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  • Itsuko Yamada

    Itsuko Yamada

    Innovation Project Manager

    Itsuko Yamada is an innovation project manager at btrax and she's been taking care of different kinds of our Innovation Programs as a facilitator. Her expertise is in design thinking, user testing and networking with startups in the Bay Area.

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  • Aug 13, 2014

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ユーザーに愛されるアプリをつくるための5の掟 〜イノベーションプログラムより〜

あなたのスマホの最初の画面にあるアプリは何ですか?

毎日頻繁に使う愛着のあるものや、状況に応じて必要なもの。逆にダウンロードしたもののほとんど使わずに画面の隅に眠っているもの。

その差は何でしょう?

大きな要因の一つは『Usability (使いやすさ)』の違いで説明されます。

今回は弊社が提供しているInnovation Programの中で、サンフランシスコデザイン会社、btrax社のCEO, Brandon K. Hillが行ったワークショップの一つをご紹介します。このワークショップは先日8月7日のオンラインセミナー Vol.2でも取り上げた話題です。数々のアプリスタートアップがひしめくSFのユーザーの感覚を汲み取って、アントレプレナーたちはどのようなアプローチでモバイルアプリをヒットさせているのでしょうか。

1. Usability vs Security

(使いやすさ vs セキュリティ)

ユーザーにとっての使いやすさとセキュリティ面は反比例すると言われています。

セキュリティを優先した場合、ユーザーには使いにくい仕様になりがち

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例えば、アプリのサインアップ、ログイン、問い合わせフォームをする時に現れる、文字がぐにゃっと曲がったような画像を読ませる認証ステップ。これをキャプチャーツールと呼びます。これはちゃんと人間が操作しているのか、コンピューターにハックされていないかを確認するためのセキュリティステップです。しかしこれは格段にユーザビリティを下げてしまいます。このような確認フォームを出来るだけ簡素化して少ないタップ数で済むように改善したものがユーザビリティの高いものとなれるのです。

Usabilityの高さを測る計算式

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もう少し分かりやする説明すると、アプリのUsability(使いやすさ)とは以下の5つの要素から達成されます。

Accessibility
そのアプリへのアクセスのしやすさ。たいていのインターネットの回線の状況下で利用可能であること。太陽の光の下など室外でも見やすい画面デザインであるなども含まれる。

Availability
ダウンロードしやすいこと。iOS, Android, Windowsどのオペレーションシステムにも対応しているとよい。

Reliability
信頼性、信用性がある。使ってて安心感のある、セキュリティにも問題のないアプリであること。急に窓が閉じてしまうなどの心配がないことも大切。

Efficiency
効率性が高いこと。操作が多すぎたり複雑で使うこと自体が面倒くさくならないように。タップした時の反応の早さやページの読み込みの早さも重要。

Expectability
期待どうりに動くこと。ユーザーがここをタップしたらこのように動くだろうなと期待した通りに動くこと。

この5点をふまえたユーザビリティとセキュリティをあわせ持ったいい例が、モバイルバンキングアプリです。

日本ではセキュリティを高めようと思うと、ユーザーに入力させる情報が多くなり、手続きの手順が長くなって使いやすさが減ってしまうのはしょうがないという風潮があります。それに慣れたユーザーも手順が面倒くさいくらいの方がセキュリティがしっかりしているような気がして安心するといったこともあるのではないでしょうか。

しかしアメリカでは真逆です。セキュリティ的に大丈夫かなと思うほど簡単な操作で便利なことが出来ることが求められます。

銀行アプリも使いやすさ優先

例えば、ChaseやBank of Americaなどアメリカで利用されている銀行のアプリでは、モバイルデバイスからスムーズに口座へアクセス出来るだけではなく、小切手を書いてその写真を撮ってアップロードするだけで入金できてしまいます。もう銀行に行く必要はありません。偽装は出来てしまうかもしれないけれども、それをカバーする保険があるというのがアメリカの文化。だからこそ、モバイルバンキングやオンラインペイメントなどにて、ユーザへの使い易さを最優先した技術革新が起こりやすいのです。

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イノベーションはセキュリティーにこだわりすぎない事から始まる

ちなみに現在では一般的に利用されている、Google Street viewやAirbnb, Uberもサービス開始前はセキュリティの問題や雇用問題など様々なことが懸念されましたが、やってみてから問題が起きたら対処するというアメリカの文化で先にユーザーを先に獲得してしまいました。ユーザーを見方につけられれば、政府に掛け合うことさえできてしまうでしょう。

 

2. Experience Before Signing up (サインアップ前のユーザー体験)

ユーザー獲得率とユーザーがログインする前の体験は比例します。

アプリはまずスマホにダウンロードされないと始まりません。ユーザーを獲得するには、ダウンロードするモチベーションを高めることが必須なのです。

例えば、サインアップする前にある程度サービスの中身を体験でき、その先はダウンロードしてくださいなどのリードはサインアップ率を高めるのに非常に有効です。

サービスのよいところを前面に出して、ユーザーの興味をひっぱってひっぱってダウンロードにつなげましょう。

とても良い例として、Fixedというアプリがあります。これは、駐禁の切符を切られた時に異議申し立てすることを代行してくれるアプリ。駐禁チケットの写真を撮って、クレームの理由を選ぶと、Fixedのスタッフがそのリクエストを判断して、クレームが通る確率を教えてくれるます。ここまでのステップまでサインアップしなくても進んでいけるのです。ここまで使う気満々になってからサインアップしてくださいと促すのです。

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このようにユーザーのエンゲージメントを最高に高めたところでログインを促すことで、そこでドロップする率が大きく下がります。

違ったアプローチとしては、最新のスタートアップでVoxelという、アプリダウンロードの前にプレビューを表示させるサービスを提供しているところも出てきています。これを活用するというのもサインアップ前にユーザーのエンゲージメントを高める一つの手段になってくるかもしれません。

 

3. Acquire Users Before Monetization (収益化よりもユーザー獲得を優先)

人気アプリの多くはユーザーに与える体験が最優先されています。

初めからマネタイズ(収益化)するためにアプリをデザインする必要はないということです。
ユーザーがつけば、バイアウトしてしまうか、ユーザーから得られる情報をBtoBで売るということが出来るからです。

例えば、InstagramやSnapchatがFacebookに買収されたのがバイアウトの代表例です。
アプリの画面に広告が出ない、余計な支払いもさせないということで、ユーザーの使いやすさが増し、ダウンロード数、各ユーザーのエンゲージメント率があがります。そうしてアクティブユーザー数が増えて人気アプリ上位に食い込むようになるとバイアウトしてしまうというのが最近のアメリカの流行になっています。

情報の例では、CrunchBaseというスタートアップのデータベースが誰にでも無料で閲覧できるウェブサイトがあげられます。CrunchBaseは膨大なスタートアップ企業の基本情報や投資情報、どの企業、どの業界の情報が今一番アクセスされているなどのトラフィックデータを投資家などに売ることで収益を上げているといわれています。

アメリカは人種のサラダボウルと呼ばれているように、様々なバックグラウンドをもった様々な収入層に向けてサービスを展開し、できるだけ多くのユーザーを獲得しなければなりません。この社会的システムの違いから、お金儲けを二の次にしざるを得ないというのも自然なのかもしれません。

 

4. KISS (Keep It Simple and Stupid) 出来るだけシンプルに

実際にどのようにアプリをデザインすればよいのでしょうか?

Motive users to use:使ってもらえるモチベーションを高めること
Many freebies:無料で利用可能なサービスを多く提供すること
Less Roadblocks:何かをする際に障害になる面倒くささを取り除くこと

まずは上記の3つの基本をおさえましょう。
そしてもしもいけるのではないか…と思ったならやってみましょう!

そしてなんといっても、KISS! (Keep It Simple and Stupid)

著名な起業家や投資家はこのように言っています

”初期バージョンはしょぼいくらいがいい”
“If you are not embarrassed by the first version of your product, you’ve launched too late.”

ーReid Hoffman (LinkedIn Founder, Investor)

LinkedInの創始者で投資家でもあるリード・ホフマンが言っているように、この機能は本当に必要かな?と疑問に思ったら始めは実装しなくてよいのです。

”恐らくモバイルアプリの初期バージョンのほとんどはユーザーが集まらずうまくいかないだろう。僕のチームが作ったアプリの1st. バージョンもかなりの大失敗だと認識している。”
“The way you should think about mobile is that your first version’s probably going to fail. The first version of Path was 70 percent a failure.”

ーDave Morin (CEO, Path)

Pathも、初期バージョンは70%くらい改善の余地のあるものだったと同社CEOは語っています。

”最初のバージョンのリリースを考えているとしたら、絶対にこれ以上無いぐらいの最低機能のものをリリースした方が良い。それでもまだ削れるところがあると僕は断言する。どんどん失敗をしまくって、修正をしまくれ。”
“I want to have all of the cool features in there, and I want to have them all working just right, and I want to make sure that it’s totally scalable to hundreds of thousands of users before I launch it. That’s almost always a mistake. Duct tape is a good thing because what it lets you do is it lets you fail far more often.”

ーDave Sifry (Founder, Technorati)

とりあえ最小限のものをリリースして、どんどん修正するのが良さそうです。

ローンチの際は、最小限のコアなサービスのみを提供し、付加価値的なサービスは次のバージョン用にとっておきましょう。TwitterやEvernoteもシンプルスタートで成功した例です。

 

5. Mobile Web Apps vs Native Apps (モバイルアプリ vs ネイティブアプリ)

モバイルアプリにはモバイルウェブアプリ、ネイティブアプリ、ハイブリッドアプリという3種類があります。

モバイルウェブアプリ
モバイルに最適化されたウェブページで、コンテンツの配置や操作方法などがモバイルに対応している、アプリ的な外見を持つものです。例えば、iPhoneでいうSafariで開くアプリのことです。つまり実際はHTMLで書かれたウェブサイトで、まずは特定のURLにアクセスし、そのページへのショートカットを自分のホーム画面に作ることでアプリのように簡単に開くことができるアプリです。

ネイティブアプリ
アプリストアでインストールし、デバイスのホーム画面のアイコンを通してアクセスするものです。ネイティブアプリは特定のプラットフォーム専用に開発されているので、そのデバイスの機能やコンテンツを最大限に活用することができることが特徴です。

ハイブリッドアプリ
ネイティブアプリとモバイルウェブアプリの配合されたアプリです。ネイティブアプリのようにアプリストアからダウンロードでき、デバイスの機能を活用しながら、コンテンツはウェブページがアプリ内に埋め込まれたような形になる。新しくアプリを開発する労力をあまりかけずに、既存のウェブサイトのアクセスしやすさを高めるために利用されることが多いです。

まずはモバイルウェブアプリのPros (長所) & Cons (短所)を考えてみましょう。

Pros (長所)

  • 開発がPC向けの延長線上にある
  • バージョン更新がやりやすい
  • デバイス依存が少ない
  • 従来のウェブサイトと同じようにHTML5で書かれるので、新しい言語を使って書き直す必要がないため、開発や更新の労力は比較的低いとされています

Cons (短所)

  • Notificationが出せない
  • Photo Uploadへの限界
  • ネット接続に依存する

ネイティブアプリにできて、ウェブアプリには難しいことは、以下の3つの点で説明されます。

Notification
基本的に通知機能はネイティブアプリしか出来ない強みです。例えばFoursquareが「今このレストランにいるのではないですか?」というプッシュノーティフィケーションを送ってくることでユーザーはアプリを立ち上げて使う。このようにアプリの通知機能はユーザーのエンゲージメントを格段にアップさせることが出来ます。ウェブサイトでもユーザーへの通知はEmailやポップアップウィンドウでできますが、そのメールやウェブサイトを立ち上げていないとできないなどの制約がかかってしまいます。

Photo uploading
スマホで写真を撮ってアップロードすることはもう日常的になってきています。それに対しウェブサイトでは写真をスマホやカメラから送って二次的、三次的にしかアップロードできません。そこが大きな便利さへのハンディキャップになってきます。

Internet access
ウェブサイトはネット回線がない時に全く動きません。それに対してネイティブアプリであれば、コンテンツがブラウザベースでもある程度ローカル側(スマホやアプリ本体)におとしておくと使うことができます。代表的な例で言うとニュースアプリがあげられるでしょう。


5つの掟をもう一度まとめると、

  1. セキュリティを担保しながらも決してユーザーの使いやすさを損なわないこと
  2. ダウンロードしてもらうためにサインアップする前の体験を充実させること
  3. 収益化よりも先にユーザーを獲得するために余計な支払いや広告掲載は避けること
  4. ローンチの際はシンプルにコアサービスのみを提供すること
  5. モバイルアプリしかできないことを利用すること

以上、Brandonからのユーザーに愛されるアプリをつくる5つの掟でした。これを意識してアプリを選んだり、実際に自分でアイディアをふくらませてみてはいかがでしょうか。

上記の内容を動画でお楽しみいただきたい方は、ページ下部よりご覧ください。

講義の後、こんな質問をいただきました。「日本で既にアプリを持っていて、それをアメリカに展開したい場合、これらのポイントは全て満たす必要はありますか?またどのポイントから手をつければ良いでしょうか?」

Brandonの回答は、アメリカのユーザーにとってのユーザビリティを見直すことから始めることです。日本で常識とされているユーザビリティが、多種多様な人種が集まるアメリカではそうではないかもしれないからです。ロードブロック (障害物)を減らすことを心がけましょう。

また、現在btraxではサンフランシスコオフィスにおいてInnovation Programを行っております。今回の「ユーザーに愛されるアプリをつくる5つの掟」もCEO Brandonがこのプログラムの中で講演を行ったものです。数々のスタートアップが生み出されしのぎを削るこの土地で、私たちと一緒にイノベーティブな新サービス、商品をデザインしてみませんか?お問い合わせはtokyo@btrax.comまで。

 

ユーザービリティを高めるUX(ユーザーエクスペリエンス)を設計するために必要な、デザイン思考に関するオンラインセミナーの様子はこちらからご覧いただけます。


 
photo by AshtonPal

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