ソーシャルメディアにおいて必ず知っておくべき「Engagement」を得るという事 -Social Media Week in SFより-

先週、弊社CEOであるBrandon K. Hillも東京で登壇した「Social Media Week」が世界12都市で開催され、btrax本社が位置するサンフランシスコでも、市内外各地でセミナーやネットワーキング・パーティーが盛んに行われていた。サンフランシスコSocial Media Week (以下SFSMW)にて特に注目すべきであったのは、シリコンバレー発の世界的に著名な企業Adobe, Google, AOL, Razorfish, Truliaなどがイベントを全面的にサポートし、自らのオフィスを公開していたことである。各オフィスで、そこで働く社員や招待されたスタートアップCEOなどが行うプレゼンテーションやパネルディスカッションを観る事ができた。

私は、ここ最近btraxでソーシャルメディア・マーケティングを担当させてもらっているので、この機会は非常に良い勉強になるという名目で、多数のセミナーに参加させてもらった。数々のセミナーで聞いたプレゼン内容から様々な学びを得ることができたたため、ここではソーシャルメディア・マーケターの方たちにとって特に参考になるであろうことを共有したいと思う。

 エンゲージメントを得る事の必要性

今回のSMWSFの様々なセミナーを通して最も良く耳にしたフレーズ、それは「Engagement(エンゲージメント)」である。直訳すると少しニュアンスが違ってしまうので,ここでは、提供したコンテンツに対してファンが自らの時間をコミットして何かしらの行動(シェアやコメントなど)を起こしてくれる、というような意味合いで理解していただきたい。実際,コンテンツを投稿してクリック数を得る事は比較的容易であり、そこから頭を一捻りさせればいけないのは、聴衆から何らかの反応を得る事であるということがプレゼンターの皆が口を揃えて言っていた事であった。

では何故そのエンゲージメントが必要なのか。人々はソーシャルメディアにおいて、流れてくるコンテンツに興味を持つと、その内容に対してプラットフォーム上で何らかの行動を起こす(いいね!ボタンを押す、シェアする、コメントする)。その行動はウォールに現れ,その人の持つコミュニティの中の人にまで届く。例えば,btraxで1つのコンテンツを投稿した際、それをファンの全員が見てくれるとしても(現時点でbtraxのfacebookページのファンは約1800人超)、もしその記事を誰も共有する事が無ければ,その記事は1800人以上の人に見られる事はない。しかし、その中のたったの5人でも何らかの反応を示し、行動を起こしてくれれば,その5人の持つコミュニティの人にまで届くこととなる。Facebookにおける友人数が平均200人だと仮定すると、+1000人に見られる可能性が生まれるのだ。また、そのコミュニティの中の一人が行動を起こせば更に広がり、2乗、3乗に閲覧数が増えていくという現象が起きる。これを「Viral」(日本語訳ではウイルス性とかいう意味)な広がりと呼び、シリコンバレーのマーケターたちはこのViralを得る方法を日々試行錯誤しながら探し求めているのである。

今回は、人々がソーシャルメディア上(ここではFacebookを例とする)で起こす3つの行動を紹介し,どのようにして人々のエンゲージメントを得るかを紹介する。

Like

Likeは情報の拡散が始まるきっかけとしての役割を果たす。ページに対してLikeした人々のニュースフィードに、そのページでコンテンツが配信されるたびに届く事となるので,Likeボタンを押すという事は人々が「私に向けて情報を流してきて良いですよ」ということを表すサインを送ってきていると理解して良い。しかし、これは単なる入口でしかすぎない。SMWのイベントの1つ ”The New Rules of Engagement”で出ていた統計では、Likeしたファンの96%がそのページに二度と戻る事は無いという驚くべき調査結果が出ている。従って、多くのLikeを得る事は必要だが,より重要となるのは、その後に如何にして人々をページに呼び戻すか、であるということができる。

Likeを得るテクニック

「Give us a Like!」

最近よく使われているテクニックは、Likeしてない状態とLikeした状態とで見え方が違うというモノであり、人々の好奇心を駆り立てるのには適している方法であると思われる。 また、すこしあからさまではあるが、”Give us a Like!” という記述をLanding pageや投稿に付け加えるのも1つの効果的な戦略である。これは私のアメリカ人の上司から聞いた話だが,,アメリカ人は”Give us a Like!” “Click here!”と書かれたらGivingの精神からか非常に素直に従ってくれるという。良い例としてPringlesのfacebookページがある。

*Like前

*Like後

非常にシンプルな仕掛けではあるが、何となく中身が観たくなってしまうのが人間の心理であり、この戦略を以てしてPringlesは17,885,535人ものファンを得ている。彼らはまた、聴衆との会話も非常に巧みに行い,投稿毎に800近くのコメントを得ているため、是非とも一度閲覧し、参考にしてみてほしい。

Share

San Francisco State Universityで行われた”The Truth about Viral”というセミナーでBuzzFeedという、Buzzを生み出す記事を紹介するサイトのChief Revenue Officerである Andy Wiedlinの話を聞く機会があり,大変面白い内容であったため、彼の名言をここで1つ紹介したい。

”People share things that make them look clever and cool(人々は自分を賢く、カッコ良く見せるモノをシェアするんだよ)”

確かにこの言葉は非常に的を得ており、実際ソーシャルメディア上での発言は自分のアイデンティティであり、自分がどんな人であるかという事を主張する手段として用いられる事が多い。従って,従来のメディアのようにただただ自分のブランドに関してのコンテンツを一方的に流すのではなく、「人々が思わずシェアしたくなるもの」を見極めてシェアする事が大切なのである。

 

Shareされるテクニック

「Make it interesting!」

彼がプレゼンの中で1つの例として出していたのがSchick Xtreme3 Razorのプロモーション。圧倒的シェアを誇るGillette社に対抗するため、何とかして注目を浴びたい。そんな依頼を受けたBuzzFeedはなんの変哲も無いこの商品を使って如何に面白くできるか、という事を編集スタッフ一同で考え、遠近法を使ったり他の物体と組み合わせたりして、出来上がった記事がこちら”Razor-bombing”。

これは記事の中の1つの例である。

この記事は72000超の人に閲覧され,その多くがViralに広がったものである。この例から観ても明らかな様に、「どうやったら聴衆が興味をもってくれるか」を考える事は非常に大切であり,常にユーモアセンスを持ち、メッセージになんらかの工夫を凝らしたコンテンツ加えて、聴衆にアピールする事が大切なのである。

余談ではあるが,私がAndyに「日本に進出したいアメリカ人を惹き付ける為にはどんなコンテンツがいいんだろうね。」と聞いたら、“5 most historical failures companies made when they enter the market in different culture(異文化の市場に参入する際に企業が犯した,5つの最も歴史的な失敗)について書いてみたら?” とのアドバイスをくれた。「失敗」は非常に人々の関心を惹くトピックであると同時に、「こういう失敗を犯さないように」という、企業にとっても有益なメッセージを送ることもできる。非常に良いテクニックなので機会があれば、書いてみたいと思う。ちなみに、この質問をした際、突然Andyが「ツマラナイモノはダメデショウ?」と流暢な日本語を挟んできて、私は非常に面喰らった。実は彼、日本に昔6年住んでいたことがあるそうで、日本語はかなり上手に話せるのだと言う。来年はSocial Media Week Tokyoにて日本語で公演してくれることを願うばかりである。

Comment

コメントを残すというのは、最も人々にとってハードルの高い行為である。特に日本の場合、積極的に自分の意見を主張することがアメリカと比較すると活発ではない為,例えそれがオンライン上であったとしても自分の意見を残してもらう事は非常に難しい。実際私も、企業のfacebookページを見ていて何かしら思う事があっても、あれこれ書く事を考えているうちに結局何も書かずに終わるという事が多々ある。多くの人が見ると分かっているからこそ人々は躊躇してしまう、そんなソーシャルメディアならではの問題もあり,コメントを残すのはバリアが高いのである。しかしそうはいっても、コメントはLikeやシェアと異なり、最も大切な「人々の意見」であり、「フィードバック」である。ある意味では質的なフォーカス・グループや、ファン数が多い場合には量的なアンケート調査ともなり得るため、非常に重要な資産であり,企業にとっては何とかして得たい反応である。

Commentを得るテクニック

「Listen to your audience!」

1つ確実に抑えておきたいのが、聴衆が求めている物、聴衆が関心を持っているものを取り上げるということである。コメントを残してもらうにはまず、聴衆が興味を持っているトピックを察知する事が始めのステップであり,そのためには聴衆内のインフルエンサーを探し当て,彼らの興味があるトピックを取り上げることが大切である。インフルエンサーと聞くと,友達を無数に持つ、Followerが30000人以上居る有名人を思い浮かべるかもしれないが,それに限らず,自分のページによくコミットしてくれる人のこともインフルエンサーと呼ぶ事が出来る。彼らはページに何度も戻り、コンテンツの拡散に貢献してくれる大切なコミュニティメンバーであるため、彼らの興味に一致するコンテンツを提供する事が大切である。

「Bring people in the Conversation!」

上記で話したトピックに加え,アプローチ方法にも工夫が必要である。これが実際にオフラインの会話だったらどうだろうと言う観点から始めてみると良い。例えば,日本のアプリ市場について知りたい場合、「今現在の日本のアプリ市場はどの様に発展しているのか」などというアプローチより,「今流行りの○○どう思う??」とか「最近何かユニークなアプリ見つけた?」というアプローチの方が人々は確実に意見を言い易いし、会話自体に参加し易い。同じようなトピックを話すにしても、よりカジュアルに会話に参加できるようなスペースを創ってあげること、それこそが、人々を会話に引き入れ、コメントを残してもらうのに必要なことである。

また、旬の話題を取り入れる事も1つの例である。アメリカでは最近行われた国民的イベントであるアメリカン・フットボールの決勝Superbowlに関するディスカッションを用いたブランドも数多くあった。(btraxでもSuperbowlの広告費に関する驚くべき結果をInfographicでビジュアル化し、ブログに投稿した)。日本での例で言えば,バレンタイン・デイやホワイト・デイなどの親しみ易いイベントをテーマにして質問を投げかけるのも、人々の注意を魅く良いアプローチだろう。

4日目にGoogleのサンフランシスコ支社を訪れ,Google+の担当をしている人のプレゼンを聞いた。Googleはユーザーの声を真摯に聞き、それを反映して、Google+を創り上げていっているのだという。”We make brand with our customers” 彼らにとってユーザーの声は資産であり,ユーザーとのコミュニケーションに非常に重きをおいている。ソーシャルメディアが従来のメディアと最も異なる点は「Interaction(相互作用性)」があること。今現在、優良企業はブランドをユーザと共に創っていくという新しいアプローチをとっており、それこそがソーシャルメディアの美学である。btraxもTwitterやFacebookなどのプラットフォームで着実にファン数を増やし、日々のポストで,ファンと関わろうと試行錯誤している。よって、このブログの読者がコミュニティの一員となり,積極的にエンゲージし、共にブランドを創り上げていってくれる事を心から願っている。

今回SMWに参加した事で,ソーシャルメディアをより良く理解し、その魅力を知る事が出来た。ソーシャルメディアは未だ発展途上であり,何が正しいかという確固たる理論は創造されていない。また、業界ごと、企業ごと、ブランドごとに異なるアイデンティティを持っているため、全てに当てはまる「成功の原則」が生まれるかと言えばそれもまた疑問である。私はソーシャルメディアを担当し始めてまだ日が浅いが,それでも毎日何かしら違う方法を試してみることで,その結果の良し悪しが即時に手元に届き、毎日多くを学んでいる。受ける物は受けるし受けない物は受けない、同じものが注目を浴びる時もあれば浴びない時もある。 そんな曖昧さが未だ残っているからこそソーシャルメディアは非常に興味深く、より深く掘り下げてみたくなる分野なのである。

関連リンク

Social Media Week San Francisco Live stream

Social Media Week Tokyo Brandon.Hillのスピーチ「米国でのマーケティングにおけるソーシャルの価値及びソーシャルキャンペーン事例」

Posted 93 days ago
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