
数えきれないほどのベンチャーを見てきたシリコンバレーのVCに会うとき。限られた時間の中で彼は一体あなたの何を見るのだろうか?
「我々が見ているのはentrepreneur(起業家)の『目』です。」
起業家の目というのは一体どういうことか。Fenox Venture Capital のAnis Uzzaman氏はこう続ける。
「自分が持っている会社、自分が持っている技術に情熱や自信を持っていると、それは目で伝わるんです。」
現在シリコンバレーの多くのスタートアップで取り入れられている考え方がある。「リーン・スタートアップ」、その基本コンセプトは実際のアイデアをすぐモノにして、フィードバックを受
けながら方向性を調整していく、というもの。初期段階の会社においてプロダクトやビジネスモデルが完成されていないのは分かっていて、では壁にぶつかった時、彼/彼女は立ち上がれる情熱を持っているかどうか、それこそが重要だという。
今回Anis氏がそう語ったイベント、ビジネス道場は2012年4月24日、サンフランシスコSOMA地区にあるCitizenSpaceというコワーキングスペースでbtraxとGrobalBridgeHRの共催で行われた。イベントのテーマは「アメリカ式効果的なプレゼンテーションの技法」。


イベントの前半にbtrax, Inc. CEO Brandon K Hillが全体的なアメリカ式の効果的なプレゼンテーションについて、後半にAnis氏がVCの前でのプレゼンテーションについて語った。
ここで二人が共通して言っていたことを2つ紹介しよう。
1.自分を伝えるためにプレゼンテーション能力は非常に重要である。
Brandon: アメリカでビジネスを成功させる要素としてよく言われるのは「90%のコミュニケーション能力と10%の専門能力」。日本独特の「空気を読む」という文化はアメリカに存在しない。そこで自分をしっかり伝えないといくら自分が優秀だったりプロダクトが素晴らしくてもそれは相手に伝わらない。
Anis: 日本の技術はやはりものすごく高いレベルにある。実際、アメリカの会社を見てるときの感覚と日本の会社を見てるときの感覚って技術のレベルとかは差はあまり無く、では差
はどこにあるかというと日本の会社が世界レベルで自分達の持ってるものを表せてないだけ。
2.英語の心配は過度にいらない。
Brandon: アメリカ人でもプレゼンで使う英語は簡単でシンプルなものを使う。簡単な英語を、クリアに、ゆっくりと喋ること。また重要なポイントは3回繰り返すといい。また英語のなまりも個性の1つ。
Anis:我々VCとしては、「あなたがどれくらい英語が得意か」は関係ない。「私の気持ちをどういう風に伝えるか」というのが一番重要になってくる。そのための1つの方法がデモを作ること。
イベントではこれ以外にも多くの成功するプレゼンテーションの秘訣が紹介された。内容の詳細は今回のイベントの全文書き起こしとUstreamの録画から見ることができる。
このイベント、ビジネス道場は今回で3度目。サンフランシスコ在住の起業家精神を持つ日本人に向けてのセミナーと参加者同士のネットワークづくりのために、という二つの目的で始まった。
今回は新しい企画として当日来場頂いた方に、Anis氏やBrandonの言う情熱—自分の思いをスケッチブックに書いて頂いた。

私が今回のビジネス道場で気付いたことは、もっと現状を良くしたい、と熱い情熱を持つ日本人の仲間がサンフランシスコにも日本にもたくさんいるということ。そしてこの情熱は何にも変えて持ち続けていくべきものであり、伝えようと言う意思があれば相手にきっと伝わる。
「私の気持ちを伝えたい」という情熱をどういう風に伝えるか、その方法を考えないといけない。」
(Anis氏のプレゼンテーションより)
実は今回のイベントは私がbtraxでインターンを始めて、初めて担当したイベントである。準備不足の点もあったかと思うが、来場頂いた全ての方、Ustreamでイベントを見てくださった方、プレゼンターのAnis氏、イベントチームメンバー、そして素晴らしい経験を与えてくれたbtraxに心から感謝したい。

btraxはメインビジネスとして、米国進出を試みる日本企業をデザインやプロモーションの面でサポートしており、最近ではSF NewTech Japan Nightの主催によってスタートアップ企業の米国進出支援も行なっている。Japan Nightを行なう中で米国進出を目指す日本のスタートアップの数は徐々に増えてきている様に感じる。しかしながら、VISAや言語の壁、文化の違いなど障壁は多く、なかなかこちらにオフィスを構えて本格的にサービスを始めるという段階まで進んでいる企業は実際少ない。そんな中、第3回SF NewTech Japan Nightに出場したGrow! Inc.は、昨年米国での会社登記を済ませ、米国進出に向けて着々と準備を進めている。今回は、そんなGrow!のCEOである一ツ木氏に話を聞き,実際に米国進出までの道のりや今後の展望についてお話を聞かせていただいた。
インタビューでは、ビジネスやスタートアップに限らず,どんな場合においても必要な1つの原則を自身の経験を交えてお話しいただいたので、関連する動画の話と織りまぜながら共有したいと思う。
Grow! Inc.は、お気に入りのコンテンツにボタンを通じてチップを贈り、コンテンツ製作者を支援できるとともに、コンテンツを友人と共有できるソーシャル・チッピング・プラットフォームである。今現在日本では6000人以上のユーザを獲得し、計900万ページ上にGrow!ボタンが設置されている。
Grow!の始まりは、強い問題意識からであった。若い頃に音楽をやっていた一ツ木氏は、周囲のクリエイターたちがアルバイトをしながら生計を立てている事に疑問を感じ、長い間そんな友人たちを助けたいという想いを抱いていた。ネット業界で働き、そこで得た知識をもとに全てのクリエイターたちにファンがネット上で直接、少額で投資する事が出来る仕組みを共同創業者と共に思いついた。こういった経緯があり、「ファンとクリエイターの関係をインターネット上で創り上げたい」という強い目的意識からGrow!は誕生したのである。
WHYの大切さ
Simon Sinekの”How great leaders inspire action”というTEDの動画を見た事があるだろうか。4,177,227回の再生回数を誇る、TED内でも最も高くランクインしているStoryである。このプレゼンテーションの中で彼が力強く唱えている黄金のサークル理論をここで紹介したい。
通常、企業はみな、自分が「何を売っているか(WHAT)」「どんな風に売っているか(HOW)」を理解しており、多くの経営者は自身の事業について最も多くを語る。つまり、WHAT(何をするのか)-HOW(どうやってするのか)-WHY(なぜするのか)の順番で事業を決めているのである。しかしながら、時代を変革させ、人々の行動を変える偉大なる存在は、いつも根本にWHY(何故やるのか)をおいて事業を考えている。何が目的なのか、何のためにこの会社は存在するのか。何故顧客はその製品を買う必要があるのかを中心に考え、必ずWhy-How-Whatの内から外に物事を考える。それを指針として、一つ一つの行動をおこなっている企業や人間こそが、偉大なるリーダーとして人々の行動を変えることができるという話であった。
今回のGrow!の一ツ木氏の米国進出に関するインタビュー内容は、上記の話と強くリンクしていた。Grow!がいち早く米国への進出を行動に移すことが出来た理由、それこそがまさに”WHY”の存在なのである。米国進出をする目的、あえて難しい状況である米国で勝負する理由、それがしっかりと根底に有ることが、Grow!をここまで進めてきた原動力なのであると一ツ木氏は語っていた。
Grow!が米国進出をする理由
Grow!が米国進出をした理由は3つ有る。まず法律的に日本では個人間の金銭のやり取りが禁止されていることが一つにあげられる。お金を融通する機能を持つサービスは銀行の様な金融機関であると分類化され、その数を増やしてはならないとされているのである。反面、米国は金融機関の設立に規制がないため、Grow!の行なっている、個人から個人へオンライン上で直接送金することに関しては全く問題がない。
第2に市場規模。アメリカの寄付市場の規模は24兆円(日本の外食産業と同じ)であると見込まれており、毎年衰退することなく安定的に推移している。加えて、オンライン上の寄付に関しては、ここ4年で3倍に成長している。反対に日本での市場規模は30分の1の8000億円であり、そもそも寄付の文化が根付いていないというのが現実としてある。従って、米国においては、Grow!の提供するサービスであるオンライン上での個人からクリエイターへの寄付というシステムが日本より機能しやすいのである。
第3にチップ文化。米国に旅行されたことのある方はご存知だろうが、米国ではレストランやホテル、タクシーなどあらゆるサービス提供に対してチップを支払う文化がある。これは顧客が提示された金額に加えて、サービスを行なってくれた個人に対して支払われるものであり、個人間の直接的なお金のやり取りが概念として既に存在している。Grow!の提供するシステムはチップ文化という米国の文化背景に非常に上手く合致するため、日本よりも受け入れられやすいのである。
上記の3つの理由から、Grow!は米国で事業を行なうことを前提として考えていたため、サービス開始時から1Grow!=100円ではなく1Grow1=$1に設定している。このように「米国市場で勝負しなければいけない理由」があったことから、目標がぶれる事無く、挫折する事無く、米国での登記まで辿り着く事ができたのである。
今回のインタビューから我々が学んだのは、”Why(何故やるのか)”の存在であった。「何故」という理由付けがしっかりしていれば、方向性は絶対にぶれないし、ぶれた時もすぐに調整が出来る。そこが行動を起こせるか起こせないか、継続できるかできないかを分けるカギとなっている。会社の経営にしても、自分のキャリアにしても全て、”Why”が不可欠であり、その目的意識が自分を信じ続ける支えと成り,また周囲の人間にも強い影響を与えることができるのであろう。それは常に高尚なものでなくとも良い。最も大切なのは、自身の行動の理由、存在の理由を考えながら自分が何(What)をどうするか(How)を決定していくというプロセスを意識することだという教訓を、今回のGrow!一ツ木氏へのインタビューから得ることができた。
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SF New Tech Japan Nightサイト 一ツ木氏のインタビュー記事
by
Mai
先日開催された第三回SF New Tech Japan Nightの出場チームに対して、イベント翌日にシリコンバレーで活躍するVCの方から、個別にアドバイスをもらうための面談を行った。このセッションは、サンフランシスコSOMA地区にあるbtraxオフィスの会議室にて10/4の午前10時から1社それぞれ15分の予定でスタートした。結果的には平均1社45分というかなり充実した内容となった。
日本から来た若き起業家のアドバイザー役を買ってくれたのは、友人もでありシリコンバレーにてVCファーム: Fenox Venture Capitalを経営しているAnis Uzzamanである。Anisはアメリカの大学を卒業後、東京工業大学で修士を、首都大学ではPh.Dを獲得している。それ故に日本語も堪能で、日本のスタートアップや起業家を応援する気持ちが人一番強い。その後IBMの社内M&Aを経て、現在のVCファームのCEOに就任した。彼は今回のイベントを知り、通常は分刻みのスケジュールで超多忙なところを、好意で面談を申し出てくれた。
自身も投資事業だけではなく、他社のアドバイザーや会社の立ち上げにも関わっている彼が、Japan Night出場者に対し提供するアドバイスはどれも的確で、聞いている方としてもとても勉強になった。それらの中で、これからアメリカやシリコンバレーでビジネスを展開して行く上で、非常にユニークで有益なポイントが幾つかあったので、ご紹介する。
シリコンバレーのVC; Anis Uzzamanから起業家へのアドバイス
日米の会社のレベルの差は大きく無いが、絶対的なコネクション量が違う
日本とアメリカの両方のスタートアップ企業を詳しく調査している彼によると、会社やそこで働いている人材のクオリティー、そして提供する商品やサービスに於ける日米の差はあまり大きく無いという。しかしながら、アメリカ、特にシリコンバレーの会社や関わる人々が持つコネクション量と質が絶対的に有利なので、同じような展開をしようとしても、アメリカでは成功の可能性が上がる。
意思が強ければ誰とでも繋がれる
誰かと繋がりたいと思った時に、それが可能かどうかは本人の意思の強さ次第。強烈な思いで突き進めば、何らかの方法でアポイントが取れるはず。現に彼自身も、最近多くの知り合いに声をかけ、1週間以内でバンク・オブ・アメリカの社長とアポを取る事が出来たという。思いが強ければ、それが行動に現れ、周りが助けてくれる事もある。
アメリカはアグレッシブでスピードが速い
アメリカでビジネスに関わる人々は、図々しいぐらいにアグレッシブでスピードが速い。目標を達成する為には、ある程度強引な裏テクも駆使する。真面目で堅実な日本人起業家では、なかなか太刀打ち出来ないケースもある。
シリコンバレーでは有望な会社に投資するのは至難の業
いくら著名なシリコンバレーのVCでも、有望で注目されているスタートアップに投資するのは容易ではない。お金以外に何かしら提供出来る要素が無いと、他のVCを優先される事もある。実際彼の会社も今年のY Combinator主催のピッチコンテストでの出場企業に声を掛けたが、既に他のVC25社が面談待ちの状況だったらしい。
サービス名に関連するドメイン名は全て取得するべし
Anisが全てのチームにアドバイスしていたのが、ドメイン名について。.comだけに限らず、.netや.orgを初めとして、出来るだけ多くのバリエーションを取る。そうする事により今後他の会社が同じような名前で展開するのを未然に防げる可能性がアップする。また、最近ではTwitter, YouTube, Facebook等のアカウント名も併せて取ってしまうのが◎。逆に既に名前が取られている場合は、サービス名の変更も検討した方が良い。
名前やロゴが良い会社やプロダクトはそれだけで成功する場合もある
とても知的で論理的な彼からアドバイスで一番意外だったのがこれ。最終的に人間は感情で決断する。会社やプロダクトの名前やロゴがキャッチーで、人の記憶に残りやすく、上手に表現が出来ているそれだけでも、成功の可能性が大幅に上がる。ある出場社にも”良い名前だね。成功するんじゃない?”と言っていた。
スタートアップにとって、社会貢献イメージは大切
全く何もない所から始めるスタートアップは、どれだけ多くの人からの協力を得られるかが勝負。周りから協力してあげたいと思わせるのが非常に重要になる。提供するプロダクトが何かしら社会貢献に役立つのであれば、賛同者を得られやすく、成功へ結びつきやすくなる。スタート時に、”売り上げのX%を何々に寄付します!”と宣言するのも良い。
Necessity vs Commodity
提供するサービスが消費者にとって、無くてはならないもの(Necessity)なのか、欲しいもの(Commodity)なのかで、その後の成功のスケールが変わってくる。やはり、Necessityとみなされる商品やサービスは大成功を治める可能性が高い。ちなみに、人々にとって必要不可欠なのは衣食住だけではなく、FriendsやLove等も含まれるという。
日本で登記した後、アメリカに会社を移すのは難しくない
ケースバイケースだが、一度日本で法人登記をしてから、会社をアメリカに移すのはそれほど難しくは無い。日本の会社を子会社にしたり、吸収合併する等、幾つか方法がある。ビジネスの展開パターンやファンディング状況に合わせて臨機応変に対応すべし。
会社は”カタチ”が重要
アメリカで会社を経営した人は気づくだろうが、法務や財務に関する資料作りから、社内外組織作りまで、細かな会社の”カタチ”、英語で言うとFormalityは非常に重要。これがおろそかになると、思わぬ所で痛い目にあう事も。企業は外からも中からもキレイに構築すべきである。
CEOの仕事はプロダクトを進める事。その他役員の仕事は組織作りと資金調達
スタートアップは、ついCEOが全てを行ってしまうケースが多いが、少しでも早くCEOがプロダクト作りとその普及に専念出来る組織作りを行うべき。その為には、優秀な人材を役員として採用し、COOによる社内外の組織作りや、CFOによる資金調達等の役割分担を行う。
役員の報酬2に対しアドバイザーの報酬は1が目安
より多くの優秀なアドバイザーを集めるのも非常に重要であるが、その際のアドバイザーに対する報酬は、役員の1/2が目安となる。これは現金ではなくストックオプション等でもOK. なお、上場後はストックオプションは使えなくなるので、引き続き必要な場合は、きっちりと現金を支払う事になる。
特許はとても大切
これもほぼ全ての出場者の方々にアドバイスしていたポイント。資金調達やバイアウト、そして会社の競争力を高める為には、取得してる特許の種類と数が非常に重要になってくる。日本ではなかなか取りにくいビジネスモデル特許も、アメリカだと専門の弁護士に頼めば取りやすい。特許を持っているだけでも、投資家との面談の際の希望出資金額が格段に変わってくる。
人間は感覚で動く、心理戦は非常に効果的
投資家へのピッチや、エクジットの際のネゴシエーション等で心に響くプレゼンを提供出来るかどうかは非常に重要。相手がどんなに優秀で大物だったとしても、最終的には心理戦になる。特許の数や、具体的な数字、会社の大きなビジョン、アドバイザーの名前など、見た目に響く要素を提示出来るかが大切。
各投資元へのエクイティは最大20%を目処にする
エンジェルやVCから投資を受ける際は、そのボリュームを必ず会社の20%以下に抑える事。それ以上の配分になってしまうと、将来的に様々な理由で会社が不利な立場になる。”どうしても”という時でも、23%以上は割り当てない。
立ち上げ時 対 エクジット時の希薄化率は約60%
会社を立ち上げた際に割り当てられた株式はその後、追加出資等で希薄化され、エクジット時には目減りしてしまう。これを英語でDilutionと呼ぶが、その際のDilution Rate (希薄化率)は約60%が目安となる。例えば、立ち上げ時に会社の10%を保有している場合は、エクジット時には6%に目減りする。なお、会社によって大きく違いがある場合もあるので、ご注意。
会社立ち上げ直後にM&Aを考える
会社のエクジットをバイアウトと設定している場合は、プロダクトリリースがされる随分前や、場合によっては会社の立ち上げ直後からM&A活動を開始するのが良い。それにより、目標とするバイアウト先がどのようなプロダクトに興味があるかを知る事が出来、商品開発に有利に働く。そのようなケースは、大きな企業のM&A担当者と知り合いになっておくのは非常に重要なポイント。
バイアウト向けのCEOは、背が高く、顔が良く、話が上手い人を
実際にエクジットが見えて来た際には、それを本職としてる人間をCEOとして雇うのもセオリー。この辺だと、会社のバイアウトを請け負う専門家が沢山居る。多くの場合彼らは背が高く、顔が良く、話が上手い。それにより買収額が何倍になる事もあるという。
イメージ作りの為のMBA中退?
最近のスタートアップCEOの”はやり”はMBA中退。出場者からの、”やっぱアメリカでMBAとか行った方がいいですかね?”の質問に対し、”初めは通い始めて、会社がうまく行きそうになったらドロップアウトしたら?良いイメージ作りになるんじゃないの?”とAnis. 実に、アメリカで成功して名が知られている多くのCEOは、なぜかMBAや大学を中退している。大胆な行動力で、ある意味ハクが付くのかも。
今回、これから世界で活躍するであろう日本の起業家達に対して、具体的且つ役立つアドバイスを完全なる好意で提供してくれたAnisにはとても感謝している。ちなみにアドバイスを受けた何人かは、「自分の会社にこんなに可能性があるとは知りませんでした。めっちゃテンション上がりました。」と言っていた。これからも彼と協力し、少しでも結果に繋がるスタートアップ支援が提供出来ればと思う。なお、彼は今月末に開催されるTechCrunch Tokyo 2011のイベントにてモデレーターを務める予定なので、ご興味のある人は是非会ってみると良いと思う。
筆者: Brandon K. Hill @BrandonKHill
サンフランシスコ界隈で2011年より急激な人気を集めているコワーキングスペース(Co-working Space)に関し、以前にこちらの記事にまとめた。それ以来、日本の多くの方々からご興味をもって頂いている。また、先日は最も歴史のあるコワーキングのCitizen Spaceにて、光栄にも大前研一さんとの座談会にもパネルとして参加することが出来た。
また、今まで多くの方々にコワーキングの魅力と特徴をご説明した経験を生かし、最近では日本国内にてサンフランシスコのスタイルを参考にした、OFFICE KOROBOCL, Garage Labs, ツクルバ, HUB Tokyoそれぞれのコワーキングスペースに対してアドバイザー/メンターとして参加させていただいている。
今年は一気にコワーキングブームが訪れたが、来年以降は自然淘汰が始まる可能性もある。その一方で、ここ数ヶ月で急成長しているスペースもある。先日の大前さんとのイベント及び、これまでのコワーキング運営者とのやりとりを元に、コワーキングを成功させるには3つの大きなポイントがある事が分かった。今回は、日本でコワーキングスペースを運営するにあたり、必ずおさえておきたいポイントと幾つかの具体的アイディアをまとめる事にした。運営の際の参考になれば嬉しい。
ポイント1: 明るくオープンな環境を創り出す
コワーキングがシェアオフィスと一線を画する大きな理由の一つが、その”オープンさ”であろう。不特定多数の人が出入りし、誰でも見学出来るのがコワーキングの魅力ともなっている。具体的な方法論としては:
- 日中は正面ドアにカギやセキュリティーを掛けない
- 大きな窓があり、自然光を多く取り入れる
- 初めて来た人は、最初の一日が無料で利用できる
- 席や机は空いている所を自由に利用する
- 室内の内装や壁をカラフルに
- ソファーを設置し、気軽に作業可能にする
- 机以外のエリアでも仕事が出来るようにする
- 会議室をガラス張りにする
- 家具等のレイアウトをきっちりとしすぎない
- 静かに電話の出来るエリアを作る
ポイント2: 入居者同士のコラボレーションを誘発
コワーキングスペースとして、多くの入居者を獲得しても、おのおのがそれぞれのプロジェクトのみに専念しているだけでは、単なるシェアオフィスになる。コワーキングの一番の醍醐味は、チームや企業の垣根を越えたコラボレーションであり、それによりアイディアが活性化され、クリエイティブな結果を生み出す所にある。
- 作業エリアの他に自由に利用可能なコミュニティエリアを作る
- 管理人はコミュニティマネージャーと呼ぶ
- 机は部屋の真ん中に置き、入居者はそれを囲むように利用する
- 机は雛形や台形のものを利用し、クリエイティブなレイアウトを実現する
- IT業界以外の企業も積極的に入居してもらう
- なるべく多くの壁をホワイトボードとして利用可能に
- 昼休みには入居者の商品やサービスの発表会を行う
- 出世した企業は壁にロゴを飾り表彰する
- 月一でコンテストを開催する
- 他のコワーキングやインキュベーターとのコラボイベントを企画する
ポイント3: 独自の付加価値を生成
サンフランシスコに10以上あるコワーキングは、それぞれがユニークな特徴を持っている。例えば完全招待制だったり、非ITを優先したり、クッキングコンテストを行ったりしている場所もある。今後日本でもコワーキングスペースが軒並み増えてくる事が予想されるので、運営する場合は、独自の付加価値を提供する必要が出てくると考えられる。こちらで見られるアイディア例としては:
- 利用時間やスタイルに応じて複数の料金プランの設定
- 入居者のクオリティーを保つ為に一定の基準と審査を行う
- 夜7時以降は頻繁にセミナー、ネットワーク等のイベントを開催する
- 投資家が頻繁に出入りする
- キッチンにあるお菓子は食べ放題
- お茶は完全オーガニック
- 夕方5時以降はビールが振る舞われる
- 椅子や机等はおしゃれなデザイナー家具
- 訪問者には簡単なオフィス内ツアーを提供
- 先輩起業家や投資家にメンター登録をしてもらう
- ペットの同伴を許可する
- 海外からの入居者を受け入れる
以上が、簡単にまとめたこちらで成功しているコワーキングスペースの特徴である。日本で参考するのには難易度が高い点も含まれているが、なるべく実現出来ると良いだろう。
また、日本国内の物件では規約上、不特定多数の入居者が出入りするのが難しいケースもあるようだ。しかしながら、セキュリティーはあまり厳しくせずに、自由で開放的な空間を創造するのがコワーキング運営者の仕事となる。管理人やコミュニティマネージャーを入居者からの持ち回りにしても良いし、どうにかして、ありがちなクローズドな雰囲気のシェアオフィスにしない方法をあみだす必要があるだろう。
日本人の気質や文化を考えると、初対面の方々同士でコラボレーションをするのは抵抗があるかもしれないが、コワーキングスペースの一番の価値は、どれだけ多くの入居者がその後、世の中に貢献出来るかだと考えられる。言い換えると、ソーシャル・アントレプレナーの輩出に成功出来る場所が、最も成功しているコワーキングと考えても良いだろう。
筆者: Brandon K. Hill @BrandonKHill