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    Mitsutaka Kaneko

    Business Producer

    Business Producer and Innovation Project Manager at btrax - worked for consulting and IT venture companies - received an MBA from Bond University, Australia

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  • Jun 27, 2017

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なぜ経営にデザインが必要なのか?【DFI 2017より】

今年で2回目の開催となるDESIGN for Innovation。今回は「デザイン×経営」をテーマとし、前回に引き続き200人を超えるオーディエンスに参加頂き大盛況となった。近年デザイン活用の重要性が叫ばれる中、なぜデザインが必要なのかなんとなく理解できたとしても、その必要性やビジネスにおける効果を経営層や他の社員に対して明確に説明できずに苦労しているという話もよく聞く。

今回のメインセッションの一つでもあるFrog DesignのTimothy MoreyによるBusiness Value of Designはそのような状況に一筋の光を照らしてくれる素晴らしい内容のセッションであった。ここではTimのセッションを振り返りながら、なぜ現在経営にとってデザインが必要なのか、ビジネスにおいて具体的にどのような価値があるのか改めて考察していきたい。

関連記事:【IDEO x frog x Pivotal x btrax】西海岸を代表するデザイン会社による夢の共演が実現!DESIGN for Innovation 2017
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ゲストスピーカーの紹介

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Timothy Morey
グローバルデザインや企業戦略を主軸にしたデザインファーム、Frog Designのイノベーション・ストラテジー部門をVPとして統括。デザイン社内の優秀なデザイナーやエンジニア達を率いて、プロダクトやサービス、エクスペリエンスに対しデザインによるアプローチでコンサルテーションを行う。

なお、以前はシリコンバレーでプロダクトマネージメントやマーケティング、ストラテジーなど様々な業務に携わっていたことから、広範囲な知見を持ち合わせる。

デザインが経営にインパクトを与えている事実

The Design Management Instituteの調査によると、この10年間でデザインを活用している先進的な企業はS&P500銘柄の他の企業と比べて200%以上の価値をつけるまでに成長しているという。デザインを活用している有名企業の例としてApple、Coca-Cola、Herman Miller、NIKE、P&G、SAP、Starbucks、Walt Disneyなどが挙げれるが、これらの企業は早くからデザインの価値に注目してビジネスに活用してきたことによって成長を続けている。

実際にデザインへの投資額に対する効果があるのはもちろんだが、マーケットシェア、平均顧客単価、売上成長率、売上へのコンバージョンレート、顧客満足度、マーケットインにかかる時間、開発コスト、組織へのアライメント度合いなどそれ以外のビジネス上の重要な指標においても成果を出している。

ビジネスにおけるデザイン活用の5つの価値

ではデザインが具体的にどのようにビジネス的な価値を生み出すことができるのか?Timの話によると、ビジネスの観点において下記の5つの価値が存在すると言う。ここで挙げられているそれぞれの価値について詳しく見ていこう。
Business Value of Design1 Timothy Moreyプレゼン資料より

1. Speed To Market 〜より早く市場の機会を捉えることができる〜

1つ目の価値はSpeed To Market(マーケットへのアプローチのスピードを加速させること)である。これは、具体的に目に見えるビジュアルやプロトタイプなどのデザインツールを活用することで、新しいビジネス機会を素早く検証できるようになるだけでなく、他の作業者やエンドユーザとの共同作業を実施しやすくしスピードアップを図ることが可能になるというものである。

さらに、最低限の機能に絞ったMVP(ミニマム・バイアブル・プロダクト)を用いることでユーザから効率的によりリアルなフィードバックを得られるようになり結果的に開発のスピードを上げていくなどの効果が考えられる。

<効果の検証例>

  • 収益目標、サービス普及率の目標が達成できたか?
  • 開発コストの削減、タイムラインの短縮が実現できたか?
  • 損益分岐点の引き下げ、サイクルタイムの短縮が実現できたか?
  • MVPを用いて的確な顧客フィードバックが得られたか?

AmazonやFacebook、Googleなど今では名だたるスタートアップ企業も最初は最低限の初期バージョンからスタートしているが、このようなスピード重視のアプローチが結果的にビジネスに成功をもたらしていると言える。

関連記事:小さく始める事の重要さ【Amazon, Facebook, YouTube等】大人気サービスの初期バージョンとは

2. Market Reach 〜自社商品・サービスの市場規模の拡大に繋がる〜

デザインの活用により得られる2つ目の価値としてMarket Reach(市場へのリーチの拡大)が挙げられている。フォーカスグループインタビューなどデザインプロセスを活用したリサーチを行うことで、従来では辿り着けなかったような新たな市場の機会を発見し新しい収益の柱に転換していくことを可能にするという。

また、分析的なアプローチはあまりに使い古されており新しい発見に至ることは少ないが、現在のデザインプロセスを用いることにより、より自由でオープンな方法で従来の業界や組織、製品の常識に囚われて見えてこなかった新しい発見を得ることもできる。

<効果の検証例>

  • マーケットシェアの拡大に貢献できたか?
  • 顧客の購入金額や顧客内シェア(ある一顧客が購入した特定の商品群における自社商品の割合)を拡大できたか?
  • 新規商品からの収益の増加に繋がったか?

フォーカスグループインタビューとは、なるべく早い企画・コンセプト段階からユーザーテストを実施することで、対象ユーザーに対して今までとは異なる価値提案の必要性や、想定外のユーザー層からの反応など、市場拡大に繋がるヒントを得ようとするものである。詳細については下記の記事をご参照いただきたい。

関連記事:結果に繋がる海外ユーザーテスティング 8つのプロセス
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3. Engagement & Loyalty 〜より深い顧客ロイヤリティを獲得できる〜

デザイン活用の3つ目の価値はEngagement & Loyalty(顧客エンゲージメント&ロイヤリティの向上)である。新しい商品・サービスを開発していく際にユーザー視点に立ってカスタマージャーニー全体を俯瞰することで、まだ見ぬ顧客ニーズを発見したり、顧客リレーションシップの向上に役立てていくことができるというものである。

またカスタマーエクスペリエンスにフォーカスすることで顧客満足度の向上や競合との差別化に繋がるような特別な体験を提供していくことも可能にする。さらに、顧客のニーズを満たすだけではなくエモーショナルな反応を引き出せるような体験、商品・サービスの設計ができれば、顧客エンゲージメントとロイヤリティを確実に向上させていくことがも可能だ。

<効果の検証例>

  • 売上への転換、商品の普及率の向上に繋がったか?
  • 商品の利用率の活性化に繋がったか?
  • NPS(ネット・プロモーター・スコア)やブランド価値などの指標の向上が見られたか?
  • 顧客離れの減少に貢献できたか?

より良いユーザー体験の提供が顧客ロイヤリティの向上に繋がっている事例としてUBER、Airbnb、TESLAなどの事例が挙げられる。このように、従来の商品・サービスを売ることを目的としたマーケティング活動ではなく、デザインの力を活用することでより顧客価値に重点をおいたマーケティングが重要となってきている。

関連記事:2017年からはユーザー体験こそがマーケティング戦略の主流になる ~UX for Marketing~

4. Internal Capability Development 〜組織のイノベーション能力を高める〜

ビジネスにおけるデザイン活用の4つ目の価値はInternal Capability Management(組織のイノベーション能力の構築)である。組織マネジメントにおいてもデザインプロセスを活用することで、説得力のあるビジョンを示し組織を一つの同じ方向に導いていくことが可能になる。

また、コラボレーティブなデザイン思考は組織内に限らず、顧客やパートナー、店舗などの外部のリソースも巻き込み、それぞれの意見を引き出し適切な役割を与えることで有意義なエコシステムを醸成していくことにも繋がる。

こうして社内でデザインノウハウが広まると、今度はそれに合わせてチームやユニットを組織化していくことが、デザインカルチャーを維持していく役割を果たす。それによりクリエイティブな発想ができる社員同士を結びつけて新しいアイディアを醸成し広めていく場を増やしていくことにつながる。

<効果の検証例>

  • 共通ビジョンの理解など組織文化における指標が向上したか?
  • イノベーション活動を支える経営陣のサポートが増えているか?
  • 外部の助言に頼りきってしまうような受身の状況が変わってきたか?
  • 組織の枠を超えるようなナレッジシェアやコラボレーションが増加したか?

下記の記事でも紹介しているように、最近ではIBMのようにデザイン思考を活用することで社内の組織文化の変革に取り組んでいる企業も増えている。組織全体でデザイン思考に取り組むことで、クリエイティブな社員をいかに育てていくかが今後の重要なテーマとなりつつある。

関連記事:デザイン思考を組織イノベーションに活用する10の方法
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5. Visionary Transformation 〜これまで築いてきたものをぶち壊し自己変革を促す〜

ビジネスにおけるデザイン活用の最後の価値はVisionary Transformation(時代を先取りするような先見的な変革)である。既に幾つかの企業ではデザインを自社の商品・サービス自体、またそれらを育んできた会社の文化・土壌までをも見直すための手段として活用している。

予期せぬ新しい競合が次々と出現してくる現在のビジネス環境や、それにより既存のビジネスモデルがすぐさま陳腐化してしまうような状況を踏まえると、企業がデザインのツールやマインドセットを活用し、破壊的な新しい市場機会や新しい組織ビジョン、新しい働き方などを模索することが当然の時代に入っていると言える。

<効果の検証例>

  • 新しい商品やサービスラインからの売上が増加しているか?
  • 優秀な人材を集める能力が向上しているか?
  • 新しいビジョンに合わせた組織文化づくりが進んでいるか?
  • ポジティブで継続的なマーケットからの称賛が得られているか?

下記の記事にもあるように、NOKIA、AVON、TIFFANYなど創業100年を超えるような長期間に亘って成功を収めている有名企業でさえも創業当時とは全く異なる商品・サービスにシフトすることで生き延びてきており、市場の変化よりも早いスピードで変革し続けていくことがいかに重要であるかが分かる。既存の商品ラインナップを破壊するような新しい商品・サービスを次々と導入し成長を維持していくことは容易ではないが、デザインプロセスの活用が自己変革を実現していく上での一つの鍵になるかもしれない。

関連記事:多様なイノベーション – イノベーションを起こすための7つの方法-

『組織のイノベーション能力の構築』が全ての鍵

上に挙げた5つのうち、Speed To Market、Market Reach、Engagement & Royalty、Visionary Transformationの4つは主に商品・サービス自体や魅力的な顧客体験をデザインする際に期待できる価値だが、4つ目のInternal Capability Developmentは組織のイノベーション能力や文化、プロセスの構築における価値である。Timの話によると、この「組織のイノベーション能力の構築」なくしては顧客にとって魅力的な商品・サービス、顧客体験のデザインは実現できないという。

ではこのようにデザインをビジネスに活用し組織のイノベーション能力を向上させるには何から始めればよいのか。今回のイベントの冒頭でbtrax CEO, Brandon K. Hillからデザインとビジネスの微妙な関係というテーマでオープニングセッションを行ったが、その中でデザインをビジネスに融合させるための6つのステップの一つとして『マインドセット』を挙げており、組織のイノベーション能力を高めていく上で『マインドセット』の重要性について触れている。

以前freshtraxの記事でデザイナーというのは職種ではなくマインドセットとの見方を紹介したが、デザイナー以外の人間もデザイナー的なマインドセットを身につけることが重要な時代になってきている。これからは特に経営を支えるマネジメント層や新しい商品・サービスを企画・開発していくビジネス側のメンバーがこのデザイナー的なマインドセットを身につけて組織全体のイノベーション能力を底上げしていくことで、本当の意味でビジネスにおける結果を出していくことができるのではないだろうか。

関連記事:デザイナーとは職種ではなくマインドセットである

参照:The Value of Design

日本の企業に世界最高のイノベーションメソッドを

イノベーション創出サービスを提供するbtraxでは、イノベーションの最先端を行く本場サンフランシスコ・シリコンバレーにて、デザイン思考や、ユーザー中心デザインなど、新プロダクト・サービス発案のメソッドを通じ新規事業の創出サポートを提供しています。このプログラムはイノベーションを生み出すための人材開発にも貢献します。

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