CES 2012で見るこれからの家電が進む道

main-pic昨年12月よりbtraxでインターンとしてお世話になっているA.K.と申します。1月10日から14日にかけてラスベガスで開催された、世界最大の家電ショー、CESに参加してきましたので、その内容をレポートさせていただきます。 今後家電のIT化が進む中で、よりウェブやアプリなどに似たUI/UXが家電業界で採用されることになると考え、家電業界の最先端を視察しいち早く次世代のストラテジーを開拓すべくラスベガスに向かいました。

“SHOW”と呼ぶに相応しく、世界中の家電メーカーが集うコンベンションセンターは圧巻の大きさで、North Hall・Central Hall・ South Hallに分かれた会場はとても1日、2日で周り切れるほどの規模ではありませんでした。参加者数も過去最高の153,000人を記録したそうです。

その中で、特に印象に残ったのは以下の6点です。

スマートフォン・タブレットとの融合

Appleは自社での製品発表を行うためCESに参加していませんが、その影響力を感じざるを得ないほど、CESの会場の至る所に家電と接続されたiPhone・iPadが見られました。(もちろんAndroid端末との接続もサポートされているものも多かったと思われます。)スマートフォンから出力されたゲームのデモが行われていたブースもあれば、iPadがギターと接続されてアンプ代わりに使用されていたり、フィットネスマシーンにもスマートフォン・タブレットが接続され、結果の表示やシェアに使われているブースもありました。一度は失敗したと言われた家電のIT/ユビキタス化ですが、スマートフォン・タブレットの急激な普及によってそのプラットフォームを確立し、再びその波が来ていると言えるのではないでしょうか。今後はスマートフォン・タブレットをユーザーインターフェースの軸として、あらゆる電化製品がインターネットに接続され、日々の活動ログがクラウドに蓄積されたり、ソーシャルメディアに投稿されたり…そういった未来が鮮やかに想像できる会場でした。

家電メーカーとしては、商品だけでなく、付随するアプリの開発も必要になり、今までとはまた違ったフィールドでも競争していくことになるでしょう。その中で、アプリ機能の設計や、UI/UXのデザイン・操作性、プラットフォーム開発など、今までは無かったケイパビリティーを早急に確立する必要があると言えます。その中でもユーザーエクスペリエンスの分野は恐らく今後製品が成功するかどうかにおいては、非常に大きな役割を果たすと考えられます。
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車の”スマート化”

場所はNorth Hallで、会場の中心からは外れていましたが、今回のCESで非常に印象に残ったのが自動車メーカーの出展でした。ブースを展示していたのはアウディー・ダイムラーメルセデス・フォード・キアの4社。ダイムラーメルセデスでは、iPhoneアプリを通じて車の中で様々なSNSや位置情報サービスなどのWebサービスを使う体験ができるデモが注目を集めていました。アウディーは窓の開閉や車高の調整など、ほぼ全ての機能をタッチパネルで操作できるモデルや、まさにiPhoneのようなインターフェースを取り入れた後部カメラを搭載したデモなどが展示、フォードでは車の状況を管理できるスマートフォンアプリが紹介されており、キアではドライバーの状況を判断して注意を促すコンセプトカーが展示されているなど、各社スマートフォンとの連携の度合いやデジタル化の方向性に違いはあれど、大きな意味で車の”スマート化”が進んでいることは間違いありません。

車社会のアメリカでは、自動車に乗りながらどれだけスムーズな操作性でネット連動型アプリが利用出来るかが注目されています。さしあたり近い将来、ダッシュボードの計器は全てタブレットでの表示になり、操作もタッチパネル、車自体の情報から位置情報、近くにいる友達の表示まで、今後自動車が急激に進化して行く事が想像出来ます。それと同時に、自動車のインターフェースに関して必要とされるUI/UXはどんどんWebやアプリに近づき、btraxのようなデザイン会社が手がける日もすぐ近いと思われます。ダイムラーAG取締役会会長兼メルセデスベンツヘッドのツェッチェ氏のコメントの通り、これから車の”スマート化”が進むとすると、全く新しいスマートフォンや車のユーザーインターフェースが現れることになるかもしれません。
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TVの今後

様々な製品がスマートフォン・タブレットと一体化して行く中で、今後の方向性が難しそうだったのはTVでした。もちろん3D機能や4K、有機ELディスプレイなどの登場で話題も多かったですし、サムスン・ソニーを中心にApp Storeを展示し、コンテンツの充実を示していましたが、コンテンツプラットフォームの中心は間違いなくスマートフォン・タブレットに移りつつあります。その中で、TVとしては、ディスプレイとしての役割に加えて、どういったコンテンツを提供していくのかが今後の課題となりそうです。これからは、TVデバイスがスマートフォン、タブレット、パソコン、ネットコンテンツとシームレスに連動し、総合プラットフォームのいちデバイスとしての位置づけになる事が考えられます。
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Windows8のUI/UX

Microsoftのブースでは、新OS・Window8を搭載したパソコンや、Windows Phoneが展示されており、驚いたことに、新しいOSとWindows Phoneのインターフェースが非常に似通っていました。四角い画像が各アプリや連絡先、お気に入りのサイトなどを表しており、その画像の中にサービスのロゴや人の写真などが表示されます。見た瞬間に分かりやすいデザインや、インタラクティブな動き からの推察ですが、恐らくスマートフォンのインターフェースとして開発されていた物が、PCのOSに採用されたのではないでしょうか。 仮にそうだとすると、スマートフォンの一層の普及が見込まれている以上、PC OSとの関連性からも、スマートフォンの UI/UXの重要性が増してくることでしょう。また、特筆すべきは、これPC OSで圧倒的シェアを誇るMicrosoftが主導したということで、デザインや軽快な動き(少なくともデモ機での動きは非常にスムーズで、レスポンスの遅さなどは感じませんでした)と合わせて、今後Windows Phoneの巻き返しが期待出来るかもしれません。
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中国勢・韓国勢の台頭

会場全体を見渡して感じたのは、中国企業の圧倒的な勢いでした。South Hallの一部区域は、中国政府が場所を一括して用意したのでは無いかと思われるほど中国の中小企業で埋め尽くされていましたおり、どちらを向いても中国の地名を冠した企業名、中国語の広告が見られました。展示されている商品はスマートフォンの周辺機器や、ベーシックな家電が中心でしたが、中には「イケてる!」と思ってしまうほどスタイリッシュな製品や、思わず目を留めてしまうような面白い商品などが並んでいるブースもありました。長年、「中国企業は値段は安いけれど品質は…」と考えていた日本企業の方が多いかもしれませんが、今や技術的にも更にデザインの観点からも中国企業が脅威になり得るということを認識する必要がありそうです。

また、Central Hallに目を向けてみると、そこで目立っていたのは 韓国の二大企業Samsung・LGでした。特にSamsungは 会場の真ん中に巨大なブースを構え、CESで発表した薄型ノートパソコンや有機ELディスプレイ、音声や手の動きを認識出来SMART TVを中心に多くの人を集めている様子が印象的でした。また、製品だけではなく、スタッフ全員がトレンドカラーの青いTシャツを着て説明している様子、1日の終わりにはスタッフが全員集まり、役員(と思われる人)の激励を受けて連帯意識を高めている様子など、良い意味でも悪い意味でも体育会系的な力強さを感じました。

日本企業の様子

一方で、日本企業も中国や韓国の企業の勢いに押されながらも、存在感を発揮していました。SHARPのブースでは55インチのインタラクティブディスプレイが展示されており、文字や絵の記入やタッチパネルの様な画面操作が実演されていました。SONYはやや奥まった所にブースが位置していたものの、Google TVやPlay Station、デジカメなど幅広い商品群が展示されていました。更に演出にも力を入れ、ウィル・スミスやケリー・クラークソンなど、著名人による登壇が注目を集めていた様です(我々は3日目からの参加なので見られませんでしたが…)。Panasonicは何と言ってもその4K TV(超高解像度のディスプレイ)が注目を浴びていましたし、カメラについてはCanonやNikonなどの日本企業が注目の中心でした。一方で、全体として落ち着いた雰囲気のブースが多かったり、LGの4mm世界最薄有機ELディスプレイのようにインパクトのある商品があるわけでもなく、やはり中国・韓国勢と比べると勢いが感じられませんでした。是非来年は日本勢の巻き返しに期待したいところです。

最後に

たったの2日間でしたが、様々な学びがあった充実した時間でした。btraxとしては、今後スマートフォンベースのUI/UXデザインが、家電やPC、車など、様々な製品の上で求められることになることを再認識し、今まで以上にアプリやスマートフォンブラウザなどのデザインに注力する必要があるということを確認しました。 また、家電業界に従事する日本の大企業も多いですので、改めてデザインの観点から、日本企業の海外進出をお手伝いできるのではと期待を高めています。

 

PS
自動車メーカーとして出展していたのは上記4社だけでしたが、実際に会場で一番多く見かけた車はランボルギーニでした。ランボルギーニ×美女の組み合わせが集客のカギになりそうです。恐らく入場者の9割以上が男性である事に目を付けたニクい演出だと思うのですが、ついつい僕も引き寄せられてしまいました。このブログをご覧になったCES出展の日本企業の皆様、是非来年は検討されてみてはいかがでしょうか…笑
 
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ユーザの行動を変化させる!? ソーシャルログインの驚くべき効果

main-picこんにちは。1月初旬からbtraxでインターンとして働いている秋吉 真衣と申します。日本の大学を今年卒業することが決まっており、学生時代に常々願っていた「日本企業の海外進出をお手伝いできる場所で働きたい」という想いを実現すべく、就職までの約3ヶ月間、こちらでお世話になる事になりました。btraxでは社内ソーシャルメディアマーケティングや新規プロジェクト、ブログ更新など様々な場所で関わらせて頂いており、日々周囲のスタッフから多くの学びを得ています。今後は、主に担当しているソーシャルメディア関連の記事をブログで書かせて頂きます。

最近よく見かける、 FacebookやGoogle等のアカウントを使ってサイトにログインできるソーシャルログイン。そして今や殆どのサイトに設置されている、コメントやいいね!などのソーシャルプラグイン。両者がどれほどユーザのサイト滞在時間に強い影響を与えているかを視覚的に表した、分かりやすいInfographicsを見つけたのでご紹介します。

 Infographicから言える結論:

ソーシャルログイン・ソーシャルプラグインの利用と、ユーザのサイト滞在時間には強い相関関係がある。

ファクト1 :
ソーシャルログインを通してサイトを閲覧するユーザは、ログインをしないユーザより1.5倍以上長い時間、サイトに留まっている。

(ソーシャルログインの場合平均で12分間、通常のログインの場合8分間、ログインしない場合だと5分間サイト内に留まっているという事が調査結果から判明した)

ファクト1の理由:
サイトにコメントを残すユーザは、全くサイトとの交流がないユーザの3倍以上長い時間サイトに留まっている。

(全くサイトとの交流がない場合は平均で5分間、ログインした場合は10.3分間、コメントを残した場合は15.6分間、内容を共有した場合は11.6分間、ニュースフィードに流した場合は12.5分間サイトに留まることが調査結果から判明した)

ファクト2:
ソーシャルログインを通してサイトを閲覧するユーザは、 ログインをしないユーザより2倍以上多くのページを閲覧する。

(ユーザは、ソーシャルログインの場合平均10ページ、通常のログインの場合5ページ、ログインしない場合は4ページを閲覧する事が調査結果から判明した)

ファクト2の理由:
サイトにコメントを残すユーザは全くサイトとの交流がないユーザの2倍以上多くのページを閲覧する。

(ユーザは、全くサイトとの交流がない場合は平均4ページ、ログインした場合は8ページ、コメントを残した場合は11ページ、内容を共有した場合は11ページ、ニュースフィードに流した場合は10.4ページを閲覧することが調査結果から判明した)

参考1 :

62%がFacebookアカウントを通してログインしている

(2011年8月時点ではFacebookを使ったログインは全体の39%。Googleが30%。Yahoo12%とTwitter8%)

キーとなるファクト: このグラフで気をつけなければいけない所が、40%は未だFacebook以外のソーシャルログインが占めているという事である。従ってビジネスにおいては、サイトの入口として、ユーザに複数のログイン方法を提供してあげることを頭に入れて置かなければならない。

つまり、ソーシャルログインはユーザの個人的なサイト閲覧行動と、ユーザがオンライン上で有するネットワークを繋げる橋渡しの様な役割を果たしているのである。ソーシャルログインによって自身のオンライン上のネットワークと繋がる機会を与えられたユーザは、サイト内において、コメントを残す・内容を共有する・ゲームで遊ぶ・活動フィードなどのソーシャルプラグインを利用して自分の経験をネットワークと共有することが可能となり、他のユーザと交流するきっかけを持つことが出来るのである。

この結果から、ユーザは常にソーシャルでありたい、つまり他の人と繋がり、交流を持ちたいという欲求を持っており、ソーシャルログイン・プラグインはその欲求を満たすのに大きな役割を果たしているということが言える。

従って、自社のサイトに、よりユーザを深く関わらせ、より長い時間閲覧してもらうには、ソーシャルログインやソーシャルプラグインからユーザをサイトに引き寄せることが効果的である。またその際はFacebookやTwitter等のみでなく複数のログイン方法を提供し、ユーザが最も繋がりを多く持つSNSのアカウントからログインして「交流したい」欲求を満たせる状態を創り上げることが大切である。

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VCだけじゃない – スタートアップ向け次世代ファンディング方法

main-picテクノロジー系スタートアップを中心に新しいタイプのファンディング方法が注目されている。つい4, 5年前までは、スタートアップにとっての資金調達の大半がVCからの出資であった。一方で、近年はWeb/Mobileサービス系を初めとして、「リーン・スタートアップ」と呼ばれる少ない予算と人数で素早い展開を行うスキームがトレンドである。その場合、あまり多くの資金を必要としない為、今までVCが行って来た数億円から数十億円規模の投資案件は、多くのスタートアップからは必要とされない。

同時にVC側の既存プロセスによるデューディリジェンスや判断基準では、投資スピード、規模、対象が最近のスタートアップにマッチしないものになってしまった。そこで、より小さな金額を早いサイクルで展開し、起業家を助けるような仕組を提供する投資機関が求められている。それに対し、ここシリコンバレーを中心に、10年程前には存在しなかったような、起業家にとってより敷居が低く、有効的な資金調達方法が増えて来ている。そしてその方法は、最近はテクノロジー系スタートアップに限らないのも事実である。

下記に紹介するのは、小規模スタートと成長に応じた最適なファイナンスを目指すスタートアップのニーズに応えるような、新しいスタイルのファンディング形式であり、成長ステージによって使い分けられる事も多い。

  • クラウドファンディング (Crowdfunding)
  • アクセレレーター (Accelerators)
  • スーパーエンジェル (Super-angels)

インターネットを活用したコミニュケーションが発達するにつれ、企業に対する投資及び、資金調達のスキームにも大きな変革が起ろうとしている。それでは、それぞれの仕組みについての詳細を検証してみたいと思う。

クラウドファンディング (Crowdfunding)

クラウドファンディングとは、主にネットを介して、複数のユーザーや投資家からの資金調達を達成させるシステムで、主に小さな金額を大勢の人々から募り、その合計で希望調達額を達成させるものである。この方法を活用する事で、借金やエクイティベースの投資を受ける事無く、資金調達が可能になる。ここ数年、多くの起業家に待ち望まれていたこのスキームであるが、やっと最近になり加速度的に普及している。なお、現在のところ、アメリカ証券取引委員会 (SEC)の規定により、未承認の一般投資家による、スタートアップに対するエクイティベースの直接的なクラウドファンディングは制限されている。その点にも関連し、下記に紹介する3つのクラウドファンディングサービスは、それぞれにユニークな特性を持っている。

まず最初に紹介するのは、Kickstarterである。恐らくアメリカでクラウドファンディングと聞いて一番最初に人々が思いつくサービスがこれ。起業家のユーザーが自分のやりたいビジネスアイディアをアップ。それに対して協力したいと思う不特定多数のユーザーから小口の”寄付”を募る仕組み。出資したユーザーは、その会社の株式やその他エクイティを分配される事は無いが、その代わりに、ビジネスが達成した時に何かしらのインセンティブが与えられるようになっている。例えば、本を自費出版したいユーザーが達成金額として$10,000を設定する。資金が集まり出版の暁には、一口$100を出してくれたユーザーには直筆サイン入り特別版を、$50の方には特別版を、$20の方には通常版を誰よりも早く提供する等の特典を提供する。

Kickstarterは、サービス開始当初は圧倒的にIT系起業家ユーザーが多かったが、最近では多くの非ITビジネスにも多く利用されている。特に社会貢献をビジネスに繋げるソーシャルアントレプレナーへの出資が集まりやすいという。ファンディングに参加するユーザーも急速的に増加しており、実に2011年9月だけでも合計880万ドルの資金が起業家ユーザーに対し集まっている。

Kickstarterにおける資金調達額の推移($)
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次に紹介するのはP2P型融資マーケットプレイスを提供するLending Clubである。このサービスのコンセプトは、ユーザーが個人投資家となり、リストされている起業家ユーザーに融資を行うというもの。上記のKickstarterがより”寄付”的要素が強い一方で、こちらは出資者の賢い資金運用とリターンの実現を目指す。登録しているスタートアップは、ビジネスの内容、必要な資金額、リターンに関するターム等を表記。出資側の管理画面にはそれぞれの業界やビジネストレンドに関する詳しいコンテンツや、見込まれるROIに対する分析データが充実しており、リスクをマネージしながらも手堅い資金運用が可能になる。

利用してみると、自分の資金を複数のスタートアップに対して運用が出来るため、まるで非上場の企業に小額投資を行うオンライントレーディングの感覚を受ける。しかしながら、株式等のエクイティを受け取る”投資”ではなく、あくまで利子からのリターンを想定した”融資”である。また、厳密に言うと、ユーザーはクレジットカードを利用して資金クレジットを購入するため、起業家ユーザーに対しての出資元はVISAやMasterCard等になる。スタートアップにとっても、非上場の段階から一定期間の増資を達成させる事が可能になるため、非常に有益なサービスと言える。

シリコンバレーに位置するこの会社は、2010年はじめにサンフランシスコのテックプレゼンイベント、SFNewTechにも出場し、その当時から大きな注目を集めていたのを記憶している。通常は証券会社や銀行等の金融機関が行っていた資金運用を、シリコンバレーのいちスタートアップのサービスが行うという事で、金融業界に革命を起こすと考えられている。しかし同時に、法律のグレイゾーンを利用している事も事実で、政府の対応も注目されている。現に、彼らは一度アメリカ証券取引委員会から一定期間サービスの停止を言い渡された事もある。今後の動きが気になるところだ。

Lending Clubでの月々の資金運用金額推移 ($)
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もうひとつのサービスは、投資家と起業家の”出会い系”サービスがコンセプトのAngelList. こちらのサイトには、積極的にスタートアップへの投資を予定している全米の投資家のリストと、それぞれのプロフィール、投資準備額、投資タイムライン等が明記され、起業家にとっては現実に投資を積極的に検討している投資家とその額が一目で分かるので、自ずとテンションが上がる。スタートアップ側にはビジネス詳細や目標調達金額を明記させる事で、投資家とのマッチングを目指す。当初はシリコンバレーのエンジェル投資家が主にリストされていたが、その利用価値から最近は全米の多くのVCも登録している。ちなみにこのサイトに投資家として登録するには、既に登録している投資家2人以上からの推薦状が必要。ユーザーによっては、起業家と投資家の両方のアカウントを持っているケースがあるのもアメリカらしい。

最近は有望なスタートアップからの注目を得る為に、投資家側も他との差別化を目指している。そう言った意味では、多くの起業家からのアプローチを得る事ができるAngelListの投資家側からの利用価値は大きい。また、スタートアップ側からしてみても、より最適な投資家に”出会う”事が出来、今までのようにピッチを作り投資家のオフィス周りをしなくても良くなる為、時間の節約にも繋がる。結果として、速いスピードで多くの投資案件が成立している。

最近ではスタートアップのサイズも多種多様になり、業界的な広がりも見せている。クラウドファンディングは、既存の概念に捕われる事無く、様々な方法で資金調達が可能になったという点で特筆すべきシステムである。特にシードファンディング時に於いては、非常に有益な方法であろう。

アクセラレーター (Accelerators)

アクセラレーターは、その名前 (加速させる) の通り、 主にスタートアップが立ち上げ後に速いスピードでの成長と、更なる資金調達を目指す際に活用されるケースが多い。彼らは、スタートアップを短期間、エクイティの一部分と引き換えに場所、資金、メンター等の成長をサポートするシステムを提供し、その後投資の可能性がある投資家に紹介している。当初このモデルは、ドットコムバブル時のインキュベーターの二の舞になるのではないかと批判されていたが、ここ数年で、継続的に大きな成功を収め、スタートアップからも絶大なる支持を得ている。その理由としては、上記の通り、Web系ビジネスの資本効率が根本的に新しくなっているからである。著名なアクセラレーターとしては、Y Combinator, Seedcamp and TechStarsがあり、彼らの全てがIT系スタートアップにフォーカスしている。しかしながら、昨今のビジネスに於けるコストダウンを見ると、オフィススペースとメンターを提供するアクセラレータは、KickstarterやLending Clubに登録しているような、非IT企業にも魅力的なオプションになる可能性も大きい。

アクセラレーターは未だスタートアップから絶大なる人気を得ており、全応募者の中でわずか1%しか受け入れられていない。ちなみにこの数字は、ハーバードやイェール大学の合格率よりも低い。そして多くの場合、受け入れた企業に対して、入居直後に数万ドルから数千万ドル程度の資金を提供する。

もちろんアクセラレーターブームは、スタートアップコミュニティーの過激なものであり、一時的なバブルであると指摘する人も多い。しかしながら、彼らが提供するプラットフォームは、他の業界の起業家にとっても非常に魅力的なものであり、今後は様々なビジネスモデルに対して普遍的に定着する可能性を秘めている。

時期別Y Combinator からの卒業企業数
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スーパーエンジェル (Super-angels)

最近アーリーステージの資金調達に関しては、VCよりもスーパーエンジェルという人々から行う事がセオリーになりつつある。スーパーエンジェルとは、自身のビジネスの成功や、所属していた会社のストックオプション等から得た資金を元に、スタートアップ企業に対して投資を行う個人投資家の中でも、比較的大きめの資金があり、他の投資家に対しての影響力の高い人々を指す。例えば、LinkedInファウンダーのリード・ホフマンやDiggファウンダーのケビン・ローズ等である。彼らが投資するスタートアップの成功率が高い為に、他の個人投資家も、彼らの案件に”乗っかる”ケースが多い。その結果、スーパーエンジェルが投資活動をする場合は、まるで小規模のVCファンドが動くのに近い仕組みが生み出されている。

既存のVCからの投資よりもスーパーエンジェルからの資金調達がスタートアップから好まれる理由は2つある:

  • Web系のビジネスが驚くべき程に資金効率的になり、巨大な資金の必要性の低下 (需要側)
  • 統計的にみても、小さなファンドの方が投資家に対して効率の高いROIを達成 (供給側)

現実的にここ10年間を見ても、巨大VCファンドは低い利回りに叩きのめされて来ている。テクノロジー系だけではなく、バイオやクリーンテック等大きな資金が必要としている業界からのリターンがあまりにも少なすぎたのだ。それにより、多くのLP (ベンチャー会社に投資する機関投資家) はサイズよりもクオリティー重視に方向転換をしている。このようにVCファームが投資サイズとスピードに苦戦している一方で、スーパーエンジェルは速いスピードでの”一本釣り”を成功させている。

実に先日も日本のとあるスタートアップをシリコンバレーのVCに紹介した所、VC側から”うちは小規模のシードファンディングも行っているので、怖がらないで”との一言があった。それほど、VCはWeb系スタートアップへ投資に対して苦戦しているのだ。参考までに、数は少ないが既存のモデルとサイズでも成功を収めている代表的なVCはUnion Square VenturesSequoia Capitalである。

まとめ

次世代のファンディング方法が利用可能になり、資金調達からエクジットまで、スタートアップに於ける成長ストーリーに大きな変革が起きようとしている。比較的小額のシードファンディングは、クラウドファンディング、成長期にはアクセラレーター、より大きな資金とサポートが必要になったら、VC, 安定期にもプライベート・エクイティからの増資が可能になっている。これらのスキームが揃う事により、会社としての実力が構築され、時間はかかるであろうが、よりビッグなIPOが期待する事が出来るであろう。

筆者: Brandon K. Hill @BrandonKHill