「迷ったら逃げろ。 」
これはNEW PEOPLE, Inc. CEO 堀淵清治氏が日本の若者へ送ったメッセージだ。
まずは直面していることから逃げろ、と言いたい。これを選ばなきゃという社会的プレッシャーや不安は確かにある。だけど、思い詰めることなんて何もない。とりあえず迷ったら逃げる。逃げられなくなったら腹をくくる。
「そういう考えの方が、世界平和の役に立つと思うんだけどな。(笑) 」と最後にお茶目に付け足す堀淵氏は筋金入りのヒッピーだった。早稲田大学法学部卒業後就活をせずにそのままアメリカへ飛び立ったまま、10年間事実上仕事をせず山にこもっていたという。しかしその後1985年に会社を立ち上げた彼こそが、日本が世界に誇るマンガという文化をアメリカ、そして世界へ広めた第一人者。彼は今、ここサンフランシスコでまた新たな挑戦を始めている。一起業家として、堀淵氏にこれまで、そして今後のビジョンを伺った。
自分の直感に従って「面白い」と思うことにトライし続けてきた結果が、日本とアメリカ、そして世界とを結ぶ「文化の架け橋」となった。(中略)我々ひとりひとりの直感は、きっと世界のどこかでつながっている。僕はそう信じている。
(『萌えるアメリカ』 P11)
なぜアメリカに来ようと思ったのでしょうか。
大学三年のときに友達と一ヶ月サンフランシスコを旅行。この全てを包み込むような雰囲気にすっかり惚れ込んでしまって、卒業と同時に渡米。なぜ日本で就職しなかったかというと、知らない誰かと机を並べて仕事をするのが嫌だった。
どのようにして日本のマンガをアメリカに持ってこようという発想を思いついたのでしょうか。
大学生時代、マンガは好きだったけどマンガオタク、という訳ではなかったんですよ。久々に一時帰国した際に読んだ大友克洋の『童夢』を読んで、日本のマンガはここまで進んでいるのか、と衝撃を受け、1985年、小学館のオーナーに会ってそのときふと「日本のマンガをアメリカでやったら面白いと思うんです。」と話したことから話が始まった。
ビジネスなんてほとんど何も知らなかったしマンガオタクでもなかったけど、逆に知らなかったことが良かったのかもしれない。
堀淵氏は1986年7月7日に小学館の出資を受けVIZ Communications, Inc.を設立。1999年のアメリカでのポケモンの大ヒットや、2002年にはアメリカ版週間少年ジャンプを販売開始。まさにアメリカにおけるマンガ/コミックス市場拡大を牽引してきた。
卒業と同時に渡米し、マンガオタクでもなくビジネスの知識もなかったという堀淵氏。金儲けやビジネスに興味が無く、自分のやりたいことを追い求めて気付いたら会社という形になって人が周りに集まっていた—多くの起業を志す人々は堀淵氏のように自分のやりたいこと、夢を追い求めて結果会社を作りたいと思い起業家となるのだろう。ではその後、世の中から求められて会社を大きくしていく必要がでたとき、どのようにその組織を大きくしていくのだろうか?
起業家、経営者として、どのように組織を大きくしていくのでしょうか。
できない。僕にも君にも。そもそもの発想が違うから無理なんだ。
そういったことを考えてくれるパートナーがいてくれれば大きくなる。逆に経営者はentrepreneurとしての最初のビジョンが何よりも重要。僕みたいに適当にやっていこうって人もいるけど、100人近く(の組織)になってくるといい加減なことは出来ないよね。(笑)だからHRが必要になってくる。
会社を大きくしていくこともなかなか勇気がいる。その辺はまあ、そうなったときに考える。とにかく自分の思い描くコーポレートカルチャーを作り守って行くこと、ビジネスパートナーとして会社のことをきちっと考えてくれる人、この2つが重要。
1987年に堀淵氏を含め4名でスタートした VIZ Communications, Inc.はその後2003年に小学館と集英社の合同出資を受けてVIZ, LLCに。2005年にはマルチメディアカンパニーとしてのブランドを確立するために小プロエンターテインメントと合併しVIZ Media, LLC.と改名。アメリカに日本のマンガが広がると同様に拡大していったVIZだが、現在堀淵氏の軸は出版業務から映画配給やイベント運営に移っている。
2009年、堀淵氏はサンフランシスコのジャパンタウンにNEW PEOPLE, Inc. という新しい会社、そして同名のビルを立ち上げた。
現在はマンガ出版の第一線からは退かれているとのことですが、どのようなことをされているのでしょうか。
ビル建てたからね、NEW PEOPLE の管理運営かな。(笑)あと映画の配給とポップカルチャーのお祭り、アメリカに進出してくる日本企業のお手伝いをしている。
特にビルに関するところでは、京都のデザイナーと100%made in Japan、失われつつある日本の伝統技術で『SOU・SOU』というブランドを作っている。例えば、地下足袋は放っておいたらなくなってしまうけど、スニーカー風にして・・・ゆっくりでいいからこれを世界中に売り出して行きたい。日本の伝統文化を守るためという民族主義的発想よりは、(日本の伝統文化は)純粋にかっこいい!っていう発想。かっこいいものを作りたい。
そう語る堀淵氏は著書の中でも日本という国の魅力を以下のように述べている。
僕にとって日本の魅力とは、この国のおおらかさや曖昧さから生まれる美しい柔軟性だ。(中略)ではその(日本人らしい)オリジナリティとは何なのかとあらためて考えるとき、僕はやはり、アメリカへやってきたすぐの頃、ヒッピー文化を通じて精神世界や東洋思想に触れた際に思いがけず再開した「八百万の神々が住む国ニッポン」の美しい自然を思い起こす。(中略)それはつまり、世界はいつも我々とつながっているのだということを、古代から聖域として遺し伝えて来た国のオリジナリティだ。
(『萌えるアメリカ』 P244)
今後のビジョンについて詳しくお聞かせください。
日本の価値を世界に紹介する「文化ビジネス」を今後もっとやっていきたい。日本の知恵・ノウハウをもっとアメリカに、そして世界に伝えていきたい。ただこればっかりはなかなか一起業がビジネスとしてやることに限界を感じていて、本当は国がもっとお金を出してやっていく必要があるだろう。
具体的に今後やろうと思っていることは2つ。
1つは1年に1回行われるJ-POPサミットをもっと洗練させて大きくしていきたい。
あとは日本からアメリカに来たいと思っている若い人や会社へのコンサルティング。今、パワーはアジアに向いているけどアメリカは巨大な国で、ここで何か出来ることはないかなって来る人がたくさんいる。一緒にやれて、自分も面白くて、ビジネスも上手く行くと思うものをお手伝いしたい。
ただ、アメリカだから自由でいいでしょ、って思ってる人がいるけどそれは違う。どこでも人と人との基本の付き合いがあるから礼儀をつくすとか最低ラインの基本が無いとダメ。
今年で4回目となるJ-POP SUMMIT Festivalは「Cyberpop Overload!」をテーマに2012年8月25日、26日にサンフランシスコのジャパンタウンで開催される予定。詳しい情報はNEW PEOPLE, Inc.のwebサイト まで。
2012年3月30日、東京・渋谷のVOYAGE GROUP にて第4回SF Japan Night 最終予選会が開催された。最終予選会では、サンフランシスコで行われる本戦行きを賭けて、一次審査を通過したWeb・IT系ベンチャー15社がネイティブの審査員たちの前で英語によるプレゼンテーションを行った。
英語でのプレゼンテーションに加え、同日に行われたMOVIDA JAPAN株式会社CEO孫泰蔵氏他をパネリストに迎えたパネルディスカッションも大きな話題を集め、観戦チケットは完売、当日会場には200人以上が訪れ、立ち見も出るなど大きな盛り上がりを見せた。
パネルディスカッション
テーマは「今、グローバル起業家に求められる要素」、パネリストにはMOVIDA JAPAN株式会社 CEO孫泰蔵氏(@TaizoSon)、インキュベイトファンド 創業者兼代表パートナー本間真彦氏(@masahiko_honma)、元Quora デザイナー上杉周作氏(@chibicode)、btrax CEO Brandon.K Hill(@BrandonKHill) を迎えた。
ここで、パネルの中での重要発言を紹介したい。
グローバル起業家に必要な気質について
孫泰蔵氏 「大きくものを考えることが重要。日本の既存の常識にとらわれずに自由な発想で壁にぶつかっても何度も立ち上がっていくことが求められる。」
グローバル起業家に求められる技術について
上杉周作氏 「(エンジニアが注目されがちだが)シリコンバレーに来るならプロダクトデザイナーのように企画からデザイン、コーディング、QA、ローンチと全体を通して見れることが重要。」
日本の教育について
孫泰蔵氏 「クリエイティブで自由な発想ができるようにならなければならないし、そのような教育制度に変えていくべき。」
Q&Aコーナーでは会場にいた観客の方から鋭い質問が飛ぶ一幕もあった。
Q.デザイナーだとしてなんでスタートアップやるんですか?フリーランスでいいじゃないですか?
Brandon 「元々はフリーランスのデザイナーだった。技術も時間も情熱もかけて自分のやりたいデザインをやり続けていたけど、あるとき、自分のつくったものが世の中に与えるインパクトがあまりにも小さいことに気づいた。それなら、優秀な人を集めて、世の中にもっとインパクトを与えていこう、という自然と会社を作るという選択になった。」
世界を目指す起業家への一言アドバイス
Brandon「まずは一歩を踏み出してみることが大切。」
上杉周作氏「選択肢は1つではない。」
孫泰蔵氏「サービスを作る際に全部英語でやること。たとえ日本でローンチするものであっても英語版を作ってしまって、必要に併せて英語版をローカライズしていけばよい。」
本間さん「付き合う人を選べ。」
15社の第一次審査通過企業による英語プレゼンテーション今回のJapan Night セミファイナルでは、過去最多となる15社のWeb/IT系ベンチャーが全員が外国人で構成される審査員の前で英語によるプレゼンテーションに臨んだ。
ちなみに、審査員は以下の7名。
Brian Nelson , Founder & Chairman, BNC Co., Ltd.
Russell Cummer , President, Exchange Corporation K.K.
David Collier , Founder, Pikkle KK
Vincent Shortino , General Manager, Crunchyroll K.K.
Craig Mod , Mentor at 500 Startups, Founder at PRE/POST
Jonny Li , Organizer, Startup Weekend Tokyo
Brandon Hill , CEO, btrax Inc.
審査員についても、有力企業の創業者・CEOを含んだ例年にない豪華メンバーとなった。
プレゼンテーション、質疑応答ともにすべて英語というのがJapan Night の大きな特徴であるが、
ネイティブ顔負けの流暢な英語で会場を沸かせたプレゼンターもいた一方、特に事前準備の難しい質疑応答の場面では、慣れない英語での返答に苦労するプレゼンターも少なくなかった。
しかしながら、全体的にいずれのチームのプレゼンテーションも工夫に富んだ非常によく練られたものとなっており、クオリティーの面では過去のJapan Night と比較しても決して遜色のないものであった。
ファイナル出場企業6社
今回のセミファイナルで、審査員から特に高い評価を受けた15社中6社の企業がサンフランシスコにて行われるJapan Nightファイナル への切符を手にした。
その6社を主催者側からのプレゼンテーションの感想とともに紹介したい。
Japan Night ファイナル 出場企業(アルファベット順)
ロボットを介して友人と一緒に音楽を楽しむことができる音楽コミュニティ。
ユニークで完成度の高いサービスで審査員から非常に高い評価を受けた。
世界中のコワーキングスペースを繋ぐアプリ。デモ形式での説明が秀逸で、実際の使用状況や使用方法のイメージがつかみやすかった。
「いいお店は、さがすまえに聞く」をコンセプトにした美味しいレストランを見つける方法を提供するサービス。サービスの説明が明快かつ簡潔にまとめられており、質疑応答もスムーズであった。
モバイルアプリ開発に必要な全てを統合したクラウド上のプラットフォーム。問題点、解決策が極めて明確に整理されたプレゼンで高い評価を受けた。
iPad や iPhoneを用いて楽しく楽器を演奏するための電子楽譜・レッスンサービスを展開。”wikipedia for musician”というキャッチーなフレーズを用いた、落ち着いたプレゼンが印象的だった。
高機能なタブが特徴の無料WEBブラウザ。ビジュアル的に工夫された、堂々としたプレゼンが印象的だった。
セミファイナルを振り返って
7人の審査員のうちの一人、btrax社CEOブランドン氏に今回のセミファイナルの感想を伺った。
- 今回のセミファイナルを振り返ってみて、どう感じるか?
「パネルディスカッションも15社によるプレゼンもとても充実した内容だった。プレゼンのレベルは年々確実に上がっていて、とてもレベルの高いプレゼンが多かった。」
- ファイナリストを含む世界を目指す起業家に対してアドバイスは?
「審査の過程で改めて気付いたことがある。それは、プロダクトもプレゼンも、どちらも良くなければいけない、ということ。プロダクトが良くても英語プレゼンが駄目・・・というのでは意味が無い。今後グローバルな起業家として日本から世界に出る上で、プロダクト、そしてプレゼン力を更に磨いていってほしい。」
6社のファイナリストは今月25日にサンフランシスコにて行われるSF Japan Night本選 に臨む。
目の肥えたサンフランシスコの地元オーディエンスたちを前に、彼らがどのようなプレゼンを披露するかに大きな注目が集まっている。
ファイナルの詳細
日時:2012年4月25日(水) 17時30分〜23時
場所:MIGHTY @San Francisco 119 Utah St, San Francisco, CA 94103
チケットはこちらから:
以前より出場の募集が行われていた第4回SF New Tech Japan Night の出場企業6社を決定する予選最終会が、3月30日(金)に東京・渋谷にて開催される事になった。
同イベントは今回で4回目を迎え、これまでにも、500Startupsから資金調達に成功したmyGengo 社(第1回出場)、ビジネスチャットツール「ChatWork 」が海外展開を果たしたEC studio (第2回出場)、米国での会社登記を済ませ、米国進出に向けて着々と準備を進めているGrow! Inc. (第3回出場)など、数多くのベンチャー企業がJapan Nightをきっかけに海外進出の足がかりをつかんできた。
同イベントのユニークな点は、出場企業によるプレゼンテーションはもちろんのこと、プレゼン後のQ&A、イベントのMCも含め、すべてが英語で行われる点にある。
今回は過去最多となる15社のベンチャー企業が4月25日にスタートアップの聖地サンフランシスコにて開催される本戦への切符をかけて、辛口の審査員たちを前に、独自のサービスの英語プレゼンに臨む。
今回のJapan Nightを通じて、どのサービスが海外ユーザーを魅了し、本格的な海外進出へと道を開くことになるのかに大きな注目が集まっている。
15社の有力スタートアップ企業による英語プレゼンに加え、当日はソフトバンクグループを率いる孫正義氏の実弟であり、MOVIDA JAPAN Inc. CEO 孫泰蔵氏、インキュベイトファンド 創業者兼代表パートナー本間真彦氏という日本のスタートアップ支援の最前線で活躍する2名にシリコンバレー在住のちびこーどこと上杉周作氏とbtrax, Inc. CEO Brandon K. Hillを加え、グローバル起業家に求められる要素についてのパネルディスカッションを予定。
・イベント概要
海外展開を目指すスタートアップ企業15社が、英語にて5分間プレゼンを行い、審査員及び観客からの英語での質疑に答える (3分間)。同日イベント終了前に4月25日にサンフランシスコにて行われる本戦出場企業の6社が発表される。
・日時
2012年3月30日(金)18:00 – 22:30
・場所
VOYAGE GROUP メインセミナールーム「パンゲア」
〒150-0045 東京都渋谷区神泉町8-16渋谷ファーストプレイス8F
(http://voyagegroup.com/company/access/ )
サンフランシスコ行きの切符をかけた白熱の英語プレゼン大会、豪華メンバーによるパネルディスカッションの他、海外進出を目指すベンチャー企業に役立つコンテンツ盛りだくさんの第4会SF New Tech Japan Nightセミファイナルの観覧チケットの購入は下記から。
※チケットは残りわずかとなっておりますので、ご予約はお早めにお願いします。
パネルディスカッション
~今グローバル起業家に求められる要素~
孫泰蔵
MOVIDA JAPAN株式会社 代表取締役CEO
東京大学在学時にYahoo! JAPAN立ち上げ統括者として起業。その後、三菱商事とのJV立ち上げ等十数社の企業を設立。ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社をヘラクレスに上場し日本のオンラインゲームビジネスの基盤を整備。現在MOVIDA JAPAN株式会社代表取締役として、スタートアップベンチャーを育成する専門のスタートアップアクセラレーターを推進。
本間真彦
インキュベイトファンド創業者兼代表パートナー
慶應義塾大学卒業後、株式会社ジャフコの海外投資部門にて、日、米、イスラエルへの投資に従事。その後、アクセンチュア及びワークスキャピタル株式会社を経て、ネット関連企業の創業・設立期への投資に特化したベンチャーキャピタル、コアピープルパートナーズ創業、ソーシャルアプリ、スマートフォン関連のスタートアップへ投資する、インキュベイトファンド設立に関わる。現在、両ファンド合わせて20社を超える投資を行っている。
上杉周作
シリコンバレー在住のデザイナー
88年生まれ。神奈川県出身。小学6年まで横浜みなとみらいで暮らす。 親の仕事の関係で中学からアメリカ東海岸に引越す。 現在は海外を拠点に、デザイナーとして活動中。元Facebook+Appleにてエンジニアとしてインターン。元Quoraデザイナー。カーネギーメロン大コンピューター科学+デザイン大学院卒。シリコンバレーで今最も注目されている日本人の1人。講演「20歳を過ぎてからプログラミングを学ぼうと決めた人たちへ」慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスでの講演も行った。
Brandon K. HIll (ブランドン・片山・ヒル )
btrax, Inc. CEO
サンフランシスコ州立大学デザイン科卒。北海道札幌市出身の日米ハーフ。高校卒業時までほぼ日本で育ち、1997年アメリカサンフランシスコに移住。 現在はサンフランシスコに本社のあるグローバル市場向けBranding / Marketing 会社btrax CEO.。今後の目標は日本の若い起業家、起業家志望者に向け、より多くの成功事例を見せる事により、世界進出の夢を与える事。
セミファイナル出場サービス/企業
1dollarscan
ユーザーから受け取った本や文書をスキャンし、デジタル化することで、電子書籍化をサポートするスキャンニングサービス。米国を拠点に展開し、その新しいユニークなサービスが大きな話題を呼んでいる。
Beatrobo Inc.
ロボットを介して友人と一緒に音楽を楽しむことができる音楽コミュニティ。
友人の好みの音楽をもったプレイリストをアバター化することで、手軽に楽しく友達の音楽を聴き始めることができる。
co-meeting
討論レベルのグループディスカッションを気軽におこなえるチャットシステム。通常の会話に近いストレスフリーなチャットがテキストベースでおこなえるほか、リアルタイム同時編集が可能な文書エディタにより、議論しながら議事録をまとめることもできる。昨年末の「Innovation Weekend」でのピッチコンテスト優勝の他、1月末にはサンブリッジGVCより数百万円程度の資金を調達した。
Coworkify Inc.
世界中のコワーキングスペースを繋ぐアプリ。Startup Weekend 京都2011で優勝し、今後世界中のコワーキングスペースと積極的に提携していく予定。
Connehito, Inc.
ハンドクラフトやプロダクトデザインなどの「モノを作る人」がオンラインギャラリーを通して世界に作品を発信できるサービス。
EverConnect
Facebook、Twitter、Gmail などのSNSやEメールを1つの画面で管理できるソーシャルコミュニケーションプラットフォーム。2012年4月にはVOYAGE VENTURES、ネットエイジ、及びネプチューングループの3社から総額1,500万円の資金調達をおこなった。
株式会社プレイド
「いいお店は、さがすまえに聞く」をコンセプトにした美味しいレストランを見つける方法を提供するサービス。友達を含む顔が見えるユーザーに対し、自分が「聞いて」「答えて」もらうことにより、自分のための信頼性の高い情報を得ることができる。
株式会社Kaditt
アプリ内で、ユーザーは友人や好みの合う人のブックマークしたスポットの中から、自分の「行きたい」スポットを簡単に見つけ、集めていくことができるスポット(場所)のソーシャル・ブックマーキングサービス。
fuloor.comプロジェクトチーム
「暮らし」を軸として、住まい(不動産)の運営者、入居者、ユーザーがローカルにつながれるソーシャルプラットフォーム。運営者はFacebookとの連動により、ソーシャル連動型のマーケティングを展開することが可能。
アシアル株式会社
モバイルアプリ開発に必要な全てを統合したクラウド上のプラットフォーム。より手軽に開発に取り組める環境を提供。
株式会社MUGENUP
アニメや漫画の制作プロセスにヒントを得て、分業体制(キャラデザイン、線画、塗り、ディレクション)の4名1セットのラインを構築し、美大卒のアートディレクターによる全体指導を行うことで、高品質、短納期での納品を可能としたイラストクラウドソーシングサービス。
peeece
デザイナーやアーティスト、職人などのクリエイターがアイテムを直接出品できるソーシャルショッピングコミュニティ。「顔の見えるつながり」をコンセプトに、売買を通じたやり取りの中から売り手と買い手との間でコミュニケーションを生み出す。
株式会社Parmy
飲みに行ける友達がすぐに見つかるiPhoneアプリ。飲みたい気分をシェアして、飲みたい友達がいたらリアルタイムで通知され、すぐに連絡を取ることが可能。
プラスアド株式会社
「全ての人に音楽の楽しみ」をビジョンに、iPad や iPhoneを用いて楽しく楽器を演奏するための電子楽譜・レッスンサービスを展開。2011年度国際ビジネス大賞のコンシューマ エンターテイメント / 情報部門において、奨励賞を受賞。
フェンリル株式会社
高機能なタブが特徴の無料WEBブラウザ。Windows 版、Mac版、iPhone / iPad版、Android版、Windows Phone版があり、それぞれのデバイスで使いやすいように設計。また、フェンリルが提供する無料クラウドサービス「Fenrir Pass」を使えば全てのデバイス間のSleipnir ブックマークを同期することができる。
MC
三橋ゆか里
小学校6年生から高校卒業までをNYで過ごす。大学在学中に雑誌の定期購読を専門に販売するオンラインショップでインターンとして働き、卒業後にそのまま入社。その後、UIコンサルティング会社、Web制作会社等を経て2009年に独立。現在は、Webディレクション、取材・ライティング、翻訳、調査案件、ソーシャルメディアのコンサルティングなどを行っている。2010年公開の映画『ソーシャル・ネットワーク』の監修も務めた。
審査員
Brian Nelson , Founder & Chairman, BNC Co., Ltd.
Russell Cummer , President, Exchange Corporation K.K.
David Collier , Founder, Pikkle KK
Vincent Shortino , General Manager, Crunchyroll K.K.
Craig Mod , Mentor at 500 Startups, Founder at PRE/POST
Jonny Li , Organizer, Startup Weekend Tokyo
Brandon Hill , CEO, btrax Inc.
プログラム詳細
18:00 受付開始
18:00~19:00 ネットワーキング
19:00~19:30 パネルディスカッション
19:30~19:45 休憩・セットアップ
19:45~21:45 一次予選通過者による英語プレゼン (15社)
21:55~22:00 本戦出場企業6社発表
22:00~22:30 ネットワーキング
イベント協賛
株式会社EC studio (JapanNightをきっかけに、ChatWork を全世界に提供中)
株式会社VOYAGE GROUP
株式会社FirstStep
イベント運営・協力
btrax, Inc.
Goodpatch, Inc.
JapanNight公式サイト: http://sfjapannight.com/
Facebookイベントページ: http://www.facebook.com/events/408697655814300/
≪btrax, Inc. 会社概要≫
商号:btrax, Inc.(ビートラックス)
本店所在地:665 Third Street, Suite 505, San Francisco, CA 94107
主な事業内容:海外進出向けWebサイトデザイン、マーケティング、リサーチ・ブランディング
URL:http://www.btrax.com/jp
≪本件についてのお問い合わせ先≫
btrax, Inc. (担当者 栗原)
TEL: +1-415-344-0907(国際電話)
FAX: +1-415-344-0957(国際電話)
E-mail: japannight@btrax.com
営業時間:月~金 9:00 – 18:00(アメリカ西海岸時間)
はじめに
教授からのWhy? Why? Why?と立て続けに押し寄せる「どういったロジックを元に〜をデザインしたのか?」という質問の嵐に対して、学生達がBecause, Because, Becauseと素早く理論を構成して「何故なら〜だからです」というロジックを組み立て続ける。そんな米国大学で展開されるデザイン講義を目の辺りにしてきた僕は、「デザインとはこんなにも理論的なプロセスだったのか」という率直な実感を持っています。
デザインと聞くと、生まれ持った才能を存分に発揮して、クリエイティブに様々なものを生み出していくというイメージをお持ちの方も多いかも知れませんが、これは全くの誤解であると言えます。本来、デザインプロセスとは問題解決を前提としているため、地味な作業の連続であり、非常に理論的なプロセスで構成されています。
僕は日本で5年間、米国で3年間デザインの教育を受けましたが、実感として米国におけるデザイン教育の方が理論的な傾向は強いと感じています。そこで今回は、僕が一体どんなデザイン教育を米国大学で受け、何を感じてきたのかということをお伝えさせて頂きたいと思います。
1. デザインとアートの違い
“What is the difference between art and design?”(デザインとアートの違いとは何か?)この質問は、米国で初級デザインクラスを受ける学生達が、教授達から頻繁に投げかけられる問いの1つです。何故この質問がよく使わるのかというと、デザインを習い始めた学生の多くは、デザインとアートを混同しているためです。デザインとアートの間には、決定的な違いあります。それこそ”Design solves a problem, art is expression”(デザインとは問題解決であり、アートとは自己表現である。)というものです。
ここから言えることは、Why?をBecauseで説明出来なければ、それは明らかにデザインではないということなのです。何となく、個人的に好きだから、感覚で、といった理由を述べた時点でそれはアート(自己表現)であり、デザイン(問題解決)ではありません。それは言い換えると、問題と向き合い、それを解決する中で生まれたモノのみがデザインであるということでもあります。では一体どういった要素や原則を元に、デザイナー達はロジックを組み立てるのでしょうか。
2. デザインの基本要素と基本原則
僕が教わったデザインの教授は、7つのwhyに答えられない者はグラフィックデザイナーではないと常々口にしていました。何故ならデザインの基本要素は7つ存在していて、そのそれぞれに対してBecauseを考えるのは基本中の基本であるとされているからです。
下記が、デザインにおける7つのBasic Elements(基本要素)です:
Line(線)
Color (色)
Shape (形)
Space (空間)
Form(フォーム)
Value (明度)
Texture(質感)
デザイナー達は何かを作る際にはこれらのデザインを構成する全ての要素に対してBecauseを考えていきます。また、デザインにおける6つのBasic Principal(基本原則)というものがあり、要素を組み合わせて全体構成を考える際に適応されます。
Balance(バランス)
Gradation(グラデーション)
Repetition(反復)
Contrast(コントラスト)
Harmony(調和)
Dominance(割合)
初級デザインのクラスでは、優れたデザイナーがデザインしたものを上記の要素にそれぞれ分解•分析して、なぜそれが優れたデザインなのかということを知り、説明出来るようになることから始まります。
ちなみにもう少し上のクラスになると、Why?→Becauseという1つの階層で終わるのではなく、Why?→Because→Why?→Because→Why?→Because→…をどんどん繰り返すようになります。これは一つの側面からWhyを問い続けることで、問題の本質まで思考を巡らせるためです。これを様々な側面から行うことで、理論をより強固なものにしていきます。
ここまで読むと、Whyに対するBecauseさえしっかりしていれば見た目はどうでもいいのか?という疑問が浮かんでくるかも知れませんが、実はデザインにおける「問題解決」と「見た目」は密接に関わっています。
4. 機能と形態は表裏一体
デザインは美的造形性に加えて、優れた機能性も同時に兼ね備えていることが必須です。ここで言う美的造形性とは見た目の美しさであり、機能性とは本来そのデザインが担う問題解決の手段を指します。
この文脈で、有名な建築家ルイス・サリヴァンが残した”form follows function”という考え方は現代に受け継がれ、芸術やデザインの分野に多大な影響を与えました。これは機能(問題解決)を追求することで形態(見た目)が自然に定まるとする考え方です。
現在プロダクトデザインで世界的な地位を築いたAppleの創設者であるスティーブ•ジョブズが残した下記の言葉もまた、そうした考え方を深く反映するものであったように感じています。
“デザインとは「どう見えるか(how it looks)」ではなく、「どう機能するか(how it works)」の問題である” — スティーブ・ジョブズ
ただしこれを機能が最も重要という意味で捉えてしまうと本来の意味を見失ってしまうかも知れません。機能と見た目は表裏一体。だからこそwhyを問うことが重要であり、それに答えることは見た目の美しさを洗練する行為でもあるのです。
5. デザインプロセス
ではもう少し広義でのデザインを考えた時、全体的にどういったプロセスで構成されているのかということをご紹介したいと思います。デザイン分野によって細かなステップは違うものの、僕の通っている大学では大まかに以下の5段階がデザインの基本フェーズとして教えられています。
a. Understand the problem(問題の理解)
b. Gather Information(情報収集)
c. Think by sketching and choose one (アイデアの拡散と収束)
d. Production(アイデアの具現化)
e. Refine (改良)
a. Understand the problem(問題の理解)
最初の段階では、まずクライアントが抱えている問題を洗い出します。多くの場合はヒアリングをすることから始め、デザインによって解決するべき問題が何になるのかを特定していきます。
この段階で、そのデザインが達成するべきゴールは何で、最終的に見たり使ったりするのは誰で、競合にはどんな相手が居て、デザインが最終的に置かれる環境設定は具体的にどんな具合で、伝えるべきメッセージは何で、どういったイメージを利用者に抱かせるべきで、どんな反応を得たいのかといったことを突き詰めて行きます。
b. Gather Information(情報収集)
問題を特定したら、次にその問題を解決するために必要な情報を収集するべくリサーチをしていきます。オンラインではWebサイトやデータベースを見ながらファクトを集めたり、オフラインでは必要とあればインタビューを設定して問題解決のキーとなる情報を持つ方へ直接話しを伺いに行ったりもします。また、何かを作る場合にはどんなリソースが利用可能で、どういった素材を使うことが出来るのかといったことも考えていきます。
c. Think by sketching and choose one (アイデアの拡散と収束)
「合計が10となる数式を求めなさい」という問題には、1+9、2+8、3+7…というように多くの求め方が存在するように、現実の世界でも1つの問題を解決するための道筋は数多く存在しています。
そこで、問題を特定し考えるために必要な情報が揃った後は、徹底的に解決方法の数を出すというプロセスを踏みます。このフェーズにおいて、IDEOという世界的に有名なデザインコンサルティング会社が行うブレインストーミングのフレームワークは非常に有名です。
1.Defer Judgement (批判を延長する)
2.Encourage Wild Ideas (突飛なアイデアを奨励)
3.Build on the Ideas of Others (他人のアイデアを再利用する)
4.Stay Focused on Topic (テーマにだけ集中する)
5.One Conversation at a Time (1度に1つの会話)
6.Be Visual (ビジュアル化する)
7.Go for Quantity (量を追求する)
彼等はこのフレームワークを元にブレストを行い、数多くの案を次々と出して行きます。最終的には壁一面がイラストや言葉で表現されたアイデアを書いたポストイットで埋め尽くされます。
こうしたブレインストーミングに限らず、様々な切り口を拡散する思考方法をラテラル思考(水平思考)と呼び、ロジカルな思考だけでは辿り着きづらいクリエイティブな解決案にまで思考幅を拡大させることを主な目的として利用されます。
また、僕の通っている大学では「考え尽くしたら思考をオフにしてリラックスする」という方法も推奨されています。人間の脳は、まったく関係のないことをしている時に特定の答えを閃きやすいという性質を利用したアイデア発想法とされています。
こうして拡散された数多くの案は、合評やフィードバックを経て収束され、選んだ案を元にデザインを作る段階へと入って行きます。
d. Production (アイデアの具現化)
「作りながら考えろ」というのはデザインを学ぶと必ず教わるやり方です。何かを作る時、頭や紙の上だけで考えてしまうとどうしても机上論になりがちなので、実際に作りながら進めるのが一番効果的であるということを伝えています。
1-3の段階で大まかなパズルのピースは出揃い、それらをどのようにはめ込み、組み立てるかといった一連の仮説やストーリーは出来ています。しかし、実際に作ってみないと分からない部分というのがどうしてもあるため、アイデアを具現化させながらさらに作りこんでいく必要があります。
この段階で、デザイナーはモックアップやプロトタイプと呼ばれる完成一歩手前となるダミーに落とし込んでいくのですが、設計図で見るデザインと、形になったデザインを見るのとでは感じ方に天と地ほどの差があります。
また人間の認知能力というのは非常に優れていて、僕たちはデザインを見た瞬間、無意識のうちに様々な情報を認識•識別しています。こうした認知のおかげで僕たちは「あっ、このデザイン何となく好きだな」と一瞬にして感じることが出来てしまいます。
“God is in the details.”(神は細部に宿る)という言葉がありますが、無意識の認知は細部にまで及び、例え1mmの違いですら時にデザイン全体へ大きな影響を及ぼすことすらあります。だからこそデザイナー達は1mm単位までしっかりディテールを追求し、細部が全体に及ぼす感覚までデザインするように心がけています。
こうして具現化され、ディテールまで作り込まれたデザインですが、デザインプロセスがここで終わることはありません。
e. Refine (改良)
完成されたように見えるデザインも、デザイナーやクライアントではなく、実際の利用者からは思いもしなかったようなフィードバックが返ってくることがあります。これは想定したデザインの機能と、実際に作用している機能との間にギャップがあるためです。
そうしたギャップを埋めより現実的で効果的なデザインにするために、様々なユーザーテストを行っていきます。こうして集計したフィードバックを元にして、余計な機能を削いだり、足りていない機能を加えたりして、バランスを改良していきます。
上記5段階をプロセスを経て、ようやくデザインは市場へと出ます。もちろんこのプロセスは単なる基本形であり、業種によって違いますし、プロジェクトによって変形したり、新しいプロセスを加えたりするので、デザインの大まかな流れとして認識して頂ければと思います。
7. Typography(タイポグラフィ)講義
タイポグラフィとは、活字を適切に配列することで、文字の体裁を整える技術です。例えば読者の方が今ご覧になっているこの文章も、一つ一つの文字が横や縦にスペースを保ちながら並べられることで読むことが出来ます。
文字と文字との間隔、センテンスごとの間隔、センテンス上下一行づつの間隔、これら全てには名前があり、グラフィックデザイナーはこれら全てのスペースを調節します。
一行に何文字を入れて、文字間隔はどれくらいに設定するべきなのかといった作業も、実は感覚ではなくて視認性を高めるために定められたルールが数多くあります。グラフィックデザイナーはこれらのルールを適応しながら、理論的に文字情報を配置していきます。
またタイポグラフィ講義では、デザインで使用してもOKなフォーマルなフォントリストが生徒に配布され、基本的にそれ意外のフォントを授業で利用することは推奨されません。理由はシンプルで、デザインに利用出来るような美しいフォントというのは実際には非常に限られていて、無料で配布されているようなフォントは視認性や実用性が非常に低いためです。
また、それぞれのフォントの組み合わせにも相性があり、どのフォントがどのフォントとマッチするのかという相性なども学びます。こうして学生達は様々なフォーマルなフォントと慣れ親しみ、どのようにデザインへと適応させるのかを具体的に学んでいきます。
ちなみに僕の大学のデザイン学生は、タイポグラフィのクラスをA, B, Cと3つ取らなければ卒業出来ません。これは視覚デザインにおいて文字情報が占める割合は非常に重く、タイポグラフィが出来ることはグラフィックデザイナー/Webデザイナーにとっては必須であるためです。
8. 中国系移民の教授から学んだ移民の可能性
僕は米国のデザイン講義を担当する教授から、デザインだけではなく英語を第二言語とする移民が秘める可能性についても学びました。
今でも思い出しますが、僕は留学当初、明らかに中国なまりで英語も不完全な中国系移民の教授が、数多くの人気デザインクラスを担当しているという事実に驚きを隠せませんでした。彼は中国から米国大学へ留学し、その後デザイナーとして働いた後に、米国の大学でデザイン教授として働き始めたのだそうです。
アジアからの大学留学生が、後に海外就職を果たし、米国で人気デザイン講義を掛け持って教えるまでになるという彼のストーリーは、留学生の僕にとっては感動的ですらありました。
そんな中国人教授が使う英語はシンプルにして明快であり、授業内容も中国と米国のデザイン事情を交えながら教えるという移民ならではの独自スタイルを確立しています。
特にカルフォルニアでは様々な文化背景をもった教授や生徒達が同じ教室で学びあうので、講義内容だけではなく彼等の文化や考え方を知り、自分のデザイン的な視野を広げることが出来ることも一つの魅力かも知れません。
9. 必修科目としての企業インターンシップ
僕は現在、大学のクラスとしてbtraxへインターンシップをさせて頂いています。多くのデザイン系学生にとってこの企業インターンシップは必修であり、取らないと卒業することが出来ません。
デザインのアカデミックインターンシップは様々ですが、実はその7-8割以上が無給であるとも言われています。こう書くと学生達を無給で働かせるのはひどいという声が聞こえてきそうですが、実はその逆であったりします。
米国のデザイン学生達は、むしろ無給でインターンシップ出来る企業を探します。それはネームバリューのある会社は無給、ネームバリューの無い会社は有給という常識が定着しているからです。
学生達は卒業後に就職する際、ネームバリューのある会社でのインターン経験をresumeに書く事で自らを売り込むことが出来ます。多くの学生にとってはインターンで報酬を得るよりも、卒業後に希望の会社へ就職することの方が重要であるため、無給インターンであっても経験を稼ぐためにどんどん応募します。また無給インターンで働いた後に、その会社から正社員としてのオファーが来ることも少なくありません。
また、企業もこの事を熟知しているため、ネームバリューのあるデザイン会社の多くはインターンを無給とします。それとは反対に、ネームバリューだけでは学生をインターンとして呼び込むことの出来ない企業は、その対価としてインターン生にお金を払うのです。
10. MBA & Designという新領域
ビジネスとデザイン。この二つにそれぞれ全く違ったイメージをお持ちの方も多いかも知れませんが、この記事を読んで、少しデザインに対する捉え方が変わったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。実はデザインコンサルティングとビジネスコンサルティングは密接に関連していて、切っても切れない関係にあります。
また、様々なビジネス分野におけるデザインの重要性が高まってきている近年、デザインとビジネスの両軸を行うことの出来る人材需要も比例して高まってきています。
こうした背景も手伝い、最近はMBAとデザインを融合したコースを提供する海外大学院が徐々に増え始めています。そうした大学では、デザインプロセスからビジネス理論までを幅広く学び、最新の市場ニーズにあう知識や技術が習得できるように講義が設計されています。
僕はこうしたコースを提供する大学院に強い興味を持っているんですが、現在幸いにもこれらを実践的に学ぶ機会を得ています。というのも、btrax社はビジネスとデザインの融合を掲げているため、業務内容が非常に理論的かつクリエイティブです。もしbtrax社でのインターン内容も「米国のデザイン教育から学んだこと」に含めるとするのであれば、僕は今まさに「デザイン×ビジネス」を米国で直に学ぶ機会に恵まれていると言えます。
11. 終わりに
僕は日本と米国でデザイン観がどうしてこうも違うのだろうと留学して以来ずっと考えてきましたが、どうもお互いの国が持っている根深い文化背景に由来するところが大きいという結論で間違いないと考えています。
例えば言語一つとってみても、日本語は円を書くようなメッセージの伝え方をしますが、英語は直線的に物事を伝えます。文章の構成方法も違えば、コミニケーションの要所も全く違います。
こうした文化背景は、その土地に住む人々の思考方法に多大な影響を与えています。異なる考え方は、異なるモノを生み出します。インプットが違えばアウトプットが異なるのは必然であり、その結果として出来上がるデザインも全く違うものになっていきます。
今回は「米国のデザイン教育から学んだこと」という題で書かせて頂きましたが、僕は日本のデザイン教育から学んだことも沢山あります。どちらが良いというわけではなく、どちらにも長所と短所があり、それらをうまくバランスさせることが重要なのではないかと思うのです。
まだまだ実践していかなければいけないことが数多くありますが、日米それぞれから素晴らしい要素を学び、グローバルにデザインを展開させる上で何が重要なのかということを意識しながら、これからも真摯にデザインと向き合っていきたいと思う次第です。
* togetterにも今回の記事内容をまとめました。 多くの方から反響を頂いておりますので、こちらも同時にご覧になって頂ければ幸いです。
*追記:「スペシャルインタビューブランドン氏 」に、btraxのCEOであるBrandonさんが下記のトピックで受けたインタビューが掲載されました。
世界で勝負するために、日本が学ぶべきユニバーサルデザイン
日本に足りない能力とは?
今、世界に向けて
今どういった事が日本のwebデザインの現場に求められていて、どうやって国際化社会に対応していくべきなのかというソリューションが具体的に提示されています。今回の記事と併せて読まれると更に日米間の現状理解が深まると思われますので、是非ご覧になってみて頂ければ幸いです。
筆者: Masato Brian Miura @rami2929
btraxはメインビジネスとして、米国進出を試みる日本企業をデザインやプロモーションの面でサポートしており、最近ではSF NewTech Japan Night の主催によってスタートアップ企業の米国進出支援も行なっている。Japan Nightを行なう中で米国進出を目指す日本のスタートアップの数は徐々に増えてきている様に感じる。しかしながら、VISAや言語の壁、文化の違いなど障壁は多く、なかなかこちらにオフィスを構えて本格的にサービスを始めるという段階まで進んでいる企業は実際少ない。そんな中、第3回SF NewTech Japan Nightに出場したGrow! Inc. は、昨年米国での会社登記を済ませ、米国進出に向けて着々と準備を進めている。今回は、そんなGrow!のCEOである一ツ木氏に話を聞き,実際に米国進出までの道のりや今後の展望についてお話を聞かせていただいた。
インタビューでは、ビジネスやスタートアップに限らず,どんな場合においても必要な1つの原則を自身の経験を交えてお話しいただいたので、関連する動画の話と織りまぜながら共有したいと思う。
Grow! Inc.は、お気に入りのコンテンツにボタンを通じてチップを贈り、コンテンツ製作者を支援できるとともに、コンテンツを友人と共有できるソーシャル・チッピング・プラットフォームである。今現在日本では6000人以上のユーザを獲得し、計900万ページ上にGrow!ボタンが設置されている。
Grow!の始まりは、強い問題意識からであった。若い頃に音楽をやっていた一ツ木氏は、周囲のクリエイターたちがアルバイトをしながら生計を立てている事に疑問を感じ、長い間そんな友人たちを助けたいという想いを抱いていた。ネット業界で働き、そこで得た知識をもとに全てのクリエイターたちにファンがネット上で直接、少額で投資する事が出来る仕組みを共同創業者と共に思いついた。こういった経緯があり、「ファンとクリエイターの関係をインターネット上で創り上げたい」という強い目的意識からGrow!は誕生したのである。
WHYの大切さ
Simon Sinekの”How great leaders inspire action ”というTEDの動画を見た事があるだろうか。4,177,227回の再生回数を誇る、TED内でも最も高くランクインしているStoryである。このプレゼンテーションの中で彼が力強く唱えている黄金のサークル理論をここで紹介したい。
通常、企業はみな、自分が「何を売っているか(WHAT)」「どんな風に売っているか(HOW)」を理解しており、多くの経営者は自身の事業について最も多くを語る。つまり、WHAT(何をするのか)-HOW(どうやってするのか)-WHY(なぜするのか)の順番で事業を決めているのである。しかしながら、時代を変革させ、人々の行動を変える偉大なる存在は、いつも根本にWHY(何故やるのか)をおいて事業を考えている。何が目的なのか、何のためにこの会社は存在するのか。何故顧客はその製品を買う必要があるのかを中心に考え、必ずWhy-How-Whatの内から外に物事を考える。それを指針として、一つ一つの行動をおこなっている企業や人間こそが、偉大なるリーダーとして人々の行動を変えることができるという話であった。
今回のGrow!の一ツ木氏の米国進出に関するインタビュー内容は、上記の話と強くリンクしていた。Grow!がいち早く米国への進出を行動に移すことが出来た理由、それこそがまさに”WHY”の存在なのである。米国進出をする目的、あえて難しい状況である米国で勝負する理由、それがしっかりと根底に有ることが、Grow!をここまで進めてきた原動力なのであると一ツ木氏は語っていた。
Grow!が米国進出をする理由
Grow!が米国進出をした理由は3つ有る。まず法律的に日本では個人間の金銭のやり取りが禁止されていることが一つにあげられる。お金を融通する機能を持つサービスは銀行の様な金融機関であると分類化され、その数を増やしてはならないとされているのである。反面、米国は金融機関の設立に規制がないため、Grow!の行なっている、個人から個人へオンライン上で直接送金することに関しては全く問題がない。
第2に市場規模。アメリカの寄付市場の規模は24兆円(日本の外食産業と同じ)であると見込まれており、毎年衰退することなく安定的に推移している。加えて、オンライン上の寄付に関しては、ここ4年で3倍に成長している。反対に日本での市場規模は30分の1の8000億円であり、そもそも寄付の文化が根付いていないというのが現実としてある。従って、米国においては、Grow!の提供するサービスであるオンライン上での個人からクリエイターへの寄付というシステムが日本より機能しやすいのである。
第3にチップ文化。米国に旅行されたことのある方はご存知だろうが、米国ではレストランやホテル、タクシーなどあらゆるサービス提供に対してチップを支払う文化がある。これは顧客が提示された金額に加えて、サービスを行なってくれた個人に対して支払われるものであり、個人間の直接的なお金のやり取りが概念として既に存在している。Grow!の提供するシステムはチップ文化という米国の文化背景に非常に上手く合致するため、日本よりも受け入れられやすいのである。
上記の3つの理由から、Grow!は米国で事業を行なうことを前提として考えていたため、サービス開始時から1Grow!=100円ではなく1Grow1=$1に設定している。このように「米国市場で勝負しなければいけない理由」があったことから、目標がぶれる事無く、挫折する事無く、米国での登記まで辿り着く事ができたのである。
今回のインタビューから我々が学んだのは、”Why(何故やるのか)”の存在であった。「何故」という理由付けがしっかりしていれば、方向性は絶対にぶれないし、ぶれた時もすぐに調整が出来る。そこが行動を起こせるか起こせないか、継続できるかできないかを分けるカギとなっている。会社の経営にしても、自分のキャリアにしても全て、”Why”が不可欠であり、その目的意識が自分を信じ続ける支えと成り,また周囲の人間にも強い影響を与えることができるのであろう。それは常に高尚なものでなくとも良い。最も大切なのは、自身の行動の理由、存在の理由を考えながら自分が何(What)をどうするか(How)を決定していくというプロセスを意識することだという教訓を、今回のGrow!一ツ木氏へのインタビューから得ることができた。
SF NewTech Japan Night 東京での最終予選出場企業が決定いたしました! 詳細はこちら
SF NewTech Japan Night イベントチケット購入ページはこちら
SF New Tech Japan Nightサイト 一ツ木氏のインタビュー記事
by
Mai
サンフランシスコで開催されるスタートアップ向けイベントSF New Tech Japan Night の第4回が2012年4月下旬に開催される事が決定した。このイベントは、日本のWebベンチャーが総勢300人以上の地元観客を前に、自社のサービスを英語でプレゼンし、海外進出の足がかりとするものである。2010年10月13日の第1回、2011年6月28日の第2回、そして同年11月3日の第3回に引き続き、今回で4回目の開催となる。
今回は、第3回より更に内容を発展させ、イベント前後にも出場企業の海外進出をより促進するプログラムを企画している。 本選出場の6社は、このプログラムを通して、海外でのビジネス展開において必要なノウハウを習得する貴重な機会を得ることができる。
<現在企画中のプログラム例(※内容は変更の可能性あり)>
シリコンバレーの投資家によるワークショップへの参加(開催予定地:東京)
プレゼンテーションメンタリング
シリコンバレーの起業家が集うイベントへの参加
現地のスタートアップイベントへの参加
投資家やデザイナー、現地ユーザーからのフィードバックを得る機会
第2回出場企業のFeel on!や第3回出場企業であるGrow! Inc.を始めとして、多くの出場企業がJapan Nightを経ての海外進出という成功を収めている。今回のイベントでは、このようなケースをより多く輩出する事を目的とした海外進出支援プログラムを多数企画中。
グローバル化が加速する現代日本社会においては、スタートアップ段階から海外進出を前提として考えることが基本となってきており、今回の機会を足がかりとして海外進出を試みる勢いのあるスタートアップの多数参加を、大いに期待している。
出場エントリーはこちら から
■メインイベント概要
日時: 2012年4月下旬(2月中に詳細決定)
会場: Mighty San Francisco
119 Utah Street San Francisco, 94103
URL : http://sfjapannight.com/
■応募・選考プロセス
締め切り: 2012年2月29日
応募方法: 公式サイトプレゼン応募ページより
応募/審査費用: 無料
第一次審査: 3月中旬発表(12社)
予選イベント: 3月下旬, 東京都内のイベント会場にて
選考基準:
見た目のクオリティー
英語のナチュラルさ
実用性/ユーザーの利点
海外展開の可能性
独創性
詳しい応募・選考プロセスに関してはこちら から
【SFNewTech Japan Nightの歴史/特長】
当イベントの最大の特長は、“サンフランシスコで開催される国際的ITイベント” であるという点。これまでのIT・Webサービス関連イベント は日本国内での開催がほとんどであり、日本発のIT・Webサービスの紹介に特化した海外のITイベントとなると、前例が無い。
アメリカのIT・Webサービス市場について言えば、市場規模、市場成長率、資金調達可能性とその額の大きさ等、どの点を見ても圧倒的な地位にある。従って、本来ならばIT・Webベンチャーはアメリカ市場に対して自らをアピールするべきであるが、それにも関わらず、日本のIT・Webサービス関連 企業の活動範囲は国内に収まっていることがほとんどである。
このような現状を問題視し、何らかの解決策を提示したいという思いからbtrax社とSFNewTechが企画したのが、2010年10月に開催された第一回「SFNewTech Japan Night」。このイベントにはSpySee 、Lang-8 、MyGengo 、GazoPa 、Drrop 、Yubizo の6社が参加し、地元サンフランシスコのオーディエンスへ自社サービスを強力にアピール。また、掲載メディアについても、日経新聞、日経産業新聞、日経BP, ITPro, TechWaveなどの日本メディアのみならず、ダウ・ジョーンズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ソーシャルタイムス、WIREDなど海外メディアからの 取材も多く受け、参加者は海外展開の足掛んだ。特にmyGengoが提供する翻訳クラウドソーシングは、イベント後にアメリカの有名ファンド 500 Startups からの資金調達に成功。
第二回の出場企業は、Reengo by 面白法人カヤック , Cacoo by 株式会社 ヌーラボ , ChatWork by 株式会社 EC studio , Feel on! by 株式会社 L is B , myhada by 株式会社 洛洛.com , Moso by 株式会社 MoSo の6社で、当日会場に観に来ていた複数の投資家からのオファーや、地元企業からのパートナーシップディールが進んでおり、ほとんどの企業が海外展開を現在進めている。
第三回の出場企業は、Facematch by Facematch , Grow! by Grow! Inc. , Midonet by 株式会社ミドクラ , PIRIKA by PIRIKA , SnapDish by Vuzz Inc. , Synclogue by 会社情報プラネット の6社で,Japan Night出場後、各企業とも国内メディアから多くの注目を浴び、今現在も順調にサービスを拡大している。日本でも大きな話題をよんだFacematchやPirika, 実際に北米進出が決定しているGrow!を始めとして、多くの企業が海外進出に向けて、着実に歩を進めている。
第4回への参加はこちら から
【協賛スポンサー募集中】
現在今イベントの運営支援をしていただける協賛スポンサーを募集しています。第三回は、NTTインベストメントパートナー ズ株式会社、ニフティ株式会社 、株式会社 EC studio 、株式会社 FirstStep (ファーストステップ)、TechSmith (テックスミス)、Startup Dating (スタートアップ・デーティング)、TechWave.jp (テックウェーブ)、N.T. Technology.Inc 、Goodpatch.Inc (グッドパッチ)の8社にご協力頂いた。
協賛スポンサーのメリット等に関しては公式サイトスポンサーページ をご覧下さい。
【本件についてのお問い合わせ先】
btrax, Inc. Japan Night運営チーム
担当者 : 秋吉
TEL : +1-415-344-0907
E-mail : japannight@btrax.com
URL : http://www.sfjapannight.com
【運営会社概要】
企業名: btrax, Inc.(ビートラックス)
代表者: Brandon K. Hill / CEO
所在地: 665 Third Street, Suite 505, San Francisco, California 94107
設立 : 2004年8月
URL : http://www.btrax.com/jp
<主な事業内容>
btrax(ビートラックス)はアメリカ、サンフランシスコ・シリコンバレーを拠点に海外進出を目指す企業を対象として、Webサイトデザイン、マーケティング、リサーチ・ブランディングを提供。
【関連リンク】
by
Mai
こちらの写真は、数名の友人がシリコンバレー訪問中にMt.ViewにあるEvernote本社で撮ったものである。右から2番目に映っているEC Studioの山本社長 (別名インターン社長 )は、後にこの時の体験をアメリカ滞在中の数ある驚き体験の中でも特に特筆すべき事として話してくれた。
この時期サンフランシスコに数ヶ月滞在していた彼は、週末の土曜日に日本からの友人と共にシリコンバレーの有名な会社の幾つかを見学しに行った。まずFacebook社を訪問した際にはマークザッカーバーグを見かけた。その後Evernote社に行き、オフィス前の看板付近で勝手に写真撮影していた。すると、オフィスの中からアメリカ人のおじさんが出て来た。注意を受けるのかと思っていたら、「今日はあまり忙しくないから、中に入ってみるか?」と言ってくれた。彼らに声をかけてくれたのは、なんと同社CEOのPhil Libinであった。とても親切にオフィスを案内してくれ、最後には記念に一緒に写真を撮ってもらった。後日、山本さんはその事を “あり得ない経験” として大変驚き、喜んでいた。
確かにこれはとても驚くべき事だと感じた。なぜならアメリカでは、それが至極 “あり得る経験” だからである。彼によると、有名な会社の社長さんが、日本からやって来た名も無い人達にわざわざ時間を割いてオフィスを案内してくれ、最終的には写真も一緒に撮ってくれた事が非常に驚きであるらしい。確かに、忙しいと時間を割く事が難しくなる事はあるが、こちらではこのようなケースは珍しくは無い。むしろ人と人の付き合いの中で、肩書きや立場はあまり介在しないケースの方が多い。ビジネスのフィールドに於いても、大企業とスタートアップとの間に大きな隔たりも無く、むしろ交流も多い。それによるメリットもある。実際に、上記のような話は、恐らく日本の消費者に対してEvernoteの知名度とイメージアップに一役買うだろう。全米から見ても特に西海岸では、人付き合いが非常にオープンである。僕自身は日常的にそのような文化と生活に慣れていた為、逆にこの経験が特別なものと感じる日本の社会や文化が気になった。
アメリカの日常生活で常識的に感じていたオープンでフラットな文化は、学生の社会的ポジション一つとってみても、日本では必ずしも浸透していないケースもある。必ずしもアメリカ的文化が全て良いというわけではないが、隔たりの少ない社会が生み出すメリットは確かにある。
日本社会における学生のポジション
btrax社では2年程前より日本からの学生インターンを受け入れている。その学生の多くが非常に優秀であるため、本人達に日本でも相当活躍しているだろうと聞くと、必ずといって良い程「学生だと相手にされないんですよ」という答えが返ってくる。これにはとても驚く。アメリカではスタートアップを中心に多くの企業にて、学生やインターンの若者が活躍をし、新しい発想で会社を引っ張って行く場面が多く見られる。逆に学生の頃から実社会で頭角を現さない者は、どんなに高学歴でも就職先を見つける事も難しくなる。
その一方で、最近は随分と変化してきているかもしれないが、日本では学生が社会で活躍出来る場は制限されているように感じる。恐らく学生の頃から正社員として採用されるケースは少ないだろうし、学生インターン生に与えられる仕事内容は限定的であろう。しかしながら、その一方で、学生に活躍の場を与えるために、”学生向けイベント” や “学生コンテスト”と銘打ったイベントが行われている。正直これには大きな違和感を感じる。話題性やメディアからの注目を得るには良いかもしれないが、学生という枠で括り、特別扱いをしているコンセプトがどうしても理解し難い。実際のビジネスのフィールドでは、プレイヤーが学生だろうがベテランであろうが、そこは実力のみの勝負になる。
以前の東京でStartup Datingに参加して感じた事 でも少し触れたが、ベンチャー vs 大企業、学生 vs 社会人のような、立場や肩書きによる隔たりを生み出すセグメンテーションはオープンな交流を妨げかねない。また、それによるメリットも考えにくい。その辺はなるべくオープンにし、それぞれの個人や企業の実力で勝負出来る環境があったほうが、実力がつきやすいと思う。
アメリカの大学での経験
僕自身は日本の高校を卒業後、アメリカの大学に入った。実は恥ずかしながら日本では受け入れてくれる学校が無いレベルだったが、幸運な事にアメリカのカレッジはかなりオープンで、入試が無かった。入学する際のエントリーシートを記入し、クラス分けの為のテストを受けたのみ。授業内容もその多くが、教える方と教えられる方の隔たりが少なく、ディスカッションや生徒によるプレゼンテーションが多い。もし講師の講義内容に疑問があれば、どんどん発言できるし、それが評価にも繋がる。
実際、1年の一学期からWebやデザイン関連の授業では相当生意気な発言をしていたと記憶している。それでも期末の講師からの評価レポートには、”It was great to have you in the class”と書かれていたのが忘れられない。講師と生徒とのディスカッションを重んじるアメリカのフラットな授業のシステムが大好きになり、3学年以降の授業の多くでは先生の助手をさせてもらう事で単位ももらえた。そして、その当時よりフルタイムでWebデザイナーとしての仕事もしていた。
アメリカの企業が必要とするインターン生
社会においても、多くのアメリカの会社では組織がフラットである。会議中では、社長でもインターンでも発言する内容に対し、その人の肩書きによる周りの反応の違いは非常に少ない。”誰のアイディアか ” よりも “どのようなアイディア ” であるかが重要視される。むしろ場合によっては、上司のアイディアを否定し、より良い意見を提案出来るスタッフが評価される。
btrax社でも、日本の会社で経験を積んだスタッフは立場をわきまえた言動にとどめるケースが多いので、なるべくその辺は気にしないように促すようにしている。また、気になる事や改善アイディアがあれば、何時でも上司や社長に進言をできるようにし、フラットでオープンな環境づくりを目指している。実際に、日本の会社で約10年の経験があるインターン生は、インターン最後の日に我慢出来ず、”ここの会議のシステムは無駄ばかりです。僕にはもっと良いアイディアがあります。” と発言し、スタッフ一同より彼に対し賞賛の声が上がった。ちなみに、英語という言語は敬語や謙遜語等の表現がほとんどないので、フラットなコミュニケーション構築にはとても便利である。
身分や肩書きで左右される日本社会
ところで、btrax社でインターンを経験した方々の多くには、日本に帰国後も彼らの肩書きや立場に関係なく、今までのように仕事を手伝ってもらう事が多い。アメリカではフルタイムのスタッフと同じ目線で、分け隔ての無い仕事内容を任されていたが、やはり日本に戻ると、学生という事が分かっただけでも、多少なりとも会う人たちの対応に差がある様だ。もしスタッフの肩書きで無意識の うちにやり取りの内容に違いがあり、能力を最大限発揮しにくい社会環境だったとしたら、大変残念である。
ここ最近、出張等にて日本に行った際に漠然と感じている違和感の多くは、もしかしたら人付き合いと社会が普段生活しているアメリカと比べてあまりフラットでオープンではない文化により形成されている事が原因かもしれない。おそらくこの部分は日本国内だけで生活しているだけでは気づく事はあまり無いと思うが、日本人の多くの方々が無意識のうちに常識として身に付いているのであろう。
先日、日本に行った時も、とあるイベントに友人を連れて行こうとしたところ、”経営者のみ参加可能なイベントですので、その方が経営者であればOKです” と言われた。この時ばかりは正直、”なんだそれ?”と思ってしまった。経営者しか参加出来ないイベントにするメリットは果たしてあるのであろうか。プライバシー的な危惧やキャパシティー的な問題を除けば、オープンにする方がより活性化したイベントが開催できると思う。
シリコンバレーではオープンな交流が多い
一方で、最初に書いた通りアメリカに来た方々は、人々の交流のオープンさに驚く。イベントや交流会は毎晩のように開催され,著名な人々に出会う機会も多い。また、会いたいと思う人が居た場合、しっかりとした理由があり、場所とスケジュールのタイミングが合えば、ランチミーティング等をセットアップする事で会ってもらえることが多い。最初はある程度のコネクションがあったほうが有利だが、こちらのブログ にて説明されている通り、Niftyの河原さんが何のあても無く、気合いだけで念願のMeetup CEOとのインタビューをセットアップ出来たような例もあり、気合いと情熱で実現する場合も多々ある。
そもそもアメリカでは、ある程度の肩書きの人でも、誰とでもオープンに交流する考え方が一般的とされている為、肩書きや立場による隔たりは少ないと思われる。後々何がどう繋がるかがわからないので、どんな立場の人でも時間の許す限り、なるべく多くの人とオープンに交流しようと思っている場合は多い。実際に、軽い気持ちで知り合った人が後々自分にとってとても重要な人物になるケースもある。
起業家精神に基づく合衆国の歴史
この国やシリコンバレー周辺のオープンかつフラットな気質は、その歴史による影響が大きいだろう。元々既存の階層社会やしきたりから離れる為に、自分達の考える理想的な国家を作り上げた背景は、まるでスタートアップを立ち上げる人々の心理に近い。実にワシントンやジェファーソン等、アメリカ建国に関わった人々は”Founders”と呼ばれている。元々”部外者”で構成されたこの国は、身分や立場が一度リセットしてスタートしたため、平等意識が強い。その歴史の中でも”金がとれるらしい”との情報だけを頼りに、がむしゃらに西を目指した開拓者が作り上げた西海岸は、ゴールドラッシュ時の一攫千金を目指す人々と、彼らを助ける投資家やサポーター等で形成されるエコシステムのDNAが現在にも流れている。特にシリコンバレーでは一発当てて成功した人が次世代の起業家をサポートする助け合いの精神が確立している。そこには立場や肩書きによる隔たりは無く、それぞれのバックグラウンドに関わらず、チャレンジをする人々に対しては、オープンに交流を行う文化がある。
近年変わりつつある日本の社会環境
上記で随分と否定的な事を書いてしまったが、最近は随分と日本の社会環境や人々の意識も急激なスピードで変わって来ていると感じる。誰でも参加しやすいユニークなテーマのイベントや交流会も増えているし、2011年頃から日本でもコワーキングスペースが急増し、オープンな環境が徐々に普及し始めている。企業や業種に関係なく交流することで、ノウハウやアイデアを共有し、互いの知識や技術、経験を提供しあうコワーキングスペースの隆盛は、社会が求めるオープンな環境創造に対する一つのカタチに思われる。また、ネットを活用したコミュニケーションは年々活発になり、フラット&オープンなコミニュケーション手段も随分と発達してきているだろう。また、ブログやソーシャルメディアを活用する事で、気軽にそれぞれの個人の考え方やアイディアをが発信できるようになった。例えば著名人もTwitterなどの新しい媒体で日常的でカジュアルな考えを配信し、他のユーザーとの会話がしやすい環境も整いつつある。
また、ソーシャルメディアを代表するTwitterやFacebookといったシリコンバレーを代表する会社の企業文化を中心に、日本の企業にもシリコンバレー的な思考や考えなどが普及してきている。その影響か、スタートアップを中心に会社のカルチャーや経営者のマインドも随分フラットなものになって来ているだろう。今後はその辺をきっかけに、より多様なタイプの人々がユニークな発想で活躍出来る場の構築も期待される。
これから求められる事
かく言う自分自身も、まだまだオープンでフラットなコミュニケーションが出来ているとは自信を持って言うことはできない。日本でも、ソフトバンクの孫社長のように立場は関係なくユーザーからの意見をどんどん取り入れ、”やりましょう。” の一言で物事を進める凄い人達もいる。良い意見やアイディアであれば、それが本来誰の発言かには左右されずに、客観的に物事をとらえる姿勢は非常に重要である。それが無意識に出来なくなっているケースは意外と多い。
物事の本質を見抜くためには、相手の立場や肩書き等だけで態度を変えるべきではない。どんな時でも隔たりを無くし、純粋で一直線に結果が出しやすい環境を構築していく必要がある。広いネットワークを構築したければ、まずは自らその扉を開く事。世界で戦える企業を作る一つのプロセスとして、提供する商品やサービスの他にも、このあたりの意識も再考してみる事は大切かもしれない。
筆者: Brandon K. Hill @BrandonKHill
テクノロジー系スタートアップを中心に新しいタイプのファンディング方法が注目されている。つい4, 5年前までは、スタートアップにとっての資金調達の大半がVCからの出資であった。一方で、近年はWeb/Mobileサービス系を初めとして、「リーン・スタートアップ」と呼ばれる少ない予算と人数で素早い展開を行うスキームがトレンドである。 その場合、あまり多くの資金を必要としない為、今までVCが行って来た数億円から数十億円規模の投資案件は、多くのスタートアップからは必要とされない。
同時にVC側の既存プロセスによるデューディリジェンスや判断基準では、投資スピード、規模、対象が最近のスタートアップにマッチしないものになってしまった。そこで、より小さな金額を早いサイクルで展開し、起業家を助けるような仕組を提供する投資機関が求められている。それに対し、ここシリコンバレーを中心に、10年程前には存在しなかったような、起業家にとってより敷居が低く、有効的な資金調達方法が増えて来ている。そしてその方法は、最近はテクノロジー系スタートアップに限らないのも事実である。
下記に紹介するのは、小規模スタートと成長に応じた最適なファイナンスを目指すスタートアップのニーズに応えるような、新しいスタイルのファンディング形式であり、成長ステージによって使い分けられる事も多い。
クラウドファンディング (Crowdfunding)
アクセレレーター (Accelerators)
スーパーエンジェル (Super-angels)
インターネットを活用したコミニュケーションが発達するにつれ、企業に対する投資及び、資金調達のスキームにも大きな変革が起ろうとしている。それでは、それぞれの仕組みについての詳細を検証してみたいと思う。
クラウドファンディング (Crowdfunding)
クラウドファンディングとは、主にネットを介して、複数のユーザーや投資家からの資金調達を達成させるシステムで、主に小さな金額を大勢の人々から募り、その合計で希望調達額を達成させるものである。この方法を活用する事で、借金やエクイティベースの投資を受ける事無く、資金調達が可能になる。ここ数年、多くの起業家に待ち望まれていたこのスキームであるが、やっと最近になり加速度的に普及している。なお、現在のところ、アメリカ証券取引委員会 (SEC)の規定により、未承認の一般投資家による、スタートアップに対するエクイティベースの直接的なクラウドファンディングは制限されている。その点にも関連し、下記に紹介する3つのクラウドファンディングサービスは、それぞれにユニークな特性を持っている。
まず最初に紹介するのは、Kickstarter である。恐らくアメリカでクラウドファンディングと聞いて一番最初に人々が思いつくサービスがこれ。起業家のユーザーが自分のやりたいビジネスアイディアをアップ。それに対して協力したいと思う不特定多数のユーザーから小口の”寄付”を募る仕組み。出資したユーザーは、その会社の株式やその他エクイティを分配される事は無いが、その代わりに、ビジネスが達成した時に何かしらのインセンティブが与えられるようになっている。例えば、本を自費出版したいユーザーが達成金額として$10,000を設定する。資金が集まり出版の暁には、一口$100を出してくれたユーザーには直筆サイン入り特別版を、$50の方には特別版を、$20の方には通常版を誰よりも早く提供する等の特典を提供する。
Kickstarterは、サービス開始当初は圧倒的にIT系起業家ユーザーが多かったが、最近では多くの非ITビジネスにも多く利用されている。特に社会貢献をビジネスに繋げるソーシャルアントレプレナーへの出資が集まりやすいという。ファンディングに参加するユーザーも急速的に増加しており、実に2011年9月だけでも合計880万ドルの資金が起業家ユーザーに対し集まっている。
Kickstarterにおける資金調達額の推移($)
次に紹介するのはP2P型融資マーケットプレイスを提供するLending Club である。このサービスのコンセプトは、ユーザーが個人投資家となり、リストされている起業家ユーザーに融資を行うというもの。上記のKickstarterがより”寄付”的要素が強い一方で、こちらは出資者の賢い資金運用とリターンの実現を目指す。登録しているスタートアップは、ビジネスの内容、必要な資金額、リターンに関するターム等を表記。出資側の管理画面にはそれぞれの業界やビジネストレンドに関する詳しいコンテンツや、見込まれるROIに対する分析データが充実しており、リスクをマネージしながらも手堅い資金運用が可能になる。
利用してみると、自分の資金を複数のスタートアップに対して運用が出来るため、まるで非上場の企業に小額投資を行うオンライントレーディングの感覚を受ける。しかしながら、株式等のエクイティを受け取る”投資”ではなく、あくまで利子からのリターンを想定した”融資”である。また、厳密に言うと、ユーザーはクレジットカードを利用して資金クレジットを購入するため、起業家ユーザーに対しての出資元はVISAやMasterCard等になる。スタートアップにとっても、非上場の段階から一定期間の増資を達成させる事が可能になるため、非常に有益なサービスと言える。
シリコンバレーに位置するこの会社は、2010年はじめにサンフランシスコのテックプレゼンイベント、SFNewTech にも出場し、その当時から大きな注目を集めていたのを記憶している。通常は証券会社や銀行等の金融機関が行っていた資金運用を、シリコンバレーのいちスタートアップのサービスが行うという事で、金融業界に革命を起こすと考えられている。しかし同時に、法律のグレイゾーンを利用している事も事実で、政府の対応も注目されている。現に、彼らは一度アメリカ証券取引委員会から一定期間サービスの停止を言い渡された事もある。今後の動きが気になるところだ。
Lending Clubでの月々の資金運用金額推移 ($)
もうひとつのサービスは、投資家と起業家の”出会い系”サービスがコンセプトのAngelList . こちらのサイトには、積極的にスタートアップへの投資を予定している全米の投資家のリストと、それぞれのプロフィール、投資準備額、投資タイムライン等が明記され、起業家にとっては現実に投資を積極的に検討している投資家とその額が一目で分かるので、自ずとテンションが上がる。スタートアップ側にはビジネス詳細や目標調達金額を明記させる事で、投資家とのマッチングを目指す。当初はシリコンバレーのエンジェル投資家が主にリストされていたが、その利用価値から最近は全米の多くのVCも登録している。ちなみにこのサイトに投資家として登録するには、既に登録している投資家2人以上からの推薦状が必要。ユーザーによっては、起業家と投資家の両方のアカウントを持っているケースがあるのもアメリカらしい。
最近は有望なスタートアップからの注目を得る為に、投資家側も他との差別化を目指している。そう言った意味では、多くの起業家からのアプローチを得る事ができるAngelListの投資家側からの利用価値は大きい。また、スタートアップ側からしてみても、より最適な投資家に”出会う”事が出来、今までのようにピッチを作り投資家のオフィス周りをしなくても良くなる為、時間の節約にも繋がる。結果として、速いスピードで多くの投資案件が成立している。
最近ではスタートアップのサイズも多種多様になり、業界的な広がりも見せている。クラウドファンディングは、既存の概念に捕われる事無く、様々な方法で資金調達が可能になったという点で特筆すべきシステムである。特にシードファンディング時に於いては、非常に有益な方法であろう。
アクセラレーター (Accelerators)
アクセラレーターは、その名前 (加速させる) の通り、 主にスタートアップが立ち上げ後に速いスピードでの成長と、更なる資金調達を目指す際に活用されるケースが多い。彼らは、スタートアップを短期間、エクイティの一部分と引き換えに場所、資金、メンター等の成長をサポートするシステムを提供し、その後投資の可能性がある投資家に紹介している。当初このモデルは、ドットコムバブル時のインキュベーターの二の舞になるのではないかと批判されていたが、ここ数年で、継続的に大きな成功を収め、スタートアップからも絶大なる支持を得ている。その理由としては、上記の通り、Web系ビジネスの資本効率が根本的に新しくなっているからである。著名なアクセラレーターとしては、Y Combinator , Seedcamp and TechStars があり、彼らの全てがIT系スタートアップにフォーカスしている。しかしながら、昨今のビジネスに於けるコストダウンを見ると、オフィススペースとメンターを提供するアクセラレータは、KickstarterやLending Clubに登録しているような、非IT企業にも魅力的なオプションになる可能性も大きい。
アクセラレーターは未だスタートアップから絶大なる人気を得ており、全応募者の中でわずか1%しか受け入れられていない。ちなみにこの数字は、ハーバードやイェール大学の合格率よりも低い。そして多くの場合、受け入れた企業に対して、入居直後に数万ドルから数千万ドル程度の資金を提供する。
もちろんアクセラレーターブームは、スタートアップコミュニティーの過激なものであり、一時的なバブルであると指摘する人も多い。しかしながら、彼らが提供するプラットフォームは、他の業界の起業家にとっても非常に魅力的なものであり、今後は様々なビジネスモデルに対して普遍的に定着する可能性を秘めている。
時期別Y Combinator からの卒業企業数
スーパーエンジェル (Super-angels)
最近アーリーステージの資金調達に関しては、VCよりもスーパーエンジェルという人々から行う事がセオリーになりつつある。スーパーエンジェルとは、自身のビジネスの成功や、所属していた会社のストックオプション等から得た資金を元に、スタートアップ企業に対して投資を行う個人投資家の中でも、比較的大きめの資金があり、他の投資家に対しての影響力の高い人々を指す。例えば、LinkedInファウンダーのリード・ホフマン やDiggファウンダーのケビン・ローズ等である。彼らが投資するスタートアップの成功率が高い為に、他の個人投資家も、彼らの案件に”乗っかる”ケースが多い。その結果、スーパーエンジェルが投資活動をする場合は、まるで小規模のVCファンドが動くのに近い仕組みが生み出されている。
既存のVCからの投資よりもスーパーエンジェルからの資金調達がスタートアップから好まれる理由は2つある:
Web系のビジネスが驚くべき程に資金効率的になり、巨大な資金の必要性の低下 (需要側)
統計的にみても、小さなファンドの方が投資家に対して効率の高いROIを達成 (供給側)
現実的にここ10年間を見ても、巨大VCファンドは低い利回りに叩きのめされて来ている。テクノロジー系だけではなく、バイオやクリーンテック等大きな資金が必要としている業界からのリターンがあまりにも少なすぎたのだ。それにより、多くのLP (ベンチャー会社に投資する機関投資家) はサイズよりもクオリティー重視に方向転換をしている。このようにVCファームが投資サイズとスピードに苦戦している一方で、スーパーエンジェルは速いスピードでの”一本釣り”を成功させている。
実に先日も日本のとあるスタートアップをシリコンバレーのVCに紹介した所、VC側から”うちは小規模のシードファンディングも行っているので、怖がらないで”との一言があった。それほど、VCはWeb系スタートアップへ投資に対して苦戦しているのだ。参考までに、数は少ないが既存のモデルとサイズでも成功を収めている代表的なVCはUnion Square Ventures やSequoia Capital である。
まとめ
次世代のファンディング方法が利用可能になり、資金調達からエクジットまで、スタートアップに於ける成長ストーリーに大きな変革が起きようとしている。比較的小額のシードファンディングは、クラウドファンディング、成長期にはアクセラレーター、より大きな資金とサポートが必要になったら、VC, 安定期にもプライベート・エクイティからの増資が可能になっている。これらのスキームが揃う事により、会社としての実力が構築され、時間はかかるであろうが、よりビッグなIPOが期待する事が出来るであろう。
筆者: Brandon K. Hill @BrandonKHill
2011年11月3日にサンフランシスコのSOMA地区にて今回で3回目になるSF Japan Night が開催された。このイベントは、日本のWebベンチャーが総勢300人以上の地元観客を前に自社のWebサービスを英語にてプレゼンテーションし、アメリカをメインに世界進出の足がかりとするものであり、去年10月の第1回、今年6月の第2回と引き続き、今回が第3回目となる。
9月に応募された海外向けのWeb/モバイルサービスを提供する企業約30社の中から、サンフランシスコの地元投資家、ベンチャー関係者、メディア関係者、btraxスタッフにて構成される審査委員会からの厳正なる審査を通り12社がの第1次審査を通過した。
そして今回は、本番のSF Japan Nightに先駆けて、初の試みとして10月8日に東京での最終予選 が開催され、その第1次審査通過した12組 が参加し、Japan Night本戦と同じように英語でのプレゼン+Q&Aが行われた。この東京でのセミファイナルでは4人の審査員によって各審査項目ごとにポイントが入りその合計点によって評価される為、1人の意見ではなくフェアに審査することができた。このセミファイナルでも全体的に格段とレベルが上がっているという接戦の中、海外に通用するであろう最終企業6社が選出された。この東京でのセミファイナルの開催と出場企業の選出方法が今までと今回の第3回目の大きな違いである。
第3回SF Japan Night
11月3日当日の朝は前日より寒波が訪れていた為、普段にも増して風が強くまた気温が下がり肌寒かった。そしてカリフォルニアとしては珍しく雨が降る場面もあり、天候が少し崩れてしまった。前回6月に行われた第2回SF Japan Nightでも強い雨が降った事からも、Japan Nightは雨との相性が良いらしい。
リハーサル
当日は午前11時からイベント会場・Mightyで出場企業のプレゼンターによるリハーサルが行われた。本番を想定してプレゼンテーション順にリハーサルが進み、各プレゼンターごとにブランドン氏から英語の話し方、ピッチでのオーディエンスの注意の掴み方、スライドへの改善点などの本番の為の多くのアドバイスが与えられた。実際にここでのアドバイスが反映され、本番で会場で歓声が起こる成功例もあった。
本番
当日はサンフランシスコの地元オーディエンスの方々で会場は溢れ返った。会場の至る所でネットワーキングが行われていたが、その陰で出場企業のプレゼンターの方達は裏で練習や確認などを行い、緊張の空気が漂っていた。ピッチが始まる19時30分頃には立ち見が出るほどに会場は満員になった。
その後、和太鼓のBGMに合わせて今回の出場企業のロゴが紹介されたムービーにのせてJapan Nightの幕が上がった。ちなみにこのムービーは、btraxの前インターン生が作成したもの。
オープニングムービー
その後、btrax CEO ブランドン氏による挨拶があり、Japan Nightのスポンサーの1つであるN.T. Technology社 の岩坂氏によるスピーチが行われた。その際にアルコールの無料券が配られるなど、アメリカらしいプレゼンテーションのカジュアルさがありオーディエンスを和ませた。
そして、いよいよメインである出場企業6社によるピッチが始まる。
オーディエンスを圧倒するために、トップバッターは英語がネイティブの福島氏を抜擢。前半は表情が固く緊張している様子が見受けられたが、次第にナチュラルな英語でジョークも飛ばしながら、オーディエンスを安心させた。当日のMightyで配られていたタコスの写真をSnapDishを使って撮る等、会場を盛り上げた。
学生の為のピッチコンテスト、ブレークスルーキャンプ2011優勝チームであるFacematchは多くの期待が寄せられ、開始前にこの解説がブランドン氏により入った。ピッチ開始直後にメイド姿の女の子が登場し、会場を笑わせ、オーディエンスの注意を掴んだ。若さによる勢いのあるピッチ、アプリ紹介内で使われた”cute” というキャッチーな言葉、またQ&Aでプレゼンターが変わるなどで会場に笑いが溢れた。JapanNightと合わせて当日にトライアルバージョン が公開された。
高度なクラウドネットワークテクノロジーの内容のピッチが経験豊富であり実績のある加藤氏により行われた。技術的なプレゼン内容であり、既に資金調達が成功しているこのサービスは投資家や使用したいというユーザーから注目されていた。さすがベテランであり、ピッチが慣れているという印象。本社がシンガポールにあり、既に海外展開されているのも特徴である。また、加藤氏からは翌日のAfter Partyでも若い起業家へ有難いお話も聞く事が出来た。
ピッチ中にペットボトルを投げ捨て写真を撮るというパフォーマンスが行われ、オーディエンスにアプリの使い方を説明すると同時に注意を惹きつけた。オーディエンスの反応がある度に小嶌氏のピッチの調子が盛り上がり、またそれがオーディエンスへと伝わってきた。シンプルな言葉で伝えられるメッセージは非常に理解しやすく共感を得るものであり、またQ&Aでは彼の柔軟性と声のトーンの上下により、際どい質問も笑いに変化していた。PIRIKAは恐らく本イベントの中でオーディエンスがそのコンセプトに一番賛同したサービスとも言える。
Grow! / Grow! Inc.(@GrowBt ) プレゼンター: 佐久間 竜 氏
勢いのあるキャラの一ツ木氏、クリアーで聞き取りやすい英語を得意とする佐久間氏のコンビでプレゼンに挑んだGrow!チーム。Social Tipping Platformという新しいコンセプトのサービスを分かりやすく説明。サービスを伝えたいという真剣さと真面目さが伝わり、オーディエンスの反応も受け止めるようにして聞いていた。また、Q&Aの際には、どのようにしてユーザーを取り込むかや、ユーザ1人に対して得られるであろう金額の最大値など、現実的な質問がオーディエンスから寄せられた。
複数のパソコン上でのアプリケーションを可能にするSynclogueは、今回のイベントにてオーディエンスが最も注目しているサービスの一つ。若き起業家の山本氏がテンポ良くピッチを進める。具体例を盛り込んだプレゼン内容は、身近で具体的な問題を解決するサービスを分かりやすく説明。Q&Aに於いても、自社のサービスの弱点をきちんと把握し答えていて、きちんと分析がされているように見えた。今イベントのトリにふさわしい内容であった。
結果発表
全てのピッチ終了後、会場にいるオーディエンスだけでなくUSTREAMの中継を見ているオーディエンスからを含め、Web投票が行われた。FacematchとPIRIKAが2強で大接戦となり、スクリーンに映し出された投票結果で何度もお互いの票を追い越し順位が変わる場面が見られたが、最終的にFacematchがわずかな投票差で優勝した。会場も満員、ピッチもオーディエンスと共に大変盛り上がり、無事大成功でJapan Nightは幕を閉めることができた。
本選では、東京での最終予選以上に英語のスキル、プレゼンテーションの質、スライドの進め方など、よく研究され洗練されたものとなっており、海外でも十分通用する程のレベルまで完成し、実際にそれを証明した。
今回のピッチで見ることができる大きなポイントが2つある。まず1つ目は、いかにピッチ前半にオーディエンスからの”このアプリは面白そう!”という注意を掴みプレゼンに惹きつけて、期待を寄せながら集中して話を聞いてもらうかということである。ただ淡々とサービス紹介のピッチを行うだけの一方方向のピッチでは、オーディエンスの記憶に残すことは難しく、オーディエンスとのコミュニケーションやキャッチボールが取れている相互関係のピッチの方が印象に残る。2つ目は、一貫してピッチに含まれているメッセージ性が強いものがオーディエンスに印象を与えるということである。”どうしてこのサービスを作ったのか”、そして”そのサービスを使ってどうしたいのか”というメッセージが非常に理解しやすいものは人々の共感を得やすい。このポイントを上手に表す方法として、米国ならではのジョークを取り入れたり、何かインパクトを与えたりする工夫などが挙げられ、今回のJapan Nightでは実際にオーディエンスを笑顔にし惹きつけさせ、そして会場全体で一体感が起こしたピッチが優秀なピッチとして評価されている。
[当日のUSTREAM]
SF Japan Night III part 1
SF Japan Night III part 2
AfterParty
さらにJapan Night翌日の11月4日、Japan Night After Partyを開催した。第3回Japan Night出場者や現地のサンフランシスコやシリコンバレーに住んでいる方々を交えたカジュアルな雰囲気のパーティーであり、会場は以前大前研一氏との対談 で使用されたサンフランシスコSOMA地区のCoworking Space、Citizen Spaceである。おなじみN.T. Technology社の岩坂氏による差し入れを頂き、豪華なお酒と食事が添えられた。
「第3回 Japan Night出場者が語る、次の挑戦者に伝えたいこと」と題されたこのPartyでは、前半は第3回Japan Night出場者による反省と次のJapan Nightへのアドバイスを元にしたパネルディスカッションが行われた。
オープニングの挨拶 ブランドン ヒル氏 (btrax CEO)
出場者によるパネルディスカッションモデレーター 本間 毅氏 (Blogger/スタートアップ支援ボランティア)
テーマ :「英語でプレゼンテーションするということ」
パネリスト:PIRIKA/小嶌氏、Facematch/伊香賀氏、洛洛.com/安達氏 (第2回JapanNight出場企業)、途中からGrow!/一ツ木氏, 佐久間氏
テーマ :「シリコンバレーに挑戦した理由」
パネリスト: SnapDish/福島氏、midoNet/加藤氏、Synclogue/山本氏
主なディスカッション内容
「自分のピッチを評価すると何点か?」
洛洛.com/安達氏 30点―カンニングペーパーを見すぎていた為に、セリフっぽい話し方になってしまったから
Facematch/伊香賀氏 50点―自分達が面白いと思い、笑わせようと思った点で笑ってくれなかったから
PIRIKA/小嶌氏 40点―間をきちんと取らずに、笑いが少なかったから
Grow!/ 佐久間氏 40~50点―ユーモアが足りない、臨機応変に対応できなかった、Q&Aが対策不足だったから
「シリコンバレーに挑戦した理由」
SnapDish/福島氏 アメリカにいることは自然であり、できるならやろう。シリコンバレーの最先端を感覚的に知りたかったから
Synclogue/山本氏 ノウハウを掴む為シリコンバレーと日本との橋渡しになっているイベントに出てみようと思ったから
midoNet/加藤氏 アメリカ経済が未だ活発である西海岸への進出への小さな一歩として進出したかったから
[当日のUSTREAM]
SF Japan Night After Party
感想
今回は日本やサンフランシスコを中心としたアメリカだけではなく中国メディアでも記事が取り上げられ、全世界としても注目されるようになった。これをきっかけに今回の出場企業への更なる飛躍を期待し、日本での成功モデルとして大きな事例となり、より日本へのアントレプランナーシップを刺激し、日本国内の起業家、及び起業家を目指している方々への大きな可能性を持ってもらいたい。また、このJapan Nightに出場し優勝を収めることが日本で最高峰のサービスとして認知されるようになるだろう。
次回来年春に開催が予定されている第4回SF Japan Nightに、大いに期待を寄せることができる。
また、今回出場した企業の方々、多数のスポンサーの企業様、参加して頂いたオーディエンスの皆様、審査委員の方々、より良いプレゼンの為に貴重なアドバイスを頂いた多くの方々、そして運営のbtraxのスタッフ、今回関わって頂いた全ての方のご協力本当にありがとうございました。大変感謝しております。
ブランドン氏からの感想
“今回で三回目になるSF Japan Nightは回を重ねるごとにオーディエンスの注目が上がって来ていると同時に、プレゼンターのクオリティーも向上しています。今回は初の試みとして、東京で予選を行いました。これにより、出場者の英語でのプレゼンに対する意識も格段に向上していると感じた。その約一ヶ月後に開催された本番では、ネイティブのオーディエンスの前で笑いを取った方々も多く、非常にクオリティーの高いイベントになりました。これを機に、少しでも日本のスタートアップの海外展開のきっかけになれば幸いです。出場者の努力と協賛企業や運営に関わって頂いた方々の暖かいご支援に大変感謝しております。来年春に開催予定の第四回もよりいっそう良いイベントとして行きたいと思います。ご協力、お願い致します。” by btrax, CEO Brandon K. Hill
関連リンク
日本の方々にお会いする際に頻繁に話題に上がるのが、「海外展開を成功させる為の秘訣」である。つい先日、日本から来られたメディアの方からのインタビュー時に余談として尋ねられたり、約2週間程前に日本出張へ行った際に多くの方に聞かれたりもした。 その度に自分でも真剣に考えるようになり、それなりの結論が出たので、まとめておく事にした。
10/8に品川の日本Microsoft社オフィスにて行われた、第3回Japan Night最終予選会 でのキーノートスピーチのテーマは、”Going Global.” 海外展開に際しての幾つかのポイントを説明させて頂いたが、日本の企業が海外展開を成功させる為には、実に数多くのハードルを乗り越えなければならない。しかしながら、よくよく考えてみると、成功のカギは最終的には下記の3つのポイントに集約されるのではないかと思われる。
ポイント1: プロダクトの品質
一つ目は単純明快、商品やサービスのクオリティである。やはり、海外展開の第一歩は、日本国内だけではなく海外の消費者に使ってもらえて、喜んでもらえるプロダクトを提供する事から始まる。ただ、一口に「品質が良い」と言っても漠然としすぎているので、具体的なポイントを3つ。
既にある物のマネをしない
去年の初め頃、会社のスタッフと一緒に、サンフランシスコのライブハウスで行われた宇多田ヒカルのライブを見に行った。あまり大きな会場では無かったが、チケットはソールドアウト。意外にもオーディエンスの多くは、地元のアメリカ人。宇多田はアメリカでもデビューしており、セットリスト中の多くがアメリカでリリースされている曲が中心、しかしながら、会場が一番盛り上がっていたのは、日本国内のみでリリースされた、1st, 2ndアルバム収録曲であった。歌詞も日本語のままなのに、オーディエンスは大喜び。実は、海外リリースの曲の多くのメロディーに日本人特有の「切なさ」が無くなっていた。アメリカ向けにプロデュースされたR&B曲は、こちらの消費者からすると、「既にある」ものであり、宇多田以外にも多くの素晴らしいアーティストが存在している。別に宇多田である必要は無いのである。
数十年前までは、日本のプロダクトは既存の商品を上手く研究、改良し、成功したケースが多かった。しかし、大量の情報が瞬時に飛び交う今の時代、既存の商品やサービスと似たようなものをを提供しても、本物と比較され、勝負にならないケースが多い。海外マーケットでの成功事例を研究し、つい、同類のプロダクトを作りがちであるが、これからは、日本人だからこそ作れるものを提供する必要がある。
市場にあった商品・サービスの提供
上記のポイントに真っ向から矛盾しそうなポイントであるが、これも非常に重要。国や住む環境が違えば、人々のニーズも随分と変わってくる。例えば、東京の電車や地下鉄の改札では、切符ではなく、SuicaやPasmoなどのプリペイド式ICカードが利用可能であるが、サンフランシスコの地下鉄は、未だに紙製の切符が使われており、ここ数十年間は変わっていない。券売機ではおつりすら出ない有様。バスの乗り換え券は、新聞紙用のペラペラの紙を運転手に見せる。恐らく公共交通機関に対する需要や生活習慣、そして人々の考え方が要因で、市場にICカードのニーズが無いと思われる。
もう一つの良い例としては、僕の友人が熱弁を振るう、こちらの記事 でも分かる通り、アメリカではウォシュレットがほとんど受け入れられていない。日本で大ヒットしていても、海外ではどうしても響かない商品やサービスがある。Web系のサービスだと、占い系、ポイント関連、アフィリエイト関連が意外と敬遠されるケースが多い。
極限までシンプルに使いやすく
恐らく日本の消費者が賢いが故に、海外ユーザから見て複雑過ぎるプロダクトが多いように思われる。特にモバイルアプリは、国内の多くのユーザーが今までのガラパゴス携帯における複雑な操作感に慣れてしまっているせいか、その多くがユーザビリティの面で改善の余地があると考えられる。こちらのポイントに関しては、フェラーリのデザイン会社として有名な、ピニンファリーナ社の前デザイン主任で、現在は世界を舞台に活躍されている工業デザイナーの奥山清行氏 が自身の著書でも、下記のように指摘されている:
“日本人が得意として来た「切り捨ての文化」がなくなり、製品が多機能化しすぎている。日本製品の一番良かった部分は、「マニュアルを読まなくても使える」というところだったが、いつのまにか日本製品は世界中で一番使いづらいものになり、お客さんから敬遠されるようになってしまった。「シンプルにする勇気」を取り戻さないと、これからの日本製品はますます辛い事になるかもしれない。”
商品やサービスを造り出す際は、是非削れる所は、極限まで削り、出来る限りシンプルにする勇気を持ちたい。僕自身も座右の名としているのは:
“Perfection is achieved, not when there is nothing more to add, but when there is nothing left to take away.”
「完成とは、これ以上削る事の出来ない状態である。」
ポイント2: ビジネスマンとしての経営者
実はこれが一番重要なポイントだと思う。インターネット技術の発達や会社法の改訂で、近年は少ない資本で起業する事が可能になった。その反面、多少技術が出来る人や、アイディアがあるだけでビジネスをしようとしているケースも少なく無い。本来、経営者に向いているタイプの人は、かなりユニークで、あまり多くは居ないはずである。経営者がインターネット技術を利用してビジネスをしているのではなく、ネットの技術に詳しい人が、好きな事をしながら商売をしようとしている場合に遭遇する事が多い。一方で、長期的に成功している会社は、やはり経営陣がその業種に関係なく、ビジネスの神髄を突いていると感じる。経営者として必要なのは:
お金儲けへの嗅覚
日本に行くと感じるシリコンバレーとの大きな違いは、「お金儲け」に対しての姿勢。こちらの起業家や経営者の多くが、何かを始める前にまず真っ先に考えるのは、それが儲かるかどうか。そして、ヒットした場合はどのくらいのお金になるか。逆に、儲かる見込みが少ない事業に関しては、手を出さない。経営のプロとして、貪欲なまでの執念が感じられる。その一方で、日本のスタートアップの経営者の方々が事業を始める理由として、「面白そうだから」を挙げているケースが多い。恐らく、安易にお金儲けの話を出す事が文化的に敬遠される背景があるのかもしれない。しかし、経営者になる以上は、生きるか死ぬかの戦いになるので、お金に対する嗅覚をとことん研ぎすませる必要がある。逆に、「こいつはデキル」と思わせる方は、消費者へのメリットを最大限にしながらも、卓越した収益スキームを確立している。
リーダーシップ力
以前のこちらのポスト でも説明したが、国際的な競争力のある会社を作り上げるには、海外のスタッフも積極的に取り入れ、ダイナミックな環境を作る必要がある。それに際して求められるのが、経営者のリーダーシップ力。多種多様な人種や文化的バックグランドを要する会社を引っ張って行くには、日本人だけで構成される会社とは別次元での統率力が必要とされる。従業員の心をつかむには、専門的能力に秀でた「仕事力」そして、人格、コミニュケーション能力から構成される、「人間力」の両方を兼ね備えたリーダーになる必要がある。それぞれの分野に於いて自分より優秀な人材を獲得し、最大限のパフォーマンスを発揮してもらえるような環境づくりもリーダーの仕事となる。
頭脳明晰で理論的
単純言って「頭が良い」経営者がいる会社が成功する。ただ、その頭の良さが専門的な部分だけではなく、広い視野で物事をとらえ、理論的に考える事が出来、議論が得意で、相手の気持ちも感じ取る事の出来るようなMeta的な要素も必要になる。現代の日本では、いわゆるトップエリート達が会社を興す事が少なくなって来ているが、学歴に関わらず、会社にとっては総合的に頭の良い経営者が必要である。ちなみに、アメリカでは、上記の頭の良さを兼ね備えた、プロの経営者が経営者職を請け負うケースも多々ある。つい先日も、友人が自分の会社に経営者を雇い、成功報酬型で会社をエクジットさせていた。その一方で、今までの経験上、皮肉にもMBA保持者は経営に向いていないような気がする。
ポイント3: 語学/コミニュケーション力
いまさら、英語を中心とした語学力はあまり関係無いと言いたい所だが、こればかりはどうしても避けて通る事が出来ない。世界の共通語は英語であり、どんなに優秀でも英語力に欠けている事だけが理由で世界に展開出来ないのは悔しい。やはりどう考えても語学力は重要。それも、単純に英語が出来るという事ではなく、明確に意思疎通が出来、スムーズに会話が進んで行くレベルのコミニュケーション能力が必要とされる。逆に考えると、特に流暢ではなくても、しっかりと相手の言っている事を理解し、自分の意志を伝えられればOKである。
基本的な語学力
とりあえず基本を抑えるだけでもかなり良い。実にアメリカで生活していると、日々使われる英語の約80%以上は日本の中学レベルの英語である事が分かるであろう。恐らく残りの20%のうち、15%はこちらのポスト で出てくるような、高校や大学でも教えていないスラング的表現である。ちなみに、移民の多いアメリカでは、英語がネイティブでは無いケースも多く、なまりをさほど気にしていない人々も多い。実に、先日参加したイベントで壇上でスピーチしていた方の北欧なまりに対して、観客の女性から「セクシーだわ」との声もあった。若干のなまりも個性に変えるぐらいの心構えが必要。
議論/発言力
アメリカを始めとした海外では、会議の際に発言しないスタッフは無能と見なされる。日本で働いた経験のあるスタッフは間違った発言や上司への反論意見を恐れて、滅多に発言しないケースがあったりするが、逆効果である。たとえ間違った意見でも、とりあえずどんどん発言してみて、全員で議論するのがプレインストーミングの基本である。その際は誰がどのような意見を言ったかは重要ではなく、とりあえず発言する事が評価の対象となる。また、会議中は役職や肩書きにとらわれる事無く、自由に発言する事が出来る反面、たとえ社長であっても、納得出来る説明が出来ない限りは、スタッフの賛成を得る事も出来ない。相手の意見を否決する際も、なぜ良く無いかを納得してもらう必要がある。
ユーモア
コミニュケーションにおいて、意外と重要になってくるのがユーモア。日本だと仕事中に冗談を言うのは御法度な会社もあるだろうが、例えばアメリカの場合、かなり深刻な場面でもジョークを飛ばしたりする。それにより、周りの空気を和らげ、人々の気持ちをリラックスさせる事で、良いアイディアを引き出したりする事もある。逆にジョークの一つも言えない人は、仕事もできないと思われるケースもある。シリコンバレーで四六時中パソコンに向かっているギークと呼ばれる人々も、話してみると意外と面白い場合も多い。毎週末がパーティーで初対面の人とと話す事に慣れているのが所以であろう。
上記の「プロダクトの品質」「ビジネスマンとしての経営者」そして「語学/コミニュケーション力」で構成される3つのポイントは、三種の神器と言っても良いほど、海外展開に際して非常に重要になってくると思われる。実は、3つ全てが揃っているケースは稀で、多くの場合、どれか一つが欠けている。その場合は、残りを補う事で、可能性が飛躍的にアップすると思われる。
筆者: Brandon K. Hill @BrandonKHill