日本のバックグラウンドを持ちながらアメリカでデザイナーとして生きる二人がデザインについて語ったら—?
上杉周作(@chibicode )、小学校まで日本で育ち、その後アメリカへ。エンジニアとしてApple、facebookでインターンをした後、その肩書きを捨て実名Q&AサイトQuoraでプロダクトデザイナーに。エンジニア/デザイナーというバックグラウンドを持つ彼と、同じく高校卒業まで日本で育ち渡米、デザイナーであると同時にbtrax CEO、Brandon K Hill(@BrandonKHill )の対談から考える、「デザイン」そして「デザイナー」の役割とは。
対談日: 2012年5月4日
対談場所: btraxオフィス (サンフランシスコ市内)
インタビュアー: 日比谷すみれ
日本とアメリカのプロダクトやデザインの違い
教育—答えを求めるのか、何を作り出すのか
デザイナーとは一体?
デザインと向き合うことの大切さと辛さ
今後の道—良いデザインがもっと世の中に広まるために
—1.日本とアメリカのプロダクトやデザインの違い—
【btraxは先月末、サンフランシスコでSF Japan Night Ⅳ を開催しました。3月に東京で行われた最終予選に上杉さんもパネリストとして参加していただきましたが、今の日本のプロダクトについてどうお考えですか。】
上杉周作氏 (以下SU) 以前見たSF Japan Nightよりも更にレベルが上がっていると感じましたが、捨てきれていない・削れきれていないという点でプロダクトが甘い物が多かったように感じました。見て「えっ!」って思う物がない。
Brandon K Hill (以下BH) 日本のやつって、既存の「改良版」なのに対して、アメリカでは全く無い物が出てくるよね。「えっ、うそ!」ていうマーケット、コンセプト、プロダクト。今の時代でもそういった何も無いエリアって、まだユーザー自身が気付いていないけど絶対ある。
SU) Hacker NewsというHacker向け情報サイトから週に一度メールが届く んですけど、Recently Launchedというコーナーが好きで。その週にローンチされたサービスが5、6つ出てくるんだけど、半分くらいはジョーク。(笑)だけど時々すごいのが出てくるんですよね。こんなの考えたことなかった、っていう。
BH) でもね、日本の良さって超あって。例えばデザインだと、プロダクトパッケージが本当に洗練されている。僕が日本でまずやることって、コンビニとかでドリンクのコーナーをずっと見るの。毎回行くたびにかなりおしゃれでかっこいいボトルのデザインが見れるから。完全不審者なんだけどさ。(笑)パッケージの仕事って売ること、つまり手に持たせてレジにに持っていかせることでしょ。だから、消費者が良いデザインを決める。デザインの質はそれに引っ張られる場合が多い。
実はアメリカの消費者って全体的に見るとセンス良くないんだけど、日本人の消費者ってセンス良いと思う。そんな日本人にウケるパッケージってかっこよくておしゃれ。変なこともしてるしよく分かんないのもあるけどすっごい素敵なの。こういうのが消費者にacceptされるのって素晴らしいと思って。デザイナーとしても仕事やりがいがある。アメリカだととりあえず原色で派手に作れば良いんだよ、それがマスで売れるから、てね。(笑)でもその一方で、アメリカのプロダクトやサービスは奇抜でユニークでイノベーションがあるものも多いと思う。0を1にするのが得意で、日本は上手に1を100にするよね。
—2.教育、答えを求めるのか、何かを作り出すのか—
【その日米のプロダクトやデザインの質の違いはどこから生まれてくるのでしょうか。】
BH) それは教育。日本の教育では、まず答えがあってどれだけその答えにたどり着くか。アメリカでは何も無いところに物を作り出して行くことが評価される。だからクリエイティブな人材が育ちやすいと思う。日本だと選択式の設問が多いけど、アメリカは自由回答が多い。
SU) 多くの数学者に共通することって、シンプルだけど美しく力強いものを求めることなんです。例えば、有名なオイラーの 式、eiπ + 1 = 0。この1つのシンプルな式に数学の一番大切なものが入ってるんです。大学で数学をやっているとものすごく難しい問題で答えが10行にもなるのもあるんだけど、一番ベストな答えは2行で答えることができます。数学できる人ってオイラーの定理だったりそういうのが好き。
こっちのサービスを見てても同じで、例えばtwitterとアメブロって両方とも自分を発信するっていうプラットフォーム。だけど、twitterは140字でやってるのにたいして、アメブロはたくさんの機能がどんどん追加されていきますよね。twitterはまるで「eiπ + 1 = 0」。ものすごいシンプルだけどその中でいかに最大限の効果を出せるか考えられています。
BH) それ何かっていうと、日本的考えが n+n なのに対してアメリカ的考えは n×n 。日本の場合だと、最初からどんどん足して行くことを良いとされるけど、アメリカのデザインやプロダクトって入り口がすごくフォーカスされていて、細くて小さい。そこに何かを入れるとばああーって一気に広がって行く。そのエフィシェンシーってすごいよね。ビジネスでもデザインでもそういった「レバレッジを効かせる」ということが考えられていて感心する。 アメリカではちょっと石を置いただけで大きい物がぽーんて上がるようになっているのに対して、日本ではみんなで頑張って大きい物を上げようとしている、っていうのかな。一回ステップバックして、どこにてこを置いたら一番簡単に石が上がるかな?っていうのを考えなきゃダメかも。
例えばアメリカのスタートアップなんかはバイラルマーケティングが非常に上手で、1人のユーザーを獲得したと同時にサービスが何100人にも広がる仕組みを作ってる。シリコンバレー周辺では、皆最小の労力で最大の結果を出す事を狙ってる。多くの人がどうやったらビーチで仕事が出来るかを真剣に考えていたりするしね。
SU) それに関連する事だと、The Visual Display of Quantitative Information(Edward R. Tufte ) という本を日本のデザイナーに読んでほしくて。一番俺が重要だと思ったのは、『インクの量を最小化して、情報を最大化しろ。』という言葉。彼はデータ量を使ったインクで割る「date/ink」 という言葉を作ったんですけど、Quoraも10px×10px、色も灰色のアイコンでいかにインク量を少なくして表現しようとするか、そこから全てが始まっています。
もう1つ、日本とアメリカで象徴的な違いがあって、アメリカでは小学校で作文を書くときwordで書かせます。けど日本は作文用紙を使いますよね。2つの大きな違いって作文用紙は直すコストがwordよりもかなり大きい。ただ文字を消すだけならいいけど、段落の順番を変えるとかすごい労働量ですよね。ワードだったらただコピー&ペースト。それだけのインセンティブの違いだけど、効率を高めてる分、アメリカではその「再構成の回数」が日本のよりも10倍くらい多いんです。そのことによって構成を努力する力が身に付いたと思ってます。
BH) この間ちょうどオフィスで「アメリカ人はなんでシャーペンの良さが分からないんですか?」って話があったんだけど、これもまさに象徴的なことだよね。アメリカではそもそも消しゴム全然使わないから、書いた後に直すっていうコンセプトが無い。シリコンバレーでもなんでもそうだけど、作ってとりあえずリリースする。消しゴム、ないんだよね。この国。(笑)だけど日本人は直して直して、完璧になるまでなかなか出さない。ダメだったら破って次に進めばいいんだよ。
【アメリカの大学教育で学んだこととは?】
BH) 僕はサンフランシスコの大学のデザイン科にいたんだけど、すごく厳しかった。プロのデザイナーになるのはかなり大変で、デザインを学んだ人でも社会で通用するデザイナーになれるのは10%もいないから、学校の時点でふるいにかけられる。確かにそういう点では、親切だとも言えるのかな。クラスが厳しくて、デザインのプレゼンの際なんかには、みんながいる前で先生から普通に「お前デザイナー辞めろよ」みたいに言われるの。その先生も現役のデザイナーだったりするので、説得力があるよね。
SU) 俺もある現役デザイナーのクラスでスケッチ1000枚書いてこい、って言われて最後のほうは間に合わなかった。(笑)それと、ある授業の課題を何も考えずにやってしまったことがあって、みんな画鋲で持って来た物を前に貼るんですけど貼れなくて。先生に「お前のどこいった?」って聞かれたんですけど「いや、どこいったんでしょうね。」って。その後めちゃくちゃ落ち込んで、先生に「出せませんでした。」ってメールして「じゃぁ明日までにもってこい」って言われてその日やって・・・ってすっごい恥かいた経験があります。
アメリカの大学の授業って授業がトラウマになる人もたくさんいるくらい。生徒がすごいまじめなのもそうだし、そのクラスを作った人や今教えている人がよく考えた結果。毎年毎年教えられて行くことに改良が加えられて行く。日本の大学でそういうことをやろうとしても時間がかかってしまうと思います。ある意味アメリカの大学は教える方も真剣勝負だと思います。
【ではもし上杉さんとBrandonさんが日本の大学生だったとしたら?】
SU) いや無理ですね。精神的に。多分遊んでました。俺まわりに合わせようと生きているから。(笑)こっちだとみんな勉強してるからそれに合わせてればいいんですけどね。
BH) 日本の場合、入学時に学部を決めると思うんだけど、まず自分が入りたい学部が無い!(笑)無理矢理興味の無い学部に入ったとしても、続かないかな。辞めなくてもだらだら走ってアウトプット0かもしれない。ある時btraxにインターンに来たやつですごく優秀なやつがいて、そいつに「お前の大学すごいんだね」って聞いたら「大学関係ないっすよ、大学行ってないっすもん。」つまりそれは大学で身に付けたことじゃないって。日本の大学って魅力ないのかなと思った。
あと、そもそも東京は誘惑が多すぎる。主要な大学が都内にあるので、集中できなくて辛いことをやっていたくなくなる。アメリカってこの辺(サンフランシスコ)の大学の立地も超田舎だから。日本の大学の立地はありえないとおもう。あれだと学生にとっては拷問だよね。
SU) それはありますね。僕もこの間5週間日本にいてこっちに戻って来てびっくりしました。逆に僕が通った大学(カーネギーメロン大学)のあったピッツバーグは鉄鋼業で栄えた街で今は凄く廃れてしまった街だったから、今はもうお金もないし冬は寒いし。でも逆に勉強に集中できました。
大学ではコンピューターサイエンスを勉強していて、そのときに大学時代にダメダメダメダメ、ってダメ出しされるのに慣れたのが良かったなって。ある数学のクラスで一年間ずっと難しい定理を証明することばっかやらされて。1ページくらいの証明を書いて提出するんですけど、「いやここが甘くてダメだ」って何度も戻される。けどそのクラス自体、週30時間勉強しないと成績が取れない上、そのクラス以外の勉強もあわせると週70時間くらい勉強しないと単位が取れない。そのくらいの厳しいレベルでやっていたのが今すごく役に立ってます。
というのも、ダメだと言われたときに、自分がダメだったんじゃなくて、自分の努力が足りなかったり考えが甘かったことを指摘してくれたと自動的に捉えること。 そういう前向きな姿勢を学ぶことができたんです。(これは理系に限った話じゃなくて)俺は大学で数学やったけど、アメリカでは文系の人でも小論文をすごい書かされて、「ダメだ」って何回も直されるんです。そういったことが高等教育でカバーされてたのが良かったかなって思ってます。
BH) 確かに、アメリカの大学を出た人って瞬間のフォーカス力がすごい 。追いつめられる訓練を何度も何度もさせられるから。あり得ないぐらいの短い時間でのアウトプットを求められるから、常に気が抜けない。
SU) そうですね、日本もそういうの受験勉強でやってるはずなんですけど、多分アウトプットの形が違う。
BH) 受験勉強でフォーカスされるのは記憶力と耐久性。要するにマラソン。アメリカって短期勝負型で、スプリント、スプリント、スプリント。集中の質が違うよね。
SU) 日本人には是非一年間難しいプログラムでアメリカの大学に留学してほしいです。語学留学ではなくて・・・。そうすればこのあとはこうすればいい、というのが分かるから。
—3.デザイナーとは一体?—
【では「良いデザイナー」って一体何なんでしょうか?】
SU) まず自分の媒体を知っていなければいけないっていうのがあります。例えば、Webデザイナーに基本的にiPhoneのデザインをやらせてはいけないんですよ。どれくらい余白をとるかがWebとiPhoneでは全然違うから。とりあえず自分が手を動かすヤツをしっていないければいけない。あと色々あるけど、問題解決ができるかどうかも重要。
BH) 僕の場合はデザイナーを採用する立場から言わせてもらうと、媒体やスタイルを問わずデザインに関してのベーシックが全て出来ていて、プラス誰にも負けないような得意分野が1つぽーんとあるって人。
SU) 逆Tの字ですね。
BH) (そのTの字の)横が無くて縦だけの人は絶対ダメ。得意分野が一つだけあっても、ベーシックが出来ていないデザイナーは長持ちしないと思う。実は、「デザインができる」っていう表現自体がすごく難しくて、「作れる」ことの手前に、デザイナー的考えをする っていうのがある。みんな作ることばっか考えちゃうんだけど、作る前に解決するべき問題をどういう風に受け取って処理するか。そこ処理出来るか出来ないかで勝負決まっちゃうから。
だけど、「問題をどう処理するか=デザイナー的考え」と同時に「モノに命を吹き込む行為」であるデザインの側面もすごく面白い。例えば、ただの石はそのままだったら拾ってもすぐに捨てるけど、それに仏様の彫刻を施してあったら捨てないでしょ?同じ物がデザインを施されることによってその価値を生み出される。 問題を解決した訳じゃなくても、良いデザインは人の気持ちを引っ張ることができる。そして悪いデザインのものは存在する時間が短いのと反対に、良いデザインのものって長く生き続けることができる。与えられたデザインの質でプロダクトの寿命を左右するから、そういう点でデザインの力ってすごい重要。
SU) そうですね。重要な使命感があって、生かすも殺すも自分次第 。それが面白いです。
【ではどうしてデザイナーになったのでしょうか?】
BH) デザイナーになろうと思ってなってた訳じゃなくて、気付いたらなってた。魚ってがんばって泳いでないでしょ、気付いたら泳いでた。そんな感じ。デザインをするために生きてる感じしかしない。
SU) デザインは生き方って、誰かが言ってましたよね。
BH) イタリアのデザイナーが言ってたんだけど、デザイナーは一日24時間仕事をしている。デザイン作業をしていないときでも、日々の生活から常にインプットしていて、それをアウトプットに活用する事でずーっと「デザインの仕事」をしてる。
SU) 俺としてはあんまりそれかっこいいと思ってないです。時々短気になります。全く考えられていない広告とかを見て腹が立っちゃって、心の問題上あんまりよくない。(笑)
BH) 絶対音感がある人が雑音聞いたら気持ち悪くなるのと一緒だよね。アメリカのスーパーマーケットとか腹が立ってしょうがない。パッケージがひどい。
【アメリカのスーパーで見かけたサッポロビールの缶はとってもオシャレでしたよ。私はパッケージを見て買いました。】
BH) アメリカ人はそういう繊細な違いに気付かないよ。(笑)
SU) うん、気付かないですね。(笑)
BH) アメリカの場合、値段と量が重要で、でっかく0カロリーとか直接ベネフィットが書いてあることがポイント。
【そこは矛盾している気がします。Appleはシンプルなデザインを突き詰めていますよね?】
BH) え、だってAppleはやっぱりまだマジョリティじゃないよ。
SU) 今だに”Apple products are overpriced”って言われてますよね。
BH) ここ(サンフランシスコ)は特別だからね、ここにいるから気付かないだけ。あと、Appleが象徴的なのは良いデザインが世の中の人に受け入れられて、その効果を発揮するのには時間がかかるという事。彼らは設立時から一貫して素晴らしいデザインと機能性にこだわって商品を造って来たけど、やっと市民権を得られるようになったのはここ最近の話で、一時期は倒産の可能性もあった。本当に良いデザインを世の中に普及させようと思うと、短期間での結果は出にくいので、かなりの忍耐と強い信念が必要だと思う。 でも長期的に見るとデザインのチカラは計り知れないと思う。
SU) (今はそういう状況だけど)俺がAppleの戦略でいいな、って思うのは、「子供にフォーカスしてること」なんです。Appleストアに行くと子供の遊び場が必ずあって、前まではiMac、今はiPadが置いてあります。それで子供がゲームで遊べるっていう。今そうやってAppleのプロダクトと育って行った将来、それよりもはるかに悪い物を見て、「何これ?」って思いますよね。けどWindowsに慣れて育ったら悪い物を見ても「悪くないじゃん」って感じてしまう。美しいものに慣れたとき、そうでないものを見るとすごい「あれ」ってなる、そのAppleの戦略良いなーと思って。
BH) あと、世の中で一番素敵な、完成されたデザインって自然っていう説がある。自然は何よりも素晴らしく機能的であり無駄が無く、意味がありシンプル。スズメバチが黄色と黒なのは危ないから、とか・・・すべてにおいてファンクションとフォームのつじつまがあっていて、一番合理的な形をしているのが自然。自然を研究するとデザインの勉強としていいのかもしれない。そういう意味で田舎育ちには良いデザイナーが多いのかも。
SU) Christopher Alexander の「Notes on the Synthesis of Form」 という本に書かれていた「自然は常に最適な結果になるためにevolution(進化)していく」ということですね。長い間続いた古代文明の家などは必ず良くデザインされているらしいです。
—4.デザインと向き合うことの大切さと辛さ—
【では上杉さんはどうしてエンジニアからデザイナーになったのでしょうか?】
SU) 覚えてないです。(笑)本当にたまたま。エンジニアとして働いていたときにQuoraのデザイナーの人とランチをして、エンジニアとしてではなくデザイナーとして面接を受けろ、って言われて。Quoraにすごく行きたかったから、デザイナーとして面接を受けてダメだったらエンジニアで受け直そうなんて思ってたんですけど、デザイナーとして採用されたから、それからデザイナー。(笑)でも、今デザイナーを捨てる気はありますし、自分が持っている物が何も無い状態にあるのが好きなんです。 例えばブロガーとして有名だとずっと面白い記事を書かなきゃってすごいプレッシャーがありますよね?捨てるのに抵抗が無いんで、もしまた捨てた物が必要になったらあとから拾えば良いと思っていて。仕事もぽいって捨てちゃいましたし、抵抗が無い。
BH) けどデザイナーってそういう危うさがあるよね。デザイナーと仕事をする上でそこって普通の人と全然違うから大変。常に刺激なり何かしらの興奮がないとデザインすることを辞めちゃう。
SU) 上がデザイナーっていうのが重要で、理解してくれるリーダーなりマネージャーが必要だと思います。
BH) うん、デザイナーってデザインだけでは短期的な結果に近づきにくい んですよ。長期戦なんで。さっきも例に挙げたけどAppleだってそう。時間を掛けて良いデザインを生み出す事をみんな途中で捨てちゃうんだよね。「デザインをきっちりやっていく!」と決めた時のそのリスクってすごい。時間がかかる分、捨てる方が楽で、短期的にかかるコストや、プロダクションの効率性、目先の利益を出しやすいから。でも長期的に考えると差別化がしにくくなる。ビジネスのトップの人間がそこまで腹くくって、俺はデザインちゃんとやりたいからその通りにやって売上は気にするな、っていう人じゃないとデザイナーは良い仕事をできない。
SU) あと、自分に正直な人でなければデザイナーにはなれない と思います。QuoraのUIの中の文章を書いてて「これすごい良いんじゃない?」って思ってたけど翌朝見たら「ああだめだ→じゃぁどこが変えられるか?」っていう繰り返しです。最初の10行とか100回書き直します。デザイナーをやる前は 自分で「これで終わり」って思い込ませてしまって止めてしまってました。完全に自分に正直になって「まだだめだ」って自分に言えること。そして同時に、「もうだめだ」って思わないように心をコントロールしなきゃいけなくて 、それが難しいですね。自分に嘘つかない人にならなきゃだめなのかなって。
【途中でくじけてしまうことは無いのでしょうか?】
SU) メンターがいたから助かったんです。上に立つ人って、俺が「これもういいでしょ」、って言ったときに「まだだめだ」っていわなきゃだめなんですけど、そのときに「お前はもうダメだ」じゃなくて落ち込ませないようにしかもやる気を出せるように言わなきゃダメなんですけど、それってすごい難しいですよね。
BH) それ、自分のような立場からするとすっごい難しい。デザイナーが出して来たものが納得いかないときに「それはだめ、やり直して」って言わなきゃいけないの。だけどその人が頑張ってやってるの知ってるからどうしようかなーって悩むよね。そう言う時は、頑張ってやり直さなきゃ行けない理由を説明する。上手い方法は「どうしてこういう風にやったの?」って聞いてあげること。「でもこういう考え方はどう思う?」って質問すると、「ああそっちのほうがいいかも」自分で理解してくれる。「やり直しても良いですか?」って自分で言ってもらえるところまで質問を投げて行けばいいのかなって。
SU) 自分の上司で上手いなーと思ったのは、「いいと思う。でももう一日考えろ」って言うの。(笑) 何その含みのある言い方、ってこっちとしては思うんだけど改めて見てみると直すところも見えて来て。それでそのことを上司に報告すると、もともとダメだって分かってたのに、「じゃあ今度次のを見せて」って言われる。そういう上司との関係ってすごい難しかった。
BH) 日本人で、デザイナーって聞くと「おしゃれ!かっこいい!」とか言う人いるけど、実際「超地味」で「超残酷」で「超疲れる」。しかもやった割に報酬や成果があわないんじゃないかって思うくらい大変。それでもやりたいって思う人じゃなきゃデザイナーは向いてない。
—5.今後の道。良いデザインがもっと世の中に広まるために―
【では今二人が現在解決したい問題とは一体?】
SU) 教育をデザインで変えたいですね。それについて今度のTEDでも話そうと思っています。イノベーションを起こすのに必要な人はどういう人たちか?と考えたとき、3つパターンがあって、その辺を説明出来ればと思います。あと良いデザイナーを生み出す為の教育に関してとかも。お楽しみに。
BH) 僕はデザインとビジネスをもっと密接に関わらせて行きたい。資本主義の国の場合、どんなにきれいなデザインのモノでもビジネスの要素がなければ死んでしまう。例えば、もしどんなに良いデザインのwebサービスがあっても、ビジネスとして成り立たなかったらcloseしちゃうでしょ。世の中にインパクトを与えるためには、この要素が無いと人の心もお金も社会も動かせない。ビジネスとデザインをもっと密接に関わらせることによって、すごく良いデザインがビジネスに影響していくかなって。そんなよいデザインを普及させて行きたい。デザインとビジネスを融合させれば社会に対する影響力も大きいと考えてる。
【今後の目標は?】
SU) 肩書きや場所関係なく自分一人で生きて行けるようになりたい(ロケーションフリー的に)。けどデザイナーでフリーランスって難しいんですよね。だから最近またエンジニアリングを学んでいます。
BH) 会社をやってる限りロケーションフリーは無理だとしても、多くのロケーションで人に影響を与えたい。世界の色んな地域で働ける環境作りがしたくて、なら自分の住みたい街に会社のブランチを作ればいいかなって思って。それがどこかというと、東京とLAとNY。それらの街にオフィスを作る予定です。
【最後に: デザイナーに必要な資質って何だと思いますか?3つ挙げてください。】
BH)
自己顕示欲の強さ。自分を表現したいかどうか、目立ちたがり屋
既存の物を疑って考えること。
遊び心。冗談とかイタズラ好きで、相手を喜ばせるっていうことを考えられるかどうかがとても重要。
SU)
デザイナーって役をこなせるかどうか。デザイナーは会社の中でもプレッシャーを受ける立場だから。
デザインやっている時間が一番好きになれるかどうか。
何が正しいのか、正しい答えを探し続けることを出来るかどうか。俺は中学、高校生のときに片付けがとても好きで週に一度どこに机があるのが一番良いかというのを考えて動かしていました。今はiPhoneのホーム画面もいつもどこにどのアプリがあるのが良いかというのを考えて動かしています
インタビューを終えて—デザイナーは世界で一番残酷で、一番夢のある職業—
こ のインタビューをするまで、私はデザイナーとはなんだか魔法使いみたいでカッコイイと思っていた。けどそれは完全に非デザイナー側からみた勝手な妄想であり、私はデザイナーの単なる一面しか見えていなかったと気付いた。
実際のデザインとは、ロジックというピースを1つ1つはめていった大きなジグソーパズル。決して短期勝負ではないその作業は私が想像していたものよりはるかに過酷なもの。そしてそんなデザインをする彼らデザイナーは、私よりも遥かに正直に自分と、デザインと向き合っている。今この世界にある優れたデザインは、世界のどこかであるデザイナーが命を吹き込んだ特別なもの。そう考えるとデザイナーとは世界で一番残酷、だけど世界で一番夢のある職業なのかもしれない。
また、同時にもう1つこのインタビューを通して確信したことがある。誤解を恐れずに言うと、デザインとはデザイナーのものだけではない、ということだ。今このpostを読んでいるあなたも、そしてこのpostを書いている私も毎日何かをデザインをしている。「どういう構成にしたら読んでいる人に彼の言ってることが上手く伝わるか」「文字の大きさは」「句読点をうつ場所は」・・・
誰かのことを想像して自分を表現するとき、私たちはもう、「デザイン」をしている。 二人の対談はデザイナーやデザイナーを目指す人のためだけではなく、全ての人に当てはまることだ。
「ダメだと言われたときに、自分がダメだったんじゃなくて、自分の努力が足りなかったり考えが甘かったことを指摘してくれたと自動的に捉えること。そういう前向きな姿勢を学ぶことができたんです。」
つまり自分に正直になること。それは決して簡単ではないが、パソコンやソフトウェア、テキストも必要なく、今すぐ始められるより良いデザインへの第一歩に違いない。
上杉周作
シリコンバレー在住のデザイナー。@chibicode
88 年生まれ。神奈川県出身。小学6年まで横浜みなとみらいで暮らす。中学からアメリカ東海岸に引越す。現在は海外を拠点にデザイナーと して活動中。元Facebook、Appleにてエンジニアとしてインターン。元Quoraデザイナー。カーネギーメロン大学でコンピューターサイエンスを学び、その後同大学院にてデザインの修士号を取得。シリコンバレーで今最も注目されている日本人の1人。講演「20歳を過ぎてからプログラミングを学ぼうと決めた人たちへ」 慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスで講演も行った。
Brandon K. HIll (ブランドン・片山・ヒル )
btrax, Inc.CEO @BrandonKHill
サ ンフランシスコ州立大学デザイン科卒。北海道札幌市出身の日米ハーフ。高校卒業時までほぼ日本で育ち、1997年アメリカサンフランシスコに移住。現在は サンフランシスコに本社のあるグローバル市場向けBranding / Marketing 会社btrax CEO.。今後の目標は日本の若い起業家、起業家志望者に向け、より多くの成功事例を見せる事により、世界進出の夢を与えること。
数えきれないほどのベンチャーを見てきたシリコンバレーのVCに会うとき。限られた時間の中で彼は一体あなたの何を見るのだろうか?
「我々が見ているのはentrepreneur(起業家)の『目』です。」
起業家の目というのは一体どういうことか。Fenox Venture Capital のAnis Uzzaman氏 はこう続ける。
「自分が持っている会社、自分が持っている技術に情熱や自信を持っていると、それは目で伝わるんです。」
現在シリコンバレーの多くのスタートアップで取り入れられている考え方がある。「リーン・スタートアップ」、その基本コンセプトは実際のアイデアをすぐモノにして、フィードバックを受
けながら方向性を調整していく、というもの。初期段階の会社においてプロダクトやビジネスモデルが完成されていないのは分かっていて、では壁にぶつかった時、彼/彼女は立ち上がれる情熱を持っているかどうか、それこそが重要だという。
今回Anis氏がそう語ったイベント、ビジネス道場は2012年4月24日、サンフランシスコSOMA地区にあるCitizenSpace というコワーキングスペースでbtraxとGrobalBridgeHR の共催で行われた。イベントのテーマは「アメリカ式効果的なプレゼンテーションの技法」。
イベントの前半にbtrax, Inc. CEO Brandon K Hillが全体的なアメリカ式の効果的なプレゼンテーションについて、後半にAnis氏がVCの前でのプレゼンテーションについて語った。
ここで二人が共通して言っていたことを2つ紹介しよう。
1.自分を伝えるためにプレゼンテーション能力は非常に重要である。
Brandon: アメリカでビジネスを成功させる要素としてよく言われるのは「90%のコミュニケーション能力と10%の専門能力」。日本独特の「空気を読む」という文化はアメリカに存在しない。そこで自分をしっかり伝えないといくら自分が優秀だったりプロダクトが素晴らしくてもそれは相手に伝わらない。
Anis: 日本の技術はやはりものすごく高いレベルにある。実際、アメリカの会社を見てるときの感覚と日本の会社を見てるときの感覚って技術のレベルとかは差はあまり無く、では差
はどこにあるかというと日本の会社が世界レベルで自分達の持ってるものを表せてないだけ。
2.英語の心配は過度にいらない。
Brandon: アメリカ人でもプレゼンで使う英語は簡単でシンプルなものを使う。簡単な英語を、クリアに、ゆっくりと喋ること。また重要なポイントは3回繰り返すといい。また英語のなまりも個性の1つ。
Anis:我々VCとしては、「あなたがどれくらい英語が得意か」は関係ない。「私の気持ちをどういう風に伝えるか」というのが一番重要になってくる。そのための1つの方法がデモを作ること。
イベントではこれ以外にも多くの成功するプレゼンテーションの秘訣が紹介された。内容の詳細は今回のイベントの全文書き起こし とUstreamの録画 から見ることができる。
このイベント、ビジネス道場は今回で3度目。サンフランシスコ在住の起業家精神を持つ日本人に向けてのセミナーと参加者同士のネットワークづくりのために、という二つの目的で始まった。
今回は新しい企画として当日来場頂いた方に、Anis氏やBrandonの言う情熱—自分の思いをスケッチブックに書いて頂いた。
私が今回のビジネス道場で気付いたことは、もっと現状を良くしたい、と熱い情熱を持つ日本人の仲間がサンフランシスコにも日本にもたくさんいるということ。そしてこの情熱は何にも変えて持ち続けていくべきものであり、伝えようと言う意思があれば相手にきっと伝わる。
「私の気持ちを伝えたい」という情熱をどういう風に伝えるか、その方法を考えないといけない。」
(Anis氏のプレゼンテーションより)
実は今回のイベントは私がbtraxでインターンを始めて、初めて担当したイベントである。準備不足の点もあったかと思うが、来場頂いた全ての方、Ustreamでイベントを見てくださった方、プレゼンターのAnis氏、イベントチームメンバー、そして素晴らしい経験を与えてくれたbtraxに心から感謝したい。
2012年3月30日、東京・渋谷のVOYAGE GROUP にて第4回SF Japan Night 最終予選会が開催された。最終予選会では、サンフランシスコで行われる本戦行きを賭けて、一次審査を通過したWeb・IT系ベンチャー15社がネイティブの審査員たちの前で英語によるプレゼンテーションを行った。
英語でのプレゼンテーションに加え、同日に行われたMOVIDA JAPAN株式会社CEO孫泰蔵氏他をパネリストに迎えたパネルディスカッションも大きな話題を集め、観戦チケットは完売、当日会場には200人以上が訪れ、立ち見も出るなど大きな盛り上がりを見せた。
パネルディスカッション
テーマは「今、グローバル起業家に求められる要素」、パネリストにはMOVIDA JAPAN株式会社 CEO孫泰蔵氏(@TaizoSon)、インキュベイトファンド 創業者兼代表パートナー本間真彦氏(@masahiko_honma)、元Quora デザイナー上杉周作氏(@chibicode)、btrax CEO Brandon.K Hill(@BrandonKHill) を迎えた。
ここで、パネルの中での重要発言を紹介したい。
グローバル起業家に必要な気質について
孫泰蔵氏 「大きくものを考えることが重要。日本の既存の常識にとらわれずに自由な発想で壁にぶつかっても何度も立ち上がっていくことが求められる。」
グローバル起業家に求められる技術について
上杉周作氏 「(エンジニアが注目されがちだが)シリコンバレーに来るならプロダクトデザイナーのように企画からデザイン、コーディング、QA、ローンチと全体を通して見れることが重要。」
日本の教育について
孫泰蔵氏 「クリエイティブで自由な発想ができるようにならなければならないし、そのような教育制度に変えていくべき。」
Q&Aコーナーでは会場にいた観客の方から鋭い質問が飛ぶ一幕もあった。
Q.デザイナーだとしてなんでスタートアップやるんですか?フリーランスでいいじゃないですか?
Brandon 「元々はフリーランスのデザイナーだった。技術も時間も情熱もかけて自分のやりたいデザインをやり続けていたけど、あるとき、自分のつくったものが世の中に与えるインパクトがあまりにも小さいことに気づいた。それなら、優秀な人を集めて、世の中にもっとインパクトを与えていこう、という自然と会社を作るという選択になった。」
世界を目指す起業家への一言アドバイス
Brandon「まずは一歩を踏み出してみることが大切。」
上杉周作氏「選択肢は1つではない。」
孫泰蔵氏「サービスを作る際に全部英語でやること。たとえ日本でローンチするものであっても英語版を作ってしまって、必要に併せて英語版をローカライズしていけばよい。」
本間さん「付き合う人を選べ。」
15社の第一次審査通過企業による英語プレゼンテーション今回のJapan Night セミファイナルでは、過去最多となる15社のWeb/IT系ベンチャーが全員が外国人で構成される審査員の前で英語によるプレゼンテーションに臨んだ。
ちなみに、審査員は以下の7名。
Brian Nelson , Founder & Chairman, BNC Co., Ltd.
Russell Cummer , President, Exchange Corporation K.K.
David Collier , Founder, Pikkle KK
Vincent Shortino , General Manager, Crunchyroll K.K.
Craig Mod , Mentor at 500 Startups, Founder at PRE/POST
Jonny Li , Organizer, Startup Weekend Tokyo
Brandon Hill , CEO, btrax Inc.
審査員についても、有力企業の創業者・CEOを含んだ例年にない豪華メンバーとなった。
プレゼンテーション、質疑応答ともにすべて英語というのがJapan Night の大きな特徴であるが、
ネイティブ顔負けの流暢な英語で会場を沸かせたプレゼンターもいた一方、特に事前準備の難しい質疑応答の場面では、慣れない英語での返答に苦労するプレゼンターも少なくなかった。
しかしながら、全体的にいずれのチームのプレゼンテーションも工夫に富んだ非常によく練られたものとなっており、クオリティーの面では過去のJapan Night と比較しても決して遜色のないものであった。
ファイナル出場企業6社
今回のセミファイナルで、審査員から特に高い評価を受けた15社中6社の企業がサンフランシスコにて行われるJapan Nightファイナル への切符を手にした。
その6社を主催者側からのプレゼンテーションの感想とともに紹介したい。
Japan Night ファイナル 出場企業(アルファベット順)
ロボットを介して友人と一緒に音楽を楽しむことができる音楽コミュニティ。
ユニークで完成度の高いサービスで審査員から非常に高い評価を受けた。
世界中のコワーキングスペースを繋ぐアプリ。デモ形式での説明が秀逸で、実際の使用状況や使用方法のイメージがつかみやすかった。
「いいお店は、さがすまえに聞く」をコンセプトにした美味しいレストランを見つける方法を提供するサービス。サービスの説明が明快かつ簡潔にまとめられており、質疑応答もスムーズであった。
モバイルアプリ開発に必要な全てを統合したクラウド上のプラットフォーム。問題点、解決策が極めて明確に整理されたプレゼンで高い評価を受けた。
iPad や iPhoneを用いて楽しく楽器を演奏するための電子楽譜・レッスンサービスを展開。”wikipedia for musician”というキャッチーなフレーズを用いた、落ち着いたプレゼンが印象的だった。
高機能なタブが特徴の無料WEBブラウザ。ビジュアル的に工夫された、堂々としたプレゼンが印象的だった。
セミファイナルを振り返って
7人の審査員のうちの一人、btrax社CEOブランドン氏に今回のセミファイナルの感想を伺った。
- 今回のセミファイナルを振り返ってみて、どう感じるか?
「パネルディスカッションも15社によるプレゼンもとても充実した内容だった。プレゼンのレベルは年々確実に上がっていて、とてもレベルの高いプレゼンが多かった。」
- ファイナリストを含む世界を目指す起業家に対してアドバイスは?
「審査の過程で改めて気付いたことがある。それは、プロダクトもプレゼンも、どちらも良くなければいけない、ということ。プロダクトが良くても英語プレゼンが駄目・・・というのでは意味が無い。今後グローバルな起業家として日本から世界に出る上で、プロダクト、そしてプレゼン力を更に磨いていってほしい。」
6社のファイナリストは今月25日にサンフランシスコにて行われるSF Japan Night本選 に臨む。
目の肥えたサンフランシスコの地元オーディエンスたちを前に、彼らがどのようなプレゼンを披露するかに大きな注目が集まっている。
ファイナルの詳細
日時:2012年4月25日(水) 17時30分〜23時
場所:MIGHTY @San Francisco 119 Utah St, San Francisco, CA 94103
チケットはこちらから:
3月30日に日本・東京にて、第4回SF New Tech Japan Nightセミファイナル が開催される。当日は全15社のユニークなスタートアップ企業が4月25日サンフランシスコにて開催される本戦行きをかけて火花を散らすことになるが、応募企業も回を経るごとに増加し、今回過去最高の応募総数となった。日本のスタートアップ企業の海外志向の高まりが伺える。
btrax 社ではJapan Night を通じて日本企業の海外進出を支援するとともに、実際に海外にてビジネスを展開する日本人の支援にも力を入れている。その取り組みのひとつが今回で2回目を迎える「BUSINESS Dojo(ビジネス道場) 」である。
ビジネス道場は、サンフランシスコ・シリコンバレー地域の起業家精神を抱く日本人に向けて、志を同じくする同志たちと集まり、ビジネス知識および起業への意識を高めあうための機会を提供すべく始まった。起業家や専門家を1人フィーチャーし、自身の成功経験や失敗経験、起業において役立ったアプローチなど、米国で起業家として力を発揮するための貴重な情報を共有することを目的としている。
初回であった前回は、著名なコワーキングスペースであるCitizen Space にて、人事・異文化問題のスペシャリストとして知られるGlobalBridgeHR 副社長Rochelle Kopp(ロッシェル・カップ)を招き、「シリコンバレーでの効果的な採用面接の進め方」についてのプレゼンテーションが行われた。そして、第2回となる今回は、Jazz Club「Yoshi’s 」の創設者である秋葉好江氏をスピーカーに迎え、卓越したアーティストでありつつ、第一線で活躍する起業家でもある秋葉氏の起業家精神についてお話をいただく。
起業に向けた意識、知識の共有、ネットワーキングの貴重な機会である第2回ビジネス道場の参加チケットの購入はこちら から。
■イベント詳細
日時:3月27日(火)18:00~21:00
場所:Citizen Space (425 2nd ST #100, San Francisco, CA 94107)
■スケジュール
18:00 会場オープン
18:00~19:00 ネットワーキング
19:00~20:00 プレゼンテーション(秋葉好江氏)
20:00~21:00 ネットワーキング
■プレゼンテーションの内容
・サンフランシスコ近辺のベイエリアで、数多くの日本食レストランの経営者が存在する中、どうして秋葉氏は際立って成功しているのか?
・秋葉氏の起業家精神とは何か?
・長く成功し続ける秘訣とは何か?
■プレゼンター略歴
秋葉好江
ジャズクラブ「Yoshi’s 」 創設者。神奈川県逗子出身。戦争孤児で私設の孤児の家で育つ。1963年に渡米。ワシントンDCからボルチモアを経て、1968年、カリフォルニア大学バークレー校にてアートとダンスを専攻。また、ミルズ大学大学院にてダンスセラピー、パフォーミングアーツを学ぶ。1972年に日本食レストラン「Yoshi’s 」を開店。同店は現在、全米屈指のジャズスポットとしてオークランド、サンフランシスコで営業中。現在、お店の経営の傍ら自宅で子供を中心に茶道、禅、華道を教えている。2011年10月に講談社より「We can do it! みんな できるさ 戦災孤児が叶えたアメリカンドリーム 」を発売。
■主催者について
ビジネス道場は、btrax とGlobalBridgeHR の共同プロジェクトとして運営されています。
btraxは、異文化ブランディングとウェブコンサルティングを手がける専門会社です。新興企業や新規ブランドのほか、世界的な大手企業や広告代理店の事業支援で豊富な実績を誇り、顧客は現在6カ国に広がっています。主なサービスには、ウェブデザインとウェブ開発、Eコマース、ソーシャルメディア、携帯メディア、ブランディング、ローカリゼーションなどがあります。
GlobalBridgeHRは、人事コンサルティングとアドバイザリーサービスを総合的に手がけており、特に米国で事業展開する外国資本企業や外資系列企業のコンサルティングを得意としています。チーム形成のあらゆる段階にわたるサービスを提供しており、効果的に社員の能力を開発し、士気を高め、成果に報いるための人事管理インフラの策定を支援しています。
公式ウェブサイト: http://businessdojoevents.com/
Facebook Fan page: http://www.facebook.com/pages/Business-Dojo/349019371797090
多くの皆様のご来場を、心よりお待ち申し上げております。
3月30日に日本・東京にて、第4回SF New Tech Japan Nightセミファイナル が開催される。当日は全15社のユニークなスタートアップ企業が4月25日サンフランシスコにて開催される本戦行きをかけて火花を散らすことになるが、応募企業も回を経るごとに増加し、今回過去最高の応募総数となった。日本のスタートアップ企業の海外志向の高まりが伺える。
btrax 社ではJapan Night を通じて日本企業の海外進出を支援するとともに、実際に海外にてビジネスを展開する日本人の支援にも力を入れている。その取り組みのひとつが今回で2回目を迎える「BUSINESS Dojo(ビジネス道場) 」である。
ビジネス道場は、サンフランシスコ・シリコンバレー地域の起業家精神を抱く日本人に向けて、志を同じくする同志たちと集まり、ビジネス知識および起業への意識を高めあうための機会を提供すべく始まった。起業家や専門家を1人フィーチャーし、自身の成功経験や失敗経験、起業において役立ったアプローチなど、米国で起業家として力を発揮するための貴重な情報を共有することを目的としている。
初回であった前回は、著名なコワーキングスペースであるCitizen Space にて、人事・異文化問題のスペシャリストとして知られるGlobalBridgeHR 副社長Rochelle Kopp(ロッシェル・カップ)を招き、「シリコンバレーでの効果的な採用面接の進め方」についてのプレゼンテーションが行われた。そして、第2回となる今回は、Jazz Club「Yoshi’s 」の創設者である秋葉好江氏をスピーカーに迎え、卓越したアーティストでありつつ、第一線で活躍する起業家でもある秋葉氏の起業家精神についてお話をいただく。
チケットの購入はこちら
■イベント詳細
日時:3月27日(火)18:00~21:00
場所:Citizen Space (425 2nd ST #100, San Francisco, CA 94107)
■スケジュール
18:00 会場オープン
18:00~19:00 ネットワーキング
19:00~20:00 プレゼンテーション(秋葉好江氏)
20:00~21:00 ネットワーキング
■プレゼンテーションの内容
・サンフランシスコ近辺のベイエリアで、数多くの日本食レストランの経営者が存在する中、どうして秋葉氏は際立って成功しているのか?
・秋葉氏の起業家精神とは何か?
・長く成功し続ける秘訣とは何か?
■プレゼンター略歴
秋葉好江
ジャズクラブ「Yoshi’s 」 創設者。神奈川県逗子出身。戦争孤児で私設の孤児の家で育つ。1963年に渡米。ワシントンDCからボルチモアを経て、1968年、カリフォルニア大学バークレー校にてアートとダンスを専攻。また、ミルズ大学大学院にてダンスセラピー、パフォーミングアーツを学ぶ。1972年に日本食レストラン「Yoshi’s 」を開店。同店は現在、全米屈指のジャズスポットとしてオークランド、サンフランシスコで営業中。現在、お店の経営の傍ら自宅で子供を中心に茶道、禅、華道を教えている。2011年10月に講談社より「We can do it! みんな できるさ 戦災孤児が叶えたアメリカンドリーム 」を発売。
■主催者について
ビジネス道場は、btrax とGlobalBridgeHR の共同プロジェクトとして運営されています。
btraxは、異文化ブランディングとウェブコンサルティングを手がける専門会社です。新興企業や新規ブランドのほか、世界的な大手企業や広告代理店の事業支援で豊富な実績を誇り、顧客は現在6カ国に広がっています。主なサービスには、ウェブデザインとウェブ開発、Eコマース、ソーシャルメディア、携帯メディア、ブランディング、ローカリゼーションなどがあります。
GlobalBridgeHRは、人事コンサルティングとアドバイザリーサービスを総合的に手がけており、特に米国で事業展開する外国資本企業や外資系列企業のコンサルティングを得意としています。チーム形成のあらゆる段階にわたるサービスを提供しており、効果的に社員の能力を開発し、士気を高め、成果に報いるための人事管理インフラの策定を支援しています。
公式ウェブサイト: http://businessdojoevents.com/
Facebook Fan page: http://www.facebook.com/pages/Business-Dojo/349019371797090
多くの皆様のご来場を、心よりお待ち申し上げております。
以前より出場の募集が行われていた第4回SF New Tech Japan Night の出場企業6社を決定する予選最終会が、3月30日(金)に東京・渋谷にて開催される事になった。
同イベントは今回で4回目を迎え、これまでにも、500Startupsから資金調達に成功したmyGengo 社(第1回出場)、ビジネスチャットツール「ChatWork 」が海外展開を果たしたEC studio (第2回出場)、米国での会社登記を済ませ、米国進出に向けて着々と準備を進めているGrow! Inc. (第3回出場)など、数多くのベンチャー企業がJapan Nightをきっかけに海外進出の足がかりをつかんできた。
同イベントのユニークな点は、出場企業によるプレゼンテーションはもちろんのこと、プレゼン後のQ&A、イベントのMCも含め、すべてが英語で行われる点にある。
今回は過去最多となる15社のベンチャー企業が4月25日にスタートアップの聖地サンフランシスコにて開催される本戦への切符をかけて、辛口の審査員たちを前に、独自のサービスの英語プレゼンに臨む。
今回のJapan Nightを通じて、どのサービスが海外ユーザーを魅了し、本格的な海外進出へと道を開くことになるのかに大きな注目が集まっている。
15社の有力スタートアップ企業による英語プレゼンに加え、当日はソフトバンクグループを率いる孫正義氏の実弟であり、MOVIDA JAPAN Inc. CEO 孫泰蔵氏、インキュベイトファンド 創業者兼代表パートナー本間真彦氏という日本のスタートアップ支援の最前線で活躍する2名にシリコンバレー在住のちびこーどこと上杉周作氏とbtrax, Inc. CEO Brandon K. Hillを加え、グローバル起業家に求められる要素についてのパネルディスカッションを予定。
・イベント概要
海外展開を目指すスタートアップ企業15社が、英語にて5分間プレゼンを行い、審査員及び観客からの英語での質疑に答える (3分間)。同日イベント終了前に4月25日にサンフランシスコにて行われる本戦出場企業の6社が発表される。
・日時
2012年3月30日(金)18:00 – 22:30
・場所
VOYAGE GROUP メインセミナールーム「パンゲア」
〒150-0045 東京都渋谷区神泉町8-16渋谷ファーストプレイス8F
(http://voyagegroup.com/company/access/ )
サンフランシスコ行きの切符をかけた白熱の英語プレゼン大会、豪華メンバーによるパネルディスカッションの他、海外進出を目指すベンチャー企業に役立つコンテンツ盛りだくさんの第4会SF New Tech Japan Nightセミファイナルの観覧チケットの購入は下記から。
※チケットは残りわずかとなっておりますので、ご予約はお早めにお願いします。
パネルディスカッション
~今グローバル起業家に求められる要素~
孫泰蔵
MOVIDA JAPAN株式会社 代表取締役CEO
東京大学在学時にYahoo! JAPAN立ち上げ統括者として起業。その後、三菱商事とのJV立ち上げ等十数社の企業を設立。ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社をヘラクレスに上場し日本のオンラインゲームビジネスの基盤を整備。現在MOVIDA JAPAN株式会社代表取締役として、スタートアップベンチャーを育成する専門のスタートアップアクセラレーターを推進。
本間真彦
インキュベイトファンド創業者兼代表パートナー
慶應義塾大学卒業後、株式会社ジャフコの海外投資部門にて、日、米、イスラエルへの投資に従事。その後、アクセンチュア及びワークスキャピタル株式会社を経て、ネット関連企業の創業・設立期への投資に特化したベンチャーキャピタル、コアピープルパートナーズ創業、ソーシャルアプリ、スマートフォン関連のスタートアップへ投資する、インキュベイトファンド設立に関わる。現在、両ファンド合わせて20社を超える投資を行っている。
上杉周作
シリコンバレー在住のデザイナー
88年生まれ。神奈川県出身。小学6年まで横浜みなとみらいで暮らす。 親の仕事の関係で中学からアメリカ東海岸に引越す。 現在は海外を拠点に、デザイナーとして活動中。元Facebook+Appleにてエンジニアとしてインターン。元Quoraデザイナー。カーネギーメロン大コンピューター科学+デザイン大学院卒。シリコンバレーで今最も注目されている日本人の1人。講演「20歳を過ぎてからプログラミングを学ぼうと決めた人たちへ」慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスでの講演も行った。
Brandon K. HIll (ブランドン・片山・ヒル )
btrax, Inc. CEO
サンフランシスコ州立大学デザイン科卒。北海道札幌市出身の日米ハーフ。高校卒業時までほぼ日本で育ち、1997年アメリカサンフランシスコに移住。 現在はサンフランシスコに本社のあるグローバル市場向けBranding / Marketing 会社btrax CEO.。今後の目標は日本の若い起業家、起業家志望者に向け、より多くの成功事例を見せる事により、世界進出の夢を与える事。
セミファイナル出場サービス/企業
1dollarscan
ユーザーから受け取った本や文書をスキャンし、デジタル化することで、電子書籍化をサポートするスキャンニングサービス。米国を拠点に展開し、その新しいユニークなサービスが大きな話題を呼んでいる。
Beatrobo Inc.
ロボットを介して友人と一緒に音楽を楽しむことができる音楽コミュニティ。
友人の好みの音楽をもったプレイリストをアバター化することで、手軽に楽しく友達の音楽を聴き始めることができる。
co-meeting
討論レベルのグループディスカッションを気軽におこなえるチャットシステム。通常の会話に近いストレスフリーなチャットがテキストベースでおこなえるほか、リアルタイム同時編集が可能な文書エディタにより、議論しながら議事録をまとめることもできる。昨年末の「Innovation Weekend」でのピッチコンテスト優勝の他、1月末にはサンブリッジGVCより数百万円程度の資金を調達した。
Coworkify Inc.
世界中のコワーキングスペースを繋ぐアプリ。Startup Weekend 京都2011で優勝し、今後世界中のコワーキングスペースと積極的に提携していく予定。
Connehito, Inc.
ハンドクラフトやプロダクトデザインなどの「モノを作る人」がオンラインギャラリーを通して世界に作品を発信できるサービス。
EverConnect
Facebook、Twitter、Gmail などのSNSやEメールを1つの画面で管理できるソーシャルコミュニケーションプラットフォーム。2012年4月にはVOYAGE VENTURES、ネットエイジ、及びネプチューングループの3社から総額1,500万円の資金調達をおこなった。
株式会社プレイド
「いいお店は、さがすまえに聞く」をコンセプトにした美味しいレストランを見つける方法を提供するサービス。友達を含む顔が見えるユーザーに対し、自分が「聞いて」「答えて」もらうことにより、自分のための信頼性の高い情報を得ることができる。
株式会社Kaditt
アプリ内で、ユーザーは友人や好みの合う人のブックマークしたスポットの中から、自分の「行きたい」スポットを簡単に見つけ、集めていくことができるスポット(場所)のソーシャル・ブックマーキングサービス。
fuloor.comプロジェクトチーム
「暮らし」を軸として、住まい(不動産)の運営者、入居者、ユーザーがローカルにつながれるソーシャルプラットフォーム。運営者はFacebookとの連動により、ソーシャル連動型のマーケティングを展開することが可能。
アシアル株式会社
モバイルアプリ開発に必要な全てを統合したクラウド上のプラットフォーム。より手軽に開発に取り組める環境を提供。
株式会社MUGENUP
アニメや漫画の制作プロセスにヒントを得て、分業体制(キャラデザイン、線画、塗り、ディレクション)の4名1セットのラインを構築し、美大卒のアートディレクターによる全体指導を行うことで、高品質、短納期での納品を可能としたイラストクラウドソーシングサービス。
peeece
デザイナーやアーティスト、職人などのクリエイターがアイテムを直接出品できるソーシャルショッピングコミュニティ。「顔の見えるつながり」をコンセプトに、売買を通じたやり取りの中から売り手と買い手との間でコミュニケーションを生み出す。
株式会社Parmy
飲みに行ける友達がすぐに見つかるiPhoneアプリ。飲みたい気分をシェアして、飲みたい友達がいたらリアルタイムで通知され、すぐに連絡を取ることが可能。
プラスアド株式会社
「全ての人に音楽の楽しみ」をビジョンに、iPad や iPhoneを用いて楽しく楽器を演奏するための電子楽譜・レッスンサービスを展開。2011年度国際ビジネス大賞のコンシューマ エンターテイメント / 情報部門において、奨励賞を受賞。
フェンリル株式会社
高機能なタブが特徴の無料WEBブラウザ。Windows 版、Mac版、iPhone / iPad版、Android版、Windows Phone版があり、それぞれのデバイスで使いやすいように設計。また、フェンリルが提供する無料クラウドサービス「Fenrir Pass」を使えば全てのデバイス間のSleipnir ブックマークを同期することができる。
MC
三橋ゆか里
小学校6年生から高校卒業までをNYで過ごす。大学在学中に雑誌の定期購読を専門に販売するオンラインショップでインターンとして働き、卒業後にそのまま入社。その後、UIコンサルティング会社、Web制作会社等を経て2009年に独立。現在は、Webディレクション、取材・ライティング、翻訳、調査案件、ソーシャルメディアのコンサルティングなどを行っている。2010年公開の映画『ソーシャル・ネットワーク』の監修も務めた。
審査員
Brian Nelson , Founder & Chairman, BNC Co., Ltd.
Russell Cummer , President, Exchange Corporation K.K.
David Collier , Founder, Pikkle KK
Vincent Shortino , General Manager, Crunchyroll K.K.
Craig Mod , Mentor at 500 Startups, Founder at PRE/POST
Jonny Li , Organizer, Startup Weekend Tokyo
Brandon Hill , CEO, btrax Inc.
プログラム詳細
18:00 受付開始
18:00~19:00 ネットワーキング
19:00~19:30 パネルディスカッション
19:30~19:45 休憩・セットアップ
19:45~21:45 一次予選通過者による英語プレゼン (15社)
21:55~22:00 本戦出場企業6社発表
22:00~22:30 ネットワーキング
イベント協賛
株式会社EC studio (JapanNightをきっかけに、ChatWork を全世界に提供中)
株式会社VOYAGE GROUP
株式会社FirstStep
イベント運営・協力
btrax, Inc.
Goodpatch, Inc.
JapanNight公式サイト: http://sfjapannight.com/
Facebookイベントページ: http://www.facebook.com/events/408697655814300/
≪btrax, Inc. 会社概要≫
商号:btrax, Inc.(ビートラックス)
本店所在地:665 Third Street, Suite 505, San Francisco, CA 94107
主な事業内容:海外進出向けWebサイトデザイン、マーケティング、リサーチ・ブランディング
URL:http://www.btrax.com/jp
≪本件についてのお問い合わせ先≫
btrax, Inc. (担当者 栗原)
TEL: +1-415-344-0907(国際電話)
FAX: +1-415-344-0957(国際電話)
E-mail: japannight@btrax.com
営業時間:月~金 9:00 – 18:00(アメリカ西海岸時間)
はじめに
教授からのWhy? Why? Why?と立て続けに押し寄せる「どういったロジックを元に〜をデザインしたのか?」という質問の嵐に対して、学生達がBecause, Because, Becauseと素早く理論を構成して「何故なら〜だからです」というロジックを組み立て続ける。そんな米国大学で展開されるデザイン講義を目の辺りにしてきた僕は、「デザインとはこんなにも理論的なプロセスだったのか」という率直な実感を持っています。
デザインと聞くと、生まれ持った才能を存分に発揮して、クリエイティブに様々なものを生み出していくというイメージをお持ちの方も多いかも知れませんが、これは全くの誤解であると言えます。本来、デザインプロセスとは問題解決を前提としているため、地味な作業の連続であり、非常に理論的なプロセスで構成されています。
僕は日本で5年間、米国で3年間デザインの教育を受けましたが、実感として米国におけるデザイン教育の方が理論的な傾向は強いと感じています。そこで今回は、僕が一体どんなデザイン教育を米国大学で受け、何を感じてきたのかということをお伝えさせて頂きたいと思います。
1. デザインとアートの違い
“What is the difference between art and design?”(デザインとアートの違いとは何か?)この質問は、米国で初級デザインクラスを受ける学生達が、教授達から頻繁に投げかけられる問いの1つです。何故この質問がよく使わるのかというと、デザインを習い始めた学生の多くは、デザインとアートを混同しているためです。デザインとアートの間には、決定的な違いあります。それこそ”Design solves a problem, art is expression”(デザインとは問題解決であり、アートとは自己表現である。)というものです。
ここから言えることは、Why?をBecauseで説明出来なければ、それは明らかにデザインではないということなのです。何となく、個人的に好きだから、感覚で、といった理由を述べた時点でそれはアート(自己表現)であり、デザイン(問題解決)ではありません。それは言い換えると、問題と向き合い、それを解決する中で生まれたモノのみがデザインであるということでもあります。では一体どういった要素や原則を元に、デザイナー達はロジックを組み立てるのでしょうか。
2. デザインの基本要素と基本原則
僕が教わったデザインの教授は、7つのwhyに答えられない者はグラフィックデザイナーではないと常々口にしていました。何故ならデザインの基本要素は7つ存在していて、そのそれぞれに対してBecauseを考えるのは基本中の基本であるとされているからです。
下記が、デザインにおける7つのBasic Elements(基本要素)です:
Line(線)
Color (色)
Shape (形)
Space (空間)
Form(フォーム)
Value (明度)
Texture(質感)
デザイナー達は何かを作る際にはこれらのデザインを構成する全ての要素に対してBecauseを考えていきます。また、デザインにおける6つのBasic Principal(基本原則)というものがあり、要素を組み合わせて全体構成を考える際に適応されます。
Balance(バランス)
Gradation(グラデーション)
Repetition(反復)
Contrast(コントラスト)
Harmony(調和)
Dominance(割合)
初級デザインのクラスでは、優れたデザイナーがデザインしたものを上記の要素にそれぞれ分解•分析して、なぜそれが優れたデザインなのかということを知り、説明出来るようになることから始まります。
ちなみにもう少し上のクラスになると、Why?→Becauseという1つの階層で終わるのではなく、Why?→Because→Why?→Because→Why?→Because→…をどんどん繰り返すようになります。これは一つの側面からWhyを問い続けることで、問題の本質まで思考を巡らせるためです。これを様々な側面から行うことで、理論をより強固なものにしていきます。
ここまで読むと、Whyに対するBecauseさえしっかりしていれば見た目はどうでもいいのか?という疑問が浮かんでくるかも知れませんが、実はデザインにおける「問題解決」と「見た目」は密接に関わっています。
4. 機能と形態は表裏一体
デザインは美的造形性に加えて、優れた機能性も同時に兼ね備えていることが必須です。ここで言う美的造形性とは見た目の美しさであり、機能性とは本来そのデザインが担う問題解決の手段を指します。
この文脈で、有名な建築家ルイス・サリヴァンが残した”form follows function”という考え方は現代に受け継がれ、芸術やデザインの分野に多大な影響を与えました。これは機能(問題解決)を追求することで形態(見た目)が自然に定まるとする考え方です。
現在プロダクトデザインで世界的な地位を築いたAppleの創設者であるスティーブ•ジョブズが残した下記の言葉もまた、そうした考え方を深く反映するものであったように感じています。
“デザインとは「どう見えるか(how it looks)」ではなく、「どう機能するか(how it works)」の問題である” — スティーブ・ジョブズ
ただしこれを機能が最も重要という意味で捉えてしまうと本来の意味を見失ってしまうかも知れません。機能と見た目は表裏一体。だからこそwhyを問うことが重要であり、それに答えることは見た目の美しさを洗練する行為でもあるのです。
5. デザインプロセス
ではもう少し広義でのデザインを考えた時、全体的にどういったプロセスで構成されているのかということをご紹介したいと思います。デザイン分野によって細かなステップは違うものの、僕の通っている大学では大まかに以下の5段階がデザインの基本フェーズとして教えられています。
a. Understand the problem(問題の理解)
b. Gather Information(情報収集)
c. Think by sketching and choose one (アイデアの拡散と収束)
d. Production(アイデアの具現化)
e. Refine (改良)
a. Understand the problem(問題の理解)
最初の段階では、まずクライアントが抱えている問題を洗い出します。多くの場合はヒアリングをすることから始め、デザインによって解決するべき問題が何になるのかを特定していきます。
この段階で、そのデザインが達成するべきゴールは何で、最終的に見たり使ったりするのは誰で、競合にはどんな相手が居て、デザインが最終的に置かれる環境設定は具体的にどんな具合で、伝えるべきメッセージは何で、どういったイメージを利用者に抱かせるべきで、どんな反応を得たいのかといったことを突き詰めて行きます。
b. Gather Information(情報収集)
問題を特定したら、次にその問題を解決するために必要な情報を収集するべくリサーチをしていきます。オンラインではWebサイトやデータベースを見ながらファクトを集めたり、オフラインでは必要とあればインタビューを設定して問題解決のキーとなる情報を持つ方へ直接話しを伺いに行ったりもします。また、何かを作る場合にはどんなリソースが利用可能で、どういった素材を使うことが出来るのかといったことも考えていきます。
c. Think by sketching and choose one (アイデアの拡散と収束)
「合計が10となる数式を求めなさい」という問題には、1+9、2+8、3+7…というように多くの求め方が存在するように、現実の世界でも1つの問題を解決するための道筋は数多く存在しています。
そこで、問題を特定し考えるために必要な情報が揃った後は、徹底的に解決方法の数を出すというプロセスを踏みます。このフェーズにおいて、IDEOという世界的に有名なデザインコンサルティング会社が行うブレインストーミングのフレームワークは非常に有名です。
1.Defer Judgement (批判を延長する)
2.Encourage Wild Ideas (突飛なアイデアを奨励)
3.Build on the Ideas of Others (他人のアイデアを再利用する)
4.Stay Focused on Topic (テーマにだけ集中する)
5.One Conversation at a Time (1度に1つの会話)
6.Be Visual (ビジュアル化する)
7.Go for Quantity (量を追求する)
彼等はこのフレームワークを元にブレストを行い、数多くの案を次々と出して行きます。最終的には壁一面がイラストや言葉で表現されたアイデアを書いたポストイットで埋め尽くされます。
こうしたブレインストーミングに限らず、様々な切り口を拡散する思考方法をラテラル思考(水平思考)と呼び、ロジカルな思考だけでは辿り着きづらいクリエイティブな解決案にまで思考幅を拡大させることを主な目的として利用されます。
また、僕の通っている大学では「考え尽くしたら思考をオフにしてリラックスする」という方法も推奨されています。人間の脳は、まったく関係のないことをしている時に特定の答えを閃きやすいという性質を利用したアイデア発想法とされています。
こうして拡散された数多くの案は、合評やフィードバックを経て収束され、選んだ案を元にデザインを作る段階へと入って行きます。
d. Production (アイデアの具現化)
「作りながら考えろ」というのはデザインを学ぶと必ず教わるやり方です。何かを作る時、頭や紙の上だけで考えてしまうとどうしても机上論になりがちなので、実際に作りながら進めるのが一番効果的であるということを伝えています。
1-3の段階で大まかなパズルのピースは出揃い、それらをどのようにはめ込み、組み立てるかといった一連の仮説やストーリーは出来ています。しかし、実際に作ってみないと分からない部分というのがどうしてもあるため、アイデアを具現化させながらさらに作りこんでいく必要があります。
この段階で、デザイナーはモックアップやプロトタイプと呼ばれる完成一歩手前となるダミーに落とし込んでいくのですが、設計図で見るデザインと、形になったデザインを見るのとでは感じ方に天と地ほどの差があります。
また人間の認知能力というのは非常に優れていて、僕たちはデザインを見た瞬間、無意識のうちに様々な情報を認識•識別しています。こうした認知のおかげで僕たちは「あっ、このデザイン何となく好きだな」と一瞬にして感じることが出来てしまいます。
“God is in the details.”(神は細部に宿る)という言葉がありますが、無意識の認知は細部にまで及び、例え1mmの違いですら時にデザイン全体へ大きな影響を及ぼすことすらあります。だからこそデザイナー達は1mm単位までしっかりディテールを追求し、細部が全体に及ぼす感覚までデザインするように心がけています。
こうして具現化され、ディテールまで作り込まれたデザインですが、デザインプロセスがここで終わることはありません。
e. Refine (改良)
完成されたように見えるデザインも、デザイナーやクライアントではなく、実際の利用者からは思いもしなかったようなフィードバックが返ってくることがあります。これは想定したデザインの機能と、実際に作用している機能との間にギャップがあるためです。
そうしたギャップを埋めより現実的で効果的なデザインにするために、様々なユーザーテストを行っていきます。こうして集計したフィードバックを元にして、余計な機能を削いだり、足りていない機能を加えたりして、バランスを改良していきます。
上記5段階をプロセスを経て、ようやくデザインは市場へと出ます。もちろんこのプロセスは単なる基本形であり、業種によって違いますし、プロジェクトによって変形したり、新しいプロセスを加えたりするので、デザインの大まかな流れとして認識して頂ければと思います。
7. Typography(タイポグラフィ)講義
タイポグラフィとは、活字を適切に配列することで、文字の体裁を整える技術です。例えば読者の方が今ご覧になっているこの文章も、一つ一つの文字が横や縦にスペースを保ちながら並べられることで読むことが出来ます。
文字と文字との間隔、センテンスごとの間隔、センテンス上下一行づつの間隔、これら全てには名前があり、グラフィックデザイナーはこれら全てのスペースを調節します。
一行に何文字を入れて、文字間隔はどれくらいに設定するべきなのかといった作業も、実は感覚ではなくて視認性を高めるために定められたルールが数多くあります。グラフィックデザイナーはこれらのルールを適応しながら、理論的に文字情報を配置していきます。
またタイポグラフィ講義では、デザインで使用してもOKなフォーマルなフォントリストが生徒に配布され、基本的にそれ意外のフォントを授業で利用することは推奨されません。理由はシンプルで、デザインに利用出来るような美しいフォントというのは実際には非常に限られていて、無料で配布されているようなフォントは視認性や実用性が非常に低いためです。
また、それぞれのフォントの組み合わせにも相性があり、どのフォントがどのフォントとマッチするのかという相性なども学びます。こうして学生達は様々なフォーマルなフォントと慣れ親しみ、どのようにデザインへと適応させるのかを具体的に学んでいきます。
ちなみに僕の大学のデザイン学生は、タイポグラフィのクラスをA, B, Cと3つ取らなければ卒業出来ません。これは視覚デザインにおいて文字情報が占める割合は非常に重く、タイポグラフィが出来ることはグラフィックデザイナー/Webデザイナーにとっては必須であるためです。
8. 中国系移民の教授から学んだ移民の可能性
僕は米国のデザイン講義を担当する教授から、デザインだけではなく英語を第二言語とする移民が秘める可能性についても学びました。
今でも思い出しますが、僕は留学当初、明らかに中国なまりで英語も不完全な中国系移民の教授が、数多くの人気デザインクラスを担当しているという事実に驚きを隠せませんでした。彼は中国から米国大学へ留学し、その後デザイナーとして働いた後に、米国の大学でデザイン教授として働き始めたのだそうです。
アジアからの大学留学生が、後に海外就職を果たし、米国で人気デザイン講義を掛け持って教えるまでになるという彼のストーリーは、留学生の僕にとっては感動的ですらありました。
そんな中国人教授が使う英語はシンプルにして明快であり、授業内容も中国と米国のデザイン事情を交えながら教えるという移民ならではの独自スタイルを確立しています。
特にカルフォルニアでは様々な文化背景をもった教授や生徒達が同じ教室で学びあうので、講義内容だけではなく彼等の文化や考え方を知り、自分のデザイン的な視野を広げることが出来ることも一つの魅力かも知れません。
9. 必修科目としての企業インターンシップ
僕は現在、大学のクラスとしてbtraxへインターンシップをさせて頂いています。多くのデザイン系学生にとってこの企業インターンシップは必修であり、取らないと卒業することが出来ません。
デザインのアカデミックインターンシップは様々ですが、実はその7-8割以上が無給であるとも言われています。こう書くと学生達を無給で働かせるのはひどいという声が聞こえてきそうですが、実はその逆であったりします。
米国のデザイン学生達は、むしろ無給でインターンシップ出来る企業を探します。それはネームバリューのある会社は無給、ネームバリューの無い会社は有給という常識が定着しているからです。
学生達は卒業後に就職する際、ネームバリューのある会社でのインターン経験をresumeに書く事で自らを売り込むことが出来ます。多くの学生にとってはインターンで報酬を得るよりも、卒業後に希望の会社へ就職することの方が重要であるため、無給インターンであっても経験を稼ぐためにどんどん応募します。また無給インターンで働いた後に、その会社から正社員としてのオファーが来ることも少なくありません。
また、企業もこの事を熟知しているため、ネームバリューのあるデザイン会社の多くはインターンを無給とします。それとは反対に、ネームバリューだけでは学生をインターンとして呼び込むことの出来ない企業は、その対価としてインターン生にお金を払うのです。
10. MBA & Designという新領域
ビジネスとデザイン。この二つにそれぞれ全く違ったイメージをお持ちの方も多いかも知れませんが、この記事を読んで、少しデザインに対する捉え方が変わったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。実はデザインコンサルティングとビジネスコンサルティングは密接に関連していて、切っても切れない関係にあります。
また、様々なビジネス分野におけるデザインの重要性が高まってきている近年、デザインとビジネスの両軸を行うことの出来る人材需要も比例して高まってきています。
こうした背景も手伝い、最近はMBAとデザインを融合したコースを提供する海外大学院が徐々に増え始めています。そうした大学では、デザインプロセスからビジネス理論までを幅広く学び、最新の市場ニーズにあう知識や技術が習得できるように講義が設計されています。
僕はこうしたコースを提供する大学院に強い興味を持っているんですが、現在幸いにもこれらを実践的に学ぶ機会を得ています。というのも、btrax社はビジネスとデザインの融合を掲げているため、業務内容が非常に理論的かつクリエイティブです。もしbtrax社でのインターン内容も「米国のデザイン教育から学んだこと」に含めるとするのであれば、僕は今まさに「デザイン×ビジネス」を米国で直に学ぶ機会に恵まれていると言えます。
11. 終わりに
僕は日本と米国でデザイン観がどうしてこうも違うのだろうと留学して以来ずっと考えてきましたが、どうもお互いの国が持っている根深い文化背景に由来するところが大きいという結論で間違いないと考えています。
例えば言語一つとってみても、日本語は円を書くようなメッセージの伝え方をしますが、英語は直線的に物事を伝えます。文章の構成方法も違えば、コミニケーションの要所も全く違います。
こうした文化背景は、その土地に住む人々の思考方法に多大な影響を与えています。異なる考え方は、異なるモノを生み出します。インプットが違えばアウトプットが異なるのは必然であり、その結果として出来上がるデザインも全く違うものになっていきます。
今回は「米国のデザイン教育から学んだこと」という題で書かせて頂きましたが、僕は日本のデザイン教育から学んだことも沢山あります。どちらが良いというわけではなく、どちらにも長所と短所があり、それらをうまくバランスさせることが重要なのではないかと思うのです。
まだまだ実践していかなければいけないことが数多くありますが、日米それぞれから素晴らしい要素を学び、グローバルにデザインを展開させる上で何が重要なのかということを意識しながら、これからも真摯にデザインと向き合っていきたいと思う次第です。
* togetterにも今回の記事内容をまとめました。 多くの方から反響を頂いておりますので、こちらも同時にご覧になって頂ければ幸いです。
*追記:「スペシャルインタビューブランドン氏 」に、btraxのCEOであるBrandonさんが下記のトピックで受けたインタビューが掲載されました。
世界で勝負するために、日本が学ぶべきユニバーサルデザイン
日本に足りない能力とは?
今、世界に向けて
今どういった事が日本のwebデザインの現場に求められていて、どうやって国際化社会に対応していくべきなのかというソリューションが具体的に提示されています。今回の記事と併せて読まれると更に日米間の現状理解が深まると思われますので、是非ご覧になってみて頂ければ幸いです。
筆者: Masato Brian Miura @rami2929
btraxはメインビジネスとして、米国進出を試みる日本企業をデザインやプロモーションの面でサポートしており、最近ではSF NewTech Japan Night の主催によってスタートアップ企業の米国進出支援も行なっている。Japan Nightを行なう中で米国進出を目指す日本のスタートアップの数は徐々に増えてきている様に感じる。しかしながら、VISAや言語の壁、文化の違いなど障壁は多く、なかなかこちらにオフィスを構えて本格的にサービスを始めるという段階まで進んでいる企業は実際少ない。そんな中、第3回SF NewTech Japan Nightに出場したGrow! Inc. は、昨年米国での会社登記を済ませ、米国進出に向けて着々と準備を進めている。今回は、そんなGrow!のCEOである一ツ木氏に話を聞き,実際に米国進出までの道のりや今後の展望についてお話を聞かせていただいた。
インタビューでは、ビジネスやスタートアップに限らず,どんな場合においても必要な1つの原則を自身の経験を交えてお話しいただいたので、関連する動画の話と織りまぜながら共有したいと思う。
Grow! Inc.は、お気に入りのコンテンツにボタンを通じてチップを贈り、コンテンツ製作者を支援できるとともに、コンテンツを友人と共有できるソーシャル・チッピング・プラットフォームである。今現在日本では6000人以上のユーザを獲得し、計900万ページ上にGrow!ボタンが設置されている。
Grow!の始まりは、強い問題意識からであった。若い頃に音楽をやっていた一ツ木氏は、周囲のクリエイターたちがアルバイトをしながら生計を立てている事に疑問を感じ、長い間そんな友人たちを助けたいという想いを抱いていた。ネット業界で働き、そこで得た知識をもとに全てのクリエイターたちにファンがネット上で直接、少額で投資する事が出来る仕組みを共同創業者と共に思いついた。こういった経緯があり、「ファンとクリエイターの関係をインターネット上で創り上げたい」という強い目的意識からGrow!は誕生したのである。
WHYの大切さ
Simon Sinekの”How great leaders inspire action ”というTEDの動画を見た事があるだろうか。4,177,227回の再生回数を誇る、TED内でも最も高くランクインしているStoryである。このプレゼンテーションの中で彼が力強く唱えている黄金のサークル理論をここで紹介したい。
通常、企業はみな、自分が「何を売っているか(WHAT)」「どんな風に売っているか(HOW)」を理解しており、多くの経営者は自身の事業について最も多くを語る。つまり、WHAT(何をするのか)-HOW(どうやってするのか)-WHY(なぜするのか)の順番で事業を決めているのである。しかしながら、時代を変革させ、人々の行動を変える偉大なる存在は、いつも根本にWHY(何故やるのか)をおいて事業を考えている。何が目的なのか、何のためにこの会社は存在するのか。何故顧客はその製品を買う必要があるのかを中心に考え、必ずWhy-How-Whatの内から外に物事を考える。それを指針として、一つ一つの行動をおこなっている企業や人間こそが、偉大なるリーダーとして人々の行動を変えることができるという話であった。
今回のGrow!の一ツ木氏の米国進出に関するインタビュー内容は、上記の話と強くリンクしていた。Grow!がいち早く米国への進出を行動に移すことが出来た理由、それこそがまさに”WHY”の存在なのである。米国進出をする目的、あえて難しい状況である米国で勝負する理由、それがしっかりと根底に有ることが、Grow!をここまで進めてきた原動力なのであると一ツ木氏は語っていた。
Grow!が米国進出をする理由
Grow!が米国進出をした理由は3つ有る。まず法律的に日本では個人間の金銭のやり取りが禁止されていることが一つにあげられる。お金を融通する機能を持つサービスは銀行の様な金融機関であると分類化され、その数を増やしてはならないとされているのである。反面、米国は金融機関の設立に規制がないため、Grow!の行なっている、個人から個人へオンライン上で直接送金することに関しては全く問題がない。
第2に市場規模。アメリカの寄付市場の規模は24兆円(日本の外食産業と同じ)であると見込まれており、毎年衰退することなく安定的に推移している。加えて、オンライン上の寄付に関しては、ここ4年で3倍に成長している。反対に日本での市場規模は30分の1の8000億円であり、そもそも寄付の文化が根付いていないというのが現実としてある。従って、米国においては、Grow!の提供するサービスであるオンライン上での個人からクリエイターへの寄付というシステムが日本より機能しやすいのである。
第3にチップ文化。米国に旅行されたことのある方はご存知だろうが、米国ではレストランやホテル、タクシーなどあらゆるサービス提供に対してチップを支払う文化がある。これは顧客が提示された金額に加えて、サービスを行なってくれた個人に対して支払われるものであり、個人間の直接的なお金のやり取りが概念として既に存在している。Grow!の提供するシステムはチップ文化という米国の文化背景に非常に上手く合致するため、日本よりも受け入れられやすいのである。
上記の3つの理由から、Grow!は米国で事業を行なうことを前提として考えていたため、サービス開始時から1Grow!=100円ではなく1Grow1=$1に設定している。このように「米国市場で勝負しなければいけない理由」があったことから、目標がぶれる事無く、挫折する事無く、米国での登記まで辿り着く事ができたのである。
今回のインタビューから我々が学んだのは、”Why(何故やるのか)”の存在であった。「何故」という理由付けがしっかりしていれば、方向性は絶対にぶれないし、ぶれた時もすぐに調整が出来る。そこが行動を起こせるか起こせないか、継続できるかできないかを分けるカギとなっている。会社の経営にしても、自分のキャリアにしても全て、”Why”が不可欠であり、その目的意識が自分を信じ続ける支えと成り,また周囲の人間にも強い影響を与えることができるのであろう。それは常に高尚なものでなくとも良い。最も大切なのは、自身の行動の理由、存在の理由を考えながら自分が何(What)をどうするか(How)を決定していくというプロセスを意識することだという教訓を、今回のGrow!一ツ木氏へのインタビューから得ることができた。
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SF New Tech Japan Nightサイト 一ツ木氏のインタビュー記事
by
Mai
最近日本でもアメリカでも、最も大きな話題を呼んでいるサービスとして多くの方々がまず思い浮かぶのは、恐らくPinterest(ピンタレスト)だろう。ピンタレストは、気にいった画像をウェブ上のボードに貼りつけるサービスで、ユーザーはカテゴリ設定し、写真を投稿する。その後、他のユーザーから様々なコメントがつくなど、写真をきっかけにコミュニケーションをとることができる。 そのおしゃれなインターフェース、使いやすいUI/UX, テーマ別に品質の高い写真が一つのページに集約される実用性等を理由に、女性を中心に急激に人気が高まっている。
参考記事: *女性ユーザーが凄い!「Pinterest」ピンタレスト
このサービスでは、Web上で見つけた自分の気に入った写真をテーマ別に並べて楽しむのが主な利用方法であるが、よく考えると、他人が権利を所有する写真ファイルを転載しているので、以前よりその合法性が気になっていた。プロが撮った写真を販売するGetty Imagesに代表されるようなストックフォトを無断で利用すれば権利違反になる可能性があるし、実際に賠償請求も行われている。僕の友人が撮った写真を、某大手航空会社が無断で企業ブログに転載したことで、彼にそれなりの額の賠償金が支払われたケースもある。
今回ご紹介するケースもピンタレストの法的側面に注目した1人のアメリカ人の女性によるストーリである。
彼女の名はクリステン。ある日彼女はピンタレストの合法性を調査する事を思いついた。彼女は弁護士でありながら写真を撮るのが趣味であったのがきっかけである。結果的に、彼女は自分が発見した事実に驚愕し、最終的にはピンタレストのボードを完全に閉鎖するまでに至った。
クリステンは以前に、フォトグラファー達がFacebook上での著作権違反を抗議しているのを目の当たりにした。Facebookが著作権の違反で騒がれるのに、ピンタレストが騒がれないのはなぜか、と彼女は不思議に感じた。
彼女はピンタレストの使用条件の詳細を確認する事にした。その結果、ピンタレストが定めるところによると、ユーザー達がコピーあるいは再コピーするものに対しての全責任は、ユーザー自身にあることが明記されており、ユーザーが写真をピンタレストに掲載する際には、自身がその写真を所有している、もしくは、写真に対するライセンス等、権利所有者からその行為に関する明確な許可を獲得してる必要がある事が分かった。
彼女曰く、「その時すぐに頭に浮かんだのは、私が最近他のサイトで手に入れ、ピンタレストに掲載した、とても素晴らしい写真でした。その写真家へのクレジットを記載したとしても、恐らくどんなに頑張った所で、それらの写真を私が所有したり、ライセンス、合意書、リリース等の権利をその写真家から得ることはまず不可能なことだと思ったのです」
しかしピンタレストは、写真のコピー、転載をむしろ奨励しているサービスの様に感じられる。その一方で、そのような行為が違法になる可能性があるという事は、クリステンには到底信じられなかった。彼女はさらに掘り下げていった。
彼女は連邦の著作権法に目を向けて、公正使用に関するセクションを見つけた。著作権を持つ作品を許可無しに使用しても良いのは、その作品を議論する、コメントする、報告する、教材に使う、リサーチに使用する際だけである。作品をコピーするというのはそのいずれのカテゴリーにも入っていない。
ピンタレストユーザーにとってわずかな希望は、ケリー対アリバ・ソフト・コーポレーションの裁判の結果だ。とクリステンは書いている。ひとりの写真家が、写真を無断で表示したという事で、あるサーチエンジンを起訴した。しかしその告訴は取り下げられる結果となった。サーチエンジン側の勝訴に終わったのは、写真のサムネイルを使用しただけで作品全体を使用したのではない、という理由からだった。
しかし、サムネイルだけの利用であっても、常に公正に使用されているとは必ずしも言えないだろう。もし作品の必要な一部だけがコピーされるのなら公正な使用と言えなくも無い。だがピンタレストの場合はオリジナルの作品の全画を載せている。これは明らかな不正利用であると感じられた。
ピンタレストの利用規約によると:
「あなたがこのサイト、アプリケーション、サービス、そしてサイトの内容へアクセスして使用する事によって生じるすべてのリスクは、あなた自身の問題だという事を認識して合意する」とある。
さらに、ピンタレストはすべての非難や起こりえる起訴費用をそのユーザーに当てている。それにはこう書かれている:
「あなたは、Cold Brew Labsとその役員、ディレクター、従業員、エージェントがいかなるクレーム、債務、損害、紛失、そして出費とは無縁であると弁護,保障することに同意する。それには(ⅰ)サイト、アプリケーション、サービス、サイトの内容、へのアクセスと使用、(ⅱ)会員内容、 または(ⅲ)これらの規定に対する違反、などから生じる法的あるいは経理的な費用をも含む」
これはどういう事かというと、もし写真家が、あなたがピンタレスト上で画像を不法にコピーしたことであなたを起訴したとしよう。あなたは自分の弁護士だけではなく、ピンタレストの弁護士にも支払わなければならない。それだけではない。被告は自身への罰金だけではなく、ピンタレストの罰金も払わねばならない。
クリステンは、不法行為を可能にするという点でピンタレストが以前に問題になったP2P型音楽ファイルシェアサービス、Napsterに似ているとする。度重なる裁判の後、破滅したのはNapsterだけではなかった。音楽をダウンロードした12才の少女達も起訴されたのである。
彼女は自身が出した結論として下記のように締めくくっている:
「私の最初の反応は多分あなた方と同じです。なぜ作品をコピーしてはいけないのか? 作者にクレジットを記載しているし、もっと彼らが世間に知られて欲しいと思っているだけなのに。もし誰かが私の写真を掲載してくれたとしたら、私はすごく嬉しいのです。でも思いました、それは私のフォトグラファー達に対する一方的な思い込みである可能性があると。ここでとても重要なポイントになるのは、法律的にも道徳的にも、どのような決断がなされるかは、私が決める事ではない、という事です」
その後彼女は自身のピンタレストアカウントをクローズした。
筆者: Brandon K. Hill
前回のPart1 に続き、今回もSocial Media Week Tokyo でのスピーチをもとにソーシャルメディアについての話をする。今回のテーマは、「米国でのマーケティングに於けるソーシャルの価値及びソーシャルキャンペーン事例」であり、ソーシャルメディアを使ってどのようなマーケティングを行うのか、アメリカでどのようなキャンペーンが行われているのか、アメリカ企業のマーケターたちはどのような価値を感じているのかについて紹介していく。
ソーシャルメディアが他のメディアに与える影響
従来人々は、新聞やテレビを情報源として最新のニュースを手に入れていたため、プロのジャーナリストによるコンテンツが最も早く正確な情報であった。しかし、ここ数年のソーシャルメディアの台頭により、誰もが情報を発信できる世の中になった。その事件が起こった時に最も近い場所にいるひとがTwitter等を通して情報を発信でき、それはもはやプロのジャーナリストと同じ、若しくはより素早く正確な情報なのである。1つの例で言えば、かの有名なハドソン川に飛行機が不時着した事件で、「不時着した飛行機に乗ってる」というタイムリーな情報がTwitter上で流れた。それは明らかに新聞等のメディアより早く正確な価値のある情報であり、人々が事件を知る最初のきっかけとなった。
こういった例からも分かる様に、ソーシャルメディアは「ユーザ中心とした最強のインタラクティブメディア」として今後のメディアの形を変えていくと予測されている。1つの新たなメディアの形として、Fast Companyの、最も革新的な企業50選にも選ばれていたFlipboard が、従来のメディアとソーシャルメディアを同レベルで扱っているソーシャルマガジンとして話題を呼んでいる。自分の好きなカテゴリを購読できるのみでなく、友人のニュースフィードから情報が配信され、プロのメディアからのコンテンツと一般ユーザからのコンテンツの融合として認識されている。
企業から見たソーシャルメディアの価値
統計上では、今現在企業がソーシャルメディアに感じている価値は、ブランド認識率の向上が88%と最も多く、その後にユーザの交流、売上高の増加やパートナーシップ、広告費用の削減が続く。そして今後も多くの企業がソーシャルメディアの活用を増やしていく予定であり、主にYouTube, Facebook, Blog, Twitter, LinkedInを有効活用しビジネス価値を生み出そうとしていることがグラフから分かる。
企業がソーシャルメディアから得られる主な価値は、大きく分けて4つ有る。
マーケティング
ブランディング
カスタマーサポート
HR/人事関連(ソーシャルリクルーティング)
以下で一つ一つ事例を紹介しながら見ていくとする。
マーケティングプラットフォームとしての利用
「ユーザにシェアしてもらうのが基本 」
現在、過半数のネットユーザーが商品を購入する前にブログなどでレビューを確認した上で商品を購入するという。
また、広告の内容を信用するネットユーザはたったの14%であるのに対し、80%のユーザが知人のおすすめ情報を信用するという従ってこの事実から、最も効果的なマーケティング方法は口コミであり、友人と常に繋がり自分に関連する情報を得るソーシャルメディアという存在は、まさに口コミでのマーケティングの波及効果を大幅に拡大する非常に役立つツールであるという事が出来る。
Relevancy
ソーシャルメディアを使用する上で必ず知っておくべき言葉、それは”Relevancy (関連性)”である。人は自分に関係のある人、自分が興味あるもの、自分に関連する場所や生活スタイルに関心を抱く。企業から配信される情報や広告の中でも、自分に関連する要素が強い(Relevancyが高い)ほど、消費者の記憶やブランド認知、そして購買意欲に強い影響が与えられるという調査結果が出ており、ソーシャルメディアのフィード上に流れてくる情報(=主に自分に関連する情報)が最も強く消費者の心に刺さるという事実が判明している。それでは如何にしてより多くの人々のニュースフィードに企業情報を流すことが出来るか。それは前に”ソーシャルメディアにおいて必ず知っておくべき事” でも紹介した、「Engagementを得る事」であり、具体的には「より多くのユーザにコンテンツをシェアしてもらう」ことである。
以下では,実際にソーシャルメディアに工夫を凝らして、数多くのユーザのEngagementを引き出した例を2つ紹介する。
Corona Times Square
かの有名なメキシコ産のビールであるCoronaは、期間限定で「CoronaのページをLikeして、自分の写真をアップロードしたら、New Yorkのタイムズスクエアのスクリーンにあなたの顔を映しますよ」というキャンペーンを行った。その結果CoronaはFacebookページに100万人に近いファンを獲得し、今でもファンとの活発な交流を続けている。
Renault
続いては、フランスの自動車会社であるルノーがオランダのモーターショーで行ったキャンペーンである。ルノーはショーでの利用専用のカードを作り,Facebook情報とカードを紐付けして、車を試し乗りしたユーザが気に入った車を見つけた際にワンタッチでシェアできるという仕組みを構築した。ショーにおいてその場でファンを得るのみでなく、ファンが友人たちへシェアする事により波及効果を狙った非常にシンプル且つ効果的な方法であったという事が出来る。
ソーシャルメディアを活用したブランディング
「ブランドは顧客が創り出すもの 」
ブランドは、インタラクティブな経験から顧客一人一人が感じるものである。勘違いされ易いが、ブランドや商品は、必ずしも良いもの=顧客が良いと思うものではない。従って,「顧客がどう感じるか」でブランドは構築され,顧客が実際に「自分たち(We)がブランドを創り上げているのだ」と感じる事が重要である。ユーザを巻き込んでブランドを作り上げるのに最も適した方法がソーシャルメディアであり、企業は顧客の声を真摯に聞き、自らのブランドに反映していく必要がある。
Calbee
これはbtraxが実際に行ったfacebookキャンペーンであり、顧客とともにブランドを創り上げた一例である。CalbeeがSan Franciscoに米国第1号店をオープンする際、キャラクターとなる女性キャラの名付けコンテストをオンラインで行ったのである。サンフランシスコで働くキャンペーンガールであるという設定で名前を募集し、意見を取り入れた結果としてCaleena Ann Francisco という名前に決まった。彼女のFacebookページも作成され、顧客のアイデアによって生み出されたこのキャラクターは、Calbee San Francisco Storeの顔となり、今でも愛されている。
GAP
これは反対に失敗した事例である。GAPは一度ロゴを抜本的に変更した事があったが、その事実を知る人は非常に少ない。何が起こったかというと、GAPは約一年前に正式に新しいロゴをリリースしたが、消費者受けが大変悪く、ソーシャルメディアを通して激しくバッシングが起こったのである。以下の図は、新しいロゴとそれに対する消費者の反応であり、”Crap(最悪)”と称され、結局たったの数週間でGAPはロゴを元に戻した。この例はまさに、企業からの一方的な価値判断にユーザがソーシャルメディアを通して反応し、ユーザにとっての価値水準に変えた例である。
ソーシャルメディアを経由したカスタマーリレーション
ソーシャルメディアは、カスタマーとの関係構築においても大きな役割を果たす。企業が最も重要視するうちのひとつである顧客からのクレームは、ソーシャルメディアを通して発見する事が可能なのである。1つの例としてスターバックスは、Twitterを 早期問題発見のために使用しており,「Twitter上で問題にならない事は問題ではない(Twitter上で発見される不満こそが顧客が真に感じている不満である)」と言っている。以下では1つ、非常に印象深いソーシャルメディアを利用したカスタマーリレーションを紹介する。
Morton’s
Morton’sは、米国で有名な高級ステーキチェーン店である。ある一人の男性が、「@Morton, 今から2時間以内に空港に着くんだけど、ステーキを持ってきてくれないかい?」と冗談でツイートした所,Mortonのマネージャーが実際にステーキを持って空港で待っており、その男性は非常に驚き、大喜びしたという。なんとも信じられない話ではあるが、さすが米国これは実際にあった話である。その男性はフォロワーが10万人以上もいるインフルエンサーであったという事もあり、このニュースは全米に伝わり、Mortonのカスタマーリレーションの評価に大きく貢献した事は言うまでもない。
ソーシャルメディアをHR/人事関連業務に活用
この分野においては、主に2つの用途があり、1つが人材獲得(ソーシャルリクルーティング)、もう1つが既存の従業員の満足度アップである。
ソーシャルリクルーティング
日本でも多くの企業が採用にソーシャルメディアを使い始めており、今後採用方法に大きな変化を巻き起こすと期待されている。今後もこの風潮は続き、拡大していくだろうという事が下の統計結果を見るとよく分かる。
求人を行っている会社の95%がSocial Mediaを利用する予定である
その内訳は、86%がLinkedIn, 60%がFacebook, 50%がTwitter
人からの紹介経由の人材は54倍採用率が高く、25%離職率が低い
LinkedIn記載の求人情報は平均で11回ユーザーに転送され、30人以上の応募がある
ソーシャルリクルーティングには、大きく分けて3つのメリットがある。
第1に、特殊技能やバックグラウンドを発見する事ができる。前にLinkedInの営業の方と話していた際に、「LinkedInで80万円払うと色んなユーザが発見できる」と言われ、「じゃあ日本語・英語・中国語を話せて、MBAを持っていて,且つデザインのバックグラウンドがある人を探してほしい」と少し挑戦的な質問をして見た事がある。その際なんと、LinkedInは、実際にその条件に当てはまる人を3人も見つけてきたのである。LinkedInの可能性について改めて感心させられた瞬間であった。
第2に、受動的志願者に出会える。LinkedInに登録している人の80%は就職・転職活動中ではないが、90%以上のユーザはキャリア情報に興味がある。従って,企業は常に欲しい人材を捜してアプローチをかけることができ、且つユーザも自分の興味のある仕事があれば、コンタクトをとってみる事も可能なのだ。第3に、社外の人に,会社の雰囲気を知ってもらう事が出来る。btraxでは、社内で何か催し事があるたびにFacebookに写真をアップしたり、プロジェクトを紹介したりなどして,会社の内部の雰囲気を少しでも知ってもらえるよう努めている。実際にインターンとして来ている人々も、入社前にFacebook上で社内の様子を何となく掴むことで少し安心できたと話していたので、入社を志願する人にとっても良い情報源となっているようである。
既存の従業員の満足度アップ
既存の従業員の満足度を向上させるために、Facebookを使う例は良くある。サンフランシスコ発の企業であるTruliaは、ソーシャルメディア上での企業のプロモーションに貢献した社員にポイントを与え、実際にオフラインでベネフィットが得られる仕組みを構築している。その結果Truliaは従業員の愛社精神を高める事に成功しており、且つコミュニティを通してブランド向上を高める効果も得ている。
ソーシャルメディアマネジャーという新たな役職
この役職は、ソーシャルメディアを使って,上記で挙げたマーケティング、ブランディング、カスタマーリレーション、人事全てを管理するのがメインの仕事となる。従って会社各担当部署と連携を取る事が不可欠であり、高いコミュニケーション力が必要とされる。各部署から得た情報を元に,日々のFacebookの投稿や、ツイートをスケジュールし、データを見ながら日々修正していく。また、顧客やライバルの動きを確認するのも仕事であり,リアルタイムで顧客が何を言っているかに注意を払っていなければならない。また、目的はユーザとコミュニケーションをとることなので、時には軽いノリでユーザを楽しませるユーモアセンスも必要である。
ソーシャルメディアマネジャーのリクルーティング
ソーシャルメディアに詳しい人材を連れてくるのも1つの方法としてあるが、大企業の場合は、それぞれの分野に精通している人を連れてきてソーシャルメディアマネジメント部署を作るという方法もあり、実際Coca Colaはその方法を採っている。ちなみにbtraxでは、新人がソーシャルメディアを担当する事が多い。新人に任せてみる事で,彼らは社内で、何がどこでどうなっているのかを理解し、それを分かり易く顧客にお知らせする事で自らも会社について深く知る事が出来る。未だ新しい分野なので、経験より、その分野に興味があるかどうかを重視した方が良いと個人的には感じている。
ソーシャルメディアウィークに出場する事によって、ソーシャルメディアについて自身も学ぶ事が出来た良い機会となった。また、それと同時に配信するコンテンツの重要性や、今持っているコミュニティの大切さにも気づく事が出来た。このブログもbtraxにとっては重要なソーシャルメディアツールの1つであり,更新の際にはFacebookやTwitterでもお知らせしている。今後も、ブログを購読している皆様や、FacebookのページをLikeしてくれている皆様、Twitterでフォローしてくれている皆様にとって有益な情報をお届けしていけるよう、精進していきたいと思う。
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筆者: Brandon K. Hill @BrandonKHill