にすることを考え始める。その実現に向けてAndy Jessyが検討したのは以下の4点だ。

  • インフラサービスの市場は自社にとって十分に大きな市場か?
  • 現在のソリューションとくらべてより良いものが市場に求められているか?
  • Amazonにより優れたソリューションを提供するための競争力はあるか?
  • 競合と差異化するための異なるアプローチがAmazonにはあるか?

実はこれらはスタートアップが市場検討する際に考えるキークエスチョンである。検討した結果すべてにYESを得たAndy Jessyは、2006年にAWSを社内スタートアップとしてローンチする。一般的に社内スタートアップでは最小単位の人員とコストで始めるが、Andy Jessyが開始から会社に対して要望した人員はなんと57名だった。まだ1円の売上もあげていないのに、である。

AWSを始める上で最初の重要な決定は、ストレージか、コンピュテーションか、データベースか、いずれかのサービスに絞ることだったが、ユーザーとなるデベロッパーが必要とするのはそのいずれかではなくすべてだという信念のもと、Andy Jessyは最初からプラットフォームとしてのサービスを目指し、そして賭けに勝ったのだ。

実現の背景には、「他の会社は、イノベーションが起こるのをただただ恐れるか、あるいは買収を通して実現させようとする。Amazonはイノベーションを恐れない。我々はビルダーなんだ」というAndy Jessyの発言に表れるAmazonの企業文化が寄与するところが大きいかもしれない。

まとめ

今回紹介したCreative Artist AgencyとThe Coca Cola Companyの事例はオープンイノベーションに、Amazonの事例はイントレプレナーシップに分類される。自社で実現するのは到底無理だ、と思われる方も多いだろう。今回紹介した人物たちも総じて事業を成功させることの難しさを語っている。3社の成功事例に共通しているのは、スタートアップ・起業家の行動原理への理解と誰もが当事者意識をもって関わっていることだ。

スタートアップにとってフェアな仕組みを作ったり全社的なコミットメントを行ったりするためには、企業上層部から新規事業担当者に至るまで様々なレベルの関係者がそのマインドセットを体得することが不可欠なのだ。そしてこれこそが、5年10年先の未来を形作るのに重要な一歩となるのではないだろうか。

参照:
“How I’ve Built Successful Startups At Big Companies”
“Funny or Die at 10: An Oral History”
“What the Media is Missing About the Closing of Coca-Cola Founders”
“Learning to Be Lean: 5 Lessons Coca-Cola Has Learned About Building Startups”
“Exclusive: The Story of AWS and Andy Jassy’s Trillion Dollar Baby”
“How Andy Jassy helped Amazon own the cloud”

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