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  • Yuichi Shiga

    Yuichi Shiga

    Software Engineer

    Lead developer. He loves leading-edge technology, programming, application development. He is focusing on development of the Internet of Things at btrax. He also has skills of web applications development and mobile apps, he often develops applications on the weekend.

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  • Apr 19, 2015

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IoTはただのバスワードか第4次産業革命か?あなたの知らないIoTの本当の世界

いよいよ2015年4月24日にApple Watchが発売される。すでにアップルストアで体験された方も多いかもしれない。スマートウォッチはすでに他社のものが発売されているが、いわゆるギークと呼ばれるガジェット好きのアーリーアダプター以外からは、全く支持を得られていない中で、Apple Watchがどのように受け入れるか注目される。

スマートウォッチを始めとするIoT(Internet of Things)-モノのインターネット-が、スマートフォンの次の大きなトレンドであることは間違いなく、多くのスタートアップが誕生し、多くの大企業もIoTに取り組んでいる。米国のIT分野の調査会社のガードナーは、IoTデバイスの数が2015年には約49億台だが、2020年には約250億台と、今後5年で5倍になると予想している

これは驚くべき変化だが、こうした予測を目にしてもなおIoTの普及に対して懐疑的な考えを示す人も多い。だが、そのような人の多くには、決定的に抜けている視点がある。

IoT = 消費者向け製品という偏った認識

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photo by shinya

「IoTはただのバズワード」という人々の言い分

私自身はWebやアプリのエンジニアで、コンシューマ向けのWebアプリケーションや、スマホのアプリを開発してきた。そのため、普段からスマートフォンやウェブサービスの企画者、デザイナー、エンジニアと話すことが多い。最新のテクノロジーに触れている人々でも、IoTの普及に対して懐疑的な人が少なくない。彼らがよく言うのは次のようなことだ。

「スマートウォッチは、利用シーンが限定され過ぎているし、高価だから普及しない」

「1人あたり5個も6個もそんなにたくさんのデバイスを持ち歩くはずがない」

「Google Glassも結局流行らなかった」

「いまの時点でどちらが儲かるのか考えると間違いなくIoTよりスマホアプリだ。俺はスマホアプリを作る」

確かに、日々最新の情報に触れている彼らの意見は、一面では的を得ている。弊社btraxでは2015年1月にスマートウォッチアプリをリリースしたが、企画、開発を通して得られた印象は、まだまだスマートウォッチが普及するには時間がかかるというものである。ユーザーに与える価値があるかが不明確であり、電池も1日持つか持たないか。実際に、Android Wearを搭載したスマートウォッチは、2014年に世界でたった70万台あまりしか売れなかった。

Google Glassは、テクノロジーの本場のベイエリア(サンフランシスコ、シリコンバレー)であっても、装着している人を見ることは滅多にないし、スマートウォッチなどのWearableを装着している人も多くない。

IoTは産業基盤である

こういった側面だけみて、「IoTはただのバズワード、過大評価されている」と片付けてしまうのは簡単だ。しかし、スマートウォッチはIoTの中の一部のカテゴリに過ぎない。IoTというと、スマートグラスやスマートウォッチのようなウェアラブルデバイスコネクティッドカースマートホームなどの、高性能で、ディスプレイを持ち、タッチパネルやボタンなどの人間が操作できるインターフェースを持ったものを連想する人が多い。しかし、IoTの本来の意味は文字通りInternet of Thingsであり、それらに限定されていない。

温度、光、音、振動などの単純なセンサーがインターネットにつながるだけでも立派なIoTである。センサーがインターネットにつながることで、インターネットの先のクラウド上の高性能なコンピュータに接続され、”頭脳”を手に入れることができる。そしてお互いのデバイスや、様々なシステムと連携することで新しい価値を生み出す。これがIoTの本質である。

IoTを語るときには、コンシューマ向けプロダクト群としてではなく、産業基盤としてより広い意味で捉えるべきである。そもそも、ガードナーの予測にしても、IoTデバイスの総数を2020年で250億台といっているだけであり、そのすべてがコンシューマ向けでない。コンシューマ向けは約250億台のうち、約167億台、残りの約82億台は産業向けだ。

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センサーがインターネットにつながることの価値とは

では、センサーがインターネットにつながるといったいどのような価値が生まれるのか、それを理解するために、一例として音を収集するセンサ、すなわちマイクがインターネットにつながる、コネクティッド・マイクを考えてみよう。なお、ここで紹介するものは、現段階の技術では実用は難しいものもあるが、近い将来に実現可能なものである。

iOSのSiriも、一種のインターネットにつながったマイク

その前にiOSのSiriについて理解しておくと話が速い。使ってみれば分かるように、音声認識の精度は驚くべきほど向上している。実は、Siriで話したあなたの音声は、インターネットを通してAppleのサーバに送られて、そこで高度な処理が行われて、インターネットを通じて答えがあなたのiPhoneに届けられる。

Siriは、iPhone内だけに完結しているのではなく、クラウドサービスなのだ。クラウドで処理を行うことで、iPhoneの性能ではできないような、高いコンピュータの性能を必要とする複雑な音声認識処理を行うことができる。また、Appleにすべてのユーザーの膨大なデータが蓄積されていくので、Appleはそのデータを元にSiri自体の精度を向上させることができるといったメリットがある。

Siriは、音声データをクラウドに送って高度な処理を行うという意味では、極論すればインターネットにつながったマイクといえる。Siriと同じような仕組み、つまり、マイクがインターネットを通して音声データをクラウド上の高性能のサーバに送信することで、多くの情報が得られるのである。

あなたの家のコネクティッド・マイクを想像してみよう

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photo by dalioPhoto

あなたの家にコネクティッド・マイクを取り付けたと仮定しよう。常時インターネットに接続され、マイクで拾った音はすべてインターネットを通じてクラウド上の高性能のサーバの送られ、解析される。

まず最も単純で分かりやすいのは、物音でいつあなたが家に帰ってくるのか、いつ寝たのか、いつ起きたのかが、高い精度で分かるようになるということだろう。

また、声紋認識という技術を用いることで、あなたの性別、顔の形の傾向、身長、年齢などが分かり、声紋の違いにより個人を識別できる。このため、誰が訪れたのかも分かるようになるだろう。その人物があなたの家を訪れたのが3回目で、前回は1週間前だったというような情報が、クラウド上のコンピュータの解析により得られる。

次に、多数のコネクティッド・マイクが、街のあらゆる場所に設置されている状況を想像してみよう。マイクがどこに設置されているかは、設置時に紐づけておけば簡単に分かる。そのため、多数のマイクから収集されたデータを解析すれば、どこに、いつ、どのような年代、性別の人々が集まっているかが分かるようになる。また、あなたの家に訪れた人が、どのマイクがある場所から来たのかを声紋認識で紐づけることで、どこに住んでいて、どこで働いているのかまで分かる可能性がある。

インターネットに接続することで、まったく新しい価値を提供

100年以上前から存在するただのマイクが、インターネットの先の高性能の頭脳を手に入れ、互いに接続されるだけで、ここまでできるようになるのだ。今回は話を単純化しており、声紋認識にも技術的な課題は残っている。しかし夢物語ではないし、他のセンサーを組み合わせることでこれに近いデータを得ることができるだろう。

このように、単純なセンサー、機械類がインターネットに接続され、高性能の頭脳を手に入れ、お互いに連携することで、これまでそれが私たちに提供していたものとはまったく違う価値を生み出し得るのだ。さらに、他のWebサービスやシステムと連携すれば、可能性は大きく広がる。

IoT関連の企業/サービスマップ

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あなたの知らないIoT活用例

実際に、産業分野でのIoTの活用も少しずつ広がってきている。ここでは2つ、興味深い例を紹介しよう。

例1. ロンドンの地下鉄での利用

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photo py (oranje)

ロンドンの地下鉄は世界で最も古い都市交通システムの1つであるが、IoTを積極的に取り入れた近代的な取り組みを行っている。地下鉄内エスカレータやエレベータ、監視カメラ、トンネルなどにセンサーを取り付け、そのデータをインターネットを通じて収集するシステムを構築しているのだ。

集まったデータは、Web上から閲覧できるようにしている。各種のセンサデータはトラッキングされおり、機器から普段とは違う振動が出ているなど、故障する前に異常を察知し、メンテナンスチームが整備を行えるようになっている。このため機器の故障は減り、利便性は大きく向上した。導入の初期投資はかかるが、メンテナンスのコストも下がるため、長期的には利益が得られるだろう。

このような機器のメンテナンスの用途は、工場や施設などあらゆるところで需要があり、人が巡回して点検するよりもセンサーをインターネットに取り付けてデータを得ることは、利便性、コスト面でのメリットが明確である。今後様々な事例が広がっていくだろう。

例2. 大規模農業での利用

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photo by JOHN DEER

JOHN DEERE社は、大規模農家向けに、気温、土の温度、湿り気(水分量、風速、湿度、日射量などのデータを収集し、Webの管理画面から閲覧できるシステムを開発している。農家はどのタイミングで水を与えればよいかが分かるようになる。広大な農場を見回って、土の湿り気を確認する必要がなくなり、生産効率が向上する。

各地の農家から集められた情報は、ビッグデータとして蓄積されている。将来、これらを解析すれば、いつ、どのタイミングで水を与えればよいのか、どのような気温や、日射量が作物に適しているのかを知ることができるようになる。

また、ハウス栽培では、作物の収穫時期をある程度調整することができる。市場状況データと連携すれば、最も利益が出る時期に収穫できるように、温度や湿度などを調整することもできるだろう。

農業の世界では、毎年気候などの無数の条件が異なるため、それを長年の経験や勘で最適化しようとしてきた。農場に取り付けられた様々なセンサー(IoT)を用いて、生産が最適化されれば大きなインパクトがある。

IoTは産業基盤として、革命的な変化をもたらす

IoTは、まさに社会全般の基盤となるような技術トレンドである。Apple Watchのようなコンシューマ向けのIoT、ウェアラブル端末も徐々に増えてきて、我々の生活を大きく変えるだろうが、IoTは、Apple Watchや、コネクティッドカーのような分かりやすい製品として、私たちの前に現れるだけではない。

今回は比較的実現が容易な、分かりやすい例を挙げたが、Industry 4.0(第4次産業革命)と呼ばれる、製造、販売、物流までのサプライチェーンすべてにおいてインターネットを使って連携し、最適化を計るコンセプトが提案されており、特にドイツは国家戦略として取り組んでいる。このようなコンセプトが実現されていけば、知らないうちに、生活のあらゆるシーンでIoTの影響を受けることになる。

例えば、IoTの恩恵により生産効率や輸送効率が向上することで、スーパーマーケットでいつも買う製品の品質が向上したり、価格が低下しているかもしれない。また、故障で遅れる電車や飛行機の数が減ることで、知らないうちに快適な移動ができているかもしれない。

IoTの影響は多種多様な業種におよび、様々な分野で従来の職種の雇用が失われることもあるだろうし、まったく新しいタイプの雇用を生み出すだろう。IoTをただのバズワードと思っている人は、IoTの本当の姿にまだ気付いていないだけなのだ。

IoTはどのような業種、分野にいる人も無視できない大きな流れだ。もはやこの流れに抗おうとしたり、逃れることができない状況まできている。まさにいま、革命が起ころうとしているのである。

関連イベント開催のお知らせ:

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アメリカ西海岸時間、4/23, 6pmよりサンフランシスコ市内にてIoT関連のイベント”The Future of IoT”が開催されます。クリエイティブ・エイジェンシーのbtraxとハードウェア・プロダクションのPCHがパートナーシッップを組み、まだ世の中には知られていない地元IoTスタートアップとの対談セッション、プロダクトのテーブルデモなど盛りだくさんの内容。こちらのイベントは、btraxが提供する”Design the Future Series”の第一弾で、今後も継続して開催予定。先着200名、売り切れ間近のチケットはこちらから:

 

参考記事

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