[イベント告知] 第二回ビジネス道場~Jazz Club「Yoshi’s」創設者 秋葉好江 氏~

businessdojo

3月30日に日本・東京にて、第4回SF New Tech Japan Nightセミファイナルが開催される。当日は全15社のユニークなスタートアップ企業が4月25日サンフランシスコにて開催される本戦行きをかけて火花を散らすことになるが、応募企業も回を経るごとに増加し、今回過去最高の応募総数となった。日本のスタートアップ企業の海外志向の高まりが伺える。

btrax社ではJapan Nightを通じて日本企業の海外進出を支援するとともに、実際に海外にてビジネスを展開する日本人の支援にも力を入れている。その取り組みのひとつが今回で2回目を迎える「BUSINESS Dojo(ビジネス道場)」である。

ビジネス道場は、サンフランシスコ・シリコンバレー地域の起業家精神を抱く日本人に向けて、志を同じくする同志たちと集まり、ビジネス知識および起業への意識を高めあうための機会を提供すべく始まった。起業家や専門家を1人フィーチャーし、自身の成功経験や失敗経験、起業において役立ったアプローチなど、米国で起業家として力を発揮するための貴重な情報を共有することを目的としている。

初回であった前回は、著名なコワーキングスペースであるCitizen Spaceにて、人事・異文化問題のスペシャリストとして知られるGlobalBridgeHR副社長Rochelle Kopp(ロッシェル・カップ)を招き、「シリコンバレーでの効果的な採用面接の進め方」についてのプレゼンテーションが行われた。そして、第2回となる今回は、Jazz Club「Yoshi’s」の創設者である秋葉好江氏をスピーカーに迎え、卓越したアーティストでありつつ、第一線で活躍する起業家でもある秋葉氏の起業家精神についてお話をいただく。

起業に向けた意識、知識の共有、ネットワーキングの貴重な機会である第2回ビジネス道場の参加チケットの購入はこちらから。

■イベント詳細

日時:3月27日(火)18:00~21:00

場所:Citizen Space (425 2nd ST #100, San Francisco, CA 94107)

■スケジュール

18:00 会場オープン

18:00~19:00 ネットワーキング

19:00~20:00 プレゼンテーション(秋葉好江氏)

20:00~21:00 ネットワーキング

■プレゼンテーションの内容

・サンフランシスコ近辺のベイエリアで、数多くの日本食レストランの経営者が存在する中、どうして秋葉氏は際立って成功しているのか?

・秋葉氏の起業家精神とは何か?

・長く成功し続ける秘訣とは何か?

■プレゼンター略歴

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秋葉好江

ジャズクラブ「Yoshi’s」 創設者。神奈川県逗子出身。戦争孤児で私設の孤児の家で育つ。1963年に渡米。ワシントンDCからボルチモアを経て、1968年、カリフォルニア大学バークレー校にてアートとダンスを専攻。また、ミルズ大学大学院にてダンスセラピー、パフォーミングアーツを学ぶ。1972年に日本食レストラン「Yoshi’s」を開店。同店は現在、全米屈指のジャズスポットとしてオークランド、サンフランシスコで営業中。現在、お店の経営の傍ら自宅で子供を中心に茶道、禅、華道を教えている。2011年10月に講談社より「We can do it! みんな できるさ 戦災孤児が叶えたアメリカンドリーム 」を発売。

■主催者について

ビジネス道場は、btraxGlobalBridgeHRの共同プロジェクトとして運営されています。

btrax
btrax

btraxは、異文化ブランディングとウェブコンサルティングを手がける専門会社です。新興企業や新規ブランドのほか、世界的な大手企業や広告代理店の事業支援で豊富な実績を誇り、顧客は現在6カ国に広がっています。主なサービスには、ウェブデザインとウェブ開発、Eコマース、ソーシャルメディア、携帯メディア、ブランディング、ローカリゼーションなどがあります。

globalbridge
GlobalBridgeHR

GlobalBridgeHRは、人事コンサルティングとアドバイザリーサービスを総合的に手がけており、特に米国で事業展開する外国資本企業や外資系列企業のコンサルティングを得意としています。チーム形成のあらゆる段階にわたるサービスを提供しており、効果的に社員の能力を開発し、士気を高め、成果に報いるための人事管理インフラの策定を支援しています。

公式ウェブサイト: http://businessdojoevents.com/

Facebook Fan page: http://www.facebook.com/pages/Business-Dojo/349019371797090

多くの皆様のご来場を、心よりお待ち申し上げております。

Uber ファウンダー Travis Kalanik 驚異の失敗歴

main-picこのところ、ビジネス系メディア等を通しアメリカのスタートアップに関するIPOや、大規模資金調達などの大きな成功に関連するニュースが頻繁に伝えられている。一方で、その影では想像を絶するスケールの失敗談も数えきれない程存在するが、それらが表に出る事は非常に稀である。人々の目は常に成功者に集まり、敗者にスポットライトは当たらない。

しかしながら、現在大成功を治めている人達でも、そこにたどり着くまでに乗り越えて来た数々の試練や、背筋も凍るような修羅場を経験しており、それらに関する話を聞くのも非常に勉強になる。まさにそこに焦点を当てたカンファレンスが、Failconである。

2009年より年に一度サンフランシスコにて開催されるこのイベントのテーマは、「数々の失敗ケースから学び、成功に繋げる」というもの。一日を通して開催されるプログラムは、多くの試練を乗り越え成功にたどり着いた起業家や投資家を中心に、「役立つ失敗談」を中心としたスピーカーセッションやパネルディスカッションで構成される。このイベントはSF New Techとの姉妹イベントでもある事で、チケットを頂く事ができた。数あるセッションの中でもUberファウンダーのTravis Kalanikのキーノートスピーチを紹介したい。ちなみに、Uberとはサンフランシスコに本社があるスタートアップで、スマートフォンから気軽にリムジンをタクシー感覚で利用出来るサービスである。その手軽さや便利さが大人気で、最近の成功企業との一つとして数えられている。

プログラムパンフレットに記載された彼のスピーチのタイトルは「Uber Case Study」。当然、Uberがここまでたどり着くまでに経験した様々な失敗談が語られるのかと思っていたが、内容は全く違っていた。スピーチが始まるや否や、彼が一言「タイトルはそうなっていますが、Uberは失敗ケースではありません。今日は、Uberを始める前に僕が過去10年間で経験して来た内容を話したいと思います」と切り出した。そしてその内容は、今までの自分が経験して来た失敗や間違いが、非常に小さなスケールで些細な事だったと痛感する程、凄まじかった。

多くの失敗経験を持つ起業家は沢山いるが、おそらくTravisほど多くの、そして厳しい修羅場をくぐり抜けて来た起業家は稀であろう。自身も「世界中で最もラッキーでは無い起業家」と自負している。ちなみに、「もっともアンラッキーな起業家」では無いのは、最終的にエクジットまでたどり着いたからだそう。それでは、彼のスピーチで語られた失敗歴を幾つかご紹介する。

自身の投資家に訴えられる

第一次ドットコムバブルの90年代後半、UCLAに在学中に友達とP2P系のサービスを立ち上げた。時流に乗り、LA地域の大物投資家から投資を受けたのは良いが、契約書をよく読まずにサインをしてしまった。他の投資家に事業の話をしてはいけない旨の条項に反した疑いで、告訴される。その翌日に、そのニュースがWall Street Journalに記載され、会社の評判が最悪に。投資家は怖い人たちだと学ぶ。

主要エンタメ企業33社から合計$250Bの訴訟を受ける

提供していたのがNapsterと同系のP2Pファイルシェアサービス(ユーザー同士が音楽や映画のファイルをネット上で交換可能にする)だったことで、2000年にアメリカ国内のエンターテイメントコンテンツ提供企業、合計33社からコピーライト違反の疑いで2,500億ドルの訴訟を起こさる。ちなみに訴訟額はその当時のスウェーデンのGDPとほぼ同じ。賠償金が払えないので会社更生法を申請。その後、破産申請を取り扱う裁判所にて、会社及びサービスを合法的に手放す為に、買収の為のオークションを実施。30分以内で、会社が売却される。

ネットバブル崩壊後の2001年にネットワーク系の会社を立ち上げる

上記のテクノロジーをベースに、訴訟を起こした33社への”復讐”を果たすため、メディア系企業がユーザーとなるサービスを提供するRedSwoosh社を設立するが、ネットバブル崩壊直後だった為に、誰にも相手にされない。ある有名投資家には、「ネット系ビジネスは終了した。全てのイノベーションは出尽くした。」と言われる。日銭を稼ぐ為にコンサル業務を行う。

共同創業者に裏切られる

投資を検討してもらっていたSONY Ventures社に共同創業者(Co-founder)がこっそりメール。その内容は、「どうせこの会社はうまく行かないので、僕とエンジニアを雇ってくれないか。」後日、メールを見つけた時は足下が崩れる思いをする。その後共同創業者をクビにする。のちに財務を担当してた彼が会社の税金をごまかしていた事が発覚。連邦政府への税金未納の罪で刑事訴訟寸前までに発展。

滞納していた税金と従業員の給料を払う為に奔走

税金未納の罪で実刑になるのを防ぐため、そして、7人居る従業員の給料も3ヶ月滞納してた為、必死で投資家に出資を頼み込む。やっとの事で非常に不利な条件で$300Kの資金を調達するが、税金と給料を支払った後に残った額は$90K. その後少しでも会社を存続させる為に、従業員はパートタイムになる。その後も会社存続の為に常に資金調達に追われる。

Microsoftからの買収オファーを受けるが…

開発していたシステムに対して、Microsoft社がWindowsへの組み込みを検討。会社の買収を持ちかけるが、直前まで金額が明かされない。非常に興味があると散々じらされた後、最終打ち合わせ当日に初めて公開された契約書に記載されていた金額は、たったの120万ドル。90万ドルの負債があったため、実質は30万ドルの買収オファーになってしまうので、打ち合わせを10分で終了(破談)。

Twitterで初めて届いたメッセージが退職願

資金難に直面した為、1人を除いて全てのエンジニアが会社を去る。その後カンファレンスに参加中にTwitter経由で初めて届いたメッセージは、140文字で綴られた最後のエンジニアからの退職願。その内容は、「今まで有り難うございました。僕はGoogleに転職します。さようなら。」ちなみに、彼をGoogleへ引き抜いたのは、以前に裏切りでクビにした共同創業者。

エンジニアの辞職により商談決裂

上記と同じ時期に年間100万ドルのディール交渉をAOLと行う。順調に進み、契約書の最終調整を行っていた矢先に、全てのエンジニアが退職した事実がメディアにタレ込まれ、ディールが破談になる。

会社にエンジニアが不在

2005年頃になると資金難が理由で社内にエンジニアが不在になる。知り合いに紹介された変わり者のエンジニアに必死でしがみつく思いで仕事を依頼。しかも彼には本職があり、手伝ってもらえるのは火曜日と木曜日の午後10時以降のみ。

経費削減の為にタイへ移住

自分達で安価なオフショアを実現する為に、生活費の安いタイへ2ヶ月間移住する”セルフ・オフショア”を行う。その影響か、100万ドル出資していた大口投資家が投資の打ち止めと、投資額の返却を要求。それを補填する為に、既存投資家、新規投資家、商談中クライアントを含む4社同時契約を行い、気が狂いそうになる。

10年間自分への給料は0

投資家に騙され、大手企業から訴訟を起こされ、共同創業者に裏切られ、資金調達に奔走していた10年間、自分への給料は全く払う事が出来なかった。その間は両親と住み、食事はカップラーメンのみ。もちろん彼女はできない。そのような日々10年間過ごして来た。
 
 
その後、彼の会社、RedSwooshは2007年にライバルのAkamai社へ2,300万ドルでバイアウトを成功させる。

Travisによると、これまでの数々の苦労を考えると、現在のUberにおける多少の試練は、子供の遊びのような感覚だと言う。相当の修羅場をくぐり抜け、それでも自分とヴィジョンを信じ、あきらめなかった彼には最大限の敬意を表したい。正に、”A winner never quits, A quitter never wins.” (勝者はあきらめない。あきらめる奴は勝者にはなれない) である。
 
プレゼン後の質疑の際に、「もし10年前に戻れるとして、今説明頂いた数々の苦労をしなければならないと分かっていたとして、あなたはそれでも会社を始めますか?」との質問に対して、Travisは一言、「当たり前じゃないか。色々あったけど、最終的には$23mでExitしたんだぜ!」と答えた。その際に彼の目に光っていた涙が全てを物語っていた。彼はこの10年間でお金では買えない何かを手に入れたのであろう。
 
筆者: Brandon K. Hill @BrandonKHill
 
スピーチ全編:

海外進出を成功させる為に必要な3つのポイント

main-pic日本の方々にお会いする際に頻繁に話題に上がるのが、「海外展開を成功させる為の秘訣」である。つい先日、日本から来られたメディアの方からのインタビュー時に余談として尋ねられたり、約2週間程前に日本出張へ行った際に多くの方に聞かれたりもした。その度に自分でも真剣に考えるようになり、それなりの結論が出たので、まとめておく事にした。

10/8に品川の日本Microsoft社オフィスにて行われた、第3回Japan Night最終予選会でのキーノートスピーチのテーマは、”Going Global.” 海外展開に際しての幾つかのポイントを説明させて頂いたが、日本の企業が海外展開を成功させる為には、実に数多くのハードルを乗り越えなければならない。しかしながら、よくよく考えてみると、成功のカギは最終的には下記の3つのポイントに集約されるのではないかと思われる。

ポイント1: プロダクトの品質

一つ目は単純明快、商品やサービスのクオリティである。やはり、海外展開の第一歩は、日本国内だけではなく海外の消費者に使ってもらえて、喜んでもらえるプロダクトを提供する事から始まる。ただ、一口に「品質が良い」と言っても漠然としすぎているので、具体的なポイントを3つ。

  • 既にある物のマネをしない

    去年の初め頃、会社のスタッフと一緒に、サンフランシスコのライブハウスで行われた宇多田ヒカルのライブを見に行った。あまり大きな会場では無かったが、チケットはソールドアウト。意外にもオーディエンスの多くは、地元のアメリカ人。宇多田はアメリカでもデビューしており、セットリスト中の多くがアメリカでリリースされている曲が中心、しかしながら、会場が一番盛り上がっていたのは、日本国内のみでリリースされた、1st, 2ndアルバム収録曲であった。歌詞も日本語のままなのに、オーディエンスは大喜び。実は、海外リリースの曲の多くのメロディーに日本人特有の「切なさ」が無くなっていた。アメリカ向けにプロデュースされたR&B曲は、こちらの消費者からすると、「既にある」ものであり、宇多田以外にも多くの素晴らしいアーティストが存在している。別に宇多田である必要は無いのである。

    数十年前までは、日本のプロダクトは既存の商品を上手く研究、改良し、成功したケースが多かった。しかし、大量の情報が瞬時に飛び交う今の時代、既存の商品やサービスと似たようなものをを提供しても、本物と比較され、勝負にならないケースが多い。海外マーケットでの成功事例を研究し、つい、同類のプロダクトを作りがちであるが、これからは、日本人だからこそ作れるものを提供する必要がある。

  • 市場にあった商品・サービスの提供

    上記のポイントに真っ向から矛盾しそうなポイントであるが、これも非常に重要。国や住む環境が違えば、人々のニーズも随分と変わってくる。例えば、東京の電車や地下鉄の改札では、切符ではなく、SuicaやPasmoなどのプリペイド式ICカードが利用可能であるが、サンフランシスコの地下鉄は、未だに紙製の切符が使われており、ここ数十年間は変わっていない。券売機ではおつりすら出ない有様。バスの乗り換え券は、新聞紙用のペラペラの紙を運転手に見せる。恐らく公共交通機関に対する需要や生活習慣、そして人々の考え方が要因で、市場にICカードのニーズが無いと思われる。

    もう一つの良い例としては、僕の友人が熱弁を振るう、こちらの記事でも分かる通り、アメリカではウォシュレットがほとんど受け入れられていない。日本で大ヒットしていても、海外ではどうしても響かない商品やサービスがある。Web系のサービスだと、占い系、ポイント関連、アフィリエイト関連が意外と敬遠されるケースが多い。

  • 極限までシンプルに使いやすく

    恐らく日本の消費者が賢いが故に、海外ユーザから見て複雑過ぎるプロダクトが多いように思われる。特にモバイルアプリは、国内の多くのユーザーが今までのガラパゴス携帯における複雑な操作感に慣れてしまっているせいか、その多くがユーザビリティの面で改善の余地があると考えられる。こちらのポイントに関しては、フェラーリのデザイン会社として有名な、ピニンファリーナ社の前デザイン主任で、現在は世界を舞台に活躍されている工業デザイナーの奥山清行氏が自身の著書でも、下記のように指摘されている:

    “日本人が得意として来た「切り捨ての文化」がなくなり、製品が多機能化しすぎている。日本製品の一番良かった部分は、「マニュアルを読まなくても使える」というところだったが、いつのまにか日本製品は世界中で一番使いづらいものになり、お客さんから敬遠されるようになってしまった。「シンプルにする勇気」を取り戻さないと、これからの日本製品はますます辛い事になるかもしれない。”

    商品やサービスを造り出す際は、是非削れる所は、極限まで削り、出来る限りシンプルにする勇気を持ちたい。僕自身も座右の名としているのは:

    “Perfection is achieved, not when there is nothing more to add, but when there is nothing left to take away.”
    「完成とは、これ以上削る事の出来ない状態である。」

ポイント2: ビジネスマンとしての経営者

実はこれが一番重要なポイントだと思う。インターネット技術の発達や会社法の改訂で、近年は少ない資本で起業する事が可能になった。その反面、多少技術が出来る人や、アイディアがあるだけでビジネスをしようとしているケースも少なく無い。本来、経営者に向いているタイプの人は、かなりユニークで、あまり多くは居ないはずである。経営者がインターネット技術を利用してビジネスをしているのではなく、ネットの技術に詳しい人が、好きな事をしながら商売をしようとしている場合に遭遇する事が多い。一方で、長期的に成功している会社は、やはり経営陣がその業種に関係なく、ビジネスの神髄を突いていると感じる。経営者として必要なのは:

  • お金儲けへの嗅覚

    日本に行くと感じるシリコンバレーとの大きな違いは、「お金儲け」に対しての姿勢。こちらの起業家や経営者の多くが、何かを始める前にまず真っ先に考えるのは、それが儲かるかどうか。そして、ヒットした場合はどのくらいのお金になるか。逆に、儲かる見込みが少ない事業に関しては、手を出さない。経営のプロとして、貪欲なまでの執念が感じられる。その一方で、日本のスタートアップの経営者の方々が事業を始める理由として、「面白そうだから」を挙げているケースが多い。恐らく、安易にお金儲けの話を出す事が文化的に敬遠される背景があるのかもしれない。しかし、経営者になる以上は、生きるか死ぬかの戦いになるので、お金に対する嗅覚をとことん研ぎすませる必要がある。逆に、「こいつはデキル」と思わせる方は、消費者へのメリットを最大限にしながらも、卓越した収益スキームを確立している。

  • リーダーシップ力

    以前のこちらのポストでも説明したが、国際的な競争力のある会社を作り上げるには、海外のスタッフも積極的に取り入れ、ダイナミックな環境を作る必要がある。それに際して求められるのが、経営者のリーダーシップ力。多種多様な人種や文化的バックグランドを要する会社を引っ張って行くには、日本人だけで構成される会社とは別次元での統率力が必要とされる。従業員の心をつかむには、専門的能力に秀でた「仕事力」そして、人格、コミニュケーション能力から構成される、「人間力」の両方を兼ね備えたリーダーになる必要がある。それぞれの分野に於いて自分より優秀な人材を獲得し、最大限のパフォーマンスを発揮してもらえるような環境づくりもリーダーの仕事となる。

  • 頭脳明晰で理論的

    単純言って「頭が良い」経営者がいる会社が成功する。ただ、その頭の良さが専門的な部分だけではなく、広い視野で物事をとらえ、理論的に考える事が出来、議論が得意で、相手の気持ちも感じ取る事の出来るようなMeta的な要素も必要になる。現代の日本では、いわゆるトップエリート達が会社を興す事が少なくなって来ているが、学歴に関わらず、会社にとっては総合的に頭の良い経営者が必要である。ちなみに、アメリカでは、上記の頭の良さを兼ね備えた、プロの経営者が経営者職を請け負うケースも多々ある。つい先日も、友人が自分の会社に経営者を雇い、成功報酬型で会社をエクジットさせていた。その一方で、今までの経験上、皮肉にもMBA保持者は経営に向いていないような気がする。

ポイント3: 語学/コミニュケーション力

いまさら、英語を中心とした語学力はあまり関係無いと言いたい所だが、こればかりはどうしても避けて通る事が出来ない。世界の共通語は英語であり、どんなに優秀でも英語力に欠けている事だけが理由で世界に展開出来ないのは悔しい。やはりどう考えても語学力は重要。それも、単純に英語が出来るという事ではなく、明確に意思疎通が出来、スムーズに会話が進んで行くレベルのコミニュケーション能力が必要とされる。逆に考えると、特に流暢ではなくても、しっかりと相手の言っている事を理解し、自分の意志を伝えられればOKである。

  • 基本的な語学力

    とりあえず基本を抑えるだけでもかなり良い。実にアメリカで生活していると、日々使われる英語の約80%以上は日本の中学レベルの英語である事が分かるであろう。恐らく残りの20%のうち、15%はこちらのポストで出てくるような、高校や大学でも教えていないスラング的表現である。ちなみに、移民の多いアメリカでは、英語がネイティブでは無いケースも多く、なまりをさほど気にしていない人々も多い。実に、先日参加したイベントで壇上でスピーチしていた方の北欧なまりに対して、観客の女性から「セクシーだわ」との声もあった。若干のなまりも個性に変えるぐらいの心構えが必要。

  • 議論/発言力

    アメリカを始めとした海外では、会議の際に発言しないスタッフは無能と見なされる。日本で働いた経験のあるスタッフは間違った発言や上司への反論意見を恐れて、滅多に発言しないケースがあったりするが、逆効果である。たとえ間違った意見でも、とりあえずどんどん発言してみて、全員で議論するのがプレインストーミングの基本である。その際は誰がどのような意見を言ったかは重要ではなく、とりあえず発言する事が評価の対象となる。また、会議中は役職や肩書きにとらわれる事無く、自由に発言する事が出来る反面、たとえ社長であっても、納得出来る説明が出来ない限りは、スタッフの賛成を得る事も出来ない。相手の意見を否決する際も、なぜ良く無いかを納得してもらう必要がある。

  • ユーモア

    コミニュケーションにおいて、意外と重要になってくるのがユーモア。日本だと仕事中に冗談を言うのは御法度な会社もあるだろうが、例えばアメリカの場合、かなり深刻な場面でもジョークを飛ばしたりする。それにより、周りの空気を和らげ、人々の気持ちをリラックスさせる事で、良いアイディアを引き出したりする事もある。逆にジョークの一つも言えない人は、仕事もできないと思われるケースもある。シリコンバレーで四六時中パソコンに向かっているギークと呼ばれる人々も、話してみると意外と面白い場合も多い。毎週末がパーティーで初対面の人とと話す事に慣れているのが所以であろう。

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    上記の「プロダクトの品質」「ビジネスマンとしての経営者」そして「語学/コミニュケーション力」で構成される3つのポイントは、三種の神器と言っても良いほど、海外展開に際して非常に重要になってくると思われる。実は、3つ全てが揃っているケースは稀で、多くの場合、どれか一つが欠けている。その場合は、残りを補う事で、可能性が飛躍的にアップすると思われる。

     

    筆者: Brandon K. Hill @BrandonKHill

これからの会社に最も重要な資産: エモーショナル・エクイティ

main-pic数年前にサンフランシスコのダウンタウンで開かれた中小企業向け無料セミナーシリーズにて、知的財産権についての講義を受けた。講師によると、どうやら企業の価値を構成する要素は、時代と共に移り変わっているという。1980年代ごろまでは、工場や設備などの規模に代表される有形財産が企業価値の80%を占めていたが、90年代に入ると、企業価値を構成する要素の大部分が特許やブランド、そして社外秘ノウハウ等の無形財産に取って代わったという。

例えば明日、世界各地のコカコーラの工場が一瞬にして焼失しても、彼らのビジネスは揺るぎは無い。なぜなら、彼らには確固たるネームバリューと、顧客ベース、そして、世の中の人々を虜にさせる秘密のエキスの調合方法と特許があるからだ。

それでは、これからの企業にとって最も重要な資産は何であろうか?そもそも企業資産とは、会計におけるバランスシート上の数字で見ると、現金や不動産、設備、そして株式による時価総額等の財産の合計額である。しかし、その一方で、売り上げを生み出す収益源である顧客ベースも大切なのも確か。もしくは、その企業に勤める従業員が最大の資産だとの考え方もある。

しかしながら、為替やインフレ/デフレを中心とした貨幣価値の上下、刻一刻と変動を続けるマーケット、そして流動性の高い人的リソース環境等、近年においては確かなものがほとんど無い。実は、そのような状況下で最も重要な資産とは、世の中の人々が個々の企業に感じる『感情』であるといえる。これからの急激な変化の中では、感情的資産 (エモーショナル・エクイティ) を着実に構築する企業が生き残り、マーケットを掌握すると考えられる。

エモーショナル・エクイティとは?

日本語で言うと、”感情的資産”と訳される企業におけるエモーショナル・エクイティとは、そこで働くスタッフ、その顧客、そして無料ユーザーまでもを含む人々がその企業に寄せる思いの量である。具体的には、人々がその企業に対して、例えば下記のようなポジティブな感情を抱いている場合、その企業はエモーショナル・エクイティが高いと言える。

  • 商品が欲しい
  • サービスを受けたい
  • サービスを使い続けたい
  • 働いてみたい
  • ずっと働きたい
  • オフィス訪問してみたい
  • ロゴの入ったグッズが欲しい
  • 応援したい
  • 関わりを持ちたい
  • 援助したい

 
上記で表されるような思いの量が多ければ多い程、会社の資産となり、会社の価値がアップされるという考え方である。例えば従業員の場合、その会社で働く事に対しての誇りであり、顧客から見るとブランドロイヤリティである。また、無料ユーザーからしてみると、「無くなっては困る」サービスを提供する企業であったりする。

Google社を例にとってみると、インターネットを使うほとんどのユーザーが検索エンジンを始めとし、彼らが提供する多くの無料サービスを利用している。おそらくお金は払っていなくとも、多数のユーザーにとって、無くなっては困るサービスである事は間違いない。故にエモーショナル・エクイティが高い会社と言える。

Appleの製品はどうだろうか?恐らく、Mac, iPhone, iPodなどを始め、多くの人々にとっては既に生活必需品とも言える商品を展開している。「Apple以外は検討対象にもならない」と考えている消費者も少なくは無いはずだ。

また、多くのスタートアップに見られる、スタッフや関係者に「タダでも協力したい」と思わせる強いビジョンと世界を変えるようなサービスを造ろうとしている会社も、たとえ会計上の資産が無くても、高い価値を有していると言えるだろう。その一方で、ビジネスモデルの社会への貢献度が低かったり、CEOのスキャンダル等で従業員の不信感を招いてしまった会社は、スタッフの忠誠心が下がり、エモーショナル・エクイティが低くなる。この場合も具体的な数字では表れないが、着実に会社の価値は下がっている。

高エモーショナル・エクイティのメリット

エモーショナル・エクイティを高める利点は幾つかあるが、大きく分けると、マネージメントとマーケティングそれぞれのチャンネルにおいて、非常に重要な効果を発揮する。

マネージメントに対してのメリット

こちらのポストでも分かる通り、この会社、btrax(ビートラックス社)を始めた当初は資本金が極わずかで、スタッフに人並みの給料を払う事が難しかった。そこで、立ち上げメンバーは全て3ヶ月の無給インターン扱いとした。その代わり、一緒に仕事をする事で他には得られない経験や、会社の将来性を説き、スタッフのやる気をある程度キープする事が出来た。それ以来、新卒採用スタッフは学生の時に無給インターンをする事が会社のカルチャーとなっている。また、一度採用したスタッフも、会社のスタッフである事に誇りを持ってもらい、長期間働き続けたいと思ってもらうことで、アメリカでは珍しい低い離職率を達成している。会社に資金力が無い場合は、高いエモーショナル・エクイティを保持する事で、給料以外の目的でも働いてみたいと思ってもらえるような状態にし、人事を優位に進める事が可能になる。

マーケティングに対してのメリット

もし来月からFacebookが月$5の利用料を要求し始めたら、どのくらいのユーザーが利用し続けるだろうか?また、今年いっぱいでApple社が倒産を発表したら、それを防ぐ為にどのくらいの救済金が集まるだろう。また、一説にはもしTwitterが金銭的な理由でサービスを終了しなければ行けない事態になったとしても、その影響力や世の中への貢献度が理由に、アメリカ政府が助成金を出してでも救済するという。もし、彼らの商品やサービスが有料/無料問わず、消費者や世の中にとって、欠かす事の出来ない物になっていたとしたら、その会社に時価総額では図ることの出来ない価値があると言える。企業にとって、たとえ現時点での収益が少なくても、エモーショナル・エクイティを積み上げて行く事で、無形ではあるが、着実に企業資産を構築していると言える。

エモーショナル・エクイティ構築失敗事例: Netflix

一方で、大きな成功を収めながらも、エモーショナル・エクイティ構築に著しく失敗した例もある。アメリカ・シリコンバレーのオンラインDVDレンタル最大手, Netflixが2011年中頃から行っているサービス及び価格の改変発表である。1999年の創立以来、飛ぶ鳥を落とす勢いの快進撃で、既存DVDレンタル大手のBlockbusterを倒産まで追い込んだ。お得な料金で延滞料を気にせずオンラインからDVDをオーダーし、インターネットを使って映画をストリーミングで見る事が可能な同社のサービスは、多くのユーザー獲得に成功した。しかしながら、2011年7月に具体的な理由も無く、いきなり月間費用を60%アップする事を発表。その直後からFacebookファンページやtwitter上に強烈な勢いでネガティブコメントが寄せられた。それに加え、直後に同社は2012年2月より、DVDレンタルとストリーミング事業を分け、ユーザーに別々のプランに加入する事を要求。この決定は完全にユーザーからの反感を買い、ネットではユーザー主導によるNetflix解約キャンペーンが横行し、発表直後から同年9月末までにNetflix社の株価が半分近くに下落した。この事態に対し同社CEOはインタビューに対して「完全にしくじった」と漏らした。一連の事件でNetflixが所有するエモーショナル・エクイティが著しく低下したと考えられる。

エモーショナル・エクイティを図る方法

感情的資産と訳されるエモーショナル・エクイティはもちろん目に見えない物であるが故に、数字で図る事は非常に困難である。しかしながら、恐らく下記の計算式で算出される。

ポジティブな感情(感情資本) – ネガティブな感情(負債) = エモーショナル・エクイティ(感情資産)

もし自社の商品やサービス、そして会社自体の感情的価値を知りたいのであれば、下記の問いの答を想像するのが良い方法であろう。

  • もし既存の無料サービスが有料になったら、どのくらいのユーザーがアカウントをキープするだろうか?
  • もし従業員全員の給料が半分になったとしても、どのくらいの人数が働き続けてくれるだろうか?
  • もし会社の経営状態が悪化し、倒産の可能性が出て来た時点で、どのくらいの救済金が集まるだろうか?

 
極端な表現をすると、企業に関わる人々のその企業に対する依存性レベルがある程度の一つのバロメーターとなる。

エモーショナル・エクイティ構築方法

ではどのようにエモーショナル・エクイティを構築すれば良いのか?シンプルな答えは無いが、恐らく構成する要素としては下記が考えられるであろう。

  • 会社のビジョン
  • 商品・サービスの社会貢献度
  • イノベーション性の高い商品・サービス
  • リーダーのカリスマ性
  • 会社のカルチャー (こちらのポストを参照)
  • サービス/商品の魅力
  • 有料/無料ユーザーへの提供価値
  • ブランド力

 

企業資産とは目に見える数字だけではなく、そこに関わる人々の思い、そして彼らの心をどれだけ掌握しているかを考慮する必要があると考えられる。世の中に貢献し、多くの人に喜ばれるサービスや商品、そしてスタッフが誇りを持って貢献出来る会社のエモーショナル・エクイティは非常に高い。これからの経営者は会社の業績アップや規模拡大だけではなく、確実なエモーショナル・エクイティの構築も大きな仕事の一つとなる。

 

筆者: Brandon K. Hill @BrandonKHill