シリコンバレー 発 これからのソーシャルトレンドと日本の現状 in Social Media Week Tokyo Part1
先週の2月13日-17日の期間、ソーシャルメディアをテーマとした、Social Media Weekと呼ばれるイベントが世界12都市で開催された。今年はイベントシリーズとしては初の試みとなる、東京でのSocial Media Week Tokyoが開催され5日間を通し、数多くのスピーカーにより様々な内容のセッションが行われた。その中で、光栄にも14日の午前10時と午後4時の2つのセッションにて登壇させて頂いたので、今回はその内容をまとめてお届けする。
そもそも今回のお話を頂いたのは去年の暮れで、イベントの内容や趣旨をよく理解しないまま、気づいたら2セッションも講演をさせて頂く事に。イベント開催の2週間程前になり、他の講演者さん達のリストを見て、事の重大さに気づいた。他の多くのセッションが対談やパネルディスカッションである中、僕の場合は、それぞれ1時間の単独スピーチ。それも同じ日の午前と午後で、それぞれ違ったテーマと言う事もあり、プレゼンの準備には相当の労力を要した。その割りにはかなりカジュアルな内容になってしまったが、from U.S.A.と言う事で、多少ご容赦頂ければありがたい。Part1では10時からの部、「シリコンバレー 発 これからのソーシャルトレンドと日本の現状」の内容について紹介する。
2月14日午前10時@講談社:
シリコンバレー 発 これからのソーシャルトレンドと日本の現状
1. Social Media の “Social”の意味?
Socialという言葉は2つ以上の生命体が交わって何かしらの相互関係を生み出す事を意味する。そしてSocialの動詞であるSocializeは、「人と関わる事」を表し、アメリカ人はSocializeと言うと常にPartyを連想する。btraxが位置するSan Franciscoでも、毎日の様にネットワーキングパーティーがカジュアルな雰囲気で開かれており、アメリカ人は好んでパーティーに参加する。従ってSocial MediaとはSocialする(=2人以上の人が交わって相互関係を生み出す)のをオンラインで行うメディアの事を指す。ソーシャルメディアは、Everyone(誰でも)Everywhere(どこでも)Realtime (今この時に)Global(世界中で)を実現した。つまりアメリカ人が望むライフスタイル、”Rock n’ Roll all Night and party every day(毎日夜通しパーティー!)”がオンライン上で出来る様になった。
2. 主要Social Media統計
グラフを見てもらうと一目瞭然であるが,ここ数年でソーシャルメディアの利用者数が大幅に増加している。18-29歳の若者層のユーザ数が最も多いのは想像がつくことであるが,驚くべきは64歳以上の利用者数も大いに伸びていることである。これはソーシャルメディアが国民全体にとって大きな存在となっている事を如実に表している。
ソーシャルメディアと一概にいえども、様々なプラットフォームが存在するため、以下では各プラットフォームの特徴と各々に関する統計を見ていく。(データは2010年から2011年のもの)

約7億5000万人(世界の人口のの9分の1)のユーザ数を誇っており、ソーシャルメディアのトップをゆく。主に自己表現、友達とのやり取り、イベント招待等に利用される事が多い。
<Facebookに関する主要数値まとめ>
- 1週間の投稿数 7億投稿(前年比2倍)
- モバイルからのアクセス数 200万(前年比3倍強)
- 1ユーザー辺りの月平均滞在時間 15時間33分
- 1ユーザー辺りの月平均投稿数 90投稿
約2億2500万人(世界の人口の30分の1)のユーザを有しており、よりリアルタイムな情報配信ツールとして使用されている。少ない文字数で簡潔に物事を述べる事が出来る日本語独自の性格とも相まって,世界各国の中でも特に日本で人気が高いと言われている。
<Twitterに関する主要数値まとめ>
- 1日辺りの合計投稿(ツイート)数 9500万投稿(前年比3倍強)
- プロフィールを掲載しているユーザの割合 69%(前年比2倍強)
- 1日辺りの新規登録ユーザ数 50万ユーザ
- 1秒間の投稿数最高記録 25,088投稿(※ちなみにこれは金曜ロードショーで”天空の城ラピュタ”が放映されていた際に主人公がつぶやいたある呪文「バルス!」を視聴者が一斉にツイートした際の記録)
約1億1900万人のユーザを有しており、主にビジネス利用であるためユーザは必要に応じて使用している傾向にある。求職・採用が目的とされるが、求職をしていない人でも登録し、キャリア情報を随時確認しているという。
<LinkedInに関する主要数値まとめ>
- 登録ユーザ数 119万ユーザ(前年比約1.5倍)
- ソーシャルメディアを活用する企業のうち、LinkedInを利用する企業の割合 95%
YouTube
約4億9000万人のユーザを獲得しており、現代の主要メディアであるTVに取って代わろうとしているソーシャルメディア。
- 月平均PV数 920億PV
- 月当たりの合計視聴時間 29億時間(326,294年!)
- 世界で最も視聴されているビデオの再生回数 4億2000万PV

3. ソーシャルメディアの始まり
メインとなるソーシャルメディアの創業者たちは、そもそも何を目的として始めたのであろうか
Twitter創業者であるBiz Stone氏が創業間もない時期に言っていた事。
「今この瞬間に起こっている事を人に知らせられる仕組みがあると面白いと思ったんだ」
Facebook創業者であるMark Zackerberg氏がプライバシー問題に関して質問を浴びせかける重鎮の前で述べた一言。
「家族や親戚、友達が何してるか分かるサービスを作りたかっただけなんだけど」
LinkedIn創業者であるReid Hoffman氏がAcademicなバックグラウンドをもとに考えついた事。
「自分に関連するプロフェッショナルネットワークが構築出来ると良いよな」
以上の発言を見ると、実際は皆当初カジュアルな用途を想定していたようである。その影響もあり、ユーザもカジュアルに使っているケースが多い。
4. アメリカにおけるソーシャルメディアの現状
ソーシャルメディアはアメリカ社会においてメインストリームとなっている。アメリカ人100人にソーシャルメディアの存在について尋ねた所、「常に利用しており、手放せない」「生活の一部となっている」などの答えが返ってくるなど,生活自体にかなり深く浸透していることがわかる。また、「イベント等の情報が手に入る」「自分の欲しい情報のみ流れてくるため情報収集として利用できる」など実用面でも高く評価されており,生活に不可欠なツールと成りえる要素も多いにあったと考えられる。
では何故アメリカにおいて驚異的なスピードでメインストリームに成り得たのであろうか。
アメリカ人の気質として、パーティーなどを通して人と関わるのが好きであり、友達になる際の垣根が低い。また、そもそも自己表現をしたいという欲求が強いため、自己をメディア化するツールとして潜在的なニーズが満たされたと考える事が出来る。アメリカという国自体が持つ環境も非常にソーシャルメディアのメインストリーム化を助けている。国土の広さから、人口密度が低く、オフラインで情報を得る機会がそこまで多くないため、オンラインであるソーシャルメディア上で得る情報が重要視されているのだ。
“TheyからWeへ”ソーシャルメディアが大きく変えた概念
従来のメディアでは世間的に著名な人間が発信する情報のみが注目されていた。近年、ソーシャルメディアによってコミュニケーションが民主化され、誰でも好きな事発言できるプラットフォームが確立されたため、非常にフラットな世の中となった。この事実をアメリカ的概念に関連づけて話をすると、そもそも情報発信者が”They(お上など自分と遠い存在)”であったのが、”We(ユーザ本人たち)”に移行したのである。情報の概念を、誰かが作るものではなく皆で作り上げるものであるというものに変えたのは、ソーシャルメディアの成し遂げた大きな成果の1つである。
5. 日本におけるソーシャルメディアの現状
上記で述べたアメリカでの現状と比較して、日本のソーシャルメディアの現状を観察すると、ソーシャルは普及してきたといえども、やはり未だギャップを感じる。
オンラインと日常生活の乖離
例えば、日本では「ネット上で〜する」というフレーズがよく使われる。これはオンラインが日常化しているアメリカと比較しても,いまだオンラインが日常生活に密着していない事を表す事実として解釈できる。日本国内、特に大都市では常に人が周囲におり、また電車の広告や建物の看板等からもオフライン情報がひっきりなしに入ってくる。従って,オンラインから情報を入手する必要性がそこまで高くないのである。
各種ソーシャルメディアの乱立
アメリカではFacebookがスタンダードとして受入れられているため、広い層を通して使用されているメディアが統一されている。反対に日本は、Facebookが流行する前にmixiがスタンダードとして存在し、その後Twitterのリリースから米国初ソーシャルメディアの利用者が増え、ここ1年ほどで急激にFacebookのユーザ数が増加している。従って国民の使用するソーシャルメディアが乱立しており、コミュニティが拡散してしまっているというのが現状である。
匿名・性悪説的設定
アメリカではユーザーを信用し、個人データが悪用されないという前提のもと、実名や実プロフィールを公開している。反対に日本では、そもそも何かしらの用途に悪用されるのではないかという疑いを持ってかかるため、自己の情報を公開する事に、未だ抵抗を感じている。従って、日本は自己表現とプライバシー保護の狭間で揺れ動いている状況にあり、現時点では若干プライバシー保護が重視されている傾向にあるため、米国よりソーシャルメディアの普及スピードが遅いと考えられる。
6. ソーシャルメディアの弱点
このように米国・日本で幅広く普及し、ソーシャルメディアを使用するメリットが様々な場面で叫ばれているが、無論デメリットも存在するという事を理解しておいてほしい。
1つに、FacebookやTwitter、LinkedIn、Google+など、様々なプラットフォームの発展により、全てのプラットフォームの管理に非常に時間を取られるというのは大きなデメリットである。ソーシャルメディアには中毒性がある事も実際問題として捉えられており、必要以上に頻繁に確認して無駄な時間を過ごしてしまうという現象が今現在世の中で頻繁に起こっている。
また、自分に関連する情報が流れてくるので非常に受動的になり易く、あえて情報を得にいこうとするインセンティブが湧かなくなる。それと類似した例として,オンライン上ではアクティブであるが、日々の生活では全くソーシャルではなくなってしまうという事態に陥るという事態も多々発生している。
個人的な問題のみではなく、新手のScamなどの外部から発生する問題も存在するため、その点でも厳重な注意が必要である。これは実際に僕が体験した事だが,友人から以下の様な内容のメッセージが来て,危うく信じかけそうになった。
「ロンドンで強盗に遭ってクレジットカードもパスポートも財布も全て取られた。フライトもあと数時間で出発する予定で,警察も助けてくれない。どうにもこうにも打つ手が無いので、大至急、僕宛にお金を送ってくれないか。」
その直後に彼からリアルタイムチャットが入り、どうにかして欲しいと頼まれた。送金しようかと思っていた瞬間、かれのステータスを確認してみたら、彼は2時間前にカリフォルニアに滞在しており,どうやら誰かにパスワードをHackされ、アカウントを悪用されていたらしい。
単純な手口ではあるが,オンラインという事もありかなり現実味を帯びていた。従って、如何に友達同士の繋がりといえども、トラブルに巻き込まれないよう、常に注意を払っておくことが大切である。
7. 今後のソーシャルメディアの展望
iPhoneやAndroid等のスマートフォンの普及で、よりリアルタイム、リアルロケーションのコミュニケーションが可能となるであろう。またオンライン上のコミュニケーションが活発化されることによって社会はよりオープン且つフラットになると予測される。先日、CESに参加した際Mercedesが開発した、運転中に友達の情報がFacebookを通して流れてくる車を見て、ソーシャルの流れがここまで来ているのかと感心させられた。このように自動車・家電・旅行・医療・不動産と全てがソーシャルに向かい、今後もソーシャルメディアを中心とした社会が広がると考えられる。
8. スタートアップにおけるソーシャルメディアの可能性
スタートアップでも、ソーシャルメディアを利用したプロモーションで、大企業と互角に戦えるため、ソーシャルを有効活用する事でより多くのビジネスチャンスをつかむ事が出来る。また、Web/モバイルサービスにおいてはソーシャル連動は必ずといって良い程必要不可欠な存在であり,デファクトスタンダードとなりうる。1つの良い参考として,大多数のシリコンバレーのスタートアップは何らかのソーシャルサービスを提供している。シリコンバレーのトレンドに続くアメリカ全土、そして日本にもその流れが波及することが予測される。
関連リンク:
筆者: Brandon K. Hill @BrandonKHill
Posted 90 days ago|
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