[イベントレポート] 第3回SF Japan Night

2011年11月3日にサンフランシスコのSOMA地区にて今回で3回目になるSF Japan Nightが開催された。このイベントは、日本のWebベンチャーが総勢300人以上の地元観客を前に自社のWebサービスを英語にてプレゼンテーションし、アメリカをメインに世界進出の足がかりとするものであり、去年10月の第1回、今年6月の第2回と引き続き、今回が第3回目となる。

9月に応募された海外向けのWeb/モバイルサービスを提供する企業約30社の中から、サンフランシスコの地元投資家、ベンチャー関係者、メディア関係者、btraxスタッフにて構成される審査委員会からの厳正なる審査を通り12社がの第1次審査を通過した。

そして今回は、本番のSF Japan Nightに先駆けて、初の試みとして10月8日に東京での最終予選が開催され、その第1次審査通過した12組が参加し、Japan Night本戦と同じように英語でのプレゼン+Q&Aが行われた。この東京でのセミファイナルでは4人の審査員によって各審査項目ごとにポイントが入りその合計点によって評価される為、1人の意見ではなくフェアに審査することができた。このセミファイナルでも全体的に格段とレベルが上がっているという接戦の中、海外に通用するであろう最終企業6社が選出された。この東京でのセミファイナルの開催と出場企業の選出方法が今までと今回の第3回目の大きな違いである。

第3回SF Japan Night

11月3日当日の朝は前日より寒波が訪れていた為、普段にも増して風が強くまた気温が下がり肌寒かった。そしてカリフォルニアとしては珍しく雨が降る場面もあり、天候が少し崩れてしまった。前回6月に行われた第2回SF Japan Nightでも強い雨が降った事からも、Japan Nightは雨との相性が良いらしい。

リハーサル

当日は午前11時からイベント会場・Mightyで出場企業のプレゼンターによるリハーサルが行われた。本番を想定してプレゼンテーション順にリハーサルが進み、各プレゼンターごとにブランドン氏から英語の話し方、ピッチでのオーディエンスの注意の掴み方、スライドへの改善点などの本番の為の多くのアドバイスが与えられた。実際にここでのアドバイスが反映され、本番で会場で歓声が起こる成功例もあった。

本番

当日はサンフランシスコの地元オーディエンスの方々で会場は溢れ返った。会場の至る所でネットワーキングが行われていたが、その陰で出場企業のプレゼンターの方達は裏で練習や確認などを行い、緊張の空気が漂っていた。ピッチが始まる19時30分頃には立ち見が出るほどに会場は満員になった。

その後、和太鼓のBGMに合わせて今回の出場企業のロゴが紹介されたムービーにのせてJapan Nightの幕が上がった。ちなみにこのムービーは、btraxの前インターン生が作成したもの。

オープニングムービー

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その後、btrax CEO ブランドン氏による挨拶があり、Japan Nightのスポンサーの1つであるN.T. Technology社の岩坂氏によるスピーチが行われた。その際にアルコールの無料券が配られるなど、アメリカらしいプレゼンテーションのカジュアルさがありオーディエンスを和ませた。

そして、いよいよメインである出場企業6社によるピッチが始まる。

 SnapDish / Vuzz Inc.(@SnapDishJP) プレゼンター: 福島 英貴氏

オーディエンスを圧倒するために、トップバッターは英語がネイティブの福島氏を抜擢。前半は表情が固く緊張している様子が見受けられたが、次第にナチュラルな英語でジョークも飛ばしながら、オーディエンスを安心させた。当日のMightyで配られていたタコスの写真をSnapDishを使って撮る等、会場を盛り上げた。

Facematch / Facematch(@FaceMatch_Tweet) プレゼンター: 伊香賀 淳氏

学生の為のピッチコンテスト、ブレークスルーキャンプ2011優勝チームであるFacematchは多くの期待が寄せられ、開始前にこの解説がブランドン氏により入った。ピッチ開始直後にメイド姿の女の子が登場し、会場を笑わせ、オーディエンスの注意を掴んだ。若さによる勢いのあるピッチ、アプリ紹介内で使われた”cute” というキャッチーな言葉、またQ&Aでプレゼンターが変わるなどで会場に笑いが溢れた。JapanNightと合わせて当日にトライアルバージョンが公開された。

midoNet / 株式会社ミドクラ(@midokura) プレゼンター: 加藤 隆哉氏

高度なクラウドネットワークテクノロジーの内容のピッチが経験豊富であり実績のある加藤氏により行われた。技術的なプレゼン内容であり、既に資金調達が成功しているこのサービスは投資家や使用したいというユーザーから注目されていた。さすがベテランであり、ピッチが慣れているという印象。本社がシンガポールにあり、既に海外展開されているのも特徴である。また、加藤氏からは翌日のAfter Partyでも若い起業家へ有難いお話も聞く事が出来た。

PIRIKA / PIRIKA, Inc(@TeamPIRIKA) プレゼンター: 小嶌 不二夫氏

ピッチ中にペットボトルを投げ捨て写真を撮るというパフォーマンスが行われ、オーディエンスにアプリの使い方を説明すると同時に注意を惹きつけた。オーディエンスの反応がある度に小嶌氏のピッチの調子が盛り上がり、またそれがオーディエンスへと伝わってきた。シンプルな言葉で伝えられるメッセージは非常に理解しやすく共感を得るものであり、またQ&Aでは彼の柔軟性と声のトーンの上下により、際どい質問も笑いに変化していた。PIRIKAは恐らく本イベントの中でオーディエンスがそのコンセプトに一番賛同したサービスとも言える。

Grow! / Grow! Inc.(@GrowBt) プレゼンター: 佐久間 竜 氏

勢いのあるキャラの一ツ木氏、クリアーで聞き取りやすい英語を得意とする佐久間氏のコンビでプレゼンに挑んだGrow!チーム。Social Tipping Platformという新しいコンセプトのサービスを分かりやすく説明。サービスを伝えたいという真剣さと真面目さが伝わり、オーディエンスの反応も受け止めるようにして聞いていた。また、Q&Aの際には、どのようにしてユーザーを取り込むかや、ユーザ1人に対して得られるであろう金額の最大値など、現実的な質問がオーディエンスから寄せられた。

Synclogue / 株式会社情報プラネット(@Synclogue) プレゼンター: 山本 泰大氏

複数のパソコン上でのアプリケーションを可能にするSynclogueは、今回のイベントにてオーディエンスが最も注目しているサービスの一つ。若き起業家の山本氏がテンポ良くピッチを進める。具体例を盛り込んだプレゼン内容は、身近で具体的な問題を解決するサービスを分かりやすく説明。Q&Aに於いても、自社のサービスの弱点をきちんと把握し答えていて、きちんと分析がされているように見えた。今イベントのトリにふさわしい内容であった。

結果発表

全てのピッチ終了後、会場にいるオーディエンスだけでなくUSTREAMの中継を見ているオーディエンスからを含め、Web投票が行われた。FacematchとPIRIKAが2強で大接戦となり、スクリーンに映し出された投票結果で何度もお互いの票を追い越し順位が変わる場面が見られたが、最終的にFacematchがわずかな投票差で優勝した。会場も満員、ピッチもオーディエンスと共に大変盛り上がり、無事大成功でJapan Nightは幕を閉めることができた。

本選では、東京での最終予選以上に英語のスキル、プレゼンテーションの質、スライドの進め方など、よく研究され洗練されたものとなっており、海外でも十分通用する程のレベルまで完成し、実際にそれを証明した。

今回のピッチで見ることができる大きなポイントが2つある。まず1つ目は、いかにピッチ前半にオーディエンスからの”このアプリは面白そう!”という注意を掴みプレゼンに惹きつけて、期待を寄せながら集中して話を聞いてもらうかということである。ただ淡々とサービス紹介のピッチを行うだけの一方方向のピッチでは、オーディエンスの記憶に残すことは難しく、オーディエンスとのコミュニケーションやキャッチボールが取れている相互関係のピッチの方が印象に残る。2つ目は、一貫してピッチに含まれているメッセージ性が強いものがオーディエンスに印象を与えるということである。”どうしてこのサービスを作ったのか”、そして”そのサービスを使ってどうしたいのか”というメッセージが非常に理解しやすいものは人々の共感を得やすい。このポイントを上手に表す方法として、米国ならではのジョークを取り入れたり、何かインパクトを与えたりする工夫などが挙げられ、今回のJapan Nightでは実際にオーディエンスを笑顔にし惹きつけさせ、そして会場全体で一体感が起こしたピッチが優秀なピッチとして評価されている。
[当日のUSTREAM]
SF Japan Night III part 1
SF Japan Night III part 2

AfterParty

さらにJapan Night翌日の11月4日、Japan Night After Partyを開催した。第3回Japan Night出場者や現地のサンフランシスコやシリコンバレーに住んでいる方々を交えたカジュアルな雰囲気のパーティーであり、会場は以前大前研一氏との対談で使用されたサンフランシスコSOMA地区のCoworking Space、Citizen Spaceである。おなじみN.T. Technology社の岩坂氏による差し入れを頂き、豪華なお酒と食事が添えられた。

「第3回 Japan Night出場者が語る、次の挑戦者に伝えたいこと」と題されたこのPartyでは、前半は第3回Japan Night出場者による反省と次のJapan Nightへのアドバイスを元にしたパネルディスカッションが行われた。

  • オープニングの挨拶 ブランドン ヒル氏 (btrax CEO)
  • 出場者によるパネルディスカッションモデレーター  本間 毅氏 (Blogger/スタートアップ支援ボランティア)
    1. テーマ  :「英語でプレゼンテーションするということ」
      パネリスト:PIRIKA/小嶌氏、Facematch/伊香賀氏、洛洛.com/安達氏 (第2回JapanNight出場企業)、途中からGrow!/一ツ木氏, 佐久間氏
    2. テーマ  :「シリコンバレーに挑戦した理由」
      パネリスト: SnapDish/福島氏、midoNet/加藤氏、Synclogue/山本氏

主なディスカッション内容

「自分のピッチを評価すると何点か?」

  • 洛洛.com/安達氏 30点―カンニングペーパーを見すぎていた為に、セリフっぽい話し方になってしまったから
  • Facematch/伊香賀氏 50点―自分達が面白いと思い、笑わせようと思った点で笑ってくれなかったから
  • PIRIKA/小嶌氏 40点―間をきちんと取らずに、笑いが少なかったから
  • Grow!/ 佐久間氏 40~50点―ユーモアが足りない、臨機応変に対応できなかった、Q&Aが対策不足だったから

「シリコンバレーに挑戦した理由」

  • SnapDish/福島氏 アメリカにいることは自然であり、できるならやろう。シリコンバレーの最先端を感覚的に知りたかったから
  • Synclogue/山本氏 ノウハウを掴む為シリコンバレーと日本との橋渡しになっているイベントに出てみようと思ったから
  • midoNet/加藤氏  アメリカ経済が未だ活発である西海岸への進出への小さな一歩として進出したかったから

[当日のUSTREAM]
SF Japan Night After Party

 

感想

今回は日本やサンフランシスコを中心としたアメリカだけではなく中国メディアでも記事が取り上げられ、全世界としても注目されるようになった。これをきっかけに今回の出場企業への更なる飛躍を期待し、日本での成功モデルとして大きな事例となり、より日本へのアントレプランナーシップを刺激し、日本国内の起業家、及び起業家を目指している方々への大きな可能性を持ってもらいたい。また、このJapan Nightに出場し優勝を収めることが日本で最高峰のサービスとして認知されるようになるだろう。

次回来年春に開催が予定されている第4回SF Japan Nightに、大いに期待を寄せることができる。

また、今回出場した企業の方々、多数のスポンサーの企業様、参加して頂いたオーディエンスの皆様、審査委員の方々、より良いプレゼンの為に貴重なアドバイスを頂いた多くの方々、そして運営のbtraxのスタッフ、今回関わって頂いた全ての方のご協力本当にありがとうございました。大変感謝しております。

 

ブランドン氏からの感想

“今回で三回目になるSF Japan Nightは回を重ねるごとにオーディエンスの注目が上がって来ていると同時に、プレゼンターのクオリティーも向上しています。今回は初の試みとして、東京で予選を行いました。これにより、出場者の英語でのプレゼンに対する意識も格段に向上していると感じた。その約一ヶ月後に開催された本番では、ネイティブのオーディエンスの前で笑いを取った方々も多く、非常にクオリティーの高いイベントになりました。これを機に、少しでも日本のスタートアップの海外展開のきっかけになれば幸いです。出場者の努力と協賛企業や運営に関わって頂いた方々の暖かいご支援に大変感謝しております。来年春に開催予定の第四回もよりいっそう良いイベントとして行きたいと思います。ご協力、お願い致します。”  by btrax, CEO Brandon K. Hill

 

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Posted 105 days ago
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