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  • Aug 22, 2017

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デザインの力で人々の行動を変える – ビヘイビアデザインの裏側

人を行動させるため、企業は様々な努力をしている。広告をクリックしてもらう。記事をシェアしてもらう。商品を買ってもらう。デザインの力で人を行動させるのがビヘイビアデザインだ。今回はこのビヘイビアデザインについて、btrax CEO、Brandon K. Hillによる社内ワークショップの内容をもとにお伝えしたい。

ページビューは順調に伸びているのにコンバージョンが思うように伸びない。広告費をかけた新商品が売れず、定番商品ばかり売れる。アプリのダウンロード数は増えているがアクティブユーザー数が増えない。ビジネスパーソンの頭を悩ませるこんな現象には、実は科学的な根拠があった。この記事ではそのメカニズムを解明していく。

関連記事:ビジネスにおけるユーザーエクスペリエンス(UX)の重要性

人を行動に導く3つの要素とは

そもそも、人はどうして行動するのか。そのメカニズムを知らないことには人を効果的に動かすことはできない。人の行動を因数分解し、デザインを使ってどのように人を行動に導くかを考える。人の行動は以下の3つの要因が作用することによって起こる。それぞれどういうことなのか、一つ一つ順を追って見ていこう。

  1. モチベーション(Motivation)
  2. 能力(Ability)
  3. きっかけ (Trigger)

1. モチベーション

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2つの応募キャンペーンがあるとする。チョイスAはテスラのモデル S (10万ドル相当)、チョイスBはシボレーのエントリーモデル (2万ドル相当)。どちらの方がより多くの応募があるだろうか。

おそらく、多くの人がテスラに応募すると容易に予想がつく。なぜならより多くの人がシボレーのエントリーモデルよりも高級車テスラに憧れを持つからだ。テスラを欲しいというモチベーションの方がプリウスを欲しいというモチベーションよりも高いため、テスラへの応募キャンペーンの方がより多くの人を行動させることができる。

2. 能力

次に下記のようなAとBの2種類の応募キャンペーンがあったとする。それぞれに対してユーザーが提供しなければならない内容は:

キャンペーン A:

  • 名前
  • メールアドレス
  • 電話番号
  • 年齢
  • 性別
  • 年収
  • 住所
  • 応募するためには5000円払う必要がある

キャンペーン B:

  • 名前
  • メールアドレス
  • 電話番号

まずは、応募して得られる商品がA, Bどちらに応募しても同じという前提のもと進めよう。その場合、どちらの方が応募したくなるだろうか。どう考えても一般的にはBのほうだろう。Bは応募するために、名前、メールアドレス、電話番号の3つの項目を記入するだけで良い。

しかしAに応募するには、7つの項目を記入し、かつ5000円払わなければならない。心理的にも経済的にもBの行為をする能力を持った人の方がAの行為をする能力を持つ人よりも遥かに多いと予想がつく。そのため、Bのほうがより多くの人を行動に導くことができると考えられる。

では次に、1のモチベーションの例のように、Aに応募すればテスラが、Bに応募すればシボレーが当たるとする。どちらの方がより多くの応募を集めるだろうか。これはのちに説明する行動学のモデルを参照するとわかるように行動に影響を与える各要素が作用しあって、そのバランスにより結果が出ることとなる。

3. きっかけ

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人の行動を誘発するもう一つの要因は「きっかけ (Trigger)」だ。モチベーションと能力に加えて、ユーザーに行動を起こすためのきっかけを与えることで、求めるアクションを歓喜することが可能になる。

例えば、割引が有効な期限を表示したり在庫数を表示することで、消費者を”今”買わなければなくなるという心境に陥らせ行動させることができる。

図解で見るビヘイビアモデル

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ここまで説明してきた3つの要素がどのように作用するのかを表したのが下記の図だ。これはスタンフォード大教授のBJ Foggが唱えたビヘイビアモデルを元にしている。

縦の軸がモチベーションの高さ、横の軸は行動を起こすための必要な能力値をしてしており、右に行くほど低くなっている。そして、各星はきっかけ(Trigger)を表す。

対象の行動が、曲線よりも上の部分(水色部分)に入っていて、かつきっかけ(Trigger)があればその行動に人を導くことが可能になる。この水色の部分は、行動を起こすに十分なモチベーションと、それに必要な能力値のバランスが取れている。

一方で、白の部分は、必要なモチベーションがなりなかったり、ユーザーの能力が満たないことが理由で、きっかけ(Trigger)があったとしても、ユーザーは行動を起越さない。

きっかけ(Trigger)は水色の枠内でのみ有効であり、白い部分では無効になる。縦軸はモチベーションが低 (Low) から高 (High) に伸びていき、横軸は行動がどれだけ難しいか (Hard) から簡単か (Easy) に伸びていく。

例えば、星1 はモチベーションが低から中間、能力はHard寄りだ。これはある程度モチベーションがあっても、必要な能力が高いことで、白い部分に属するので人を行動させることは難しい。

星2はモチベーションがHigh寄り、能力がHard寄りだ。能力だけ見れば星1と同じレベルのHardさを持つ星2である。しかし、モチベーションが星1よりも高い。つまり、行動のむずかしさを上回るだけのモチベーションがあったため水色内に入り、きっかけがあったため人を行動に導くことができるのだ。

前出の例で考えると、入力項目が多くてもテスラをゲットするためにフォーム送信をする例もこれに近い。

関連記事:オンラインストア購入率ををアップさせる5つのUXポイント

あの大手企業もビヘイビアデザインを上手に活用している

このチャートに基づき上手に人を行動に導いているのがAmazonだ。以下の画像を見てほしい。アマゾンの商品購入ページには、様々なトリガーがちりばめられている。

他よりも安い値段でユーザーの購入モチベーションを高め、ワンクリックで注文可能(Buy now with 1-Click)という、注文へのハードルを最小限に留めている。そして、〇〇時間以内に注文すれば××日までに受け取ることができるという時間制限のきっかけ(Trigger)を与えている。。

Amazonはビヘビアデザインチャート上の水色の枠内に入るための様々な工夫をしていることがわかる。

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ビヘイビアデザインにおける3要素を解説

次にビヘイビアモデルを構成する3つの要素をそれぞれ詳しく見ていこう。

3つのコアモチベーター=モチベーションになるもの

人間は果たしてどのような要素をモチベーションと感じるのであろうか。大きく分けるとポジティブな要素を得るためのモチベーションとネガティブな要素を取り除くモチベーションの2つで構成される3つの要素がある。

モチベーター1:喜び/痛み

コアモチベーター1は「喜びと痛み」だ。人は喜びを得る、もしくは痛みを避けることを目的として行動する。クラシック音楽が好きな人は生演奏を聴くという喜びを求めてコンサート会場まで行く。風邪の辛い思いを取り除くために薬を購入する。

喜びと痛みは強力なモチベーターなので、モチベーションを上げるために一番に検討すべき要素だ。このモチベーター、特に痛みは必ずしも最適なアプローチではないかもしれないが喜びと痛みは表裏一体の概念なので、頭の片隅に置いておくことでモチベーションをより包括的に理解することができる。

モチベーター2:希望/恐怖

2つ目のコアモチベーターは「希望と恐怖」だ。このモチベーターは、未来の予測が関係する。希望は良いことが起こる予測であるし、恐怖は悪いことが起こる、何かを失う予測である。このモチベーターは先ほど説明した喜び/痛みよりも強力に働くことがある。

例えば、将来価値が上がると期待してビットコインを購入する。家が丸焦げにり財産を失うという恐怖を乗り越えるために火災保険を購入するという例。

希望と恐怖は説得のための技術(persuasive technology)において有効活用されてきた。例えば、人々は希望というモチベーションでデーティングサイトに登録する。恐怖から、ウィルスソフトをアップデートする。スタンフォード大学のBJ Foggは個人的に、希望が最も倫理的で有力なモチベーターだと結論付けている。

モチベーター3:社会的承認/拒否

”3つめのコアモチベーターは「社会的承認と拒否」だ。それぞれが個人的に経験しているように人は自分の社会的承認や立場を勝ち取るために行動する。その中でも特に、社会から拒絶されるなどネガティブな結果を招くことを防ぐことを目的に行動する。

人類が集団を作り助け合って生きてきた歴史から考えるとこのモチベーターが生まれるのも不思議ではない。SNS上でフォロワーからより多くのいいね!を獲得しようとしている人々の多さがこのモチベーターが現在もなお強い影響を持つことを表している。

ちなみに、基本的なこの3つのモチベーターは優劣がつけられるものではないため、状況に合わせて最適なモチベーターを選んで欲しい。

能力 (Ability)

図解の横軸である能力。これはつまり、その行動がどれだけ簡単かを表している。具体的に能力の種類を見ていこう。

  • 時間(Time):所要時間が長くかからない
  • お金(Money):払っても良い金額
  • 身体的負担(Physical Effort):物理的にそれほど大変ではない
  • 考える手間(Brain Work):簡単に考えられる
  • 社会的距離(Social Distance):他の人もやっている、その行動をしても変ではない
  • ルーティーン性、習慣性(Routine-ness):前にやったことがある

きっかけ(Trigger)

図解では★として表されていたきっかけ。このモデルによると、いくらその行動が水色の右上の方に属していようともこのきっかけが無ければ人を行動させることはできないと言われている。では、具体的にビジネスで使われているきっかけにはどんなものがあるのか。

  • 期間限定価格、期間限定商品:Limited Time Offer
  • メルマガ:Email Newsletter
  • SNSのフィード:Social Media Feed
  • プッシュ通知:Push Notification
  • ポップアップメッセージ:Popup Message
  • 営業活動:Sales Person

さてここで、これまで説明してきたモデルを踏まえ、冒頭で挙げた例を検証し直してみよう。

ページビューは順調に伸びているのに購入にまで結びつかない

→モチベーションが低い
写真が少ない、魅力的でないなどの理由から購買意欲を十分に掻き立ててられていない

→値段が高い
支払っても良いと思う以上の金額である

→今購入する必要がない
限定品やキャンペーン中ではないため後日購入しようと思ってしまう

広告費をかけた新商品が売れず、定番商品ばかり売れる

→考えるのが面倒
ルーティーン性、考える手間:定番商品を買うことに慣れてしまっていて考えることが面倒だ。

アプリのダウンロード数は増えているがアクティブユーザー数が増えない

→きっかけが与えられていない
プッシュ通知等、ユーザーを取り込む施策がなされていない

人間が行動を起こすためのデザインは非常に科学的

この3例を見るとわかるようにユーザーが思い通りに動いてくれないことの背景にはたった3つの理由しかないことがわかる。今回は割愛するがもちろん2つ以上の要因が作用しあっていることもある。(モチベーション、能力がともに低い等)

ユーザーを思い通りに行動させることはどんなビジネスでも共通の課題だ。ユーザーは予測不能、サービスは試してみなければわからないととりあえず投資するよりも、デザインというアプローチからユーザーを理解することを始めてみてはいかがだろうか。

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参照:“How to use behavioral design for boosting conversions”

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